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第1章
森の中で見つけたものは1(レオルドさん視点)
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俺がリオ・アイハラ嬢を連れて第二騎士団が借りている宿屋に戻った時の皆の驚いた顔は凄かった。
いや、俺が逆の立場でも驚く。
それでも、ついに俺が犯罪を犯したのでは?となった時は流石にイラッとしたがな。
連れてきた第二騎士団の宿屋のベットでスヤスヤと眠っているリオ嬢の顔を見てみる。
なんて美しい人なのだろう。
そう思い、思わずその頬に触れそうになった手を慌てて引っ込めて部屋を出た。
(何してるんだ。俺みたいな醜い男が触れていい人じゃない。)
──────────
リオ嬢を見つけた時の事を思い出す。
あの時、俺は日課の鍛錬をしに森の中に入った。
森の奥にいる魔物のせいで、人があまり来ないのをいい事に俺は醜い自分の顔を隠さず剣をふるっていた。
俺は顔だけで人を殺せるんじゃないかってくらい凶悪な顔面をしているし、どれだけ飯を食っても俺の場合筋肉にしかならないので中々肉もつかない。
普通に顔をさらして町を歩いていると、すぐに女や子供が泣きだしたり、叫びだしたりと面倒くさい。
(俺だって、好きでこんな顔に生まれたわけじゃねぇーつーの)
だから、人の視線を気にしなくてもいいこの森は俺のお気に入りだった。
しかし、しばらく剣をふるい、汗を拭くために近くの池に向かっている時、何処からか人の気配を感じた。
ビックリした俺はもしかして子供が迷い込んだのかも知れないと思い、マスクで口元を隠し、さらにローブを深くかぶって走り出した。
すると、そこにいたのは見慣れない洋服を身にまとっている女の人だった。
顔は見えなかったが木の根元に座り込んで泣いていた。
この人は、この森が危険なことを知らないのだろうか。
そう思いつつも、一度深呼吸をして、怖がらせないように慎重に話しかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
「きゃっ!」
俺にとっては出来るだけ丁寧に話しかけたつもりだったが目の前の女性はビックリして身を縮こまらせていた。
その反応に、いつも向けられるあの視線や、周りの態度を思い出して、慌てて弁解する。
「あっ、ご、ごめんっ!いえ、すみませんでした!あ、で、でも、俺は怪しいものじゃ無いです。えと、あの、ここは危ないのでっ、ただ、その・・・」
「え?」
するとその俺の言葉にずっと顔を俯かせていた女性はゆっくりと顔を上げた。
涙で濡れた瞳や頬が少し赤くなっていて、どことなく浅い息を繰り返していた女性は今まで見てきたどんな人よりも美しかった。
あまりの美貌に俺は目を見開いた。
ローブで隠していた目は女性が下にいたためきっと見えてしまっただろう。慌てて隠した。
誰だって、これほどの美人を真正面から見てしまえば頬を染めざる負えない。
いま、顔を隠しておいて良かったと心の底から思った。
もしも今、顔を隠していなかったらこの美しい人を怖がらせていただろう。
だって今の俺はきっと耳まで真っ赤だ。
醜い男の真っ赤な顔を真正面から見るなんてどんな拷問だ。普通の女性なら耐えきれず失神するだろう。
そんな事を考えていると、女性がかばっと俺に抱きついてきた。
「たすけっ、て、こわっ、ヒック、、こわくてっ、わたしっ、もう死んじゃうって、ヒック、おもっ、ヒック」
その瞬間俺の思考は全く使い物にならなくなり、カチリと固まってしまった。
いや、俺が逆の立場でも驚く。
それでも、ついに俺が犯罪を犯したのでは?となった時は流石にイラッとしたがな。
連れてきた第二騎士団の宿屋のベットでスヤスヤと眠っているリオ嬢の顔を見てみる。
なんて美しい人なのだろう。
そう思い、思わずその頬に触れそうになった手を慌てて引っ込めて部屋を出た。
(何してるんだ。俺みたいな醜い男が触れていい人じゃない。)
──────────
リオ嬢を見つけた時の事を思い出す。
あの時、俺は日課の鍛錬をしに森の中に入った。
森の奥にいる魔物のせいで、人があまり来ないのをいい事に俺は醜い自分の顔を隠さず剣をふるっていた。
俺は顔だけで人を殺せるんじゃないかってくらい凶悪な顔面をしているし、どれだけ飯を食っても俺の場合筋肉にしかならないので中々肉もつかない。
普通に顔をさらして町を歩いていると、すぐに女や子供が泣きだしたり、叫びだしたりと面倒くさい。
(俺だって、好きでこんな顔に生まれたわけじゃねぇーつーの)
だから、人の視線を気にしなくてもいいこの森は俺のお気に入りだった。
しかし、しばらく剣をふるい、汗を拭くために近くの池に向かっている時、何処からか人の気配を感じた。
ビックリした俺はもしかして子供が迷い込んだのかも知れないと思い、マスクで口元を隠し、さらにローブを深くかぶって走り出した。
すると、そこにいたのは見慣れない洋服を身にまとっている女の人だった。
顔は見えなかったが木の根元に座り込んで泣いていた。
この人は、この森が危険なことを知らないのだろうか。
そう思いつつも、一度深呼吸をして、怖がらせないように慎重に話しかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
「きゃっ!」
俺にとっては出来るだけ丁寧に話しかけたつもりだったが目の前の女性はビックリして身を縮こまらせていた。
その反応に、いつも向けられるあの視線や、周りの態度を思い出して、慌てて弁解する。
「あっ、ご、ごめんっ!いえ、すみませんでした!あ、で、でも、俺は怪しいものじゃ無いです。えと、あの、ここは危ないのでっ、ただ、その・・・」
「え?」
するとその俺の言葉にずっと顔を俯かせていた女性はゆっくりと顔を上げた。
涙で濡れた瞳や頬が少し赤くなっていて、どことなく浅い息を繰り返していた女性は今まで見てきたどんな人よりも美しかった。
あまりの美貌に俺は目を見開いた。
ローブで隠していた目は女性が下にいたためきっと見えてしまっただろう。慌てて隠した。
誰だって、これほどの美人を真正面から見てしまえば頬を染めざる負えない。
いま、顔を隠しておいて良かったと心の底から思った。
もしも今、顔を隠していなかったらこの美しい人を怖がらせていただろう。
だって今の俺はきっと耳まで真っ赤だ。
醜い男の真っ赤な顔を真正面から見るなんてどんな拷問だ。普通の女性なら耐えきれず失神するだろう。
そんな事を考えていると、女性がかばっと俺に抱きついてきた。
「たすけっ、て、こわっ、ヒック、、こわくてっ、わたしっ、もう死んじゃうって、ヒック、おもっ、ヒック」
その瞬間俺の思考は全く使い物にならなくなり、カチリと固まってしまった。
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