13 / 14
ルーア・キャリル伯爵令嬢
世間から醜女と噂される私が恋に落ちたのは 第十三話
しおりを挟む『好きです』
目の前で顔を真っ赤にしたルーカスさんが、呟くように言ったその言葉は、甘く私の心に響いた。
「・・・・・・ぇ?」
突然のことに頭が追いつかない。これが夢なのか現実なのかも分からなくて、頭が混乱する。
ルーカスさん? 今、なんて言ったの?
もしかして、今、私、こ、こここ告白というものをされたのかしら!?
「ぅ・・・ぁ、・・・!!!」
言葉にならない悲鳴を押し殺すようにルーアは自身の顔を多いしゃがみ込んだ。
自分の足元を見ながら考える。
一体、今、何が起こったのだろう。ルーカスさんが呟くように言った『好き』が頭の中に響いて、心臓がうるさい。
こっそりと頬をつねってみる。
──痛い! てことはこれは現実? え、でも、それなら、何故? あっ! もしかして、私、何か変な薬でも飲んで、美少女になったのかしら! そして、それが、ルーカスさんの好みの顔だった、とか!?
ルーアはバッと顔を上げると、ティーカップの中を覗き込んだ。
──そ、そんな・・・
結果は言わずもがな、ルーアの顔は何も変わっていない。相も変わらずの、醜女だった。
少しだけ期待したルーアはガックリ項垂れるが、控えめに聞こえた声に顔を向ける。
「キャリル伯爵令嬢?」
「はっ!はひっ!」
緊張やら何やら、もうパニックになっているルーアは、上手く舌が回らず赤面する。
「あの! い、今のは、忘れてください」
「え?」
すると、ルーアと同じくらい顔を赤くしたルーカスさんが先程の告白を無かった事にして欲しいと言う。その事にルーアの胸がツキンと傷んだ。
やっぱり、そう、上手く行くわけないわよね。
私みたいな醜女が好かれるはずないもの。
少しだけ本気にして喜んでいた自分が、恥ずかしくなってルーアは下を向く。
「分かりました」
震える声でそう答えた。
「あ! あの! ちがっ、そうじゃなくて」
すると、ルーアが落ち込んだのを察したのかルーカスさんが慌てて弁解する。
「今度、やり直させて下さい!」
「え?」
「ぅ、さっきの告白・・・。 ───さ、流石に! 今のは、かっこがつかないと、言いますか!」
「っ、!」
そう必死に言い募るルーカスさんをルーアがこれでもかと目を見開いて見つめる。
「えと、そ、それって・・・」
「うっ、い、今は勘弁して下さい。 ギャラリーもいますし・・・」
顔を真っ赤にしたルーカスさんのその言葉にルーアはようやく周りを見た。
ルーアの両親もルーカスさんの両親も、まるで珍獣でも見たかのように目を見開き固まっていた。
────────────────
今回の話からは、ルーカス編では乗っていない部分の話です。後、2、3話?くらい続きます。最後まで楽しんで頂ければ嬉しいです。┏○))ペコリ
2
お気に入りに追加
610
あなたにおすすめの小説

何を言われようとこの方々と結婚致します!
おいも
恋愛
私は、ヴォルク帝国のハッシュベルト侯爵家の娘、フィオーレ・ハッシュベルトです。
ハッシュベルト侯爵家はヴォルク帝国でも大きな権力を持っていて、その現当主であるお父様にはとても可愛がられています。
そんな私にはある秘密があります。
それは、他人がかっこいいと言う男性がとても不細工に見え、醜いと言われる男性がとてもかっこよく見えるということです。
まあ、それもそのはず、私には日本という国で暮らしていた前世の記憶を持っています。
前世の美的感覚は、男性に限定して、現世とはまるで逆!
もちろん、私には前世での美的感覚が受け継がれました……。
そんな私は、特に問題もなく16年生きてきたのですが、ある問題が発生しました。
16歳の誕生日会で、おばあさまから、「そろそろ結婚相手を見つけなさい。エアリアル様なんてどう?今度、お茶会を開催するときエアリアル様をお呼びするから、あなたも参加しなさい。」
え?おばあさま?エアリアル様ってこの帝国の第二王子ですよね。
そして、帝国一美しいと言われている男性ですよね?
……うん!お断りします!
でもこのまんまじゃ、エアリアル様と結婚させられてしまいそうだし……よし!
自分で結婚相手を見つけることにしましょう!

私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。

私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜
朝比奈
恋愛
年齢=彼氏いない歴な平凡かつ地味顔な私はある日突然美的感覚がおかしい異世界にトリップしてしまったようでして・・・。
(この世界で私はめっちゃ美人ってどゆこと??)
これは主人公が美的感覚が違う世界で醜い男(私にとってイケメン)に恋に落ちる物語。
所々、意味が違うのに使っちゃってる言葉とかあれば教えて下さると幸いです。
暇つぶしにでも呼んでくれると嬉しいです。
※休載中
(4月5日前後から投稿再開予定です)

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
異世界の美醜と私の認識について
佐藤 ちな
恋愛
ある日気づくと、美玲は異世界に落ちた。
そこまでならラノベなら良くある話だが、更にその世界は女性が少ない上に、美醜感覚が美玲とは激しく異なるという不思議な世界だった。
そんな世界で稀人として特別扱いされる醜女(この世界では超美人)の美玲と、咎人として忌み嫌われる醜男(美玲がいた世界では超美青年)のルークが出会う。
不遇の扱いを受けるルークを、幸せにしてあげたい!そして出来ることなら、私も幸せに!
美醜逆転・一妻多夫の異世界で、美玲の迷走が始まる。
* 話の展開に伴い、あらすじを変更させて頂きました。

美醜逆転の異世界で私は恋をする
抹茶入りココア
恋愛
気が付いたら私は森の中にいた。その森の中で頭に犬っぽい耳がある美青年と出会う。
私は美醜逆転していて女性の数が少ないという異世界に来てしまったみたいだ。
そこで出会う人達に大事にされながらその世界で私は恋をする。

私、この人タイプです!!
key
恋愛
美醜逆転物です。
狼獣人ラナン×自分の容姿に自信のない子キィラ
完結しました。感想やリクエスト、誤字脱字の指摘お待ちしています。
ここのページまでたどり着いてくださりありがとうございます。読んで頂けたら嬉しいです!

美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です
花野はる
恋愛
先祖返りで醜い容貌に生まれてしまったセドリック・ローランド、18歳は非モテの騎士副団長。
けれども曽祖父が同じ醜さでありながら、愛する人と幸せな一生を送ったと祖父から聞いて育ったセドリックは、顔を隠すことなく前向きに希望を持って生きている。けれどやはりこの世界の女性からは忌み嫌われ、中身を見ようとしてくれる人はいない。
そんな中、セドリックの元に異世界の稀人がやって来た!外見はこんなでも、中身で勝負し、専属護衛になりたいと頑張るセドリックだが……。
醜いイケメン騎士とぽっちゃり喪女のラブストーリーです。
多分短い話になると思われます。
サクサク読めるように、一話ずつを短めにしてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる