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第1章
異世界トリップって本当にあるんですね(1)
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秋の少し涼しくなった風が吹く中、私は実家である神社の手伝いで落ち葉拾いをしていた。
ホウキを片手に無駄なく落ち葉を集めると袋を取り出して入れた。もう、幾度となく繰り返しているので慣れたものである。
うちの神社は結構人気で今日も初々しいカップルが仲良く手を繋いでやって来ている。
いや、別に羨ましくなんてないけどね。ちなみに私は彼氏いない歴=年齢ですよ。トホホ。
認めよう。私はモテない。
いや、顔は別にブスって言われるくらい残念ではないと思っている。美人でもないけど・・・。
言ってみれば、地味で平凡な顔つきだ。可もなく不可もなく。
じゃあ、なんでモテないって?
そんなの私が聞きたいわよっ!
まあ、私は一人娘だから、もし結婚するってなったらね。この神社の後を継がないといけなくなるし、ま、現代人には重いよね~。色々と覚えないといけないことも多いしさ。
跡継ぎに関しては、従兄弟もいるし嫌なら嫌で良いんだけどさ。
それはそうと、そろそろ準備しないと、せっかく親友のさっちゃんが合コンセッティングしてくれたのに間に合わなくなってしまう。
私は急いでホウキを片付けると、バイトの子に後の事を任せて、着替えるために家の中に入った。
そう、私は家の中に入ったはずだったのだ。
急な浮遊感に襲われ叫ぶまもなく私の意識はブラックアウトした。
そして、目が覚めてみればコレである。
辺り一面が木だ。多分私はどこかの森の中にいるんだろう。
「え?なんで?てか、ここどこ?」
まさか、誘拐か?もしそうなら、私はこれから誘拐犯とかくれんぼか鬼ごっこをしないといけないのだろうか。
右も左も分からない中、とりあえずここから離れた方が良いだろうと思い私は歩き出した。
正直、怖い。家に帰りたい。
そもそもなんで私はあんな所にいたんだろうか。
分からない事が多すぎて頭が痛い。
「いたっ、!」
木の根につまずきコケてしまった。今の私は巫女服にげたを履いていて森を歩くのには向いていない。痛みに思わず顔をしかめたが、歩けない程では無いのでまた歩いた。
どれくらい歩いただろう。スマホでも持っていれば良かったのだが今の私はハンカチ以外何も持っていない。
普段あんまり歩かないからだろう、足はガクガクと震えだし、もう立っているのも辛い。ひたすら同じ方向に歩いているのに終わりが見えない事にだんだん不安になってきた。
早くこんな森から抜け出して誰かに助けを呼びに行かないと。誰が私をここに連れてきたかは分からないがまだ近くにいるかもしれない。いや、むしろ自分は泳がされてるだけなんじゃないだろうか。
その時、ガサガサっと枝が揺れ葉っぱ同士が擦れ合う音がした。私は音がした方向を木で自分の体を隠しながらそっと覗いて見る。
「え?ラ、ライオン・・・?」
まるで動物園で見るライオンみたいな動物が少し離れた所で歩いていた。私は恐怖でとうとうその場に座り込み口元を両手で抑えて音を立てないようじっとしていた。
な、なにあれ?嘘でしょ?なんでこんな所に野生動物がいるのよっ!み、見つかったら食べられるのかしら・・・。
カラカラと喉が渇きが酷くなる。森の中を結構歩いてきたが、あんなのがそこら中にいたのかも知れないと思うとゾッとした。
早く、早くここから出ないと。
気持ちばかりが焦るが、私の足はもう限界だった。
目からポロポロと涙が溢れた。
いや、いやだ、死にたくない。
必死に嗚咽を堪える。
動物は聴覚が良い、今、見つかってしまえば自分はきっと逃げることが出来ずに食べられてしまうだろう。
「あの、大丈夫ですか?」
「きゃっ!」
突然声をかけられビックした私は小さく悲鳴をあげて震える肩を抱くように身を縮めた。
「あっ、ご、ごめんっ!いえ、すみませんでした!あ、で、でも、俺は怪しいものじゃ無いです。えと、あの、ここは危ないのでっ、ただ、その・・・」
「え?」
顔を上げて見てみればそこにはローブで顔を隠している青年が慌てた様子で手を動かし何やら弁解しようとしていた。
青年は私の顔を見るなりビックリしたように目を見開いていた。
人だ!人がいるっ!
