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恋と友情とレモン味!
side.ひなた
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side.ひなた
今日はみんなで、大人気のテーマパークに行くことになった。
最近、響介くんのことが好きだって自覚した僕にとってはドキドキの流れなんだけど…
変なことしちゃわないかすこし心配してる。
自覚したてのころは挙動不審になっちゃって、響介くんに迷惑をかけちゃったんだよね。
今日は迷惑をかけないように気をつけないと!
──なんて気合いを入れてたんだけど、そんなの無理かもしれない。
原因は、龍虎くんの希望で来たお化け屋敷。
どうしよう、ものすごく怖い…
怖いの全般苦手だけどみんながいるから大丈夫かな、なんて考えてたけど甘かった。
龍虎くんが開けようとした玄関の戸がいきなりガタガタ鳴って、ビクついてた僕の涙腺がすこしゆるむ。
「うぅ…」
怖い。
もう無理。
でもみんな楽しんでるのに今さら引きかえそうなんていえないし…
「ひなた大丈夫か?」
そう考えながら震える手を握りしめてると、響介くんが声をかけてきてくれた。
甘えちゃ駄目だ、迷惑かけちゃ駄目だって思うけど恐怖には勝てなくて…
つい響介くんに手を繋いで、なんていっちゃった。
やさしい響介くんは、もちろんすぐにオッケーして手を繋いでくれた。
それから屋敷に入ってなかを進んでくけど、怖くてビクつくたびに響介くんは元気づけるように手をギュッと握ってくれて、僕の恐怖心を和らげてくれる。
そのやさしさに心がじんわりと暖かくなるけど、つぎつぎと起こる仕掛けのせいですぐに恐怖でいっぱいになる。
ちょっとくらい浸らせてくれてもいいのに…
そんなことを考えた罰なのか、とてつもない恐怖が僕を襲った。
「ち、血がっ…ひ、人が…っ!」
嫌な物音がした部屋の障子を龍虎くんが開けたら、髪の長い血まみれの女の人が倒れてて…
今までとは比べものにならないくらいの恐怖に体を震わせながらおもわず響介くんの腕にしがみつく。
そしたら龍虎くんが口をすべらしちゃって──
「ぅ゛、ぁ゛…ぁあ゛あ゛…」
「ひっ……いやぁぁあああっ!!」
血まみれの女の人に追いかけられる羽目になっちゃった。
恐怖で固まってると、響介くんが僕を抱きあげて逃げてくれた。
響介くんはすぐ近くの部屋に滑りこんで戸を閉める。
女の人の目的は龍虎くんなのか、それとも部屋に入った僕たちに気づかなかったのか、部屋の前をそのまま走りぬけていった。
「…行ったな」
「う、うん…」
遠くなってく足音を聞いて、ふたりして安堵の息をつく
「こ、怖かった…」
「よく我慢したな、ひなた」
涙目になっても泣きはしなかった僕に、響介くんは褒めるように頭を撫でてきた
その大きい手の平から伝わるあたたかさや髪をすく感触に、僕の心はドキドキと高鳴りはじめる。
そういえば僕、響介くんに抱っこされたままだ…
改めてそのことに気づいて余計に心臓がドキドキする。
きっと、顔は真っ赤になってるだろうな。
それを見られるのは恥ずかしくて、僕はさり気なく顔を隠すようにうつむく。
「ん、どうした? 気分でも悪くなったか?」
「あっ、ううん、大丈夫。心配しないで?」
「…悪いな。みつもけっこう怖がりでさ、いつも庇ってるから…つい気にしちまうんだ」
響介くんはそう言って苦笑した。
でも、僕はそれに上手く反応をかえすことができない。
だって、それって…
それって、僕とみつくんを重ねてるみたいだ。
「…っ」
そう気づいた瞬間、僕の心がズキリと痛む。
嫌だ。
嫌だよ…
よりによって、みつくんと重ねられるだなんて…
そんなの堪えられない。
だから僕は決めた。
勇気を出して、この気持ちを響介くんに──
side.ひなた end
今日はみんなで、大人気のテーマパークに行くことになった。
最近、響介くんのことが好きだって自覚した僕にとってはドキドキの流れなんだけど…
変なことしちゃわないかすこし心配してる。
自覚したてのころは挙動不審になっちゃって、響介くんに迷惑をかけちゃったんだよね。
今日は迷惑をかけないように気をつけないと!
