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しおりを挟むなっ、なんで王子がここに居るのっ!?
私は叫びだしそうな心を何とか抑えて微笑む。すると王子は反対に顔を顰めた。
何故、顔を顰めるの!?そんなに私の顔がおかしかったのかしらっ!いや、待って、そう言えば私、ぶりっ子なんだっけ⋯⋯。
え!?もしかして、ぶりっ子継続しなきゃダメなのっ!?
私は迷った。前世の記憶を思い出した今、素で話すか。それとも、変な疑いを持たれないよう、ぶりっ子を演じるか⋯⋯。
ゴクリ
「も、もぅ~、ナーシアス様ぁ~、急にぃ、どうしたんですかぁ?」
結果、私は現状維持を選んだ。今後どうするかは、きちんと考えてから決めよう⋯⋯。
いやでも。うわー、待って。恥ずかしい。
なんで私今まで平気でこれやってたんだろう⋯⋯。
「リズベット嬢?どうかしたのか?」
「気にしなくて良いと思いますよ」
王子は先程よりも眉間に皺を寄せてそう言った。
そして、その後、もう一人別の人の声が聞こえた。
その声に私は顔を上げる⋯⋯。
「うそ⋯⋯」
ライル、様⋯⋯。
そこに居たのは私の推しであり、最愛の人、ラーティル様だった。
ライル様が生きてるっ!!!!!
再び叫びだしそうな心を抑え、ニコリと微笑む。
ブルっ!?
お?何故かライル様の顔色が悪くなったような⋯⋯。もしかして、私の笑顔のせいなのかしら⋯⋯。いや、まさかね。
「ラーティル様もぉ、一緒だったんですねぇ~。二人してぇ、なんでぇ、リズベットにぃ、あいにきたんですかぁ~?」
私は体をくねくねと動かしながら聞いてみた。
もう、既に私の心はボロボロだ。
大好きなライル様の前でこんなキモイ声を出さなきゃいけないなんて⋯⋯いや、でも、まだチャンスはあるはず。
ん?なんのチャンスだって?
もちろん、ライル様とラブラブに⋯⋯
「ティアラが泣いていた。リズベット嬢、何か知らないか?」
口を開いたのは王子だった。
真っ直ぐに私に向けられた目は鋭い。どんな表情の変化も見逃すつもりは無いものだ。きっと、犯人が私だと疑ってないのだろう。
(うーん、ティアラがねぇ。一体、何があったのかしら?)
一応言っておくが、今回、私は何もしてない、はずだ。そもそも、ティアラを嫌っているのは私だけでは無いのだから、私だけを疑うのはやめて欲しい。
いやでも、これまでの私の行動を振り返れば無理もない、のか?
「リズ、なんにも知らないよぉ~」
もちろん私は首を横に振った。
「本当に?」
王子は全然信じてはいないようだ。
「本当だぉ!リズ、なんにも分かんないもん!ナーシアス様、ひどぉい!」
私は頬を膨らませてプイッと横を向いた。
うん、酷いのは私だ。痛すぎる。
早く、このぶりっ子については考えなくてはならない。中々のぶりっ子に自分でやってて、吐きそうだ。
その後もいくつか質問をされたが、全て適当に流した。
そして、王子とライル様は帰って行った。
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