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ワガママ姫の婚約式 終
しおりを挟むアスラン王国の両陛下と私の兄が見守る中、簡易的な婚約式が終わり、婚約は結ばれ私たちは無事に婚約者となった。だが、両陛下と私の兄の表情は何処と無く不安そうだった。
「アナベル·····、本当に良いのかい?」
私を部屋の橋の方に呼んで、そう心配そうに聞くのはお兄様だ。
て、本当に良いのかい?って何のこと?
もしかして婚約の事?それなら勿論、
「お兄様、この婚約は私から望んた事ですわよ? 勿論、今私はとても幸せですわ」
私はそう言って微笑んだ。
するとお兄様は何故か苦虫を噛み潰したような表情をした後、ため息をついて、何かを諦めたような表情をした。
「そうか、アナベルが幸せなら、俺はそれでいいよ」
そう言ってお兄様は私の頭を撫でた後、私の耳元に顔を寄せて呟いた。
「父上や母上にもその言葉を伝えておこう。何かあったら何時でも連絡して·····。最悪帰ってきてもいいからね」
「はい。ありがとうございます、お兄様」
お兄様からの言葉は私にとって有り難いものだった。やっぱり、他国に一人は心細いし、いざと言う時に頼れる場所があるのは安心する。
と、丁度お兄様との話が一段落した時に、国王陛下に話しかけられた。
「アナベル姫」
「はい、陛下」
「··········うちの息子をよろしく頼む」
「!··········はい!」
国王陛下はそれだけを言うと満足そうに頷いて静かに部屋を出ていった。王妃様はいつの間にか居なくなっていた。
────────────────────
簡易的な婚約式が終わると、皆が部屋を去り、直ぐにシリウス様と私だけが部屋に残された。
「シリウス様·····、これからよろしくお願いします」
私は改めてそう挨拶をした。
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
シリウス様がやや遅れて返事を返してくれた。
「····················」
「·····················」
何だか気恥しい沈黙が部屋に充満した。
えっと、この後ってどうすればいいの?
とりあえず、無事に婚約を結ぶことは出来たけど、正直に言って今後のことはノープランなんだよね。とりあえず、シリウス様と仲良くなる方向で動きたいとは思っているけど·····。
私はチラリとシリウス様の方を見た。
するとシリウス様は何やら窓の外をみているようだった。私はシリウス様に近づいて、窓を見た。
「何を見てらっしゃるの?」
「!」
いきなり私がそばに寄ったからか、シリウス様が驚いているのがわかった。
「あ、ああ。いや、き、今日はとても天気がいいなと思っていたんだ」
確かに今日は天気が良い。丁度私たちが覗いている窓からは色とりどりの花々が咲いている庭園が見えた。
「! なら、私に庭園を案内してくれませんか?」
「えっ·····」
「お恥ずかしながら、わたくし、まだこの国のことをあまり知らないんですの。色々教えて下さると嬉しいですわ、それに、シリウス様とももっとお話したいので」
私はそう言いながら、自分の知識不足が恥ずかしくて下を向いて少し赤くなった顔を隠した。けれど、言い終わってシリウス様に目を向けると、仮面から少しだけはみ出た耳が真っ赤になっていた。それを見て私は思わず少しだけ笑いをこぼす。
何だか目の前の王子様が可愛く思えてきた。
これで本当に美形なら、私って強運を持ってる女じゃないのかしら?
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