──なんて気合いを入れてたんだけど、そんなの無理かもしれない。
原因は、龍虎くんの希望で来たお化け屋敷。
どうしよう、ものすごく怖い…
怖いの全般苦手だけどみんながいるから大丈夫かな、なんて考えてたけど甘かった。
龍虎くんが開けようとした玄関の戸がいきなりガタガタ鳴って、ビクついてた僕の涙腺がすこしゆるむ。
「うぅ…」
怖い。
もう無理。
でもみんな楽しんでるのに今さら引きかえそうなんていえないし…
「ひなた大丈夫か?」
そう考えながら震える手を握りしめてると、響介くんが声をかけてきてくれた。
甘えちゃ駄目だ、迷惑かけちゃ駄目だって思うけど恐怖には勝てなくて…
つい響介くんに手を繋いで、なんていっちゃった。
やさしい響介くんは、もちろんすぐにオッケーして手を繋いでくれた。
それから屋敷に入ってなかを進んでくけど、怖くてビクつくたびに響介くんは元気づけるように手をギュッと握ってくれて、僕の恐怖心を和らげてくれる。
そのやさしさに心がじんわりと暖かくなるけど、つぎつぎと起こる仕掛けのせいですぐに恐怖でいっぱいになる。
ちょっとくらい浸らせてくれてもいいのに…
そんなことを考えた罰なのか、とてつもない恐怖が僕を襲った。
「ち、血がっ…ひ、人が…っ!」
嫌な物音がした部屋の障子を龍虎くんが開けたら、髪の長い血まみれの女の人が倒れてて…
今までとは比べものにならないくらいの恐怖に体を震わせながらおもわず響介くんの腕にしがみつく。
そしたら龍虎くんが口をすべらしちゃって──
「ぅ゛、ぁ゛…ぁあ゛あ゛…」
「ひっ……いやぁぁあああっ!!」
血まみれの女の人に追いかけられる羽目になっちゃった。
恐怖で固まってると、響介くんが僕を抱きあげて逃げてくれた。
響介くんはすぐ近くの部屋に滑りこんで戸を閉める。
女の人の目的は龍虎くんなのか、それとも部屋に入った僕たちに気づかなかったのか、部屋の前をそのまま走りぬけていった。
「…行ったな」
「う、うん…」
遠くなってく足音を聞いて、ふたりして安堵の息をつく
「こ、怖かった…」
「よく我慢したな、ひなた」
涙目になっても泣きはしなかった僕に、響介くんは褒めるように頭を撫でてきた
その大きい手の平から伝わるあたたかさや髪をすく感触に、僕の心はドキドキと高鳴りはじめる。
そういえば僕、響介くんに抱っこされたままだ…
改めてそのことに気づいて余計に心臓がドキドキする。
きっと、顔は真っ赤になってるだろうな。
それを見られるのは恥ずかしくて、僕はさり気なく顔を隠すようにうつむく。
「ん、どうした? 気分でも悪くなったか?」
「あっ、ううん、大丈夫。心配しないで?」
「…悪いな。みつもけっこう怖がりでさ、いつも庇ってるから…つい気にしちまうんだ」
響介くんはそう言って苦笑した。
でも、僕はそれに上手く反応をかえすことができない。
だって、それって…
それって、僕とみつくんを重ねてるみたいだ。
「…っ」
そう気づいた瞬間、僕の心がズキリと痛む。
嫌だ。
嫌だよ…
よりによって、みつくんと重ねられるだなんて…
そんなの堪えられない。
だから僕は決めた。
勇気を出して、この気持ちを響介くんに──
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