上 下
42 / 334
第三次世界大戦・弐

第三次世界大戦・弐・第42章・渡河

しおりを挟む
連合軍は大陸を西から東を目指し

進軍していたが大河を前に

西側沿岸に全軍を停止させた

この川は本来戦車や装甲車でも

渡れるほどの川だが上流では大雨も降らず

この時期にこれ程の濁流が

流れては居ない筈だが

衛星写真には上流の幾つかのダムが破壊され

多くの都市が洪水で水没していた

洪水の中多くの市民が逃げ惑う姿が写っていた

その上流では更に新たにダムを

破壊している様子が写っていた

この激しい濁流では

大河の東側に渡る事が出来なかった

戦車が渡る為の仮設の橋を渡しても

直ぐに流されてしまう

このままダムを次々破壊されたら

川の水位も勢いも衰えず前進も出来ず

北中国軍に十分な反撃の準備期間を与えてしまう

要は濁流が収まり川の水位が

下がれば良いだけの話だが

事はそう簡単にはいかない

偵察衛星の画像を解析していると

北部上流の中国軍の配置で気になる点が見つかった

軍事的要所でもない場所に

多くの対空砲が配備されていた

連合軍が足止めをされている

大河の東からから数十キロ先の西側の大きな川までの

間に最新鋭のレーザー対空砲が数百基

配備されていた

対戦車部隊なら分かるが

何故対空砲部隊が配備されているのか

理解出来なかった

上流も濁流で迂回ルートには適さなかった

対策会議では工兵部隊の3Dプリンターを使い

川の中に柱を作らないで

戦車を渡す橋の制作が依頼された

しかしどんなに急いでも

30日は掛かる

その間に北中国軍の反撃体制は完了する

上流の対空砲陣地は日々に増強されてゆく

連合軍は答えを見つける為に

無人機による威力偵察を行なう

凄まじい対空砲火に一瞬で

半数の無人機が撃墜された

堪らず危険を承知で大河上空を飛び越え

東側の北中国制空権内に退避する

だが大河から離れ東側に入るとそこには

北中国支配地域の筈が全く攻撃されなかった

再び大河を越え東側から対空砲火が配備されている

西側に入る今度はレーザ砲を無力化する

『レーザー拡散チャフ』を

使い近づき空対地ミサイルで

大河沿岸の対空砲台を攻撃する

次々と破壊される砲台と

大河沿岸の堤防が崩れた

一気に水が一列に並ぶ対空砲台を

数キロに渡り押し流した

レーザー砲から実弾に代わり

無人機は全て撃墜された

連合軍作戦会議は

以前撮影された衛星画像と

現在の衛星画像を重ね合わせた

そこには大河とは言えないが

東の大河と西の大きな川をつなぐ

東西に延びる川が流れていた

北中国軍はこの東西に伸びる

川を埋め立て対空砲陣地を築いた

堤防の一部を破壊しただけで

数キロに渡り濁流が流れ

対空砲陣地を飲み込んだ

大規模に堤防を破壊すれば

対空陣地は全て押し流され

地中深く破壊する

モップス弾で対空陣地を

西から東に爆撃すれば

大河の水を西側の大きな川に流し

大河の濁流が収まり水位も下がり

短時間で作れる戦車を渡せる

架設の橋を作り

対岸に全軍を渡す事が出来る

準備画で出来次第直ちに実行された

夜明けと共に空中空母から

無人機が射程範囲外を対空砲陣地の

さらに大河上流を目指し北上した

大河下流めがけミサイルを発射した

なぜか半数が点火せず川の中に落ちていった

ミサイルは下流の堤防に接近する前に

全て撃墜された

対空陣地は装甲車に対空砲を乗せた

対空部隊が配備され万全の態勢が取られていた

北中国軍戦闘機の攻撃が始まり

無人機部隊との空中戦が始まる

作戦は第二段階に入る

米軍のステルス爆撃機が高々度から進入して

対空砲火陣地を目指す

射程圏内に入る寸前

対空砲火陣地脇の大河の堤防が

大爆発を次々と起こし

堤防が広範囲に破壊され

濁流が一気に

対空砲火陣地を襲う

数十キロに渡り東西に

一直線に並ぶ対空砲火陣地が

濁流に呑まれ壊滅する

上空のステルス爆撃機から

地中貫通弾が投下され

東西に伸びる川はより深く広くなり

ついに大河の流れが変わり

水位が下がり始め川底が見えた

工兵が重機で川底の土砂や流木

無人機が投下し上流から

流れて来た不発の『魚雷』を撤去

渡河が可能になり

全軍が一気に東側に渡り

この地域最大の軍事拠点目指し進軍する

北中国軍は突然の敵襲に対し

司令官を始め上級将校はすべて

北京の軍事会議に主席して不在

連合軍の渡河は1月後と考え

迎撃準備は何も出来ていない状態で

基地指令代理の中尉には

撤退以外選択が無かった

こうして重要拠点は1日で陥落した
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

3024年宇宙のスズキ

神谷モロ
SF
 俺の名はイチロー・スズキ。  もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。  21世紀に生きていた普通の日本人。  ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。  今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。 ※この作品はカクヨムでも掲載しています。

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】

一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。 しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。 ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。 以前投稿した短編 【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて の連載版です。 連載するにあたり、短編は削除しました。

処理中です...