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抜き差しならない事情にて!
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「ん~、気持ちいい朝だねぇ~」
天気はいいし──
「あっ、揚羽君!」
「おはようございますっ」
「おはよう、みつ君!」
「おはようございまっす♪」
チワワくんたちは可愛いし──
なにより、夢見がよくて朝からご機嫌のみつくんでっす♪
「いやぁ~、ハーレムは男のロマンだね!」
「朝っぱらから変なこと言ってないで、さっさと靴を履き替えろ」
「響介うるさい。せっかくの気持ちのいい朝なんだからグダグダ言わないでよぉ~」
「ぐだぐだ…っ?!」
「ま、まぁまぁ、響介くんっ」
大体、いわれなくても履きかえ──
「ん?」
──ドサドサドサッ──
「…わぁ~お」
「くっ、黒い…」
「すごい量だな…」
下駄箱からなんか落ちたと思ったら、ソレは大量の黒い手紙。
う~ん、コレは完璧にアレだ。
「嫌がらせの手紙だね」
「ぅわっ」
「…っ」
「ひゃあ!」
び、びっくりしたぁ~。
「ごめん、みつクン。驚かせちゃった?」
「リ、リーダーさん…」
ダレかと思ったらリーダーさんですよ。
後ろから急に声かけるとか、心臓に悪いですリーダーさん;
「あ、リーダーさんじゃなくて舞人って呼んでよ。ね、みつクン?」
「あ…」
含みをこめて呼ばれてハッとした。
驚きすぎて気づかなかったけど、リーダーさん普通に喋ってる。
「あの後、親衛隊もファンクラブもみつクン呼びにすることに落ちついたんだ。だ・か・ら…みつクンも舞人って名前で呼んでね♪」
おぉ、親衛隊の人も下の名前で呼んでくれるようになるんだぁ。
それなら昨日のケンカもムダじゃなかったって思えるね!
「わかりました、舞人先輩♪」
「ん~、先輩はいらないんだけどなぁ。まぁ、うるさいのもいるしいっか…それよりみつクン」
「あ、はい…ん?」
なんですか? ってつづけようと思ったら、いつの間にかできてた人垣をかき分けてコッチに来る不良くんが見えた。
「──不良くん、どうしたの?」
「別に、風紀委員の仕事だ」
人波に揉まれながらも、なんとか目の前まで来た不良くんに声をかけるとそっけなく返された。
むぅ~、ちょっと疲れた顔してるから心配したのにぃ。不良くんったら冷たい!
「やっぱこうなったか…」
不良くんは俺の不満を込めた視線なんかあっさり流して、大量の黒い手紙を見つめながら眉間に皺を寄せてる。
ふ、不良くん。
眉間にシワなんかよせるから、近くにいる野次馬チワワくんたちがピルピル震えて怖がってるよっ。
「ただでさえ友達すくないのに…」
「は?」
「いや、コッチの話し」
なんでもないっていってごまかす。
不良くんは結構気にしいだからね。
ココはこうするのがやさしさってコトで!
「そんな眉間に皺よせて、怖い顔しなくてもいいと思うよ? みつクンの同室者の風紀委員クン」
「ま、舞人先輩…」
あ~、いわないでいたのにいっちゃったよ;
「っ…アンタ、は?」
不良くんは眉をピクッて動かしたあと、なにもなかったみたいに舞人先輩を見た。
なんとも思ってませんよーみたいに装ってるけど、怖い顔っていわれたの絶対気にしてるよぉ~っ!
心なしか、目がちょっと潤んでる気が…
ま、負けるな不良くん!
「ボクはみつクンのファンクラブリーダー、御鉾 舞人。昨日、会長補佐就任の放送があったし、こうなるだろうなって思って確認に来たんだ」
「アンタが…。こう、なるだろうって…やっぱり」
「うん、100パーそうだね」
「え? ん?」
なんか自己紹介してると思ったらいつのまにか目線で会話してうなづきあってる。
な、なに話してるんだ?
「みつクン」
「はいぃっ!」
「あ、ごめん。また驚かせちゃった?」
「い、いえ…気にしないでください」
気を取られてただけっす;
「今、風紀とも話したんだけど…これは形式的な制裁だと思う」
「形式的な、制裁?」
「形式的な制裁ってなんですか?」
ずっと黙って空気になってた響介が話しに入ってきた。
まぁ、一応幼なじみだしね。
大量の黒い手紙なんか見たから心配してくれてんでしょ。
…知らんぷりするけど。
「通過儀礼みたいなもんだよ。会長補佐に就任したからね…まぁ、調子に乗らずに頑張ってって感じのメッセージかな」
「メッセージ…」
「通過儀礼…」
響介とふたりして舞人先輩の言葉をポツリとくり返す。
「証拠に、剃刀とか物騒な物が入ったのはないでしょ?」
「はい、そうですね」
いつの間にか黒い手紙を拾って集めてたひなたちゃんが、舞人先輩の声に答えた。
「一応、安全確認で封筒の上から触ってみたけど普通の手紙だけだったし…先輩のいうとおりじゃないかな?」
「そう、か…」
「物騒なのは見た目だけかぁ」
最初に見たときはビックリしたけど、そういうコトなら安心だね。
「このことはボクたちが話をつけておくね。あ、手紙くれる?」
「あっ、はい。どうぞ」
ひなたちゃんは舞人先輩に言われて手紙を差しだす。
けど、その手を不良くんがつかんで止めた。
「っ、ちょっと、待て!」
「なに?」
「勝手に決められても、困る。このまま風紀まで…来て、くれ」
「──わかったよ、あとで色々いわれても嫌だからね」
ポツポツと喋る不良くんに、舞人先輩は渋々って感じにため息を吐いてうなづいた。
なんか不良くんの喋りかたが変な気が…
もしかして人見知り?
