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第1章

惹かれる心1(レオルドさん視点)

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久しぶりのレオルドさん視点です。
時は少し遡り、主人公が食堂でレオルドさんを待っている時の話です。
━━━━━━━━━━━━━━━

「レオルド先輩!いつまで寝てるんですかっ?早く起きて下さいっ!」

「なっ!エトア?」

突然誰かの足音が聞こえたと思ったら、勢いよく俺の部屋のドアを開きエトアが入って来た。

「あぁ。なんだ、もう起きてるじゃ無いですか。じゃあ、早く行きましょ。」

「・・・そんなに慌ててどうしたんだ?それに、どこに行くって?」

リオ嬢の事を考えて悶々としていた俺は、エトアの慌てたような様子に何かあったのかと思い問いかける。

「アイハラさんが・・・」

「リオ嬢が?」

まさかリオ嬢に何かあったのか?

俺は眉を寄せまさかと思いながらエトアに先を促す。

「エトア、何があった。」

「アイハラさんが、朝から憂いを含んだ眼差しで朝食も食べずに座っていたんですよ。その姿はまるで、神聖な彫刻のように美しかったのですが、ずっと見ているのもあれなので朝食に誘ったんですが・・・」

真剣な表情で話していたエトアは、そこで一度言葉を区切り、俺を睨みつけた。

「レオルド先輩と食べたいから、また今度誘って下さいって言われました。」

「そうか・・・えっ?」

俺はエトアから告げられた言葉に目を見開く。

てっきり皆で一緒に食べたんだと思っていたが、いや、まて、それよりも、リオ嬢が俺と朝食を食べたくて、一人席に座って待ってるのか?てことは、今も?

リオ嬢が俺の事を待っていると聞いて耳まで赤くなった俺はエトアにくぎを刺される。

「レオルド先輩、くれぐれも、リオ嬢の前で、ローブを取らないで下さいね。俺の前だから良いですけど、正直、レオルド先輩の照れた顔は目に毒です。」

見たくもない物を見たと、いつもより刺々しい言い方をするエトアだったが、俺の為に言っている部分もあるのでここは一つ頷いて置くことにした。

「それよりも、早く行ってください。いつまで待たせる気ですか?」

「あ、あぁ。」

ニコリと形だけの笑みを見せるエトアに俺はようやく嫉妬されてるのだと理解し、少しむず痒い気持ちになった。

今まで恋愛対象に見られることもなければ、嫉妬され事なんて無かったが、俺よりも遥かにかっこいいエトアの誘いを断り俺と食事をしたいと言ってくれた事を思えば自然と頬が緩む。

エトアがまた俺の事を嫌なものを見るような目で見てきたので、咄嗟に真顔になる。

それでも、ローブとマスクをとり顔を隠せば少しだけ頬が緩んだ。

いや、分かってる。勘違いしてはいけない。

リオ嬢は、俺の素顔を知らないから、まだ普通に接してくれるんだ。

でも、それでもいい。

今だけ。リオ嬢が記憶を取り戻すその時まででいい。

貴女の傍で貴女のことを守らせてはくれないだろうか。

その笑みを隣で見ていてもいいだろうか。

好きになっても報われないと分かっているはずなのに、既に俺の心はリオ嬢に惹かれていた。

━━━━━━━━━━━━━━━
次回もレオルドさん視点です。
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