私、勘当寸前のぶりっ子悪役令嬢ですが、推しに恋しちゃダメですか?

朝比奈

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私が教室に入ると、一瞬皆がシーンとなる。

もういつもの事なんで私は気にせず歩みを進めた。

そして、いつもは自分の席に座る所を、ある女の子の前で立ち止まり、ニコリと微笑見ながら話しかけた。

「ねぇ、席、変わってくれないかなぁ~。」

「えっ、えと、はぃ。」

私に話しかけられたその子は怯えた様子で、席を移動した。

うん。完全に脅しである。

いや、別に脅すつもりはなかったんだけど⋯⋯まぁ、いいや。と考えるのをやめて、私は王子の隣の席からライル様の後ろの席へと移動した。

これで私は、授業中ずっと、自然にライル様を見つめていられる⋯⋯。

これほど授業が始まるのを心待ちにしたことがあっただろうか⋯⋯。いや、無いな。

私は緩む頬を何とか抑えながら、ライル様が来るのを待った。





「ラーティル様ぁ~、おはようございますぅ~!」

今日も私はぶりっ子でライル様に話しかける。

そして、想像通りライル様は私に「なんでこの席に?」と、訪ねてきた。

「ダメでしたかぁ~?」

私は上目遣いでライル様を見つめる。

「いや、別にダメとは言っていない。あの二人の邪魔をしなければ別に」

と、その言葉に私は閃いた。

「う~ん。どうしよっかなぁ~」

ニヤリと何かを企んでいるように見えるように口を歪めた。

「また何か企んでいるのか?」

ライル様が私を睨む。

あー。これ、本当に嫌われちゃってるなぁ。
内心すごく傷つきながらも、顔には出さない。

「ラーティル様ぁ~、取り引き、しませんかぁ~?」

私は声を潜めてそう言った。

「取り引き?」

ますます鋭くなる視線に私はニコリと笑顔を作り「はい」と応えた。

「ラーティル様がぁ~、リズベットのぉ、暇つぶしに付き合ってくれるならぁ、あの二人には今後何もしないよぉ~。どぉするぅ?」

私はわざと甘い声を作りそう言った後、首をかしげた。

「暇つぶしって、具体的に何をするんだ?」

「んーとね、リズベットとぉ、お茶したりぃ~?            危ない事はさせないからぁ~、安心してぇー。」

と、簡単に言ってるが、私の心臓は今バックバクだった。

ライル様とお茶⋯⋯。

考えただけで、嬉しすぎて死にそうだ。

もちろんバレないように、そんなこと表情には出さない。

その後、暫く何かを考えてたライル様は最後に「・・・本当か?」と聞いてきた。

その言葉に私は頷き、手を出した。

「これから、よろしくねぇ!ラーティル様!」

もちろん、最後の最後までぶりっ子は辞めなかった。

方法は汚いが、これで私はライル様と居られる!
って、私は悪役令嬢なのよ!今更、これしきの脅しで怯んでどうするよ!

私はぎゅっと拳を握った。





その後、授業中にずっとライル様を見つめていた私は、先生に集中していないのがバレて呼び出しを食らったのであった。


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