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第1章
異世界トリップって本当にあるんですね(3)
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いつの間にか気絶していたらしい私は、少し固いベットの上で目を覚ました。
ここはどこだろうとキョロキョロと周りを見渡しているとガチャと扉が開いた。
「あっ、気づかれましたか?」
と、可愛い女の子が部屋に入ってくるなり話しかけてきた。そして、私の顔を見るなりポッと頬をそめた。
「初めまして、私、この宿屋の娘のラナって言います。あのっ!これ、良ければ貰ってください。今、人を呼んで来ますね!」
そう言い残すと、手に持ってきた洋服を置いて私が返事をする前にパタパタと扉の向こうに消えていった。
私は、自分の服を見下ろしてみる。
うん、確かに巫女服は目立つなと思ったので有難く着替えさせてもらった。
しばらくして、レオルドさんともう一人、騎士の格好をした人がノックの後に入ってきた。
相変わらずレオルドさんはローブで顔を隠していて表情が見えなかったが、隣の少し偉そうに胸を張って入ってきた男の人は頬を真っ赤に染めて固まっていた。
「あ、あの、リオ嬢、気分はどうですか?」
「あっ!全然、全然平気です。よく眠れました。レオルドさん、昨日はありがとうございました。」
そう言って私は行き良いよく頭を下げた。
すると、レオルドさんはまた慌てた様子でいえいえ気にしないで下さいっと言っている。
なんていい人なんだ、レオルドさん。
なんて思っていたら、隣に立っていた男の人が私とレオルドさんの間に割って入るようにして話しかけてきた。
「は、初めまして、私、第二騎士団長のダリオス・バーグと申します。美しいお嬢さん、名前をお聞きしても?」
「え?あ、すみませんっ!えと、私リオ・アイハラって言います。」
「ほぅ、名前まで美しいなんて、お会いできて光栄です。私もリオ嬢と呼んでも?」
「え、えぇ、どうぞ。」
そう言うと、ダリオスさんは私の手を取って口ずけをした。突然のことに私がビックリしていると、何故かウインクされた。
正直、ダリオスさんの見た目はブサイクな部類だと思う。いや、お前何様だって思うかも知れないけど、本当に騎士団長なのかって聞きたいくらい、ぽっちゃりしてるし、顔にはニキビがあって、目は糸目だし、唇は分厚い。
それから、今私がいるこの場所は、第二騎士団が一週間ほど前から借りている宿屋の一室で、昨日あのまま意識を失った私をレオルドさんが運んでくれたらしい。
ちなみに、この世界には普通に魔物が存在していて、時々こうやって、騎士団が魔物を狩るために各地を巡回しているという。
そしてこの後、私の体調に特に以上が無ければ家まで送り届けてくれるみたいだ。
ダリオスさんから聞いた話は、私は自分が夢を見ているんじゃないかってくらい現実ではありえないものだった。
そして、これはドッキリでも無さそうだ。
もしかして、もしかしなくとも、私はラノベで言う異世界トリップという物を体験しているのだろうか。
もし、そうならこれからどうすれば・・・。
色々とぐるぐる考えていると、他の騎士に呼ばれてダリオスさんが一度部屋を出た。
そこで私は今までずっと黙っていたレオルドさんに話しかけた。
「レ、レオルドさんっ!あの、私、ここがどこか本当に分からなくて・・・」
悩んだ結果、私は記憶喪失のフリをして助けてもらおうと思った。
言葉は通じているみたいだけど、文字が読めるのかとか、やっぱり、お金とかも違うだろうし、一人で生きていくのは無理すぎる。
最低限、仕事と寝る所と食事があれば文句はいわない。
今、私が頼れるのはレオルドさんしかいない。
私は両手を胸の前で組んで必死にお願いした。
「レオルドさんっ!お願いです、どうか私を助けてください!」
「えっ!?リオ嬢っ!一体、どうしたんですか!?」
私の必死なお願いにレオルドさんはビックリしていた。
(うぅ、やっぱり、ちょっと痛かったよね・・・)
「あのっ、私、自分の名前以外、何にも覚えていなくて・・・。」
「えっ、記憶が無いんですか?」
私がコクリと頷くとレオルドさんはまたあたふたと慌てだした。
そして、騎士団長に相談してきますっ!と部屋をでそうになったで慌てて裾を掴んだ。
すると、レオルドさんはビックリして振り返った。
「あの、レオルドさん、ダリオスさんは何か用事があるみたいでしたし、私は後ででも構いませんから、どうか今は話し相手になってくれませんか?」
「え、う、あ、そ、その・・・」
少し、上目遣い気味にレオルドさんに話しかけると、何故かレオルドさんはカチリと固まって動かなくなってしまった。
よく、固まる人だなと思いながらも、何か私がしたのだろうかと不安になる。
それに、レオルドさんは何故いつも顔を隠すようにローブをかぶっているのだろう。よく見ると、マスクみたいなものもしている。
(肌を見せるのが嫌なのかな?)