それとも舞人先輩みたいなタイプが苦手とか?
「じゃああとのことはまかせてね、みつクン♪」
「じゃあな…」
そんなコト考えてる間に話しはまとまって、ひなたちゃんから手紙を受けとった不良くんたちは行っちゃった。
「朝から大変な目にあったね、みつ君」
「いやぁ~、ビックリしたよぉ~」
「たしかに。大量の黒い手紙は驚いた」
ホント、なんの呪いですかって聞きたくなるくらいだったよ。
「でも威力ならニラとニンニクのダブルパンチのほうが強かったよねぇ」
「そ、そうだね」
「っ…思い出させんな、みつ」
あ、響介がすっごいしかめっ面になった。
その顔に俺はおもわず吹きだして、つられたひなたちゃんと一緒に笑いあう。
あのとき一番被害くらったの響介だもんねぇ。
モロに匂い嗅いじゃってたもん。
「…いつまで笑ってんだ」
「ふふっ、ごめんね響介くん。早く教室行こっか」
「あぁ…」
「あっ、ごめん。俺、特別棟に行かなきゃいけないんだ」
いうの完璧に忘れてた;
「特別棟って、生徒会のお仕事?」
「うん。行事の準備で忙しいみたい」
「そっか…大変だと思うけど、準備頑張ってね」
ひ、ひなたちゃんの応援と天使の微笑み…
「うんっ! 頑張ってくるよ、ひなたちゃん♪」
俺、今ならなんだってできる気がするっ!
「副会長にちょっかい出したりすんなよ?」
「…そっちはなるべく頑張りまぁ~す」
なんだってっていったけど、できないコトもあるよね♪
「じゃあねぇ~」
「なっ! 待て、みつ!」
怒った顔で言われて待つわけないじゃん。
俺はベェ~っと舌を出してそそくさと逃げた。
「あ、の…節操無しーっ!」
.
天気はいいし──
「あっ、揚羽君!」
「おはようございますっ」
「おはよう、みつ君!」
「おはようございまっす♪」
チワワくんたちは可愛いし──
なにより、夢見がよくて朝からご機嫌のみつくんでっす♪
「いやぁ~、ハーレムは男のロマンだね!」
「朝っぱらから変なこと言ってないで、さっさと靴を履き替えろ」
「響介うるさい。せっかくの気持ちのいい朝なんだからグダグダ言わないでよぉ~」
「ぐだぐだ…っ?!」
「ま、まぁまぁ、響介くんっ」
大体、いわれなくても履きかえ──
「ん?」
──ドサドサドサッ──
「…わぁ~お」
「くっ、黒い…」
「すごい量だな…」
下駄箱からなんか落ちたと思ったら、ソレは大量の黒い手紙。
う~ん、コレは完璧にアレだ。
「嫌がらせの手紙だね」
「ぅわっ」
「…っ」
「ひゃあ!」
び、びっくりしたぁ~。
「ごめん、みつクン。驚かせちゃった?」
「リ、リーダーさん…」
ダレかと思ったらリーダーさんですよ。
後ろから急に声かけるとか、心臓に悪いですリーダーさん;
「あ、リーダーさんじゃなくて舞人って呼んでよ。ね、みつクン?」
「あ…」
含みをこめて呼ばれてハッとした。
驚きすぎて気づかなかったけど、リーダーさん普通に喋ってる。
「あの後、親衛隊もファンクラブもみつクン呼びにすることに落ちついたんだ。だ・か・ら…みつクンも舞人って名前で呼んでね♪」
おぉ、親衛隊の人も下の名前で呼んでくれるようになるんだぁ。
それなら昨日のケンカもムダじゃなかったって思えるね!
「わかりました、舞人先輩♪」
「ん~、先輩はいらないんだけどなぁ。まぁ、うるさいのもいるしいっか…それよりみつクン」
「あ、はい…ん?」
なんですか? ってつづけようと思ったら、いつの間にかできてた人垣をかき分けてコッチに来る不良くんが見えた。
「──不良くん、どうしたの?」
「別に、風紀委員の仕事だ」
人波に揉まれながらも、なんとか目の前まで来た不良くんに声をかけるとそっけなく返された。
むぅ~、ちょっと疲れた顔してるから心配したのにぃ。不良くんったら冷たい!
