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太陽系の夜明け・移民の時代

太陽系の夜明け・移民の時代・士・第225章・それぞれの2085年12月31日

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その日地球圏では年末の買い出しで町は賑わいを見せていた

コロニー内では北半球の出身者が多いコロニーでは

人口の雪が降らされていた

年に数度の雪景色が再現されていた

30年にも渡る平和と繁栄に人々は酔いしれていた

その頃陰の政府の閣議では

艦隊配置の最終確認が行われていた

主力の第1から第4艦隊は地球圏を出航

水星圏・金星圏の全艦隊は小惑星帯での演習の名目で

すでに出航24時間後に合流し

命令が在り次第火星圏に地球艦隊の3分の2が向かいます

木星圏及び内惑星艦隊は日本圏と土星・天王星・海王星方面の

火星艦隊の押さえとして待機させ

予備兵力2個艦隊は小惑星帯で身を潜めていた

全太陽系の航路上に散らばる日本艦隊には

冥王星基地を襲撃しているゴースト艦隊に

全艦隊の3分の2が急行している

火星方面に残る日本艦隊は僅かで作戦に支障を及ぼす可能性は低いとされ

作戦は2086年1月1日午前零時を持って開始されると決まった

地球圏首都コロニーアスカ

日本人が一番多く暮らすこのコロニーでは

年末年始モード一色に染まり

迫りくる危機など考えても居なかった

中央政府情報部を除いて

小惑星帯に潜む地球艦隊と木星圏からもたらされた非常態勢

太陽系中の地球艦隊の間で交わされる

暗号通信は通常の10倍

演習の為だとしても異常な多さを

政府に報告するも考え過ぎの一言でかたずけられ

軍への警戒態勢は取られず

事態を危惧した情報部トップは

旧友である宇宙艦隊司令官に相談を持ち掛けた

間もなく2085年から2086年に変わろうとしていた

火星圏人口の第2の月ルナ2に司令部を置く火星軍総参謀長Sは

地球艦隊が小惑星帯での演習の為に

火星の側を通過する許可を地球艦隊総司令官に求められ

画面を通して直接会話を交わしていた

申し入れられた話におかしなところは無かったが
 
長年の感でSはこれだけの艦隊が火星に襲い掛かったら

火星は簡単に陥落するとカマをかけると

一瞬の沈黙の後に

例え一時的に火星を占領しても

土星・天王星・海王星の大艦隊の攻撃を受ければ

我が艦隊は大損害を出して火星は簡単に取り返されます

その様なリスク私は御免被る

両者の高笑いでこの一件は終わる

だが総参謀長のSは監視の強化を命じたが

地球艦隊は何事もなく火星をすり抜け

小惑星帯に向かう

大輸送船団が金星に到着した

30億人が3年間暮らす事が出来る物資が軌道エレベーターを使い

30億人が暮らす事が出来る地下都市に降ろされた

公式にはコロニーが大規模な流星群やオウムアムアⅡクラスの災害により

被害を受けると予想された場合に避難する施設と発表された

この施設に入る権利は大半の資金を出した地球圏の住民に在ると噂された

地球連邦政府は否定したが反発する日本圏や火星圏や開拓圏の住民

そして歓喜する地球圏の住民だがこの後人々は自ら望まない戦争に翻弄され

余りにも残酷で過酷な運命を受け入れる事になる

地球軍宇宙艦隊最大最強を誇る第7機動艦隊が水星基地を出港

小惑星帯で他の艦隊と合流し地球軍最大の演習計画に参加する

全太陽系にエネルギーを供給する

太陽エネルギー集積施設を守備する為これまでは

水星圏から離れる事は無かったのだが

今回はゴースト艦隊が内惑星地域に侵入した形跡がない事を理由に

宇宙艦隊司令部の判断で小惑星帯への演習に参加する事になった

