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第三次世界大戦・弐
第三次世界大戦・弐・第62章・涙
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日本陸軍鈴木シンジ二尉は妻と娘と遊園地に来ていた
回転木馬に乗り≪パパー≫と手を振る娘
手を振って答える鈴木
妻は手を振らずクールに眺めていた
『君もシオンに手を振ってあげたら?』
〈私パパじゃないわ〉
学生時代から彼女はクールで
人前で笑ったり・怒ったり・
泣いたりする所さえ
見た事が無かった
口数も少なく
必要最低限しか喋らず
返事は頷くか首を横に振るだけ
友達も少なく教室の片隅で
いつも本を読んでいた
彼女の唯一の友達は
幼馴染の紫苑
彼女とは正反対の性格で
明るく活発でスポーツ万能
いつも彼女が
一方的に話していたが
理絵と紫苑はいつも一緒だった
だが別れは突然来た
紫苑が交通事故で亡くなる
通夜の席で絵里は
それまでのクールな印象からは
見たことも無いような
激しい感情を表に出し
泣き続けていた
雨の中彼女は
傘もささないで
帰ろうとしていた
さすがに見かねて
傘に入れて
彼女を送った
通夜の帰り道
彼女が突然口を開き
〈私が悪いんだ〉
『えっ・・・』
〈私がもう少し早く
待ち合わせ場所に行っていたら
紫苑はいつも私のことを
大事にしてくれた
いつかその御礼をしたかったのに
もう紫苑は居ない
友達は彼女一人だけだった
私にはもう友達は居ない〉
俺は思わず
『俺じゃ駄目かい?
彼女ほど頼りにならない
かも知れないけど
今日から俺が友達だ』
潤んだ目の彼女は
俺の胸に顔を埋めて泣き続けた
そして数年後俺達は結婚し
女の子が生まれた
彼女は娘にシオン(紫苑)と名前を付けた
遊園地の帰り
予約していたレストランに行く
軍から今回支給された
特別の配給券を使い
フルコースの食事を親子3人で食べた
シオンが物心が付いた時から
配給券で食べる外食は
いつもラーメンやカレー位で
レストランは初めて
大はしゃぎで食べていた
その夜絵里は
〈シンジ君明日行っちゃうの?〉
『ああシオンを頼むよ』
〈必ず帰って来てね〉
『約束するよ』
彼女は頷き
何時までも抱きしめていた
翌朝シンジは玄関で
理絵とシオンの見送りを受ける
≪パパ行ってらっしゃい≫
無邪気に手を振るシオン
〈生水は飲むなよ〉
絵里は泣き出しそうに成りながら
クールな振りをして
シンジを送り出す
後ろ髪を惹かれるような思いで
シンジは戦場に戻って行った
回転木馬に乗り≪パパー≫と手を振る娘
手を振って答える鈴木
妻は手を振らずクールに眺めていた
『君もシオンに手を振ってあげたら?』
〈私パパじゃないわ〉
学生時代から彼女はクールで
人前で笑ったり・怒ったり・
泣いたりする所さえ
見た事が無かった
口数も少なく
必要最低限しか喋らず
返事は頷くか首を横に振るだけ
友達も少なく教室の片隅で
いつも本を読んでいた
彼女の唯一の友達は
幼馴染の紫苑
彼女とは正反対の性格で
明るく活発でスポーツ万能
いつも彼女が
一方的に話していたが
理絵と紫苑はいつも一緒だった
だが別れは突然来た
紫苑が交通事故で亡くなる
通夜の席で絵里は
それまでのクールな印象からは
見たことも無いような
激しい感情を表に出し
泣き続けていた
雨の中彼女は
傘もささないで
帰ろうとしていた
さすがに見かねて
傘に入れて
彼女を送った
通夜の帰り道
彼女が突然口を開き
〈私が悪いんだ〉
『えっ・・・』
〈私がもう少し早く
待ち合わせ場所に行っていたら
紫苑はいつも私のことを
大事にしてくれた
いつかその御礼をしたかったのに
もう紫苑は居ない
友達は彼女一人だけだった
私にはもう友達は居ない〉
俺は思わず
『俺じゃ駄目かい?
彼女ほど頼りにならない
かも知れないけど
今日から俺が友達だ』
潤んだ目の彼女は
俺の胸に顔を埋めて泣き続けた
そして数年後俺達は結婚し
女の子が生まれた
彼女は娘にシオン(紫苑)と名前を付けた
遊園地の帰り
予約していたレストランに行く
軍から今回支給された
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シオンが物心が付いた時から
配給券で食べる外食は
いつもラーメンやカレー位で
レストランは初めて
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その夜絵里は
〈シンジ君明日行っちゃうの?〉
『ああシオンを頼むよ』
〈必ず帰って来てね〉
『約束するよ』
彼女は頷き
何時までも抱きしめていた
翌朝シンジは玄関で
理絵とシオンの見送りを受ける
≪パパ行ってらっしゃい≫
無邪気に手を振るシオン
〈生水は飲むなよ〉
絵里は泣き出しそうに成りながら
クールな振りをして
シンジを送り出す
後ろ髪を惹かれるような思いで
シンジは戦場に戻って行った
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