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恋模様はヘキサゴン!

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◇◇◇

それからどれくらい経ったのか。

「みっ、みつ君!?」
「ん…巴、先輩…?」

いつの間にか寝ちゃってた俺は、巴先輩のビックリした声に目を覚ました。

「あ、あの、これはどういう…っ」
「あー…」

巴先輩は完全にパニクっちゃってる。

きちんと説明してあげたいけど、行かないでって泣いたなんていったら落ちこみそうだしなぁ~。
どうしよう;

そう思って言葉をにごしてたら、巴先輩が小さく声をあげた。
どうかしたのかと思って見ると、その視線の先には巴先輩の手に握られた俺の上着が──

「えっと、ごめんなさい…」
「いや、俺的には役得だったんで! 気にしないでください♪」

予想どおり落ちこんじゃった巴先輩に、俺は明るく笑いかける。

落ちこませたくてしたんじゃないし、巴先輩には笑顔でいて欲しいもん!

「みつ君、でも…」
「じゃあ、悪いなって思うなら笑ってください。それでチャラです!」
「…うん。ありがと、みつ君」

巴先輩の暗くなってた顔がフワリとほころんで、やさしいほほ笑みが浮かんだ。

もう、すっごい可愛い!
一緒に寝れたうえにこんな可愛い笑顔が見れるなんて、むしろ俺がありがとうですよ巴先輩!

おもわず俺も笑顔になって、ふたりして笑いあう。
その顔にはもう影は見当たらなくてホッと胸を撫でおろした。

コレなら帰っても大丈夫だね。

「それじゃあ俺は帰ります。今日はもうムリはしないで、ゆっくり休んでくださいね?」
「うん、そうするよ」

部屋の入口まで送ろうとする巴先輩を押しとどめて、また明日といって部屋から出た。
もう日も沈む時間だけど、準備が忙しいのか生徒会フロアに人の気配はない。

今からでも手伝いに行ったほうがいいかな、なんて思いながらエレベーターを待ってると──

「あ…」
「みつクン…」

着いたエレベーターから悦が降りてきた。

「このフロアにいるってことは…もしかして、今まで巴と一緒にいたの?」

食堂での視線のコトもあるしちょっと気まずいなって思ってたら、なにもなかったみたいに笑顔で話しかけられた。

えっ、なにその態度。
悦のせいで、巴先輩はあんなツラい思いしたんだよ?

巴先輩の泣き顔を思い出して、俺は悦の態度にすげぇ苛立った。

「えぇ、ダレかさんのおかげで傷ついてたみたいですから。じっくり慰めさせてもらいましたよぉ~」

俺はその苛立ちのまま、にっこり笑いながら含みを持たせた言いかたで返す。
けど、返ってきたのはたった一言。

「へぇ…」

なんだよ、へぇって!
すこしはなんか反応──

「おわっ」

反応しろよ、とか思ってたら壁際に追いつめられて逃げられないように腕で囲まれちゃった。

やべ、やりすぎたかな?

「みつクン」
「なに?」

でも悪いとは思わない。
巴先輩泣かせるようなコトする悦が悪いんだもん。

そう思いをこめて、まっすぐ向けられる強い目を反抗するように見かえす。

「みつクンは、巴のことどう思ってんの?」
「…どうって?」

いきなり壁際に追いこんでこんな質問。
どういう意味?

「そのまんまの意味だよ。みつクンが好きなオレとしては気になって、ね」
「ふぅ~ん」

俺のコトが好き、ね。
たしかにこんなコトされたらそう思っちゃいそうだけど──

「ウソつく人にはヒミツ…かな」

そんな簡単に騙されないよ。
だいたい、目の前で他のヤツとキスしといて好きはないっしょ。

「じゃあねぇ~」

このままいてもろくなコトにならないと思って、隙間からさっさと抜けだして止まったままだったエレベーターに乗りこんだ。
まだなんかいいたげな悦をムシして、俺はエレベーターの扉を閉める。

「まったく、なにしてんだか」

動きだしたエレベーターの壁にもたれかかってつぶやく。

このあいだケンカしたと思ったら今日のコレですよ、まったく。

ホントは首突っこまないで、大人しく見守るつもりだったんだけどね…
どんどんワケわかんないコトになってくんだもん、ほっとくなんてムリだよ。

「ちょーっとお節介してみますか」




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