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戦後編・選択の時代
戦後編・選択の時代・参・第107章・すべては家族のために
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(宇宙ステーションこちらマーズ1
これよりコロニーに侵入する)
スペース・コロニーが爆発した穴から
マーズ1は内部に侵入した
そこは円筒の内壁に
都市がびっしりと並び
コロニー内部の図面を見て
頭の中では分かったつもりでいたが
佐々木はこの光景に心を奪われた
(俺も技術屋だ必ずこれ以上の
物を作ってやる)
マーズ1は制御コンピュウターがある
コントロールセンターの側に着陸する
佐々木達エンジニアと同乗していた
TV中継のクルー達も降り立つ
佐々木達は動力が切れたコンピューターを
再起動させる為にマーズ1から動力ケーブルを
延ばしコンピューターに接続し
再起動に成功する
〈おいこのコンピューターのチップはインテルじゃない
IBM製のシングルコアプロセッサだぞ
この分厚い回路基板と衝撃吸収金具を見てくれ
地上で使っているスーパーコンピューターを
使っていたらオウムアムアⅡの破片が衝突した爆発の
衝撃で完全に壊れている〉
リーダーの佐々木は
あ
『姿勢制御用エンジンは使えるのか?』
〔後方エンジンはオウムアムアⅡの破片に破壊されています〕
『前方のエンジンは』
〔使用可能ですが此処からの
遠隔操作は出来ません
全て手動で動かす必要が在ります〕
『1980年代の設計では仕方ないか
だれか前方姿勢制御用エンジンを始動させてくれ』
佐々木の前に若きエンジニア鈴木が名乗り出る
「私に任せて下さい」
『助手として何名か連れて行け』
「此処でさえ人手不足です
私一人で十分です」
『そうか分かった頼む』
それまで撮影を続けていた
TVクルーが同行を求めてきた
【我々の中継車なら
何キロもある前方エンジンまで
鈴木さんを運べます
同行させて下さい】
『マーズ1は動かす事が出来ない
そいつは助かる』
TV局の中継者に乗り込み
数キロも先の前方エンジンの制御室に向かう
鈴木はTVクルーが使っている機材が
今は無きファーウエイ社製である事に
気が付いた
前方エンジン制御室に到着した鈴木は
姿勢制御用エンジンの始動を可能にし
中央コントロールセンターで
制御が出来るまでこぎつけた
窓から地球に近づいているのが
ハッキリ見えた
それまで撮影を続けていたTVクルーが
【鈴木さんこのスイッチを入れると
中央で遠隔操作が出来るんですね】と
聞いてきた
「そうだ後は点滅している
このスイッチを入れるだけだ」
ズダーン
TVクルーの放った銃弾が鈴木の胸を貫いた
同時に中央コントロールセンターに
残ったTVクルーがコントロールセンターを占領した
そして地球の全地域に向け中継を始めた
【我々は最高司令官直属の中国軍である
スペースコロニーの姿勢制御エンジンは
我々の手の中にある
我々の要求は現在軍事裁判所の被告となっている
中国軍最高指導者の釈放である
同意すればコロニーの落下を止めよう
だが我々がこのコロニーを押さえている限り
再びコロニーを地球に落下させる事は可能だ
忘れるな返答を待つ】
国際連邦政府は要求を呑むしかなかった
【心ある中国軍兵よ聞け
我々はまだ負けていない
最高指導者の下再び大中国を再建する】
姿勢制御用エンジンを
中央コントロールセンターで
動かす為の切り替えスイッチを押す
閃光と轟音が鳴り響き
宇宙空間を遮る隔壁が破壊さ
旧・北中国軍工作員は空気の流失と共に
全員が宇宙空間に放り出される
その様子はTV中継を見ていた
中央コントロール・センターで
残された旧・中国軍工作員に
責任者の佐々木は
『鈴木は見抜いて居たんだ
君達が工作員だと
制御エンジンのコントロールを
この中央に渡す切り替えスイッチを
押せば同時に隔壁を破壊し
工作員を道連れにした
自分の命と引き換えに
世界を守る為に
だが我々はまだ君達の支配下に在る
旧・中国軍が世界を相手に
戦えばどちらが勝つても
人類は文明を失い
原始時代に戻る
それを決めるのは
君達だ』
《俺の妻と娘は戦火の中死んだ
この世がどうなろうと知るか》
重苦しい空気が流れた
ビービー
地上から通信が入った
《釈放の連絡か
俺が出る》
モニターの前に立つと
幼い少女の顔が映った
[パパ]
それは紛れも無い死んだ筈の娘
《そんなどうして
あの時確かに・・・》
娘の横に妻が現れた
《生きていたのか・・・》
[はい貴方]
《でもどうして
あれ程生存者名簿を探しても
何処にも載っていなかったのに》
[それですが貴方と一緒に
行動している方々も含めて
家族は生存者名簿から
削除されていました]
《大佐だ・・
大佐は家族が生きていると
知れば俺たちが作戦に
参加しないと考え
俺たちを騙して居たんだ》
銃を床に置き
《俺たちの負けだ》
[パパー]
涙を流しながら
《家族が居る地球を守ってくれ頼む》
他の工作員も銃を次々に
床に置いた