「やっぱこうなったか…」
不良くんは俺の不満を込めた視線なんかあっさり流して、大量の黒い手紙を見つめながら眉間に皺を寄せてる。
ふ、不良くん。
眉間にシワなんかよせるから、近くにいる野次馬チワワくんたちがピルピル震えて怖がってるよっ。
「ただでさえ友達すくないのに…」
「は?」
「いや、コッチの話し」
なんでもないっていってごまかす。
不良くんは結構気にしいだからね。
ココはこうするのがやさしさってコトで!
「そんな眉間に皺よせて、怖い顔しなくてもいいと思うよ? みつクンの同室者の風紀委員クン」
「ま、舞人先輩…」
あ~、いわないでいたのにいっちゃったよ;
「っ…アンタ、は?」
不良くんは眉をピクッて動かしたあと、なにもなかったみたいに舞人先輩を見た。
なんとも思ってませんよーみたいに装ってるけど、怖い顔っていわれたの絶対気にしてるよぉ~っ!
心なしか、目がちょっと潤んでる気が…
ま、負けるな不良くん!
「ボクはみつクンのファンクラブリーダー、御鉾 舞人。昨日、会長補佐就任の放送があったし、こうなるだろうなって思って確認に来たんだ」
「アンタが…。こう、なるだろうって…やっぱり」
「うん、100パーそうだね」
「え? ん?」
なんか自己紹介してると思ったらいつのまにか目線で会話してうなづきあってる。
な、なに話してるんだ?
「みつクン」
「はいぃっ!」
「あ、ごめん。また驚かせちゃった?」
「い、いえ…気にしないでください」
気を取られてただけっす;
「今、風紀とも話したんだけど…これは形式的な制裁だと思う」
「形式的な、制裁?」
「形式的な制裁ってなんですか?」
ずっと黙って空気になってた響介が話しに入ってきた。
まぁ、一応幼なじみだしね。
大量の黒い手紙なんか見たから心配してくれてんでしょ。
…知らんぷりするけど。
「通過儀礼みたいなもんだよ。会長補佐に就任したからね…まぁ、調子に乗らずに頑張ってって感じのメッセージかな」
「メッセージ…」
「通過儀礼…」
響介とふたりして舞人先輩の言葉をポツリとくり返す。
「証拠に、剃刀とか物騒な物が入ったのはないでしょ?」
「はい、そうですね」
いつの間にか黒い手紙を拾って集めてたひなたちゃんが、舞人先輩の声に答えた。
「一応、安全確認で封筒の上から触ってみたけど普通の手紙だけだったし…先輩のいうとおりじゃないかな?」
「そう、か…」
「物騒なのは見た目だけかぁ」
最初に見たときはビックリしたけど、そういうコトなら安心だね。
「このことはボクたちが話をつけておくね。あ、手紙くれる?」
「あっ、はい。どうぞ」
ひなたちゃんは舞人先輩に言われて手紙を差しだす。
けど、その手を不良くんがつかんで止めた。
「っ、ちょっと、待て!」
「なに?」
「勝手に決められても、困る。このまま風紀まで…来て、くれ」
「──わかったよ、あとで色々いわれても嫌だからね」
ポツポツと喋る不良くんに、舞人先輩は渋々って感じにため息を吐いてうなづいた。
なんか不良くんの喋りかたが変な気が…
もしかして人見知り?
それとも舞人先輩みたいなタイプが苦手とか?
「じゃああとのことはまかせてね、みつクン♪」
「じゃあな…」
そんなコト考えてる間に話しはまとまって、ひなたちゃんから手紙を受けとった不良くんたちは行っちゃった。
「朝から大変な目にあったね、みつ君」
「いやぁ~、ビックリしたよぉ~」
「たしかに。大量の黒い手紙は驚いた」
ホント、なんの呪いですかって聞きたくなるくらいだったよ。
「でも威力ならニラとニンニクのダブルパンチのほうが強かったよねぇ」
「そ、そうだね」
「っ…思い出させんな、みつ」
あ、響介がすっごいしかめっ面になった。
その顔に俺はおもわず吹きだして、つられたひなたちゃんと一緒に笑いあう。
あのとき一番被害くらったの響介だもんねぇ。
モロに匂い嗅いじゃってたもん。
「…いつまで笑ってんだ」
「ふふっ、ごめんね響介くん。早く教室行こっか」
「あぁ…」
「あっ、ごめん。俺、特別棟に行かなきゃいけないんだ」
いうの完璧に忘れてた;
「特別棟って、生徒会のお仕事?」
「うん。行事の準備で忙しいみたい」
「そっか…大変だと思うけど、準備頑張ってね」
ひ、ひなたちゃんの応援と天使の微笑み…
「うんっ! 頑張ってくるよ、ひなたちゃん♪」
俺、今ならなんだってできる気がするっ!
「副会長にちょっかい出したりすんなよ?」
「…そっちはなるべく頑張りまぁ~す」
なんだってっていったけど、できないコトもあるよね♪
「じゃあねぇ~」
「なっ! 待て、みつ!」
怒った顔で言われて待つわけないじゃん。
俺はベェ~っと舌を出してそそくさと逃げた。
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