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第1章
気持ちの置き場(レオルドさん視点)
しおりを挟むここで、一旦、久しぶりのレオルドさん視点です。すみません、時間が結構巻戻ります。
食堂でリオの美醜観念がおかしい事が分かり、また、レオルドがリオ嬢への気持ちを自覚した後の話です。
───────────────────────
───リオ嬢が好きだ。
リオ嬢に対して抱く気持ちが何なのか、分かってしまえば、辛くなるだけだと、傷つきたくないと、見ないふりをしていた。
だが──。
『す、凄く、カッコイイと思います!』
『恥ずかしいので余り見ないで下さいっ!』
ああ·····。昼間の食堂での出来事を繰り返し、繰り返し、思い出しては頬をつねり、現実だと知り、嬉しさに泣きそうになる。
良かった。嫌われなかった。
リオ嬢は俺を拒絶しなかった。
それどころかむしろ·····。
俺は、リオ嬢が俺の顔を見て、顔を真っ赤にして慌てている姿を思い出し、また頬をつねった。
凄く、可愛かったな。
何時もの笑顔も可愛いが、慌てて照れるリオ嬢はもっと可愛くて、その表情をさせているのが俺だと言うのは信じ難いが事実で。それらの事を思うとやはり、頬をまたつねった。
ちなみに俺はMでは無い。
だが、頬をつねって痛みがある事に、安心と喜びを感じているのだから、もしかしたら、そっちの道もあっているのかも知れない·····。
何だか、非現実的な一日にふわふわとした思考のまま、変なことまで考え出してしまっていた。
「そ、そそそれに、今日のコモスの町案内は、デ
デデデート、というものではっ!!」
俺は、はっ!!として思わず声を上げた。
あの時の俺はあくまで、リオ嬢にコモスの町を好きになって貰えるよう、完璧に案内する!事を目標としていて、その考えに至れなかった。
俺はもしかして、せっかくのアピールするチャンスを逃してしまったのでは?
いやでも、俺にはリオ嬢と今度一緒に海を見に行くという約束がある。つまり、まだチャンスはあるという事で。
·····1週間も、リオ嬢と、旅行·····。
と、何時もより調子に乗ったことを考える。
が、すぐ考え直す。
いやいや。まて、待つんだ俺。確かに、リオ嬢は、俺の容姿に好感を持っていたかも·····、いや、不快感は持っていなかったかもしれない。だが、必ずしも、その事イコール恋愛対象になる訳では無い。
それに、リオ嬢は異世界からきた女神だ。
そもそも俺にチャンスなんて最初から無いじゃないか。
今、一緒に過ごしている時間は、いつか、終わりが来るものだ。
期待してはいけない。
そうだ。最初からそう考えてたじゃないか。期待はしないって。
レオルドは浮かれている思考に、自分の言葉で蓋をして押し潰した。
しかし、それでももう遅かった。
だって、俺は認めてしまったから。
自分の感情に名前をつけてしまった。
今だけなんて思えない。この短期間で俺は、この先ずっと、リオ嬢の隣に居たいと思ってしまった。
俺は、溢れてやまないこの気持ちをどこに置けばいいのか分からなず、結局、思い悩み悶々とした夜を過ごすことになった。
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