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ただいま大雨暴風注意報!

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休みもおわって最初の登校日。
悩みごともなくなったしすっきりした気分で学校に行けるかと思いきや、どんよりした空からはパラパラと雨が降ってる。

「休みあけしょっぱなから雨ですか~」

これは朝から可愛いひなたちゃんの顔を見て元気を出すしかないな。
ってなワケで、ふたりの様子も気になるし突撃だ~♪

「ひーなったちゃーん! 一緒に登校しーましょー!」
「うるせぇぞ、みつ!」

気分のままインターフォンを連打すれば、すぐに怒った顔をした響介が怒鳴りながら出てきた。

「もぉ~、朝から怒鳴んないでよねぇ…ハゲるよ?」
「なっ…だれがハゲるかっ!」

たしかに響介のお父さんはフサフサしてるから大丈夫そうだけど、未来はダレにもわからないよね。

「大丈夫、もしつるっつるになっても俺がちゃんとハゲましてあげるから」
「み~つ~!」

そんなことを言いあいながら部屋に入ると、ちょうど用意がおわったのかひなたちゃんがカバンを背負って俺たちのほうに走ってきた。

「あっ、ごめんみつくん、響介くん。お待たせ──」
「ひなた!」
「ひなたちゃん!」

そうしたら焦ったせいか足がもつれてひなたちゃんが転びそうになる。
とっさに助けようと手をのばすけど、距離が遠くて届かない。

俺はおもわず目を閉じてそのときを待つ。
でも転んだような音が聞こえなくてそっと目を開けると、響介が転びそうになってるひなたちゃんを支えて安堵のため息を吐いてるのが見えた。

「間に合った…」
「っ……」
「危なかったね~、ひなたちゃん。大丈夫?」
「あっ、うん! 大丈夫だよ、みつくん。…ありがとう、響介くん」

転びそうになってびっくりしたのか、カチンと固まるひなたちゃんに声をかけると、ひなたちゃんは響介からあわてて離れながらそう言った。

なんともなさそうでよかったけど、なんか──

「いや、いい。それよりさっさと学校に行こう」
「うん…」

なんか、ひなたちゃんの様子に違和感を感じる。

連休中のコトといい、コレは事件の匂いがしますねぇ~。
気になるし、ちょっと探ってみようかな。

「おい、みつ。変な顔してないで行くぞ」
「あっ、待ってよ~」

帰りになにがあったのかは聞かれたくないだろうから、とりあえずソコは避けて聞こう。

「遊びに行ってからの休みはどう過ごしてたの~?」
「僕は、家のことを手伝ったりしながらのんびりすごしてたよ」
「俺も似たようなもんだ」
「そっか~。俺はねぇ、大人が大好きなオモチャを──「み~つ~!」

そんな感じで、バレないようにごまかしながらなんとか聞きだそうとしたんだけど、けっきょくいい成果を得られないまま学校の玄関に着いちゃった。

う~ん、残念!

「そういえば、みつくん。今日はこのまま教室に来るの?」
「ううん、打ちあわせがあるから生徒会室に行く。でも休みあけだし、ソレがおわったらみんなに会いに教室へ行くよ~…ん?」

ひなたちゃんの質問に答えながら下駄箱を開けたら、ラブレターとは思えない手紙がいくつかと大量の画鋲が入れられた上履きが見えた。

「ん? どうしたみつ……またか」
「うわ…みつくん、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ~、ひなたちゃん」
「なんか、ちょこちょこ続いてんな」
「そうだね~。でもうっとうしいだけだし、あんま攻撃的じゃないからいいかなぁ」

それに、親衛隊やファンクラブの子たちが処理してくれてるしね。

きっと今日は、処理したあとにまた仕掛けられたんだと思う。
だからコレもすぐ回収されるんじゃないかなぁ。

「み、みつ君。あの、下駄箱片づけさせてもらってもいいかな?」

やっぱり来た。

この子は…
たしか親衛隊の1年生だったね。

同学年だから、きっとこのコトに気づいて来てくれたんだろうな。

「うん。ならお願いしてもいいかな?」
「よかった、さっそく片づけるね!」

その子はそう言って、俺の役に立てて嬉しいのかにこにこ笑いながら片づけの用意をはじめた。
俺はイイことを思いついて、そんな様子のその子を見つめながらにっこりと笑う。

「おい、待てみつ。笑顔が怪しいけどなに考えて──「響介は黙ってて」
「ぐふっ!」
「き、響介くん!?」

ジャマしようとしてた響介を軽く黙らせて、俺はいやがらせの手紙を右手に持ってその子の右側へ触れるか触れないかの距離まで近づく。

「みつ君…?」

あまりの近さに照れながら不思議そうに見てくるその子に、俺は甘いほほ笑みを浮かべてそっと喋りかける。

「コレ、手紙…コレはコッチに、入れるね?」
「…っ!」

まとめた手紙を左側のサイドポケットに入れてポンと軽く叩けば、その子は頬を赤く染めて小さく息を詰めた。

「つぎは画鋲だね」
「あっ……うん!」

そんな反応に小さく笑いながら下駄箱に取りにいくと、その子はハッと我に返って鞄から取りだした袋を開きはじめた。
俺は画鋲がこんもり入った上履きを手に持ってその子のそばに戻る。

「じゃあ、入れるよ…?」
「っ…う、ん」

袋をつかむその子の手にそっと手を重ねながら上履きに入った画鋲を袋のなかにパラパラと入れてく。
そしたら俺に手を重ねられたのが恥ずかしいのか、その子は顔を赤くしてぷるぷる震えはじめた。

こんな反応を見ちゃったら止められないですよね!

俺のイタズラ心はムクムクと大きくなっちゃって、つぎのイタズラを仕掛けさせる。

「あっ、待って…そんなに動いたらこぼれちゃ…‥もう、こぼれちゃった」
「ぁ、ぅ…ご、めんなさ…」

顔をさり気なく近づけて、ちょっと色っぽく囁くように喋りかける。
そうすればなにを想像したのか、その子はコクリと小さく喉を鳴らしてうつむいた。

「あ、ダ~メ。ちゃんとコッチ見て…しっかり持って? ほら、こうやって…ん、上手」
「は‥はい」

指先でくすぐるように顎を上げさせれば、潤んだ瞳とかち合う。
それにほほ笑み返して、手本にするようにその子の手をギュっと握った。

「コレで最後っと…ちゃんと、全部入れれたね。いい子…」
「はぅ~っ」

最後に髪をサラリと撫でながら耳元で囁けば、その子は顔をボフンっと赤くさせて床に座りこんだ。

ありゃりゃ、やりすぎたかな?

「片づけ手伝ってくれてありがとね」
「は、はい~」

なんか幸せそうな顔してるし、まぁいっか!
てか、集合時間も近くなってきたし早くいかないと。

「じゃあ、俺は行くねぇ~」
「──あっ、待てみつ!」
「響介バイバ~イ♪」
「み~つ~!」

そうして俺は、響介の怒鳴り声を聞きながら生徒会室に向かったのでした。





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