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二度目の人生
出会いは再び(2)
しおりを挟む目を閉じればあの日の君がそこにいた。
隣には私がいて幸せそうに笑っている。
だけどその幸せはある日突然くずれる。
幸せの隣には不幸が。
終わりはいつでも傍にあるもの。
失って改めて貴方という存在を認識させられた。
誰よりも大切で。
大好きな人。
私が私であるためになくてはならない人。
ぼんやりとした思考の中。
私は思い出していた。
────これまでの記憶を
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
次に私が目を覚ましたのはマースリー伯爵家の客室だった。
今は誰とも話す気になれなくて誰も呼ばすベットの上で考えた。
とりあえずまたフィンセントに会えたことはとても嬉しかった。
でもそれと同時に思い出してしまった記憶にクリスティーナは胸が引き裂かれそうな痛みに目に涙を貯めた。
私が思い出したのは前世の記憶と、そのまた前世の記憶。
詳しいことは思い出せてないが、その前世で凄くエンディングが気に入らなくて印象に残っている小説があった。
題名はなんだっただろうか。
あれは確か、相思相愛の恋人同士が何度も運命に引き裂かれる話。
というのも。
二人が幸せに結ばれれば必ずフィンセントは結婚前に死ぬ。というものだ。
この物語の主人公はクリスティーナ・フォリス。彼女はループを繰り返していくうちにたまに前世の記憶を引き継いでいる時があった。でも、未来を知っていても、どれだけ足掻いてもフィンセントは必ず死ぬ。そして時間は戻る。
最終的に主人公はフィンセントのことを諦めて嫌われるように動く。これまでたくさんの方法を試してきた主人公にとって自分がフィンセントから遠ざかればフィンセントは死なないのでは?と思ったのだ。
というのもフィンセントが死ぬのは全て主人公を庇ってのことだったから。
結果。フィンセントは死ななかった。
でもフィンセントの隣にいるのはクリスティーナではなくアリシアだった。
そしてクリスティーナはフィンセントが死ななかったことに安堵し、二人の幸せを祝福した。
クリスティーナはその裏で一人。涙を流していた。
そしてクリスティーナもまた別の人と結ばれ結婚し最終的には幸せになった。
流石にこのエンディングにはクリスティーナが可哀想だとの感想がたくさん寄せられた。「もしも」の話ででもいいから、二人が幸せになる話を作ってくれと多くの人が望んだ。
勿論。私もこの最後には納得出来ない者の一人だった。読み始めた時からずっと二人の幸せを祈っていたのだ。当たり前だ。
「⋯⋯⋯⋯」
私の名前はクリスティーナ・フォリス
婚約者の名前はフィンセント・マースリー
この小説の主人公の名前は?婚約者の名前は?
うん。分かってる。
本当は気づいていた。
でも。いや。いやよ。
認めたくないの⋯⋯。
彼との未来に希望が無いなんてそんな事⋯⋯
────認めたくないのよ。
今度こそ。
今世こそは彼と幸せになりたかった。
未来がわかるから。
一度経験しているから。
次は絶対。失敗しないって思ってたのに。
また彼に会えたことが嬉しかったのに。
諦めなければならないの⋯⋯?
他の誰かと幸せになる彼を隣で見なければならないの?
そんなの⋯⋯
─────耐えられないわ。
ぽたぽたと涙が溢れ出した。
あー。ダメだな私。
いつもいつも泣いてばかり。
小説の中の私は凄いな⋯⋯
きっと何度も繰り返すうちに疲れちゃったのかな? そうだよね。 だって、大好きな人を何度も自分のせいで殺してしまうんですもの。それは。 とても⋯⋯つらい。
その事を想像するだけでこんなにも辛いのだから。 実際に経験した主人公は凄く辛かったよね⋯⋯。
フィンの事を⋯⋯諦める⋯⋯かぁ。
いや⋯⋯だなぁ。
つらいなぁ。
でも、それしかないのかなぁ⋯⋯
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