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第1章
ラナちゃんとのお昼
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「リオお姉ちゃんっ!」
部屋の前でレオルドさんと話していると、ラナちゃんの元気な声が聞こえてきた。
私は声がした方に視線を向ける。
「ラナちゃん、どうしたの?」
私がそう問いかければ
「お昼ご飯一緒に食べてもいい?」
と、ラナちゃんは私のそばまで来て手を握って来た。
私が「もちろん!」と言えばラナちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。
ラナちゃん本当に可愛いなぁ。
私も妹が居たらこんな感じだったのかなぁ。
と、そこでレオルドさんに気づいたラナちゃんはペコリと頭を下げる。
「騎士様、あの、少しだけリオお姉ちゃんお借りしてもいいですか?」
「えっ、あぁ、はい。ど、どうぞ・・・?」
「ありがとうございます!」
ラナちゃんはご機嫌に返事すると私の手を引き歩き出した。
「レオルドさん、また後で。」
と、私は軽く頭を下げてラナちゃんについて行った。
━━━━━━━━━━━━━━━
「今日のお昼はキノコグラタンだよ!美味しく出来たから、リオお姉ちゃんにも食べて欲しくてっ!」
ラナちゃんに連れられ食堂に行けば、美味しそうな料理をもったラナちゃんが嬉しそうに私に言った。
「えぇっ!これ、ラナちゃんが作ったの?」
食べてないから味はまだ分からないけど、美味しそうな匂いがプンプンする。
まだ、お腹は空いていないと思ってたけど、匂いにつられてよだれが出てきそう。
「うんっ!本当はまだ練習中だから、お客さんには出せないんだけど・・・」
そう言いながらラナちゃんは不安そうに私を見つめてくる。
可愛いっ!
ラナちゃんってば、そんな不安そうな表情をしなくてもいいのに。
可愛い女の子に手作り料理を食べて欲しいって言われて喜ばない人はいないよね。
たとえ黒焦げでも、その気持ちだけで十分食べる理由にはなるから。
もう一度ラナちゃんの料理をみる。
相変わらず美味しそうな料理に私の目は釘付けだ。
「ラナちゃん、食べても良い?」
ラナちゃんは、私のその言葉に嬉しそうに料理を差し出して来る。
私はスプーンを使いキノコグラタンを食べた。
「お、おいしぃ・・・。」
思っていたよりも美味しいグラタンに私は感動してどんどん食べるペースを早める。
正直、ここに来て食べた料理の中で一番美味しい気がする。
「良かったぁ。」
私の反応を見て嬉しそうに頬を赤くしながら、ラナちゃんもスプーンを手に取りキノコグラタンを食べ始めた。
しかし、一口食べたラナちゃんは悲しそうに眉を寄せスプーンを置いた。
「ラナちゃん・・・?」
「リオお姉ちゃん、これ、本当に美味しい?」
「え?も、もちろん!」
「うーん、でも、味が薄すぎて分かんないよ。・・・こんなんじゃ、まだ、厨房に立たせて貰えない。」
そう言って、ラナちゃんは悲しそうに目を伏せる。
「えっ?そうかな?私は、これくらいの味の濃さが丁度良くて好きだけど。」
私の言葉にラナちゃんは目をパチクリとさせるとコテンと首を傾げた。
「それ、ほんとう?」
「うん!本当だよ。」
「・・・リオお姉ちゃんって、変わってるって良く言われない?」
「えぇ、言われた事ないよー、多分。」
「ふふっ、ありがとう、リオお姉ちゃんっ!」
ラナちゃんはそう言って笑うと、またスプーンを取ってキノコグラタンを食べ始めた。
