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戦後編・選択の時代

戦後編・選択の時代・参・第136章・未来への選択・後編

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過去の地球は現在と違い

火星ほどの大きさで月も無く

高速で自転していた

重力は軽く大気は分厚く

紫外線や宇宙線は地上に到達しない

更に高濃度の酸素は

生物は巨大になり

寿命は100歳は当たり前で

1000年を越す者も存在した

南極や北極には凍りは存在せず

赤道直下でも高温にはならず

星全体が春から初夏の様な状態で

生物には天国といって良い条件が揃っていた

1日は現在の半分以下で12時間も無かった

当時地球は

第四の人類が

地球に見切りを付けたが

一部の小惑星帯や地球や太陽系の惑星・衛星の

地下に住む者を除き

地上に残っていた第1から第3人類を含めた

全世界の殆どの人類が集団で

他の恒星系に旅立ち

地球の表面に残されたのは

第5人類へと進化の途中の類人猿と

巨人類人猿だけ

身長2メートルに満たない

人類は今だ進化の途中だが

火星と同じ重力で

人類は現在の何倍ものスピードで

走りジャンプが出来た

巨人族は逸早く進化して文明を手に入れ

宇宙にまで進出していた

地球は事実上巨人族の文明に支配されていたが

突如現れた星が地球の衛星軌道に侵入

当初冥王星とその衛星の様に

双子星の様に互いの星を

回る軌道を回っていたが

やがて地球は

大陸に亀裂が走り

大陸同士がはなれ

その隙間から

地球は地中深く内部に

溜め込められていた水とマントルが

地球の表面に噴出し

地球は現在の大きさまで膨張する

重力は4倍になり

巨人族は立ち上がる事さえ出来ず

次々と死んで行く

そして彼らの遺跡だけが残った

その遺跡を地球の地下に僅かに残った

第5人類以前の人類が受け継いだ

その遺跡さえやがて氷に閉ざされ

数千年の間氷の下に眠っていた

4倍の重力の元人類は

超人的な力は失うが

何とか地球の環境に対応出来た

その後人類は

巨人族が残した文明を手に入れ

一時的な繁栄を手に入れるが

戦争と気象変動の前に

次第に失われて行き

大航海時代になり

ようやく南極に

巨人族の遺跡がある事を知り

探検隊を送る

最初に英国が発見し遺跡の資料を持ち帰るが

当時の科学知識では

蒸気機関を再現するのが限界だが

それだけでも

産業革命を起こし世界を変えた

次第に進む人類の科学知識に

比例して

次々に人類は発展して行くが

ついに世界を巻き込む戦争を起こしてしまう

英国は巨人族の遺産のすべてをつぎ込み

ドイツを倒したが

次の世界大戦では

ドイツが巨人族の技術を使い

欧州を支配した

英国は生き残る為に

米国に巨人族の技術を渡し

戦争に勝利したが

それはソビエトにも知られてしまう

二度の大戦終了後世界は

巨人族の負の遺産

核兵器で満たされ

ソビエトが崩壊するまで

人類はその恐怖に慄いた

同時に巨人族の一部の技術を

管理者から受け継いだ

ソビエトだが経済は停滞

予算の大半を軍事費に回し

宇宙開発に回す予算が無く

資金面で米国の協力の

打診を断りきれず

軍事面とは対照的に

宇宙開発では両国は協力し

月の裏側に

スペースコロニーを初め

惑星間重力発生型宇宙船など

宇宙開発を極秘裏に進めていたが

ソビエトの崩壊で

米国単独での宇宙開発は予算面でも

人材面でも不可能になり中断されるが

21世紀に入り

中国から莫大な資金を使い

ソビエトの後を引き継ぎ

宇宙開発に協力したいと

申し出を受ける

宇宙開発の技術を

中国は流用させないと約束し

再開されるが

約束と違い

中国は技術を持ち出し

経済発展や軍事力に転用

第三次世界大戦勃発と同時に中断

戦後再開されるが

オウムアムアⅡにより

月面の施設は全て失われ

管理人に巨人族の遺跡に

立ち入る事を許された

ソビエトを受け継いだ

ロシアの協力の下

国際連邦政府は調査団を派遣した

宇宙開発に関する技術調査が目的だが

第4の核兵器

反物質爆弾の回収も目的の1つとされた

日台連邦軍陳はその為に呼ばれていた

『自分がこの反物質爆弾を

カプセルから取り出す?』

「そうだ」

カトーが答えると

『もし失敗したら?』

「地球は消滅し

月は軌道を離れ

浮遊惑星と化し宇宙をさ迷う」

『人類は?』

「滅亡する誰一人残らない」

『戦争は終ったのになんで

今更こんな物が要るんですか?』

「オウムアムアⅡは宇宙文明が作った物だ

宇宙には地球の文明など

足元にも及ばない高度な文明がある

