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はじまりましたよ、新歓です!
side.ひなた
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side.ひなた
「この前授業で習ったし、せっかくだから踊ってみたら?」
久佐之くんのその言葉に、僕の心臓がドキッと音を立てる。
そうなったのは、もしかしたら響介くんとワルツを踊ることができるかもしれないと期待したからだ。
「ダンスか…」
響介くんは難しそうな顔をしてそうつぶやいた。
もしかして…踊るのは、好きじゃないのかな?
じゃあ、きっと誘っても踊ってくれないよね…
「巴先輩、俺と踊っていただけますか?」
僕がうじうじ考えてたら、みつくんが椎名先輩に誘いの手を差しだしたのが見えた。
その姿はスマートでかっこいい。
みんな消極的だったのに、みつくんはすごいな。
あんなにすっと決められるなんて…
「…よし」
その姿に背中を押されて、勇気を出して響介くんに話しかける。
「き、響介くん。よかったら…僕と踊ってくれない、かな?」
緊張してすこしつっかえちゃったけど、手を差しだしてなんとか誘いの言葉を口にした。
僕は響介くんの顔を見ることができなくて、下を向いて答えを待つ。
そしたら──
「あぁ…まぁ、俺が男ポジでいいなら…」
って答えが返ってきた。
それに僕はほとんど反射で大丈夫と答える。
そのときに顔を上げた僕の目には、しょうがないなとでもいうように笑う響介くんが見えて、どこか甘やかすようなその表情に鼓動が高鳴った。
「ほら、行くぞ。踊るんだろ?」
「あ、うん!」
ドキドキと高鳴る胸を抑えてると、響介くんが手を取って僕をエスコートしてくれた。
「こっちだひなた」
そうして連れていかれて、曲に合わせて踊りはじめる。
曲はすこし悲し気な、ロマンチックなワルツ曲。
僕は響介くんのリードに合わせてステップを踏んだ。
けど――
「…っ」
「ご、ごめん! 響介くん、大丈夫!?」
ドジな僕はあろうことか、響介くんの足をおもいっきり踏んじゃった。
まわりの人も気づいたのか、小さな笑い声が聞こえる。
足を踏んだうえに響介くんに恥をかかせるなんて!
そのことがショックで、僕の目にはうっすらと涙がにじんできた。
なんで僕ってこうなんだろう…
情けない。
そう思って歯を食いしばってると、響介くんがため息を吐いたのが聞こえた。
あ、呆れられちゃったかな…?
そう思って落ちこみかけたんだけど、響介くんは――
「足踏んでも反応しなきゃまわりのヤツにはわかんないだろ。気にせず踊っとけ」
そう言って、やさしく笑ってくれた。
それにたまらなくなって、僕は口を開く。
「響介くん、ごめ──「ひなた」
そう言った響介くんの目は、違うだろっていってて、僕はいおうと思ってた言葉を飲みこんであらためて口を開く。
「…ありがとう、響介くん」
「あぁ」
僕の言葉に満足そうに笑う響介くんに僕の胸はいっぱいになって──
あぁ、好きだなぁって…心の底から思った。
side.ひなた end
「この前授業で習ったし、せっかくだから踊ってみたら?」
久佐之くんのその言葉に、僕の心臓がドキッと音を立てる。
そうなったのは、もしかしたら響介くんとワルツを踊ることができるかもしれないと期待したからだ。
「ダンスか…」
響介くんは難しそうな顔をしてそうつぶやいた。
もしかして…踊るのは、好きじゃないのかな?
じゃあ、きっと誘っても踊ってくれないよね…
「巴先輩、俺と踊っていただけますか?」
僕がうじうじ考えてたら、みつくんが椎名先輩に誘いの手を差しだしたのが見えた。
その姿はスマートでかっこいい。
みんな消極的だったのに、みつくんはすごいな。
あんなにすっと決められるなんて…
「…よし」
その姿に背中を押されて、勇気を出して響介くんに話しかける。
「き、響介くん。よかったら…僕と踊ってくれない、かな?」
緊張してすこしつっかえちゃったけど、手を差しだしてなんとか誘いの言葉を口にした。
僕は響介くんの顔を見ることができなくて、下を向いて答えを待つ。
そしたら──
「あぁ…まぁ、俺が男ポジでいいなら…」
って答えが返ってきた。
それに僕はほとんど反射で大丈夫と答える。
そのときに顔を上げた僕の目には、しょうがないなとでもいうように笑う響介くんが見えて、どこか甘やかすようなその表情に鼓動が高鳴った。
「ほら、行くぞ。踊るんだろ?」
「あ、うん!」
ドキドキと高鳴る胸を抑えてると、響介くんが手を取って僕をエスコートしてくれた。
「こっちだひなた」
そうして連れていかれて、曲に合わせて踊りはじめる。
曲はすこし悲し気な、ロマンチックなワルツ曲。
僕は響介くんのリードに合わせてステップを踏んだ。
けど――
「…っ」
「ご、ごめん! 響介くん、大丈夫!?」
ドジな僕はあろうことか、響介くんの足をおもいっきり踏んじゃった。
まわりの人も気づいたのか、小さな笑い声が聞こえる。
足を踏んだうえに響介くんに恥をかかせるなんて!
そのことがショックで、僕の目にはうっすらと涙がにじんできた。
なんで僕ってこうなんだろう…
情けない。
そう思って歯を食いしばってると、響介くんがため息を吐いたのが聞こえた。
あ、呆れられちゃったかな…?
そう思って落ちこみかけたんだけど、響介くんは――
「足踏んでも反応しなきゃまわりのヤツにはわかんないだろ。気にせず踊っとけ」
そう言って、やさしく笑ってくれた。
それにたまらなくなって、僕は口を開く。
「響介くん、ごめ──「ひなた」
そう言った響介くんの目は、違うだろっていってて、僕はいおうと思ってた言葉を飲みこんであらためて口を開く。
「…ありがとう、響介くん」
「あぁ」
僕の言葉に満足そうに笑う響介くんに僕の胸はいっぱいになって──
あぁ、好きだなぁって…心の底から思った。
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