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第1章
きっと、人違いだ。(レオルドさん視点)
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昨日、井戸・・・?
はっ、!やばい・・・。
リオ嬢はやっぱり、昨日俺の顔を見てたんだ・・・。
ダラダラと嫌な汗が流れる。
もし、昨日あったのが俺だと知ったら、リオ嬢はどんな顔をするだろうか・・・。
少なくとも、俺は、ここ3日ほど隣にいた男がとんでもない醜い男だと知って笑ってはいられない。
もうリオ嬢はこれから俺に、隣に座って下さい。とは言わないだろう。
俺がリオ嬢に見つめられながらも、必死に頭を働かしていると、まさかの救世主が現れた。
「レオルドなら昨日、夜遅くまで俺と飲んでたぞ?」
「え?」
俺はこの時、サジャールに今度飯を奢ってやろう、とひそかに心の中で誓った。
ありがとうっ!友よっ!
「すみません、レオルドさん、人違いだった見たいで・・・」
「い、いえ。」
よ、良かったのか?でも、何とか切り抜けられたな。
いやでも、少なくとも俺の瞳が醜いってことはバレてしまったよな・・・。まぁ、マスクをしていたから、醜さを半分くらいは誤魔化せたはず・・・だよな。
いや、やはり、瞳を見られたのは・・・。
俺はそそくさとフードを被り直すと、リオ嬢のいる所とは反対側の隣にある椅子をじっと見つめながら考えた。
「その、夜に井戸で会った人ってのは、レオルドに似てたのか?」
「えっ?」
「今、レオルドの目元を見てそう言ったろ?」
「え、えぇ、はい。余り、はっきりとは覚えていないんですが、とても、綺麗な青色の瞳が印象てきで・・・。」
(は?)
俺が椅子を見つめながら、ぼんやりとマスクで顔半分を隠していればそこまで醜くないのでは?と考えていると、聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「っ!リオ嬢は、レオルドの目元を見て綺麗だと思ったのか!?」
「?・・・はい。」
(いやいや、リオ嬢は何を言っているんだっ!?俺のこの瞳を見て綺麗・・・だと!?)
リオ嬢の口から出た有り得ない言葉に驚きながらも、もしかして女神補正か?と思った。
女神には醜いものも、他の人よりは多少マシに見えるようなスキルがあるのだろうか・・・。
少しだけ、俺の心に希望が生まれる。
もしかしたら・・・と。
「その、昨日あった人はどんな人だったんだ?」
「えーと、凄く綺麗な人でしたよ。今までで、見たことが無いくらい。」
リオ嬢はそう言うと目を閉じて、うっとりとした表情で話し始めた。
「ふふふ、月明かりに照らされたその人はこの世の者とは思えない程、顔が整っていてですね、しかもスタイル抜群!サファイアの宝石みたいに輝く青い瞳はどこまでも広い海の様に透き通っていて綺麗で、光に当てられた髪の毛は・・・」
「なっ!リ、リオ嬢っ!ま、待ってくださいっ!」
「えっ?」
リオ嬢は気づいていないだろうが、今の俺とサジャールの顔は真っ赤だ。
リオ嬢は自分が美人だということを忘れているのだろうか・・・。目の前でそんなうっとりとした表情をされるこちらの身も考えて貰いたい!
「レオルドさん?どうしたんですか?」
「リ、リオ嬢は、昨日、井戸で、その人以外と会いましたか?」
多分、あれだ。俺が井戸から去った後、見た目麗しい青年と出会ったのだろう。そうだ。その話をしているに違いない。
危ない。危うく、俺の事を言っているのではないか?と見当違いな間違えを犯すところだった。
そう思った俺の問いにリオ嬢は首を傾げながら返す。
「いえ、昨日会ったのはひとりだけです。」
(は?ひ、一人?もしかして、俺にあったことは忘れているのか?)
「ば、化け物の様な男は・・・」
「・・・?いえ、そんな人はいませんでしたよ?私が、昨日会ったのは見た目麗しい騎士様一人です。私が井戸に忘れたハンカチを持っていて・・・」
み、見た目麗しい騎士っ!?ハンカチっ!?
まさか、リオ嬢は本気で俺の事を話してるのかっ、?いや、まてまて、俺のどこをどう見てリオ嬢は“見た目麗しい”なんて言ってるんだ!?
