4 / 23
4
しおりを挟む二人が帰った後、私は再び机に向かった。
そして、突っ伏した。
ラ、ライル様が、素敵すぎた!てか、生きてたよ!いや、それは当たり前なんだけど、感動しすぎてヤバイ。
それに、声も⋯⋯いい声だったなぁ~。
あぁ。録音したい。てか、写メ撮りたい。なんで、スマホが無いのっ!?
私は、しばらく余韻に浸った後、ペンをとり、手を動かした。
ラーティル・ドアリア様
この小説での当て馬キャラ。ヒロインのティアラに傷を癒してもらった事をきっかけに一目惚れした少年。
平民で、王子の取り巻きの一人だ。
いつだって、ティアラの幸せを一番に考えている。
ちなみに、イケメン。
深い紺色の髪の毛に同じ色の瞳を持っている。
そして今日分かったこと、凄く声が良い。
あぁ、これは夢なんだろうか⋯⋯。
まさかライル様に現実で会えたなんて。
と、そこまで考えて私は固まった。
「私って、死んだの⋯⋯?」
口に出しては見たものの、その声は震えていた。
ライル様と出会えたことで嬉しすぎて忘れていた。
そうだ、転生したということは、少なくとも前の私は死んだと言うことに⋯⋯。
なんで?とか、いつ?とか、そんな言葉が口から漏れる。
分からないのだ。私は私がどうやって死んだのか⋯⋯。
私はよろよろと立ち上がり、ベットに寝そべった。
正直、辛いし、凄く心が痛い。でも、今考えてもしょうがない。
私は枕に顔を押し付けた。
「今の私はリズベット・ダウト。ダウト侯爵家の次女よ⋯⋯」
私は、自分に言い聞かせるようにそう言って、静かに目を閉じた。
▽
翌朝、いつもより早く起きた私は、お風呂に入り、学校に行く準備をした。
あれから色々と考えた結果私は、ヒロインへのいじめはやめるが、ぶりっ子は継続する事にした。
どうせ、3ヶ月後には、私は我が家に泥を塗ったとされて、家から追い出される。
私は今まで我が家の名を使い、酷いことばかり行ってきた。その罰だ。
まぁ、今の家族にはなんの未練も情もないし別にいいかという事である。
それに、私にはもう1つ目標がある。
それは、ライル様にお近づきになること!だ!
せっかく推しが目の前にいるのだ!思う存分お話したい!!仲良くなりたい!!
そして、あわよくばライル様と恋人に⋯⋯って、それは流石に調子に乗りすぎかしら?
ライル様は、平民だ。そして、私は侯爵令嬢。同じ学園に通っていても身分の差は大きい。
でも、私が家から勘当されれば⋯⋯。
私はうふふっ、と堪えきれなかった笑みを浮かべた。
ライル様と結婚するのも夢じゃないんじゃない!?
それにしても、今はすごく嫌われている。でも、私には1つ作戦があった。
いつもはウザイぶりっ子が自分には素で普通に話しかけてくる。うん、ギャップだ。ギャップを狙おう。
幸いなことに、私はツインテールとフリフリを外せば、だいぶ雰囲気が変わる。
期限は家を追い出されるまでの三ヶ月。
それは、家を追い出される=学校に通えなくなる、という事だからだ。
「とりあえず、ライル様に会いに行きましょうか!」
私は今日もフリフリのドレスにツインテールで部屋を出た。
1
お気に入りに追加
240
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
アイアイ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話

【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中


【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト
待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。
不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった!
けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。
前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。
……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?!
♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活
ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。
「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」
そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢!
そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。
「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」
しかも相手は名門貴族の旦那様。
「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。
◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用!
◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化!
◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!?
「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」
そんな中、旦那様から突然の告白――
「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」
えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!?
「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、
「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。
お互いの本当の気持ちに気づいたとき、
気づけば 最強夫婦 になっていました――!
のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!
推ししか勝たん!〜悪役令嬢?なにそれ、美味しいの?〜
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは前世で読んだラノベの世界で、自分が悪役令嬢だったとか、それこそラノベの中だけだと思っていた。
だけど、どう見ても私の容姿は乙女ゲーム『愛の歌を聴かせて』のラノベ版に出てくる悪役令嬢・・・もとい王太子の婚約者のアナスタシア・アデラインだ。
ええーっ。テンション下がるぅ。
私の推しって王太子じゃないんだよね。
同じ悪役令嬢なら、推しの婚約者になりたいんだけど。
これは、推しを愛でるためなら、家族も王族も攻略対象もヒロインも全部巻き込んで、好き勝手に生きる自称悪役令嬢のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる