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20 最終話
しおりを挟む「本当に一人で大丈夫か?」
「うん!平気だよ、ありがとう!」
心配してくれるライル様ににこりと微笑んで私はソフィアの元へ向かった。
「ソフィアになんの用だ」
そう言って立ちはだかるのはもちろんナーシアス殿下。
「学園を去る前に、今までのこと、謝ろうと思って」
「なに?」
「私、人として最低だったよね·····」
「·····」
「だからさ、ソフィアに合わせて欲しいの」
「·····変わったな」
「え?」
「いや、何でもない」
ナーシアス殿下はそう言うとさっさとどこかへ行ってしまった。
·····?何だったんだろう。ま、いっか。
私はソフィアの部屋のドアをノックした。
────
─────────
──────────────
「今までごめんなさい!」
そう言って勢いよく頭を下げた。
驚くソフィアに私は事情を説明した。
「明日·····」
「うん、そう、明日一度家に帰って荷物をまとめるから、その前に、と思って·····」
「そう·····頑張ってね」
そう言ってソフィアは優しく微笑んだ。
一発くらい殴られる覚悟で来た私は驚いた。
「私に出来ることなら何でも言って、力になるから!」
「えっ·····」
「私ね、リズベットちゃんの事嫌いじゃないの。むしろその逆。」
「なんで──?」
「ふふふ、だってリズベットちゃんは私と同じだから」
ソフィアはそう言って「ないしょ!」と言ってウインクするとうふふと可愛らしく笑った。
その後、ソフィアと別れたわたしは、ソフィアが別れ際、「ごめんね」と呟いた事には気が付かなかった。
─────────────
「お父様、お母様、今までお世話になりました」
私はそう言って使用人のように腰をおった。いわゆる、日本で言うお辞儀だ。
「宛はあるのか?」
お母様が冷たく私を見つめるなか、お父様がぶっきらぼうにそう聞く。
「はい。あります」
「·····そうか」
「·····はい。これまでありがとうこざいました」
別に期待はしてなかったけれど、やはりお母様からの言葉は無かった。私はこうして家を出た。
そして、ライル様の実家へと向かった。
歓迎してくれるライル様の両親との挨拶が終わった後、荷物を解くと、母からの手紙が入っていた。
内容は、隣国にいる叔母の住所とお金。困ったら頼るようにと書かれていた。そして、追い出されたら、何時でも帰ってきなさい、次はお母様も一緒に家を出ますと。
お母様らしい、優しい字だった。
両目から自然と涙が零れた。
「はい、お母様。ありがとうこざいます」
私は手紙を抱きしめた。
──────────────
あの日。ライル様に告白して、求婚されて、気絶した後、私はライル様と沢山の話をした。今までのこと、前世の事、それから、これからの事。
ライル様は一つ一つ、真剣に聞いてくれた。
特に、前世の記憶なんて、素直に受け入れてくれると思っていなかったから、私は結構びっくりした。あと、嬉しかった。
流石にまだ、小説の事は話してないけれども·····
「いつか話せるといいなぁ」
そう呟いた時、部屋にノックの音が響いた。
「リズ? まだ起きてる?」
「うん! 起きてるよ!」
私はそう言いながら扉を開けてライル様を、招き入れた。
「卒業おめでとう!」
「ありがとう」
今日、学園を卒業し、実家に帰ってきたライル様。これから一年程、ライル様の実家にお世話になったあと、結婚する予定。
ぎゅっとライル様に抱きしめられた。私も両腕に力を込めて抱きして返す。
「お菓子·····また作ってくれるか?」
「うん」
「お出かけも沢山しよう」
「うん」
「長かった·····。リズが近くに居ないだけで、こんなに変わるとは思わなかった」
「うん。·····これからはずっと近くにいれるよ?」
「·····そうだな」
チュッと音を立てて額にキスが落とされた。
「ふっ、リズ、可愛い·····」
「~~~!!!!!」
ふにゃりと最近よく見せてくれるようになった笑顔で、ライル様は私を見つめる。
神様。推しが·····ライル様が、今日も今日とて素敵すぎて心臓が持ちません!!!
「うぅ·····、ライル様って、意外と·····」
「????」
何はともあれ、私、今、幸せです!
───────────────
プロローグ?ぽいものを書いてみました。
とりあえずこれで完結です!
ここまで読んで頂きありがとうこざいました!!
作者の中では、浅い部分や、キャラの性格を生かせなかったりと、後悔の残る部分が多々あり、(ボルドー様とか)キチンとまとまった時間が取れる時に書き直したいと思いました。その時は是非、newバージョンも見てくれると嬉しいです!
ではでは!
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