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しおりを挟む校舎と校舎を結ぶ渡り廊下。放課後。ライル様を探して歩き回っていた私はそこでようやくライル様を見つけることが出来た。
そしていつも通りニコリと笑みを作って話しかける。
「ラーティル様ぁ~、ちょっと、いいですかぁ?」
(うん。今日も安定のキモさね!わたし!)
自分で自分にツッコミを入れながらも、手を抜かない。・・・・・いつ誰が見てるかわからないし。
私の素を知ったからか、ライル様は私がぶりっ子をしてるとあからさまに嫌な顔をする。そして逆にぶりっ子をしてない時は良く笑ってくれるようになった。
「リズベット嬢。今日も何か用ですか?」
「はい、そうなんですぅ~。じつわぁ~、大事な話があって~」
「・・・・・大事な、話??」
その言葉に私はこくりと頷いてライル様の腕を引いた。
「ちょっとォ~、ついて来て下さぁい」
(推しの・・・・・ら、ライル様の、手を!手を握ってるっ!! はぁ。幸せ!!!)
と。そんなバカみたいな事を考えながら、緊張でドキドキとうるさい胸の鼓動を落ち着かせるために私は下を向いた。
(と、取り敢えず、ライル様を誘う事に成功したわっ!! 後は、告白する・・・・・だけ・・・・・)
ここに来るまでに何度も考えたが、やはりあと一ヶ月もない中、ライル様を落とすためにはもっと積極的にアピールする必要があると思ったのだ。
今日から一日一回は気持ちを伝えよう
・・・信じてもらえるまで。ううん、せめて学校をやめるまではそうしよう。
しかし、そんな時ばったり会ってしまった。
ーーーーー殿下とソフィアに。
(あぁ。今は一番会いたくなかったわ。)
今から告白しようって時に、好きな人の好きな人が現れるなんて・・・。
タイミングが悪すぎて泣きそうだ。
そこにさらに追い打ちをかけるように、ヒロインに話しかけられた。
「リズベット様! あの! 無理矢理ラーティルを連れ回すのはやめてください!」
ヒロインこと、ティアラはそう言って私の目を真っ直ぐに見つめてきた。
あぁ。・・・なるほど。
彼女からしたら、私は大事な友人を脅して連れ回す女だものね。・・・・・確か小説では、ヒロインはライル様の自分への想いを知ってたわね。
まあ。その事は置いとくにしても。・・・・・ライル様を呼び捨てにするなんて。
私はニコリと笑顔を作った。
「リズベットは~、友達とぉ、遊んでいるだけだよぉ~。・・・ラーティル様は~、私と遊ぶのいやだったぁ~?」
チラリとライル様を見つめる。
おねがいだから否定して欲しい。そう、思いを込めて。
「リズベット様、私、クラスメイトの子から聞きましたの。貴方がラーティルを脅していたって・・・。」
「えぇ~。聞き間違えなんじゃないのぉー?」
「いや、俺も聞いた。」
と、私たちの会話に口を挟んできたのは、王子だった。
流石に二対一は分が悪い。
私はもう一度ライル様を見る。
ふいっと目をそらされた。
あぁ。・・・そっか。何も言ってくれないんだね。
少しだけ期待した私が馬鹿みたいだ。
当たり前だよね、私はライル様にとって大切な人を虐める女で、後、彼女の安全と引替えに自分を脅している女、なんだもんね。
殿下とソフィアの言っていることは正しい。だから。
「あちゃー。バレちゃったかぁ~。テヘペロ!」
私は“その事”を認めた。
泣きそうな心を見ないふりをして、私は馬鹿みたいに笑った。
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