私、勘当寸前のぶりっ子悪役令嬢ですが、推しに恋しちゃダメですか?

朝比奈

文字の大きさ
上 下
17 / 23

15

しおりを挟む



「リズベット嬢は誰にでも媚びを売るのですね」

ライル様にそんなことを言われたのは、残り期間一ヶ月をきったある日のことだった。

正直、ライル様との関係は最初に比べ日に日に良くなっていっていると思っていた。

昨日だって、ボルドー様にはおかしいと言われたけれど、ライル様に手作りのお菓子を作ってまた持っていった。そして、やっと素直に「美味しい」と言って貰えたのだ。


聞き間違いだろうか・・・・・そんなことは無いと分かっているのにどうしてもそう疑ってしまう。

「ラー、ティル、様・・・?」
「貴女は殿下のことが好きなはずでしょう?  それなのに、ボルドー様も狙っているのですか?  ああ。それとも乗り換えたのですか?  」

ライル様は私の方を一度も見ようともせずに、不機嫌さを隠さずトゲのある言葉を口にする。
私が何も言えずにいるとライル様はバツの悪そうな顔をして頭を下げた。

「すみません。なんでもありません、今のは・・・・・忘れてください」
「・・・・・ライル様だけですよ 」
( 媚びを売りたいのも、好きになって貰いたいのも。・・・・・貴方だけです )

そう思いを込めて小さく呟いた。
しかし何やら考え事をしているのか、ライル様には聞こえていなかったみたいで反応されなかった。

私は今後のことについて、もっと真剣に考えなければとこぶしを握った。

もう期限は1ヶ月を切った。お母様からも先日、手紙が届いた。・・・・・お金を貰い平民として生きるか、それとも修道院か・・・・・

(勿論。私は平民として生きることを選んだ。)

どうやら先日。とうとう、私がならず者と通じている事や、ソフィアに対しての仕打ちに両親が気づいたみたいで、未来の王太子妃であり歌で人々を癒す奇跡の力を持つ少女に嫌われないように立ち回ろうとしているみたいだ。

一応私もそろそろソフィアと一度話をすべきだと思い、ソフィアの所へ何度か足を運んだ。

(でも・・・・・ソフィアに謝ろうと思い近づこうとする度、殿下やその周りの方々のガードが固くて巧みに避けられるのよね。)

(しかもソフィアはそれに気づいてないし・・・・・)

最近癖になっているため息がまたもれそうになる。  今はライル様の手前、ため息なんてつかないが、もし今が一人ならいつもの2倍は、いや、3倍くらいのため息が出ただろう。


(・・・それにしても、ライル様は私がボルドー様に媚びを売っているように見えたってこと?

だとしたらそれは間違いなのだけれど・・・・・

・・・・・もしかして、ぶりっ子の演技をしているせいでそう見えていたのかしら?)

だとしたらライル様の前でだけ素に戻る私は、ライル様にどう見えているのかしら?

チラリとライル様に視線をむける。
相変わらずライル様は難しい顔をしていた。
私の視線に気づく様子は無い。

「・・・・・」

(もういっその事、一思いにライル様に告白してみる?

そうしたらライル様は少なくとも今よりは私のことを見てくれるんじゃないかな?

そうゆう恋の始まり方もありよね?

うーん。でも、その前に、信じてくれるかな・・・・・

あーでも。ライル様が好きだってことは伝わらなくても、せめて殿下の事はもう興味が無いって事は伝えたい)

新たな目標を胸に私は思考をめぐらす。
作戦の見直しと作成。
ギャップ作戦はやめた方がいいのかもしれない・・・・・


(まあ。とりあえず。そうと決まったら行動しなきゃ!!

・・・・・流石に今すぐ「告白」は無理だけれど、きちんとオシャレして、二人きりの時に・・・・・)

「善は急げよね」


ーーーーーわたしにはもう悠長にしてられる時間なんて無いんだから・・・・・
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

アイアイ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

【完結】旦那様、わたくし家出します。

さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。 溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。 名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。 名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。 登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*) 第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト

待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。 不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった! けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。 前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。 ……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?! ♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

誰も残らなかった物語

悠十
恋愛
 アリシアはこの国の王太子の婚約者である。  しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。  そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。  アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。 「嗚呼、可哀そうに……」  彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。  その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活

ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。 「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」 そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢! そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。 「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」 しかも相手は名門貴族の旦那様。 「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。 ◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用! ◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化! ◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!? 「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」 そんな中、旦那様から突然の告白―― 「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」 えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!? 「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、 「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。 お互いの本当の気持ちに気づいたとき、 気づけば 最強夫婦 になっていました――! のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

処理中です...