さっきまで独りぼっちで、怖くて、どうしようもなく涙が止まらなかったのに、たった一人、人に会えただけでとても安心した私は、思わず目の前の青年に抱きついた。
「たすけっ、て、こわっ、ヒック、、こわくてっ、わたしっ、もう死んじゃうって、ヒック、おもっ、ヒック」
涙を流しながら、嗚咽混じりにそう言えば青年はカチンと固まったまま動かなくなってしまった。
ホウキを片手に無駄なく落ち葉を集めると袋を取り出して入れた。もう、幾度となく繰り返しているので慣れたものである。
うちの神社は結構人気で今日も初々しいカップルが仲良く手を繋いでやって来ている。
いや、別に羨ましくなんてないけどね。ちなみに私は彼氏いない歴=年齢ですよ。トホホ。
認めよう。私はモテない。
いや、顔は別にブスって言われるくらい残念ではないと思っている。美人でもないけど・・・。
言ってみれば、地味で平凡な顔つきだ。可もなく不可もなく。
じゃあ、なんでモテないって?
そんなの私が聞きたいわよっ!
まあ、私は一人娘だから、もし結婚するってなったらね。この神社の後を継がないといけなくなるし、ま、現代人には重いよね~。色々と覚えないといけないことも多いしさ。
跡継ぎに関しては、従兄弟もいるし嫌なら嫌で良いんだけどさ。
それはそうと、そろそろ準備しないと、せっかく親友のさっちゃんが合コンセッティングしてくれたのに間に合わなくなってしまう。
私は急いでホウキを片付けると、バイトの子に後の事を任せて、着替えるために家の中に入った。
そう、私は家の中に入ったはずだったのだ。
急な浮遊感に襲われ叫ぶまもなく私の意識はブラックアウトした。
そして、目が覚めてみればコレである。
辺り一面が木だ。多分私はどこかの森の中にいるんだろう。
「え?なんで?てか、ここどこ?」
まさか、誘拐か?もしそうなら、私はこれから誘拐犯とかくれんぼか鬼ごっこをしないといけないのだろうか。
右も左も分からない中、とりあえずここから離れた方が良いだろうと思い私は歩き出した。
正直、怖い。家に帰りたい。
そもそもなんで私はあんな所にいたんだろうか。
分からない事が多すぎて頭が痛い。
「いたっ、!」
木の根につまずきコケてしまった。今の私は巫女服にげたを履いていて森を歩くのには向いていない。痛みに思わず顔をしかめたが、歩けない程では無いのでまた歩いた。
どれくらい歩いただろう。スマホでも持っていれば良かったのだが今の私はハンカチ以外何も持っていない。
普段あんまり歩かないからだろう、足はガクガクと震えだし、もう立っているのも辛い。ひたすら同じ方向に歩いているのに終わりが見えない事にだんだん不安になってきた。
早くこんな森から抜け出して誰かに助けを呼びに行かないと。誰が私をここに連れてきたかは分からないがまだ近くにいるかもしれない。いや、むしろ自分は泳がされてるだけなんじゃないだろうか。
その時、ガサガサっと枝が揺れ葉っぱ同士が擦れ合う音がした。私は音がした方向を木で自分の体を隠しながらそっと覗いて見る。
「え?ラ、ライオン・・・?」
まるで動物園で見るライオンみたいな動物が少し離れた所で歩いていた。私は恐怖でとうとうその場に座り込み口元を両手で抑えて音を立てないようじっとしていた。
な、なにあれ?嘘でしょ?なんでこんな所に野生動物がいるのよっ!み、見つかったら食べられるのかしら・・・。
カラカラと喉が渇きが酷くなる。森の中を結構歩いてきたが、あんなのがそこら中にいたのかも知れないと思うとゾッとした。
早く、早くここから出ないと。
気持ちばかりが焦るが、私の足はもう限界だった。
目からポロポロと涙が溢れた。
いや、いやだ、死にたくない。
必死に嗚咽を堪える。
動物は聴覚が良い、今、見つかってしまえば自分はきっと逃げることが出来ずに食べられてしまうだろう。
「あの、大丈夫ですか?」
「きゃっ!」
突然声をかけられビックした私は小さく悲鳴をあげて震える肩を抱くように身を縮めた。
「あっ、ご、ごめんっ!いえ、すみませんでした!あ、で、でも、俺は怪しいものじゃ無いです。えと、あの、ここは危ないのでっ、ただ、その・・・」
「え?」
顔を上げて見てみればそこにはローブで顔を隠している青年が慌てた様子で手を動かし何やら弁解しようとしていた。
青年は私の顔を見るなりビックリしたように目を見開いていた。
人だ!人がいるっ!
さっきまで独りぼっちで、怖くて、どうしようもなく涙が止まらなかったのに、たった一人、人に会えただけでとても安心した私は、思わず目の前の青年に抱きついた。
「たすけっ、て、こわっ、ヒック、、こわくてっ、わたしっ、もう死んじゃうって、ヒック、おもっ、ヒック」
涙を流しながら、嗚咽混じりにそう言えば青年はカチンと固まったまま動かなくなってしまった。
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