人類が宇宙に進出し

戦闘的な異星人と遭遇した時には

必要だと判断したらしい」

『連邦軍はあの宇宙戦闘艦に

反物質爆弾を搭載して他の太陽系に

宇宙侵略をするつもりですか?』

〈連邦政府は今はまだあの宇宙船の事は知らないわ〉

『え?』

カトーとリンを見る陳

『あなた達は連邦政府の方では無いのですか?』

「私達は時空パトロール隊の者だ」

『時空?』

〈時間と平行世界の警備

タイムパトロールと呼ばれることが多いわね〉

『頭が混乱してきた

何が一体どうなっているんだ』

頭を抱える陳にカトーは

「混乱するのは分かるが

少なくとも君の判断で30年後の

人類の未来が決まる」

『30年後に一体何が起きるんですか?』

「悪いがそれは言えない禁則事項なのでな

言えば間違いなく未来が変わる

そして殆どの場合

望まない未来が・・・」

『EMエンジン同様に

この反物質爆弾の存在を

調査団は知っているんですね?

自分が取り外さなくても

いずれ誰かが外して

人類の手に渡るんですね?

そうなれば宇宙開発処か

第四次世界大戦が始まり

人類は滅亡する』

何がが陳の頭の中を過ぎった

『あの宇宙戦闘艦の存在は

誰も知らないんですよね

そしてこの先30年は

自分以外には知られない?』

陳はカトー達に問う

目と目が合うが

カトーは答えない

俯き陳は口元を緩め

反物質爆弾をカプセルから

取り出す作業を始める

数時間後反物質爆弾を取り出し

宇宙船の内部へと運こむ

『カトーさん

管理コンピューターに

この爆弾管理と船をマイクローン用に

改造する事を伝えてくれますか?』

「君がそう望むなら

詳しくスペックを言ってくれ」

更に数時間後

すべての作業を終え

通路を入り口に向かうと

表から爆発音が聞こえた

調査隊は銃を持った兵士により

拘束され

2機在った内のジェット・オスプレイ1機が

爆破されていた

《我々新・中国軍はこのEMエンジンを使い

火星に移住しそこに新たに国家を建設する

そして数十年後必ず地球に舞い戻り

第四次世界大戦に勝利する

その為にはこの遺跡にある

反物質爆弾が必要だ

案内してもらおうか?》

<あれはひとつ間違えれば

地球が吹き飛ぶ止めるんだ>

《問題無い爆弾を取り外す事が

出来る人間が居る事も知っている》

調査隊の責任者の目が陳に向く

《そうかお前か

何度となく我々が仕掛けた核爆弾を

解体したお前になら出来るか・・・》

反物質爆弾の部屋に案内させられるが

もうそこには何も残っていない

《これはどう言う事だ答えろ》

いらだつ兵士に旧ソビエト時代の技術者は

<確かに戦争前に来た時には

此処の在った

戦後は今回が初めてだ

もし戦争中に警備の目を盗み

持ち出したとして

戦争中一度も表に出なかった事を

考えると恐らく

輸送中に戦闘に巻き込まれ

失われたのでは?

少なくとも連合軍は持出していない

そうでなければ

核爆弾の解体のプロの

彼を此処には連れて来なかった>

《フッ・・・

まあ良い

こうなればEMエンジンだけでも構わん

持ち帰る

此処を爆破する

残されたEMエンジンは

連邦政府には渡さん

すでに核爆弾を10個ほど仕掛けてある

いくら核爆弾解体のプロでも

10個は解体出来まい?》

兵士は満面の笑顔で高笑いを浮かべ

残された1機のジェット・オスプレイに

EMエンジンを積み

飛び立つ

湖の中央天井に空けた穴の真下から

垂直上昇を始めた時

湖の中から

水しぶきを上げ

巨大な手が現れ

ジェット・オスプレイを掴み

あっと言う間に

湖の中に消えた

呆気に取られている調査隊

その時誰かが叫んだ

(救助隊を呼びました・3機目のオスプレイが着ます

破壊されたオスプレイの

無線が修理出来ました・後10分ほどです)

<陳君時限爆弾は後どれくらいで

爆発するかね?>

『後22分』

<EMエンジンだけでも積み込もう

これには人類の未来が掛かっている>

間もなくジェット・オスプレイが到着

EMエンジンを載せ飛び立とうとする

『待って下さい

後2人居ます

男女1名ずつ』

<何を言っている

この調査隊に女性はおらんぞ>

『えっ・・』

<出発だ>

先程の巨大な手を警戒しながら

ジェット・オスプレイは天井の氷の穴を

通り抜ける

時間が来て

閃光と爆発音が響き渡り

南極の遺跡は失われた

ジェット・オスプレイは

宇宙開発の希望

EMエンジンを載せ帰還する

破壊された遺跡には

核爆弾の熱で解けた大量の水が

流れ込み分厚い氷の下に埋もれた

だがその下には30年を掛けて

改造を進める宇宙船が在った
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