水星圏には艦隊乗組員の家族と太陽エネルギー施設の職員と家族が残され

守備艦隊は駆逐艦とパトロール艦の僅か数隻が残されるのみ

ゴースト艦隊の襲撃を受ければひとたまりもなく壊滅する

艦隊乗組員は後ろ髪を引かれる思いで水星圏を後にした

太陽系最果て準惑星系

かつて地球クラスの移民星が存在していたが

外宇宙から飛来した木星クラスの浮遊太陽の引力に引かれ

幾つかの準惑星と共に多くの移民を乗せ太陽系の彼方に連れていかれた

その後生存者の救助が行われたが宇宙船すら殆ど残って居なかった

現在は残された僅かな準惑星には無人ロボットによる開発が行われるのみで

緊急事態に備え地上には有人基地は置かず

太陽系最果てのエネルギーネットワーク基地に指令室が置かれた

その指令室には準惑星移民団を乗せたままの第2の地球を連れて

太陽系を離れていく浮遊太陽が高速で移動していく映像を見つめている

司令官は双子の兄が準惑星系移民団の一員だった

もはや人類の手が届かない彼方の兄弟に思いをはせていた

残された僅かな準惑星の開発を進めにはコストが掛かり過ぎるが

生存者の捜索を進める中で発見された小惑星はかつて月面と衝突事件を起こした

オウムアムアⅡと同じ物質で構成されていた

浮遊太陽が引き連れた小惑星が太陽系に残した星と確認され

星の名はオウムアムアⅢと名付けられ

その中には僅かだが核物質と反対の性質を持つ物質が存在していた

地球で採掘された1グラムの核物質で核爆弾を作り

オウムアムアⅢの核物質で同じく核爆弾を作り

ひとつの容器に入れ準惑星の地表で爆破実験を行った結果

準惑星は破壊され四方八方に飛散した後破壊された準惑星の場所に

マイクロブラックホールが発生して

飛散した準惑星の破片をすべて飲み

短時間でブラックホールは消滅した

核爆弾を遥かに超えるブラックホール爆弾が誕生した瞬間だった

それまでの反物質爆弾は核兵器にオウムアムアに僅かに含まれて居た

物質を混ぜて作られた物で破壊力を上げる程度と評価されるだけで

星を破壊するには至っていなかったが

今開発が進められている反物質爆弾は艦隊に対して使用すれば

一発で敵艦隊を全滅させる事が出来る

戦争を大きく変える兵器が作られていた

木星圏地球軍基地

演習が行われる小惑星圏へ宇宙艦隊が出港寸前に中止命令が出され

憲兵艦隊が木星圏に赴任して来た

この艦隊の司令官・参謀など将校を始め部下達全員が

陰の政府のメンバーで構成され

地球艦隊が司令部の命令に反した場合には

行動不能にしたり破壊信号を送る事が出来

事実上宇宙艦隊は陰の政府の支配下に在った

憲兵艦隊は木星圏駐留軍司令官に対して

このまま艦隊は出撃体制のまま待機を命令

木星基地司令官のいつまで待機期間が続くのかとの問いに

憲兵艦隊は数日中の事だと答える

木星基地司令官はこの太陽系で何かが起きようとしていると確信し

信頼出来る自分の部下にいったい何が起きているのか調べさせた

土星圏の首都が在る衛星タイタン

そこから火星圏と日本圏を中継して先祖の星である惑星地球へ向かう

連絡船に修学旅行の為に12歳の少年少女たちが乗り

家族が宇宙港まで見送りに来ていた

少女ローラアシュアは今年95歳になる日本人祖母が見送りに来ていた

祖母はローラにお守りを渡した・祖母が日本軍のパイロットしてクイーンと呼ばれ

第三次世界大戦で中国軍との戦闘で期待が大破しても生きて帰る事が出来たのは

このお守りのおかげだと孫娘のローラに渡した

連絡船タイタン号はもう一隻の連絡船アメリカーナと共に惑星地球を目指し出港した

時に西暦2085年12月31日運命の前日であった
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