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戦後編そして

戦後編そして・霧・第296章・太陽系外縁惑星カイパー

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西暦2080年代

太陽系外縁部

冥王星より遠い場所で

かつて地球クラスの星が発見され移住が行われたが

外縁部の遥か彼方から現れた

第二太陽系と呼ばれる移動する浮遊太陽と惑星群に

引き寄せられ多数の惑星と共に消えて行った

多数の移民を乗せたまま

だがすべての惑星が消えたわけではなく

生き残った惑星の住民は開拓を進めていた

西暦2089年

地球連邦の敗北と同時に地球連邦からの

資金援助は打ち切られた

太陽系外縁部の移民惑星の多くが資金援助無しでは

太陽の光が届かない極寒の惑星を維持出来ず

多くの移民惑星を放棄して地球圏に還る中

惑星カイパーと幾つかの惑星の住人は

太陽系外縁部に留まった

地球連邦や地球占領軍や太陽系連邦政府の

再三に渡る連絡にも答えず

余りにも遠い場所に位置する為に放置されていたが

エネルギーネットワーク使用料も支払われず

太陽系外縁部まで送電するには

ネットワークシステムの30%のコストが掛かり

このままではケットワークシステムが維持出来なくなり

送電をカットする必要に迫られる

そうなれば惑星カイパーと惑星群は生きて行く為の

エネルギー源を失い全滅する

エネルギーネットワークシステムを管理する

日本政府は惑星カイパーに使者を送り

惑星の軌道上から何度も警告するが

何の反応も無い

惑星表面の街の灯りを見ながら高速巡洋艦は

仕方無くネットワークエネルギーを切る

時間と共に惑星の夜の部分は停電により明かりが次々と消え

やがて完全に明かりが消えた

高速巡洋艦は再び惑星カイパーに向け通信を行う

『今すぐネットワークシステムの

料金を支払うと約束するなら電力を回復する』

返答はなく高速巡洋艦の艦長はため息をつく

こんな任務は二度とごめんだと思い

『日本軍司令部に現状を連絡し指示を受ける』

(ネットワークエネルギーを切った為

通常の通信を使う事になりますが

この宙域には通信障害を起こす

ハイパーダストが多く

長距離通信は出来ません)

『仕方ない本艦は直ちにこの宙域を離れ送信可能な宙域まで移動させる』

高速巡洋艦が惑星カイパーを離れると

ステルスモードを解除した

ローラアシェル率いる

救援物資を積んだステルス輸送艦が現れた

【ローラアシェル閣下お待ちしていました】

《ワルキューレ大統領

約束した物資を持って来た

この宙域の他の惑星にも私の部下が届けている頃だ

これが在ればネットワークエネルギーは要らない》

【助かりますこれで我々は本当の意味で独立出来ます】

《エネルギーネットワークを切った事で

惑星カイパーは死滅したと思って居るだろう

少なくとも次の戦争が終わるまで

この宙域に関わる者は居ない》

【しかし閣下本当に宜しかったのですか?

我々が受け取るこの発電システムは

マナ砲を作るのに必要な物では?】

《ワルキューレ大統領

我々は近い将来太陽系全域を巻き込む

太陽系大戦を始める事になります

当然エネルギネットワークは破壊され

この宙域の送電は止まります

その為にもマナ発電システムは必要です

それに星をも破壊するマナ砲を撃ち合えば

太陽系の惑星と共に人類は滅亡するかもしれない

だからこそあなた達には生き残って欲しい》

【分かりました閣下のお気持ち有難くお受けします】

ローラから送られた物資を受け取り

惑星カイパーを離れるローラを見送りながら

ワルキューレ大統領は

【戦争が終わった後

太陽系を再建出来るのはあの方しかいない

本当にどうかご無事で】
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