一人で軽くパニック状態になっている俺にサジャールが不思議そうに話しかける。
「レオルド、お前どうしたんだ?」
「いや、サジャール。昨日、リオ嬢と井戸で会ったのは、俺なんだ・・・。その、ハンカチの事も、会ってるし・・・」
「は?」
言いにくそうに俺がそう言うと、サジャールさんが目を見開き、リオ嬢を見る。
うん。そうだよな。有り得ないよな。やっぱり、人違い・・・。
「やっぱり、レ、レオルドさんだったんですか!?」
「いや、でも、」
(やっぱり、人違いだと思うんだが・・・)
「ほ、本当に、レオルドさんだったんですか!?」
「い、いや、あの、リオ嬢、その、俺は、リオ嬢が言った人物像とはかけ離れているんだ・・・。見てわかる通り、俺はスタイルも全然良くないし、顔なんて・・・。」
とても醜い、凶悪顔つきで・・・。そう、そうだ。
「きっと、人違いだ。」とそうリオ嬢に俺は言った。
しかし、俺のその言葉に少し考え込むように黙ったリオ嬢が言う。
「・・・レオルドさん、無理強いはしません。あの、一度、貴方の顔を見せてくれませんか?」
「っ、!」
(なっ、何を言ってるんだっ!?)
「「「・・・」」」
つかの間の沈黙、それを破ったのはサジャールだった。
「リオ嬢、好奇心か何かは知らないけど、辞めといた方がいい。・・・レオルドの為にも。それに、リオ嬢が昨日見たのが、リオ嬢の言う通り、見た目麗しい騎士様なら、それはきっとレオルドじゃない。」
「・・・はい。」
俺が言いずらいことをサジャールが代わりに言ってくれた。リオ嬢も納得したのか素直に頷いた。
だが、俺がその事にホッと息を着いたその時。
「リオお姉ちゃんなら大丈夫だと思うよ」
そう言って、ニコリと笑い俺の昼食を持って来たラナちゃんが続けて言った。
「だって、リオお姉ちゃん、私の事、可愛いって言うのに、サジャールさんのことはあんまり、カッコ良くないって言ってたから。」
ーーーーは?・・・どういうことだ?
俺はラナちゃんの言った言葉の意味を理解するのに、この中の誰よりも時間がかかっただろう。
言葉の意味をぐるぐると考えている間、ずっと、ダリオス団長に聞いた『女神』というワードが頭の中から離れなかった。
やっぱり、リオ嬢は
ーーーー女神、なのか?
はっ、!やばい・・・。
リオ嬢はやっぱり、昨日俺の顔を見てたんだ・・・。
ダラダラと嫌な汗が流れる。
もし、昨日あったのが俺だと知ったら、リオ嬢はどんな顔をするだろうか・・・。
少なくとも、俺は、ここ3日ほど隣にいた男がとんでもない醜い男だと知って笑ってはいられない。
もうリオ嬢はこれから俺に、隣に座って下さい。とは言わないだろう。
俺がリオ嬢に見つめられながらも、必死に頭を働かしていると、まさかの救世主が現れた。
「レオルドなら昨日、夜遅くまで俺と飲んでたぞ?」
「え?」
俺はこの時、サジャールに今度飯を奢ってやろう、とひそかに心の中で誓った。
ありがとうっ!友よっ!
「すみません、レオルドさん、人違いだった見たいで・・・」
「い、いえ。」
よ、良かったのか?でも、何とか切り抜けられたな。
いやでも、少なくとも俺の瞳が醜いってことはバレてしまったよな・・・。まぁ、マスクをしていたから、醜さを半分くらいは誤魔化せたはず・・・だよな。
いや、やはり、瞳を見られたのは・・・。
俺はそそくさとフードを被り直すと、リオ嬢のいる所とは反対側の隣にある椅子をじっと見つめながら考えた。
「その、夜に井戸で会った人ってのは、レオルドに似てたのか?」
「えっ?」
「今、レオルドの目元を見てそう言ったろ?」
「え、えぇ、はい。余り、はっきりとは覚えていないんですが、とても、綺麗な青色の瞳が印象てきで・・・。」
(は?)
俺が椅子を見つめながら、ぼんやりとマスクで顔半分を隠していればそこまで醜くないのでは?と考えていると、聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「っ!リオ嬢は、レオルドの目元を見て綺麗だと思ったのか!?」
「?・・・はい。」
(いやいや、リオ嬢は何を言っているんだっ!?俺のこの瞳を見て綺麗・・・だと!?)