別に感謝される様なことはして無いけど、ラナちゃんが嬉しそうなのでそのままにしておく。
「可愛いなぁ。」
先に食べ終わった私は、熱いキノコグラタンをフゥフゥと息を吹きかけては冷まして食べるラナちゃんを見て呟いた。
私の呟きが聞こえたのか、ラナちゃんは手を止め私の方を見た。
「ラナちゃんは偉いね。まだ、七歳なのに、もう、お家のお手伝いも出来て、こんなに美味しいグラタンも作ることが出来るなんて。」
そう言って、私が微笑むとラナちゃんは恥ずかしそうにえへへと笑った。
と、その後ラナちゃんは少し目線を下に落としてポツリと呟いた。
「リオお姉ちゃんが良い人で良かった。」
「えっ?」
「私ね、美人な人って、皆、意地悪だと思ってたの。
私って、可愛くないでしょ?だからね、いつも、人の視線が怖かった。私より可愛い女の子とか、かっこいい男の子に、いつも、地味だとか、ブサイクって、言われて来たから、リオお姉ちゃん見たいなとびきり美人な人は何を言うか分からなくて怖かったの。」
そう言ってラナちゃんは顔を上げた。
「だから、リオお姉ちゃんが良い人で良かった。
こんな私にも優しくてくれてありがとう!」
「・・・」
「リオお姉ちゃん?」
ラナちゃんの言葉に衝撃を受けた私はしばらく動けなかった。
ラナちゃんの顔を見て見ても、嘘を言っているようには見えなかったし、今だって本当に感謝している様に見える。
え?まって、ラナちゃんが地味?ブサイク?
ラナちゃん見たいな優しくて可愛い子早々いないよ?
言った奴だれよ。ラナちゃんトラウマ見たいになってるじゃん。
しかもなんで、私が美人みたいになってるの?
意味が分からない。
「ねぇ、ラナちゃん。私が美人ってどういう事?
私は、ラナちゃん、とっても可愛いと思うよ。それこそ、地味だとかブサイクって言われる理由が分からないくらい。」
「えっ。」
ラナちゃんの大きな目が見開かれ、美しい桃色の瞳がラナちゃんの動揺を映し出したかのように揺れていた。
部屋の前でレオルドさんと話していると、ラナちゃんの元気な声が聞こえてきた。
私は声がした方に視線を向ける。
「ラナちゃん、どうしたの?」
私がそう問いかければ
「お昼ご飯一緒に食べてもいい?」
と、ラナちゃんは私のそばまで来て手を握って来た。
私が「もちろん!」と言えばラナちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。
ラナちゃん本当に可愛いなぁ。
私も妹が居たらこんな感じだったのかなぁ。
と、そこでレオルドさんに気づいたラナちゃんはペコリと頭を下げる。
「騎士様、あの、少しだけリオお姉ちゃんお借りしてもいいですか?」
「えっ、あぁ、はい。ど、どうぞ・・・?」
「ありがとうございます!」
ラナちゃんはご機嫌に返事すると私の手を引き歩き出した。
「レオルドさん、また後で。」
と、私は軽く頭を下げてラナちゃんについて行った。
━━━━━━━━━━━━━━━
「今日のお昼はキノコグラタンだよ!美味しく出来たから、リオお姉ちゃんにも食べて欲しくてっ!」
ラナちゃんに連れられ食堂に行けば、美味しそうな料理をもったラナちゃんが嬉しそうに私に言った。
「えぇっ!これ、ラナちゃんが作ったの?」
食べてないから味はまだ分からないけど、美味しそうな匂いがプンプンする。
まだ、お腹は空いていないと思ってたけど、匂いにつられてよだれが出てきそう。
「うんっ!本当はまだ練習中だから、お客さんには出せないんだけど・・・」
そう言いながらラナちゃんは不安そうに私を見つめてくる。
可愛いっ!
