私、勘当寸前のぶりっ子悪役令嬢ですが、推しに恋しちゃダメですか?

朝比奈

文字の大きさ
上 下
11 / 23

11

しおりを挟む



「・・・・・どういう事です?  貴女はずっと殿下のことをお慕いしているものだと思っていたのですが・・・・・いつからラーティル・ドアリアのことを?」

そんなの前世からよっ!!・・・・・とは言えるはずもなく私は口ごもる。

「そ、それは・・・・・」

壁ドンしていた腕を引き胸の前で手をぎゅっと握りしめ視線を彷徨わせる。

続きを急かさず黙って私の様子を観察し答えを待つボルドー様。

「き、気づいたのは最近よ。けれど、その、は、初めてあった時くらいから・・・・・その・・・・・えっと・・・・・」

結局。上手い言い訳も見つからず、私はしどろもどろになりながら何とか答えようと口を動かした。けれどやっぱり、途中で恥ずかしくなって「好き」の言葉が上手く言葉に出来なかった。

「・・・・・もう、良いですよ」

その声に私は顔を上げ、ボルドー様を見つめた。

「殿下に近づかない事さえ約束して頂ければ、貴女が誰に恋をしようが俺が口を出すことはありません」

「・・・・・え?」
「では。今日の所はこれで失礼させて頂きますね。・・・・・それから、俺の前で変な演技は不要ですので」
「あっ・・・・・」

(演技・・・・・忘れてた・・・・・)

今更だけれども、随分と自然に話してしまったことに気がつく。・・・・・今から取り繕っても遅いよね?

でも・・・・・。

「それは、ちょっと・・・・・」

ラーティル様だけに素を見せるという、私の恋の大作戦が・・・・・

「周りに人がいる時は構いません。ただ、二人きりのときまで演技する必要はないと言っているのです、・・・・・ラーティル・ドアリアにはそうしているでしょう?」

(えっ?えっ?なんで知っているのっ!?   ・・・・・て、そう言えばさっき『監視させてもらっていた』って言ってたような・・・・・)

さ、さすがは「暗殺者」なのかしら・・・・・。
いつの間にっ!!

「わ、分かりました・・・・・」


もう降参です・・・・・。

早く。一刻も早くここから抜け出したい・・・・・。


その後。ボルドー様は用事があるからと帰って言った。


ふぅ。やっと肩の力を抜けるわね・・・・・






図書館からの帰り道。
私はたまたま見つけたライル様に近寄り周りに人がいないことを確認して話しかける。

「ラーティル様ぁ~。さっきぶりですね!!」
「リズベット嬢・・・・・」

はあ。ライル様相変わらずかっこいい!!
さっきまで感じていた疲れも無くなったわ!

私はライル様と話せて嬉しいという気持ちを隠しもせずにニコニコと笑みを浮かべる。

「どうしてここに??」
「えっと・・・・・さっきまで図書館にいたので、今から帰るところだったんです」
「・・・・・図書館に??」
「?  はい。」
「・・・・・一人で行ったんですか?」
「そうですけど・・・・・何か?」

私は相変わらずニコニコと笑みを浮かべながらライル様と言葉を交わす。

「いえ。なんでもありません」

しかしその言葉を最後にライル様は暫く黙り口を開いた。

「・・・・・明日なら空いてるので」
「ラーティル様??」

一体なんの事だろうと私は首を傾げる。

「明日ならどこにでも付き合ってあげますよ。その・・・・・今日の詫びに・・・・・」
「・・・・・い、良いんですか??」

予想外の嬉しい言葉に私は頬を染め笑顔でお礼を言った。

「・・・・・その代わり、殿下とソフィア様に手を出さないという約束もちゃんと守ってくださいね」

「はい。もちろん!  ラーティル様が私の遊びに付き合ってくれる限りは・・・・・ですけど・・・・・」

ライル様の言葉に少しショックを受けながらも頭の中は明日のことでいっぱいだった。

(ライル様となら何をしても楽しそうだけど、明日は何をしよう・・・・・
何ならライル様も喜んでくれるかな・・・・・
私との時間を楽しいと思ってくれるかな・・・・・)




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

アイアイ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

【完結】旦那様、わたくし家出します。

さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。 溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。 名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。 名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。 登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*) 第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト

待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。 不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった! けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。 前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。 ……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?! ♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

誰も残らなかった物語

悠十
恋愛
 アリシアはこの国の王太子の婚約者である。  しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。  そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。  アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。 「嗚呼、可哀そうに……」  彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。  その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活

ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。 「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」 そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢! そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。 「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」 しかも相手は名門貴族の旦那様。 「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。 ◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用! ◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化! ◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!? 「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」 そんな中、旦那様から突然の告白―― 「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」 えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!? 「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、 「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。 お互いの本当の気持ちに気づいたとき、 気づけば 最強夫婦 になっていました――! のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

処理中です...