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第1章
惹かれる心2(レオルドさん視点)
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急いで食堂に向かうと、エトアが言った通りリオ嬢が何も食べずに席に座っていた。
と、ここまで来て俺は昨日の夜、素顔を見られた事を思い出した。
もしかして、リオ嬢は昨日の醜い男が俺だと気づいていて、それを確かめるために待っていたんじゃ無いだろうか・・・。
浮き足立っていた心が僅かに痛む。
もしかしたら違うかもしれない。
ただ、単に俺と話がしたくて待っていてくれたのかもしれない。
だけど・・・。本当にそんな事が有り得るのだろうか。
だって、今まで俺の素顔を知ったあとも俺と話がしたいと言ってくれた女性はいなかったじゃないか。
だんだん暗い気持ちになって足取りが重くなる。
「あ、レオルドさんおはようございます!」
俺の姿を目にしたリオ嬢が笑顔で話しかけてくる。
「っ!?お、おはようございます・・・」
いつも通りに話しかけられた事に、一瞬、ビックリした俺は何とか普通に聞こえるように意識して返した。
「どうかしたんですか?」
不思議そうな顔をしてリオ嬢が俺を見つめる。
「い、いえ、あの、昨日は、その、」
「え?」
「なっ!なんでもありませんっ!」
「えと、はい。分かりました?」
リオ嬢から昨日の事について話を切り出されるなら俺から話そうと思い口を開くも、リオ嬢の顔をみるとやっぱり嫌われたくなくて誤魔化した。
やっぱり、昨日の醜い男が俺だってことに気づかれてないかもしれない。
なら、別に俺から言わなくても良いじゃないか。
いつかは嫌われるかもしれないが、別に今じゃなくてもいいだろ。
俺は話を切り出されるのが怖くて、朝食を受け取った後、リオ嬢とは別の席に座った。
しかし、朝食を受け取ったリオ嬢は何故か俺の隣に腰かけた。
「リ、リオ嬢っ!」
「ん?はい、なんですか?」
「き、今日も一緒に食べるんですか?」
俺は恐る恐る聞いてみる。
「はい、、あっ、すみません、もしかしてレオルドさん誰かと一緒に食べる約束でもしてましたか?」
「いえ、そういう訳では・・・」
ない、けど。
「?・・・そうですか、もし、お邪魔でしたら言ってくださいね。私、移動しますから」
「えっ?あ、いや、邪魔なわけっ、えと、俺は全然、良いんですけど、リオ嬢は、俺と一緒でも、良いんですか?」
やっぱり、昨日のことについて話をしたいのだろうか。
「えと、はい、勿論です。レオルドさんには他にも沢山聞きたいことがありますし・・・それに、私、レオルドさんとラナちゃんしか知っている人いなくて、一人で食べるのもちょっと・・・」
「そうですか。」
リオ嬢のその言葉に暗かった心が少しずつ軽くなって行くような気がした。
俺は、飯を食べるためマスクをずらし、隠していない頬が緩みそうになるのを抑えるため、目の前のパンとスープを黙々と食べ始めた。
今日の朝食はいつもよりもほんの少し美味しい気がした。
いつの間にか無言になっていた事に気づいた俺はふと、リオ嬢の事を伺う。
すると、何故か目の前の朝食に手をつけずにリオ嬢は俺の事をじっと見つめていた。
相変わらず、フードを深くかぶっているので、視線だけを動かして俺がリオ嬢の事を見ている事に気づいてないのかリオ嬢は無言でみてくる。
緊張と不安で段々と冷や汗が出てくる。
何故、俺はリオ嬢に見られているんだ?
よくよく見みるとリオ嬢の目は俺の手を追っている事が分かった。
スプーンを持つ手が震える。
まさか、俺が飯を食っているところをずっと見てたのか?
いやいや、そんなバカな・・・。
そう思いながらも恥ずかしさで顔が熱くなる。
これ以上見られるのは耐えられないと思った俺は手を止めてリオ嬢に懇願する。
「リ、リオ嬢、あ、あの、あんまり、見ないで、下さい。」
耳まで真っ赤になっているであろう顔が見られないように俺はフードを引っ張りさらに顔を隠す。
「えっ?あ、あのっ、すみませんっ!つい・・・」
と、リオ嬢の謝罪の言葉が聞こえてくる。
「つい」と言ったリオ嬢のその言葉にどういう意味かと考え、俺は首を振る。
もしかして、口元に何かついていたのか?
それとも、もっとパンを食べたかったのだろうか?
いやでも、リオ嬢の朝食にはほとんど手がつけられていないし・・・。
その後、空気を変えようと思ったのかリオ嬢の方から色々と話しかけてくれた。
しかし、俺はせっかくリオ嬢が話しかけてくれたのにも関わらず、上手く話を広げることが出来なかった。
何だか気まずい空気が流れる中、俺は幻聴を聞くことになる。
「レ、レオルドさんが食べている所って何だか色気がありますよね。」
「はい、そうですね・・・って、えぇっ!」
あれ?え?俺、今、なんて言われたんだ?