ラナちゃんってば、そんな不安そうな表情をしなくてもいいのに。
可愛い女の子に手作り料理を食べて欲しいって言われて喜ばない人はいないよね。
たとえ黒焦げでも、その気持ちだけで十分食べる理由にはなるから。
もう一度ラナちゃんの料理をみる。
相変わらず美味しそうな料理に私の目は釘付けだ。
「ラナちゃん、食べても良い?」
ラナちゃんは、私のその言葉に嬉しそうに料理を差し出して来る。
私はスプーンを使いキノコグラタンを食べた。
「お、おいしぃ・・・。」
思っていたよりも美味しいグラタンに私は感動してどんどん食べるペースを早める。
正直、ここに来て食べた料理の中で一番美味しい気がする。
「良かったぁ。」
私の反応を見て嬉しそうに頬を赤くしながら、ラナちゃんもスプーンを手に取りキノコグラタンを食べ始めた。
しかし、一口食べたラナちゃんは悲しそうに眉を寄せスプーンを置いた。
「ラナちゃん・・・?」
「リオお姉ちゃん、これ、本当に美味しい?」
「え?も、もちろん!」
「うーん、でも、味が薄すぎて分かんないよ。・・・こんなんじゃ、まだ、厨房に立たせて貰えない。」
そう言って、ラナちゃんは悲しそうに目を伏せる。
「えっ?そうかな?私は、これくらいの味の濃さが丁度良くて好きだけど。」
私の言葉にラナちゃんは目をパチクリとさせるとコテンと首を傾げた。
「それ、ほんとう?」
「うん!本当だよ。」
「・・・リオお姉ちゃんって、変わってるって良く言われない?」
「えぇ、言われた事ないよー、多分。」
「ふふっ、ありがとう、リオお姉ちゃんっ!」
ラナちゃんはそう言って笑うと、またスプーンを取ってキノコグラタンを食べ始めた。
別に感謝される様なことはして無いけど、ラナちゃんが嬉しそうなのでそのままにしておく。
「可愛いなぁ。」
先に食べ終わった私は、熱いキノコグラタンをフゥフゥと息を吹きかけては冷まして食べるラナちゃんを見て呟いた。
私の呟きが聞こえたのか、ラナちゃんは手を止め私の方を見た。
「ラナちゃんは偉いね。まだ、七歳なのに、もう、お家のお手伝いも出来て、こんなに美味しいグラタンも作ることが出来るなんて。」
そう言って、私が微笑むとラナちゃんは恥ずかしそうにえへへと笑った。
と、その後ラナちゃんは少し目線を下に落としてポツリと呟いた。
「リオお姉ちゃんが良い人で良かった。」
「えっ?」
「私ね、美人な人って、皆、意地悪だと思ってたの。
私って、可愛くないでしょ?だからね、いつも、人の視線が怖かった。私より可愛い女の子とか、かっこいい男の子に、いつも、地味だとか、ブサイクって、言われて来たから、リオお姉ちゃん見たいなとびきり美人な人は何を言うか分からなくて怖かったの。」
そう言ってラナちゃんは顔を上げた。
「だから、リオお姉ちゃんが良い人で良かった。
こんな私にも優しくてくれてありがとう!」
「・・・」
「リオお姉ちゃん?」
ラナちゃんの言葉に衝撃を受けた私はしばらく動けなかった。
ラナちゃんの顔を見て見ても、嘘を言っているようには見えなかったし、今だって本当に感謝している様に見える。
え?まって、ラナちゃんが地味?ブサイク?
ラナちゃん見たいな優しくて可愛い子早々いないよ?
言った奴だれよ。ラナちゃんトラウマ見たいになってるじゃん。
しかもなんで、私が美人みたいになってるの?
意味が分からない。
「ねぇ、ラナちゃん。私が美人ってどういう事?
私は、ラナちゃん、とっても可愛いと思うよ。それこそ、地味だとかブサイクって言われる理由が分からないくらい。」
「えっ。」
ラナちゃんの大きな目が見開かれ、美しい桃色の瞳がラナちゃんの動揺を映し出したかのように揺れていた。
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