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戦後編・選択の時代

戦後編・選択の時代・参・第134章・未来への選択・前編

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第三次世界大戦が終了した時

それまで人類未開の地も戦場となり

破壊しつくされ砂漠と化したその地に

古代の文明の遺跡が見つかる

世界中に点在していたが

南極の地下空洞で見つかった

遺跡の発掘に連邦政府が戦後初めての

調査隊を派遣した

ジェット・オスプレイで

砕氷船から飛び立ち

一路南極点に向かう

調査隊の中に

現在の日台連邦国軍

旧・台湾軍陳上等兵がいた

彼は何故自分が選ばれたか

分からなかった

機内は3つのグループに分かれていた

連合軍グループと

ロシアを初めとした非参戦国

そして旧・中国軍の協力国達

だが彼らの殆どは

連合国に対して

旧中国へ協力国として

軍事裁判の被告の席を

免除する替わりとして

連邦政府に参加する事を求められ

軍事裁判の被告が決められる

1年以内に多くの国が

連邦政府への参加を表明した

国際連邦は旧国際連合が

国際紛争に無力で

第三次世界大戦勃発を

阻止出来なかった事を教訓として

国際連邦直轄の

連邦軍の創設とその指揮下に

各国の軍を置き事実上連邦政府に軍の

指揮権を明け渡す事に

最後まで反対していたロシアが

最終的に連邦政府に参加した事は

多くの憶測を生んだが

今や連邦政府の体制は強化され

連邦政府内での戦争は過去の物となり

連邦軍の強大な軍事力の前に

正面から異を称える国は無くなりつつある

機内ではそれら3つのグループの

どれにも属さない

男女2人がいる事に陳は気が付いていた

輸送機は氷の大陸を一路南極点をめざす

数時間後輸送機は

南極点の上空に到着

滞空しながら

氷をレーザーで

くりぬき

機体が入る事が出来る

穴を開け

ジェットオスプレイは

降下して行く

分厚い氷を通り抜けると

南極残りの下に

湖とジャングルが現れた

機内ではどよめきが起こる

輸送機は湖の上空を対岸を目指し進む

鳥の群れと巨大なトンボの歓迎を受け

ジャングルの木々の隙間から見える

人口の建造物が見える湖の畔に

着陸したそこは

天井の氷を通して光が届き

地熱が気温を15度前後に保ち

植物が自生していた

水辺には魚が泳ぎ

森林の奥から

動物と思われる鳴き声が響き

空には鳥が羽ばたいていた

調査隊の一人古生物学の

ジョンソン教授は

「ここは南極が氷に覆われる

以前の世界だ」

そう言い放ち

サンプル採集を行なう

民俗学のグレイモント博士は

<教授我々の目的を忘れないで下さい

目的地はこの奥に在る>

調査隊はジャングルの奥に向かう

そこには上空で見た朽ち果てている

神殿が表れ調査隊は中に入る

そしてその周りには

多くの巨人族の人骨と

アナログ式の機械文明の遺跡が

弓や槍ではなく

巨人族のサイズと思われる銃や大砲

機械式と思われるコンピューターまで存在し

分析の結果

1940年代の初期のコンピューターと

同レベルの性能がある事が分かった

そして

巨人が動かしたであろう

戦車や自動車・運河には動力式の船・

広場にはヘリコプターと飛行機の

中間のような物まで見つかる

戦車の外見は第二次世界大戦で

ドイツが使ったと酷使していた

『まるで巨大なタイガー戦車だ』

そう陳は思った

驚くべき事にそれらに付けられた紋章は

ハーケンクロス・鉄十字

ナチスドイツの紋章に酷使していた

調査隊が神殿に入ると

そこにはロケットのエンジンが有った

<こいつはEMエンジンにそっくりだぞ>

調査隊はお目当ての物を見つけ

大規模な調査に入る中

それには加わろうとせず

遠回りに見ているあの2人の男女を

見つけ陳は話しかけ様としたが

二人は遺跡の奥深く進んで行く

陳は二人の後を追う

何か胸騒ぎがした

いつの間にか二人を見失っていた

ため息をつき

『何やっているんだ俺・・・』

戻ろうと後ろを振り向くと

廊下の脇から灯りが漏れていた

覗き込む陳は思わず

『あっ』と声を上げた

巨大なロケットが

水平に置かれていた

エンジンが目の前に迫る

「驚いたかね?」

振り向くとあの二人が立っていた

「これが何だか分かるかい?」

『ロケットですか?』

「確かに宇宙船には違いないが

目の前の小さな4つのエンジンは

調査隊が調べている

展示用のEMエンジンとは違う

本物の宇宙船の補助EMエンジンだ」

陳が『EMエンジンて何ですか?

自分は詳しくないので

教えてもらえますか』

そう聞くと

男の方が

「簡単に言うと化石燃料を

使わないで電磁エネルギーで動く

ロケットエンジンだよ」

『電気でロケットを打ち上げる事が

出来るんですか?』

「そう・これが在れば

原子炉で発電した電気を動力で

宇宙船を動かし

太陽系内を自由に航行が出来る

今のマーズ1タイプの宇宙船では

核エネルギーを使っても

火星までの往復が限界だからね」

『そんな凄い物なんですか

これがあれば宇宙開発も一気に

太陽系全域に広がり

食料や人口問題も解決されますね』

〈でもねそんなに良い事ばかりじゃないわ

今の地球の抱えている

問題が太陽系規模に広がり

やがて既得権益を守る地球と

自治独立を求める

植民惑星との間で戦争が起きるわ

そして地球はこの戦争以上の

被害を受け人は住めなくなる〉

「リン・やめろ」

『リンさん?・・・』

「悪い・彼女の言う事は気にしないでくれ

俺はカトー・彼女はリン」

『自分は陳と言います』

EMエンジンの調査に取り組んでいる

調査隊を見ながら陳は

『此処はどう見ても古代の遺跡ですよね?

現代文明より進んでいるEMエンジンが

在るのは何故ですか?』

「此処は数千年前地球を

支配していた巨人族の遺跡

科学力は惑星間を行き出来るほど

発展していた様だけど

環境が変わり地球に住んでいた彼らは

滅びた様だ」

『環境の変化ですか?』

「恐らく地球の重力は昔は軽かった様だ

見たまえこの巨人を

この巨体では今の重力では立つ事も出来ない」

陳は在る事に気が付いた

『もしかして調査隊が来たのは始めてではないのですか?』

「そうだ欧州で始まった産業革命は

この遺跡無しでは考えられない

英国で暖房用の燃料として

木材を伐採していたが

当時の軍艦は木製の帆船で

軍艦の材料が不足する事を危惧した

英国は暖房用の燃料として

木を伐採する事を禁止し

替わりに石炭を使わせたが

次第に採掘は地下深くなり

エレベーターが必要とされ

動力として蒸気機関が使われた

それは突然表れた発明ではなく

古代からの伝承された秘密の一つ

その後英国はこの場所を見つけ

多くの知識を元に

産業を発展させた

それは第一次世界大戦での

連合軍の勝利にも貢献した

だがその後ドイツがこの遺跡から

様々な技術を持ち出した

結果ナチス・ドイツは

1960年代に世界に普及した

技術を1930年代にドイツ国内で実現した

それらの技術を軍事転用

第二次世界大戦を始めた」
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