5 / 14
忌み子王子の婚約式
しおりを挟む本来、忌み嫌われる黒色と反対に、白には神聖な意味がこめられている。
俺は、少しでも婚約者に好かれるため、髪の毛を染めることにした。
黒から白へ。何故今まで思いつかなかったのだろうと思うほど、自分では凄くいい思いつきに思えた。
そして、どうしようも無い醜い顔と忌まわしい黒目は、仮面で隠すことにした。
これで俺が近くにいても、怖がらないで居てくれるだろうか·····。
鏡で何度も確認し、補佐のアレンにも確認してもらう。
「殿下、もう時間ですよ」
「ああ、分かった·····」
少し不安は残りつつも、いつもとは違う白髪に仮面という姿に、少し心が浮き足立った。
中々、似合ってる気がするな!
俺は満足気に部屋をあとにすると、婚約者を待つために、会場へと向かった。
会場に着くと、そこには既に、俺の両親と、婚約者の兄が話に花を咲かせていた。
三人は入ってきた俺に気づき声をかけようとして固まった。
「シリウス·····、あなた、その髪はどうしたの?!」
そういうのは母上だ。もう暫く言葉を交わすことの無くなっていた母上の、びっくりした顔を見るのは初めてだ。
「怖がらせてはいけないと思い·····」
俺はそう言いながら、三人に近づく。
「それにお面も·····」
「·····やっぱり、変ですか?母上」
「い、いえ、変では無いわ·····」
「! そうですか、それは良かった」
その言葉に少しだけ安心した俺は、ゆっくりと婚約者の兄。この先は自分の兄にもなるリレット王国の第1王子にも声をかけた。
「初めまして、シリウス・ロウ・アスランです。これから、よろしくお願いします、ローランド・ルス・リレット殿」
「ああ、妹共々よろしく頼む」
若干、口元を引くつかせながらも、ローランド殿は挨拶を返してくれた。差し出された手を握り返す。
そして、その時はやって来た。
ガチャ·····、騎士の手により丁寧にあいた扉。そして、その先には、空と海の国、リレット王国の王族の証である青色の髪と瞳を持った、一人の美しい女性が、こちらへ向かって歩いてきた。
思わず見惚れてしまっていたのは言うまでもない。これまで、これ程美しい女性を見たことがあっただろうか。
そして、婚約者が自分なんかでいいのか。
きっと、直ぐに逃げ出さてしまうだろう·····。
「初めまして、わたくし、アナベル・ラ・リレットと申しますの。これから、よろしくお願いしますわ、わたくしの婚約者様」
そう言って、アナベル姫は優雅に微笑んだ。
その笑顔に思わずドキドキしてしまったのは仕方がない事だろう。
それ程、彼女は魅力的だったのだから。
1
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
異世界の美醜と私の認識について
佐藤 ちな
恋愛
ある日気づくと、美玲は異世界に落ちた。
そこまでならラノベなら良くある話だが、更にその世界は女性が少ない上に、美醜感覚が美玲とは激しく異なるという不思議な世界だった。
そんな世界で稀人として特別扱いされる醜女(この世界では超美人)の美玲と、咎人として忌み嫌われる醜男(美玲がいた世界では超美青年)のルークが出会う。
不遇の扱いを受けるルークを、幸せにしてあげたい!そして出来ることなら、私も幸せに!
美醜逆転・一妻多夫の異世界で、美玲の迷走が始まる。
* 話の展開に伴い、あらすじを変更させて頂きました。
もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!
結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)
でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない!
何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ…………
……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ?
え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い…
え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back…
ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子?
無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布!
って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない!
イヤー!!!!!助けてお兄ー様!
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
美醜逆転の異世界で私は恋をする
抹茶入りココア
恋愛
気が付いたら私は森の中にいた。その森の中で頭に犬っぽい耳がある美青年と出会う。
私は美醜逆転していて女性の数が少ないという異世界に来てしまったみたいだ。
そこで出会う人達に大事にされながらその世界で私は恋をする。
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
拝啓、前世の私。今世では美醜逆転世界で男装しながら王子様の護衛騎士をすることになりました
奈風 花
恋愛
双子の兄アイザックの変わりに、王子の学友·····護衛騎士をするように命じられた主人公アイーシャと、美醜逆転世界で絶世の醜男と比喩される、主人公からしたらめっちゃイケかわ王子とのドキドキワクワクな学園生活!
に、する予定です。
要約しますと、
男前男装騎士×天使なイケかわ王子のすれ違いラブコメディーです。
注意:男性のみ美醜が逆転しております。
何でも許せる方。お暇なあなた!
宜しければ読んでくれると·····、ついでにお気に入りや感想などをくれると·····、めっちゃ飛び跳ねて喜びますので、どうぞよろしくお願いいたします┏○))ペコリ
作りながら投稿しているので、
投稿は不定期更新となります。
物語の変更があり次第、あらすじが変わる可能性も·····。
こんな初心者作者ですが、頑張って綴って行こうと思うので、皆様、お手柔らかによろしくお願いいたします┏○))ペコリ
転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです
狼蝶
恋愛
転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?
学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる