江路学園へようこそ！

退っ引きならない事情にて！

side.帝

side.帝

保健室を飛びだしたあと、会長室に戻った俺は罪悪感に苛まれていた。

俺は本当に…なにをやってるんだ！
さっきのことといい、その前だって──

俺はふらつく体を引きずってベットに腰かけ、頭を抱えた。

揚羽が制裁を受けていると親衛隊員から連絡をもらったとき、風紀に任せずに飛びだしたのがまず悪い。
あれは風紀の仕事を横取りしていた。

本来なら関与してはいけないものだったのに…

それに、制裁に関与していた男たちにだって、あそこまでやることはなかっただろう。
動けない程度にしておけばよかったのに、押さえられなくて全員気を失わせてしまった。

そのせいで、風紀には余計な手間をかけさせてしまったな…

そしてそのあとの、揚羽とのキス──

いや、キスだけじゃない。
俺はあのとき、揚羽の肌を撫で、その肌に唇を──

｢っ、思い出すな！｣

あのとき、俺はいつもと様子の違う揚羽にとまどって、それと同時に、なんとかしてやりたいと強く思った。
そんなときに切なげな声で名前を呼ばれて…気づいたらアレだ。

見られたのは痛いが、光が入ってきてくれて本当によかった。

｢何度同じことをくり返すんだ、俺は…｣

いい加減にしろと自分のことながら本当に思う。

｢俺はこの学園の会長だ。俺はゲイでもバイでもない。…自分の立場を、忘れるな｣

くり返しつぶやいて心に刻む。

それなのに…
どうしてこんなに、心が乱れるんだ。

｢揚羽…｣

どうして俺は、こんなに──





side.帝 end