リオ嬢に言われた言葉の意味を理解するのに、時間がかかった俺は、意味を理解した後、なんだ、幻聴か。と思いリオ嬢を見た。
リオ嬢の真っ赤に染まった顔に、今の言葉が幻聴ではないと知り、つられたように顔が赤くなったのは、きっと、仕方のないことだと思う。
今まで、リオ嬢の事は綺麗な美人で高嶺の花と思っていたが、この時ばかりは可愛い一人の女の子にしか見えなかったのだから。
━━━━━━━━━━━━━━━
まだまだ、レオルドさん視点が続きます。
と、ここまで来て俺は昨日の夜、素顔を見られた事を思い出した。
もしかして、リオ嬢は昨日の醜い男が俺だと気づいていて、それを確かめるために待っていたんじゃ無いだろうか・・・。
浮き足立っていた心が僅かに痛む。
もしかしたら違うかもしれない。
ただ、単に俺と話がしたくて待っていてくれたのかもしれない。
だけど・・・。本当にそんな事が有り得るのだろうか。
だって、今まで俺の素顔を知ったあとも俺と話がしたいと言ってくれた女性はいなかったじゃないか。
だんだん暗い気持ちになって足取りが重くなる。
「あ、レオルドさんおはようございます!」
俺の姿を目にしたリオ嬢が笑顔で話しかけてくる。
「っ!?お、おはようございます・・・」
いつも通りに話しかけられた事に、一瞬、ビックリした俺は何とか普通に聞こえるように意識して返した。
「どうかしたんですか?」
不思議そうな顔をしてリオ嬢が俺を見つめる。
「い、いえ、あの、昨日は、その、」
「え?」
「なっ!なんでもありませんっ!」
「えと、はい。分かりました?」
リオ嬢から昨日の事について話を切り出されるなら俺から話そうと思い口を開くも、リオ嬢の顔をみるとやっぱり嫌われたくなくて誤魔化した。
やっぱり、昨日の醜い男が俺だってことに気づかれてないかもしれない。
なら、別に俺から言わなくても良いじゃないか。
いつかは嫌われるかもしれないが、別に今じゃなくてもいいだろ。
俺は話を切り出されるのが怖くて、朝食を受け取った後、リオ嬢とは別の席に座った。
しかし、朝食を受け取ったリオ嬢は何故か俺の隣に腰かけた。
「リ、リオ嬢っ!」
「ん?はい、なんですか?」
「き、今日も一緒に食べるんですか?」
俺は恐る恐る聞いてみる。
「はい、、あっ、すみません、もしかしてレオルドさん誰かと一緒に食べる約束でもしてましたか?」
「いえ、そういう訳では・・・」
ない、けど。
「?・・・そうですか、もし、お邪魔でしたら言ってくださいね。私、移動しますから」
「えっ?あ、いや、邪魔なわけっ、えと、俺は全然、良いんですけど、リオ嬢は、俺と一緒でも、良いんですか?」
やっぱり、昨日のことについて話をしたいのだろうか。
「えと、はい、勿論です。レオルドさんには他にも沢山聞きたいことがありますし・・・それに、私、レオルドさんとラナちゃんしか知っている人いなくて、一人で食べるのもちょっと・・・」
「そうですか。」
リオ嬢のその言葉に暗かった心が少しずつ軽くなって行くような気がした。
俺は、飯を食べるためマスクをずらし、隠していない頬が緩みそうになるのを抑えるため、目の前のパンとスープを黙々と食べ始めた。
今日の朝食はいつもよりもほんの少し美味しい気がした。
いつの間にか無言になっていた事に気づいた俺はふと、リオ嬢の事を伺う。
すると、何故か目の前の朝食に手をつけずにリオ嬢は俺の事をじっと見つめていた。
相変わらず、フードを深くかぶっているので、視線だけを動かして俺がリオ嬢の事を見ている事に気づいてないのかリオ嬢は無言でみてくる。
緊張と不安で段々と冷や汗が出てくる。
何故、俺はリオ嬢に見られているんだ?
よくよく見みるとリオ嬢の目は俺の手を追っている事が分かった。
スプーンを持つ手が震える。
まさか、俺が飯を食っているところをずっと見てたのか?
いやいや、そんなバカな・・・。
そう思いながらも恥ずかしさで顔が熱くなる。
これ以上見られるのは耐えられないと思った俺は手を止めてリオ嬢に懇願する。
「リ、リオ嬢、あ、あの、あんまり、見ないで、下さい。」
耳まで真っ赤になっているであろう顔が見られないように俺はフードを引っ張りさらに顔を隠す。
「えっ?あ、あのっ、すみませんっ!つい・・・」
と、リオ嬢の謝罪の言葉が聞こえてくる。
「つい」と言ったリオ嬢のその言葉にどういう意味かと考え、俺は首を振る。
もしかして、口元に何かついていたのか?
それとも、もっとパンを食べたかったのだろうか?
いやでも、リオ嬢の朝食にはほとんど手がつけられていないし・・・。
その後、空気を変えようと思ったのかリオ嬢の方から色々と話しかけてくれた。
しかし、俺はせっかくリオ嬢が話しかけてくれたのにも関わらず、上手く話を広げることが出来なかった。
何だか気まずい空気が流れる中、俺は幻聴を聞くことになる。
「レ、レオルドさんが食べている所って何だか色気がありますよね。」
「はい、そうですね・・・って、えぇっ!」
あれ?え?俺、今、なんて言われたんだ?
リオ嬢に言われた言葉の意味を理解するのに、時間がかかった俺は、意味を理解した後、なんだ、幻聴か。と思いリオ嬢を見た。
リオ嬢の真っ赤に染まった顔に、今の言葉が幻聴ではないと知り、つられたように顔が赤くなったのは、きっと、仕方のないことだと思う。
今まで、リオ嬢の事は綺麗な美人で高嶺の花と思っていたが、この時ばかりは可愛い一人の女の子にしか見えなかったのだから。
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まだまだ、レオルドさん視点が続きます。
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