リオ嬢の口から出た有り得ない言葉に驚きながらも、もしかして女神補正か?と思った。
女神には醜いものも、他の人よりは多少マシに見えるようなスキルがあるのだろうか・・・。
少しだけ、俺の心に希望が生まれる。
もしかしたら・・・と。
「その、昨日あった人はどんな人だったんだ?」
「えーと、凄く綺麗な人でしたよ。今までで、見たことが無いくらい。」
リオ嬢はそう言うと目を閉じて、うっとりとした表情で話し始めた。
「ふふふ、月明かりに照らされたその人はこの世の者とは思えない程、顔が整っていてですね、しかもスタイル抜群!サファイアの宝石みたいに輝く青い瞳はどこまでも広い海の様に透き通っていて綺麗で、光に当てられた髪の毛は・・・」
「なっ!リ、リオ嬢っ!ま、待ってくださいっ!」
「えっ?」
リオ嬢は気づいていないだろうが、今の俺とサジャールの顔は真っ赤だ。
リオ嬢は自分が美人だということを忘れているのだろうか・・・。目の前でそんなうっとりとした表情をされるこちらの身も考えて貰いたい!
「レオルドさん?どうしたんですか?」
「リ、リオ嬢は、昨日、井戸で、その人以外と会いましたか?」
多分、あれだ。俺が井戸から去った後、見た目麗しい青年と出会ったのだろう。そうだ。その話をしているに違いない。
危ない。危うく、俺の事を言っているのではないか?と見当違いな間違えを犯すところだった。
そう思った俺の問いにリオ嬢は首を傾げながら返す。
「いえ、昨日会ったのはひとりだけです。」
(は?ひ、一人?もしかして、俺にあったことは忘れているのか?)
「ば、化け物の様な男は・・・」
「・・・?いえ、そんな人はいませんでしたよ?私が、昨日会ったのは見た目麗しい騎士様一人です。私が井戸に忘れたハンカチを持っていて・・・」
み、見た目麗しい騎士っ!?ハンカチっ!?
まさか、リオ嬢は本気で俺の事を話してるのかっ、?いや、まてまて、俺のどこをどう見てリオ嬢は“見た目麗しい”なんて言ってるんだ!?
一人で軽くパニック状態になっている俺にサジャールが不思議そうに話しかける。
「レオルド、お前どうしたんだ?」
「いや、サジャール。昨日、リオ嬢と井戸で会ったのは、俺なんだ・・・。その、ハンカチの事も、会ってるし・・・」
「は?」
言いにくそうに俺がそう言うと、サジャールさんが目を見開き、リオ嬢を見る。
うん。そうだよな。有り得ないよな。やっぱり、人違い・・・。
「やっぱり、レ、レオルドさんだったんですか!?」
「いや、でも、」
(やっぱり、人違いだと思うんだが・・・)
「ほ、本当に、レオルドさんだったんですか!?」
「い、いや、あの、リオ嬢、その、俺は、リオ嬢が言った人物像とはかけ離れているんだ・・・。見てわかる通り、俺はスタイルも全然良くないし、顔なんて・・・。」
とても醜い、凶悪顔つきで・・・。そう、そうだ。
「きっと、人違いだ。」とそうリオ嬢に俺は言った。
しかし、俺のその言葉に少し考え込むように黙ったリオ嬢が言う。
「・・・レオルドさん、無理強いはしません。あの、一度、貴方の顔を見せてくれませんか?」
「っ、!」
(なっ、何を言ってるんだっ!?)
「「「・・・」」」
つかの間の沈黙、それを破ったのはサジャールだった。
「リオ嬢、好奇心か何かは知らないけど、辞めといた方がいい。・・・レオルドの為にも。それに、リオ嬢が昨日見たのが、リオ嬢の言う通り、見た目麗しい騎士様なら、それはきっとレオルドじゃない。」
「・・・はい。」
俺が言いずらいことをサジャールが代わりに言ってくれた。リオ嬢も納得したのか素直に頷いた。
だが、俺がその事にホッと息を着いたその時。
「リオお姉ちゃんなら大丈夫だと思うよ」
そう言って、ニコリと笑い俺の昼食を持って来たラナちゃんが続けて言った。
「だって、リオお姉ちゃん、私の事、可愛いって言うのに、サジャールさんのことはあんまり、カッコ良くないって言ってたから。」
ーーーーは?・・・どういうことだ?
俺はラナちゃんの言った言葉の意味を理解するのに、この中の誰よりも時間がかかっただろう。
言葉の意味をぐるぐると考えている間、ずっと、ダリオス団長に聞いた『女神』というワードが頭の中から離れなかった。
やっぱり、リオ嬢は
ーーーー女神、なのか?
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