『こちらスペース・コロニー
コントロール・センター
姿勢制御エンジン準備完了』
これよりコロニーに侵入する)
スペース・コロニーが爆発した穴から
マーズ1は内部に侵入した
そこは円筒の内壁に
都市がびっしりと並び
コロニー内部の図面を見て
頭の中では分かったつもりでいたが
佐々木はこの光景に心を奪われた
(俺も技術屋だ必ずこれ以上の
物を作ってやる)
マーズ1は制御コンピュウターがある
コントロールセンターの側に着陸する
佐々木達エンジニアと同乗していた
TV中継のクルー達も降り立つ
佐々木達は動力が切れたコンピューターを
再起動させる為にマーズ1から動力ケーブルを
延ばしコンピューターに接続し
再起動に成功する
〈おいこのコンピューターのチップはインテルじゃない
IBM製のシングルコアプロセッサだぞ
この分厚い回路基板と衝撃吸収金具を見てくれ
地上で使っているスーパーコンピューターを
使っていたらオウムアムアⅡの破片が衝突した爆発の
衝撃で完全に壊れている〉
リーダーの佐々木は
あ
『姿勢制御用エンジンは使えるのか?』
〔後方エンジンはオウムアムアⅡの破片に破壊されています〕
『前方のエンジンは』
〔使用可能ですが此処からの
遠隔操作は出来ません
全て手動で動かす必要が在ります〕
『1980年代の設計では仕方ないか
だれか前方姿勢制御用エンジンを始動させてくれ』
佐々木の前に若きエンジニア鈴木が名乗り出る
「私に任せて下さい」
『助手として何名か連れて行け』
「此処でさえ人手不足です
私一人で十分です」
『そうか分かった頼む』
それまで撮影を続けていた
TVクルーが同行を求めてきた
【我々の中継車なら
何キロもある前方エンジンまで
鈴木さんを運べます
同行させて下さい】
『マーズ1は動かす事が出来ない
そいつは助かる』
TV局の中継者に乗り込み
数キロも先の前方エンジンの制御室に向かう
鈴木はTVクルーが使っている機材が
今は無きファーウエイ社製である事に
気が付いた
前方エンジン制御室に到着した鈴木は
姿勢制御用エンジンの始動を可能にし
中央コントロールセンターで
制御が出来るまでこぎつけた
窓から地球に近づいているのが
ハッキリ見えた
それまで撮影を続けていたTVクルーが
【鈴木さんこのスイッチを入れると
中央で遠隔操作が出来るんですね】と
聞いてきた
「そうだ後は点滅している
このスイッチを入れるだけだ」
ズダーン
TVクルーの放った銃弾が鈴木の胸を貫いた
同時に中央コントロールセンターに
残ったTVクルーがコントロールセンターを占領した
そして地球の全地域に向け中継を始めた
【我々は最高司令官直属の中国軍である
スペースコロニーの姿勢制御エンジンは
我々の手の中にある
我々の要求は現在軍事裁判所の被告となっている
中国軍最高指導者の釈放である
同意すればコロニーの落下を止めよう
だが我々がこのコロニーを押さえている限り
再びコロニーを地球に落下させる事は可能だ
忘れるな返答を待つ】
国際連邦政府は要求を呑むしかなかった
【心ある中国軍兵よ聞け
我々はまだ負けていない
最高指導者の下再び大中国を再建する】
姿勢制御用エンジンを
中央コントロールセンターで
動かす為の切り替えスイッチを押す
閃光と轟音が鳴り響き
宇宙空間を遮る隔壁が破壊さ
旧・北中国軍工作員は空気の流失と共に
全員が宇宙空間に放り出される
その様子はTV中継を見ていた
中央コントロール・センターで
残された旧・中国軍工作員に
責任者の佐々木は
『鈴木は見抜いて居たんだ
君達が工作員だと
制御エンジンのコントロールを
この中央に渡す切り替えスイッチを
押せば同時に隔壁を破壊し
工作員を道連れにした
自分の命と引き換えに
世界を守る為に
だが我々はまだ君達の支配下に在る
旧・中国軍が世界を相手に
戦えばどちらが勝つても
人類は文明を失い
原始時代に戻る
それを決めるのは
君達だ』
《俺の妻と娘は戦火の中死んだ
この世がどうなろうと知るか》
重苦しい空気が流れた
ビービー
地上から通信が入った
《釈放の連絡か
俺が出る》
モニターの前に立つと
幼い少女の顔が映った
[パパ]
それは紛れも無い死んだ筈の娘
《そんなどうして
あの時確かに・・・》
娘の横に妻が現れた
《生きていたのか・・・》
[はい貴方]
《でもどうして
あれ程生存者名簿を探しても
何処にも載っていなかったのに》
[それですが貴方と一緒に
行動している方々も含めて
家族は生存者名簿から
削除されていました]
《大佐だ・・
大佐は家族が生きていると
知れば俺たちが作戦に
参加しないと考え
俺たちを騙して居たんだ》
銃を床に置き
《俺たちの負けだ》
[パパー]
涙を流しながら
《家族が居る地球を守ってくれ頼む》
他の工作員も銃を次々に
床に置いた
『こちらスペース・コロニー
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姿勢制御エンジン準備完了』
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