私は気が付いたらずっと気になっていた事を聞いていた。
「あの、なんで顔を隠しているんですか?」
びくっとレオルドさんの肩がはねたのが分かった。
━━━━━━━━━━━━━━━
次はレオルドさん視点です。
ここはどこだろうとキョロキョロと周りを見渡しているとガチャと扉が開いた。
「あっ、気づかれましたか?」
と、可愛い女の子が部屋に入ってくるなり話しかけてきた。そして、私の顔を見るなりポッと頬をそめた。
「初めまして、私、この宿屋の娘のラナって言います。あのっ!これ、良ければ貰ってください。今、人を呼んで来ますね!」
そう言い残すと、手に持ってきた洋服を置いて私が返事をする前にパタパタと扉の向こうに消えていった。
私は、自分の服を見下ろしてみる。
うん、確かに巫女服は目立つなと思ったので有難く着替えさせてもらった。
しばらくして、レオルドさんともう一人、騎士の格好をした人がノックの後に入ってきた。
相変わらずレオルドさんはローブで顔を隠していて表情が見えなかったが、隣の少し偉そうに胸を張って入ってきた男の人は頬を真っ赤に染めて固まっていた。
「あ、あの、リオ嬢、気分はどうですか?」
「あっ!全然、全然平気です。よく眠れました。レオルドさん、昨日はありがとうございました。」
そう言って私は行き良いよく頭を下げた。
すると、レオルドさんはまた慌てた様子でいえいえ気にしないで下さいっと言っている。
なんていい人なんだ、レオルドさん。
なんて思っていたら、隣に立っていた男の人が私とレオルドさんの間に割って入るようにして話しかけてきた。
「は、初めまして、私、第二騎士団長のダリオス・バーグと申します。美しいお嬢さん、名前をお聞きしても?」
「え?あ、すみませんっ!えと、私リオ・アイハラって言います。」
「ほぅ、名前まで美しいなんて、お会いできて光栄です。私もリオ嬢と呼んでも?」
「え、えぇ、どうぞ。」
そう言うと、ダリオスさんは私の手を取って口ずけをした。突然のことに私がビックリしていると、何故かウインクされた。
正直、ダリオスさんの見た目はブサイクな部類だと思う。いや、お前何様だって思うかも知れないけど、本当に騎士団長なのかって聞きたいくらい、ぽっちゃりしてるし、顔にはニキビがあって、目は糸目だし、唇は分厚い。
それから、今私がいるこの場所は、第二騎士団が一週間ほど前から借りている宿屋の一室で、昨日あのまま意識を失った私をレオルドさんが運んでくれたらしい。
ちなみに、この世界には普通に魔物が存在していて、時々こうやって、騎士団が魔物を狩るために各地を巡回しているという。
そしてこの後、私の体調に特に以上が無ければ家まで送り届けてくれるみたいだ。
ダリオスさんから聞いた話は、私は自分が夢を見ているんじゃないかってくらい現実ではありえないものだった。
そして、これはドッキリでも無さそうだ。
もしかして、もしかしなくとも、私はラノベで言う異世界トリップという物を体験しているのだろうか。
もし、そうならこれからどうすれば・・・。
色々とぐるぐる考えていると、他の騎士に呼ばれてダリオスさんが一度部屋を出た。
そこで私は今までずっと黙っていたレオルドさんに話しかけた。
「レ、レオルドさんっ!あの、私、ここがどこか本当に分からなくて・・・」
悩んだ結果、私は記憶喪失のフリをして助けてもらおうと思った。
言葉は通じているみたいだけど、文字が読めるのかとか、やっぱり、お金とかも違うだろうし、一人で生きていくのは無理すぎる。
最低限、仕事と寝る所と食事があれば文句はいわない。
今、私が頼れるのはレオルドさんしかいない。
私は両手を胸の前で組んで必死にお願いした。
「レオルドさんっ!お願いです、どうか私を助けてください!」
「えっ!?リオ嬢っ!一体、どうしたんですか!?」
私の必死なお願いにレオルドさんはビックリしていた。
(うぅ、やっぱり、ちょっと痛かったよね・・・)
「あのっ、私、自分の名前以外、何にも覚えていなくて・・・。」
「えっ、記憶が無いんですか?」
私がコクリと頷くとレオルドさんはまたあたふたと慌てだした。
そして、騎士団長に相談してきますっ!と部屋をでそうになったで慌てて裾を掴んだ。
すると、レオルドさんはビックリして振り返った。
「あの、レオルドさん、ダリオスさんは何か用事があるみたいでしたし、私は後ででも構いませんから、どうか今は話し相手になってくれませんか?」
「え、う、あ、そ、その・・・」
少し、上目遣い気味にレオルドさんに話しかけると、何故かレオルドさんはカチリと固まって動かなくなってしまった。
よく、固まる人だなと思いながらも、何か私がしたのだろうかと不安になる。
それに、レオルドさんは何故いつも顔を隠すようにローブをかぶっているのだろう。よく見ると、マスクみたいなものもしている。
(肌を見せるのが嫌なのかな?)
私は気が付いたらずっと気になっていた事を聞いていた。
「あの、なんで顔を隠しているんですか?」
びくっとレオルドさんの肩がはねたのが分かった。
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次はレオルドさん視点です。
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