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二度目の人生
クリスティーナの願い
しおりを挟む12才の誕生日。クリスティーナはその日、これから婚約者となる、イーアス・ランドアと共に、街に出かける約束をしていた。
まだ数回しかあった事がないが、知的でとても頼りになりそうな男の子であったことを、クリスティーナは思い出す。
イーアス様はとても優しそうな人だったし、きっと、好きになれるはず·····。これで、フィンセントのことも、きっと·····
そこでクリスティーナは、フィンセントから届いた捨てきれない手紙の山に視線を移す。
もし、この婚約が上手くいくなら、全て燃やしてしまいましょう·····
元々、共に歩むことは出来ない運命なのだから·····
─────────────────
街の隅っこの方にある、自然が楽しめるこじんまりとしたレストランで、クリスティーナは、イーアスと向き合っていた。
「ティーナ嬢、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
そう言ってイーアスから、誕生日プレゼントを受け取った。
「開けてみて」
そう言われて、クリスティーナは丁寧に包装を外した。するとそこには、グリーンの宝石の入ったネックレスが入っていた。
「凄く素敵·····ありがとう·····」
クリスティーナはそう言って、イーアスの瞳と同じ色の宝石のついたネックレスを手に取ると、にっこりと笑った。
「喜んでくれて、良かった」
「ええ、本当にありがとう、イーアス様」
クリスティーナは言いながら、ネックレスを箱にしまう。
「今、付けてはくれないのかい?」
「ええ、今は、お食事中ですもの·····」
「そうか、それもそうだね」
イーアスがそういったその時だった。
─── ガッシャン!!!!
何か、ガラスのようなものが割れた音が、レストランの中に広がり、複数人のガタイの良い男たちが入ってくる。
食事中の誰もが、会話を止めて、連中を見た。
「シェフを連れてこい、さもなくばこのガキを殺すぞ!」
そう言って、一人の少女が髪の毛を引っ張られて、引きずり出される。
「クリスティーナ嬢!!」
イーアスが慌てて前に出るも、剣を向けらると、大人しく後ろに下がった。
「──どうして·····」
誰にも聞こえないであろう声で、クリスティーナは思わず呟いた。
何故、自分が今、殺されそうになっているのか·····。
そして、その瞬間、嫌な予感がした。
もし、また、フィンが私を庇って死んだら·····
フィンセントは今ここにはいない。だから、有り得ない事だけれど、クリスティーナは、言いようのない不安に襲われる。
今のクリスティーナは、自分の事など二の次であった。ただ、ただ、助けが来ないことを·····、フィンが来ないことを願っていた。
お願い、来ないで·····フィン·····
そんなクリスティーナの願いが叶ったのか、懐かしい鉄の匂いと鈍い痛みがクリスティーナの腹部に広がった。
「あっ·····」
自分が刺されたのだと理解したのと同時にクリスティーナは視線を動かした。
良かった·····、今回は·····、フィンを、巻き込まずにすんで·····
クリスティーナは、今この場所にフィンセントが居ないことを確認すると、安心したかのように、自ら瞼を閉じた。
良かった·····はずなのに·····
やっぱり、こんな時でも、“会いたい”と、切に願うのは、頭に思い浮かぶのは·····
『ティーナ』
そう呼んでくれた、いつかのフィンの姿だった·····
────────────────
ここまで読んでくれてありがとうございました。
試験勉強に専念するため、今週末までは、投稿が出来ないと思います。来週辺りから再会できればと思っています。m(*_ _)m
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