婚約者は醜女だと噂で聞いたことのある令嬢でしたが、俺にとっては絶世の美女でした

朝比奈

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ルーア・キャリル伯爵令嬢

世間から醜女と噂される私が恋に落ちたのは 第十三話

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『好きです』

目の前で顔を真っ赤にしたルーカスさんが、呟くように言ったその言葉は、甘く私の心に響いた。

「・・・・・・ぇ?」

突然のことに頭が追いつかない。これが夢なのか現実なのかも分からなくて、頭が混乱する。


ルーカスさん?  今、なんて言ったの?

もしかして、今、私、こ、こここ告白というものをされたのかしら!?

「ぅ・・・ぁ、・・・!!!」

言葉にならない悲鳴を押し殺すようにルーアは自身の顔を多いしゃがみ込んだ。
自分の足元を見ながら考える。


一体、今、何が起こったのだろう。ルーカスさんが呟くように言った『好き』が頭の中に響いて、心臓がうるさい。


こっそりと頬をつねってみる。
──痛い!  てことはこれは現実?  え、でも、それなら、何故?  あっ!  もしかして、私、何か変な薬でも飲んで、美少女になったのかしら!  そして、それが、ルーカスさんの好みの顔だった、とか!?  

ルーアはバッと顔を上げると、ティーカップの中を覗き込んだ。



──そ、そんな・・・

結果は言わずもがな、ルーアの顔は何も変わっていない。相も変わらずの、醜女だった。

少しだけ期待したルーアはガックリ項垂れるが、控えめに聞こえた声に顔を向ける。


「キャリル伯爵令嬢?」

「はっ!はひっ!」

緊張やら何やら、もうパニックになっているルーアは、上手く舌が回らず赤面する。

「あの!  い、今のは、忘れてください」

「え?」

すると、ルーアと同じくらい顔を赤くしたルーカスさんが先程の告白を無かった事にして欲しいと言う。その事にルーアの胸がツキンと傷んだ。


やっぱり、そう、上手く行くわけないわよね。
私みたいな醜女が好かれるはずないもの。

少しだけ本気にして喜んでいた自分が、恥ずかしくなってルーアは下を向く。

「分かりました」

震える声でそう答えた。

「あ!  あの! ちがっ、そうじゃなくて」

すると、ルーアが落ち込んだのを察したのかルーカスさんが慌てて弁解する。

「今度、やり直させて下さい!」

「え?」

「ぅ、さっきの告白・・・。  ───さ、流石に!  今のは、かっこがつかないと、言いますか!」

「っ、!」

そう必死に言い募るルーカスさんをルーアがこれでもかと目を見開いて見つめる。

「えと、そ、それって・・・」

「うっ、い、今は勘弁して下さい。  ギャラリーもいますし・・・」


顔を真っ赤にしたルーカスさんのその言葉にルーアはようやく周りを見た。


ルーアの両親もルーカスさんの両親も、まるで珍獣でも見たかのように目を見開き固まっていた。



────────────────
今回の話からは、ルーカス編では乗っていない部分の話です。後、2、3話?くらい続きます。最後まで楽しんで頂ければ嬉しいです。┏○))ペコリ
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