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5 基地を作ろう①
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しかし、家もらってもなー・・・。
目の前の森を眺めながら思う。
背中を預けている大きな樹の周りは、そこだけ不自然にぽっかりと開けていて、芝生のように丈の低い草がぱやぱやと生えている原っぱになっていた。
しかし、それは多分半径にして5メートル程。
小さいとはいえ家を建てる(この場合は置くだけか?)には狭い。
かといって、快適に過ごせる家やゆっくり眠れるベッドがあると知っているのに、早々にそれを諦め地面にごろ寝できるほど俺の精神は大人じゃない。
ここに家を設置するためにはどうすればいいかなんて子供でも分かる答えだ。
スペースを広げる、これ一択。
そうなんだけど、それをどうやってやるかなんだよ。
木を倒そうにも俺の持ってるのはナイフと剣のみ。
手練れなら剣で木を倒す事は可能かもしれないが、あいにく俺は中高大と弓道部で、剣道もフェンシングもやったことはないのだ。ああ、授業で2時間ずつくらい齧ったか。適当にしかやってないから、かすった程度か?
「うーん・・・」
誰かに頼もうにも周りに道は無く、人など通りそうにない。
残るは、魔法で、ってことになるけど・・・。
さっき見た感じだと俺にはちゃんと魔力が備わっているらしい。
だがしかし、あるのが分かっていても使い方はさっぱり分からん。
まさに宝の持ち腐れ。
・・・練習、するしかないか。
家をどうするかは一旦諦め、とりあえずは少しでも魔法を使えるようになろう。
「ステータス・オープン」
ディスプレイを開き、?マークをタッチする。
気分は『オーケイ、グー〇ル』的な?
「魔法の使い方を教えてくれ」
ディスプレイが声に反応して答えを出す。
【考えるな、感じろ】
「・・・コレ、ふざけてんのか?」
某アクションスターのセリフじゃないんだからさ。
一瞬怒りが沸いたけど、次の文を読んでちょっとだけ落ち着く。
【血流を感じるように自分の魔力の流れを感じ、まずは指先から魔力を放出してみよう】
・・・なるほど?
だから、考えるな、感じろ。ねえ・・・。
意識を集中させるべく、ディスプレイを閉じ手を下ろして目を閉じる。
感じるのは森の匂い。さらさらと葉の擦れる音。
頬を撫でる風。
意識を内に潜り込ませていくと、中心から広がっていく熱を感じる。
ゆっくりと、まさに血流のように。
熱は次第に身体の中に満ち溢れ指先や髪の先までを覆いつくした。
「・・・・・」
ゆっくりと目を開け自分の手のひらを見ると、微かに発光していた。
これが魔力というものか?
光を集めるように指を丸めると、手のひらの中心が熱く感じる。
それは火傷を心配するほどではなく、ほんのりとした温かさだ。
あとはこれをどうするかなのだが。
「・・・・・・水」
少し考え、そう唱える。
イメージはシャボン玉の中に水が満ちているような、水球。
すると、翳した手のひらの上に細かな粒子が集まり、やがてくるくると回りながら水の球を形成していく。
それは光を反射し、キラキラと輝いていた。
目の前の森を眺めながら思う。
背中を預けている大きな樹の周りは、そこだけ不自然にぽっかりと開けていて、芝生のように丈の低い草がぱやぱやと生えている原っぱになっていた。
しかし、それは多分半径にして5メートル程。
小さいとはいえ家を建てる(この場合は置くだけか?)には狭い。
かといって、快適に過ごせる家やゆっくり眠れるベッドがあると知っているのに、早々にそれを諦め地面にごろ寝できるほど俺の精神は大人じゃない。
ここに家を設置するためにはどうすればいいかなんて子供でも分かる答えだ。
スペースを広げる、これ一択。
そうなんだけど、それをどうやってやるかなんだよ。
木を倒そうにも俺の持ってるのはナイフと剣のみ。
手練れなら剣で木を倒す事は可能かもしれないが、あいにく俺は中高大と弓道部で、剣道もフェンシングもやったことはないのだ。ああ、授業で2時間ずつくらい齧ったか。適当にしかやってないから、かすった程度か?
「うーん・・・」
誰かに頼もうにも周りに道は無く、人など通りそうにない。
残るは、魔法で、ってことになるけど・・・。
さっき見た感じだと俺にはちゃんと魔力が備わっているらしい。
だがしかし、あるのが分かっていても使い方はさっぱり分からん。
まさに宝の持ち腐れ。
・・・練習、するしかないか。
家をどうするかは一旦諦め、とりあえずは少しでも魔法を使えるようになろう。
「ステータス・オープン」
ディスプレイを開き、?マークをタッチする。
気分は『オーケイ、グー〇ル』的な?
「魔法の使い方を教えてくれ」
ディスプレイが声に反応して答えを出す。
【考えるな、感じろ】
「・・・コレ、ふざけてんのか?」
某アクションスターのセリフじゃないんだからさ。
一瞬怒りが沸いたけど、次の文を読んでちょっとだけ落ち着く。
【血流を感じるように自分の魔力の流れを感じ、まずは指先から魔力を放出してみよう】
・・・なるほど?
だから、考えるな、感じろ。ねえ・・・。
意識を集中させるべく、ディスプレイを閉じ手を下ろして目を閉じる。
感じるのは森の匂い。さらさらと葉の擦れる音。
頬を撫でる風。
意識を内に潜り込ませていくと、中心から広がっていく熱を感じる。
ゆっくりと、まさに血流のように。
熱は次第に身体の中に満ち溢れ指先や髪の先までを覆いつくした。
「・・・・・」
ゆっくりと目を開け自分の手のひらを見ると、微かに発光していた。
これが魔力というものか?
光を集めるように指を丸めると、手のひらの中心が熱く感じる。
それは火傷を心配するほどではなく、ほんのりとした温かさだ。
あとはこれをどうするかなのだが。
「・・・・・・水」
少し考え、そう唱える。
イメージはシャボン玉の中に水が満ちているような、水球。
すると、翳した手のひらの上に細かな粒子が集まり、やがてくるくると回りながら水の球を形成していく。
それは光を反射し、キラキラと輝いていた。
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