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生徒会パニック!
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◇◇◇
上手くできた朝食と、幸せそうに食べる不良くんを堪能してから数十分。
風紀の仕事で早めに出る不良くんを見送ってのんびりしてた俺も、そろそろ出なきゃいけない時間になった。
「さぁ~て、行きますかぁ」
鞄をつかんで玄関の扉を開ける。
そしたら…
─グイッ─
「ぅわっ!」
いきなり外から扉が開いて、体勢が崩れた。
ちょっ、朝から転ぶのとか勘弁っ!
「──あっ」
とか思ってたら、誰かに抱きとめられて助かった。
お礼をいうために顔を上げた先には──
「わんこくん!」
「…‥」
相変わらず無口なわんこくんが。
助かったけど、もしかして扉引っぱったのもわんこくんじゃ…
まぁいっか、転ばなかったし。
「おはよう、わんこくん。助けてくれてありがとね♪」
小さくうなづくわんこくんを見ながら体勢を立てなおして、すこし固めの髪を撫でる。
あぁ、今日もわんこだなぁ…
でも、なんでわんこくんが朝から部屋の前に?
あ、もしかして──
「わんこくん、俺のコト迎えに来てくれた?」
「‥ん…」
ちょっと~、なにこの可愛い生物。
ハチ公か、ハチ公なのか!?
おもわず心のなかで悶えながらわんこくんの頭をグリグリ撫でる。
あぁ…
大人しく撫でられてるのも可愛い。
「あ、そうだわんこくん。友達も一緒だけどいい?」
嬉しくてちょっと忘れてたよ;
大丈夫かな?
うかがうように見ると興味なさそうにうなづくわんこくんが。
よかった、イヤっていわれたらどうしようかと思ったよ。
響介はどうでもいいんだけど、ひなたちゃんがね。
これで丞がいたら最高なんだけどなぁ~
でも丞は低血圧らしくて、朝はどうしてもギリギリになるんだって。
残念…
「じゃあ、呼んでくるからちょっと待っててね?」
わんこくんがうなづくのを確認してから、隣の部屋のインターフォンを声に合わせて連打する。
「きょ~すっけくぅ~ん! むっかえに来ぃたよぉ~!」
──ガチャッ──
「朝っぱらからインターフォンを連打するなっ!」
扉が開いたと思ったらいきなりの怒声。
おおぅ、朝から元気だねぇ、響介くん。
「おはよう、響介。朝からそんな怒ると血管切れるよ?」
「お前のせいだろうがっ!!」
あれ?
なんかデジャブ…
まぁいっか、そんなのより重要なコトがあるもんねぇ。
「はいはい、わかったわかった。だからどいてねぇ~、お邪魔しま~す」
「あっ、おい!──って、だれだそいつ?! ちょっ、みつ!!」
驚いてる響介をムシして、わんこくんの手を引きながらなかに入る。
ひなたちゃん、ちゃんと準備できてるかなぁ。
部屋のなかをくるりと見渡すけどいない。
あれぇ?
まだ部屋にいるのかな?
「ひなたなら用意しに行ってる。すぐ来るから大人しく待ってろ」
「わかったぁ。わんこくん、座って待ってよ?」
「…‥」
無言でうなづくわんこくんをソファーまで連れてって一緒に座る。
響介はその前にあるソファーに座った。
そんで一言。
「で、どこで拾ってきた?」
「拾ってきたなんて人聞き悪いなぁ」
「犬呼ばわりしてるし、お前ならやりかねないからな」
「犬じゃなくてわんこだよ。てか拾ってないし、ちゃんと懐いてついて来てくれてるの! ねぇ~? わんこくん」
「…ん」
もぅ、失礼しちゃう!
「そうか。まぁ、変なやつではなさそうだからいいか…ここはひなたの部屋でもあるからな、知らないやつはあんま入れんなよ?」
「はいはぁーい」
俺は響介の言葉に元気よく返事をした。
たしかにそうだよね。
知らない人が自分の部屋にいたらびっくりしちゃうもんねぇ。
うんうんって小さくうなづいて、ソコで思い出す。
「響介、ひなたちゃんちょっと遅くない?」
壁にかかってる時計を見て首をかしげる。
いつもならもう出てる時間だよ。
「そうだな…いつもなら来てもいい頃だ。ちょっと見て──「待たせてごめん! 今日提出のプリントが見つからなくて…っ」
そういって響介が立ちあがりかけたトコロに、ちょうどひなたちゃんが部屋から出てきた。
でも様子が変。
固まったまま動かない。
どうしたんだろ?
「ひなたちゃん?」
「しょ…」
「しょ?」
「書記補佐様っ!?」
あぁ、わんこくんが原因か。
ちょっとびっくりしちゃったよ。
「きょっ…みっ…し、しょ…っ!」
「あ~、ひなたちゃん落ちついてぇ」
驚いた顔をしながらわたわたするひなたちゃんの側までいって背中を撫でる。
すごいテンパりようだねぇ。
「ご、ごめん、みつくん。あまりにすごい人がいたから驚いちゃって…‥」
すこしは落ちついたのか、ひなたちゃんはぎこちないながらも微笑んでくれた。
よかった…
でも、そうだよね。
知らない人が部屋にいただけでもびっくりするのに、それが様とかで呼ばれちゃうような人だったらああなるよね。
ちょっと反省;
「ううん、俺こそごめんね? 考えなしに連れてきちゃって…」
「大丈夫だよ、気にしないで?」
そういってやさしく微笑んでくれるひなたちゃん、可愛すぎです!
もぅ、キュンとしちゃったよぉ。
「ところで、書記補佐ってなんのだ?」
「…‥」
キュンキュンしながらひなたちゃんとじゃれてると、気になったのか響介がわんこくんに質問したけど見事にムシ。
しかも顔を背けるオマケつき。
「あ~ぁ、嫌われちゃったね響介くん。朝から怒鳴るからだよ」
「俺が悪いのか?!」
「うん」
「はぁ?!」
コレを機会に怒りっぽいトコをなおすべきだね。
「き、響介くん…; あのね、生徒会の書記補佐だよ」
あ~ぁ、ひなたちゃんいっちゃった。
まったく、やさしいんだから。
「書記様と従兄弟で、入学初日に任命されて──「ちょっと待て。生徒会っていったか?」
「え? あ、うん」
あ、響介の眉間に皺がよった;
そのままコッチを睨みながら詰めよってくる。
「み~つ~!」
「いや、あの、知らなかったんだよ! 俺も今知った! いやぁ~、スゴい偶然だね♪」
ホントは薄々気づいてたけど…
そんなコトいったらどうなるかわかんないから黙っとこ。
「絶対、嘘だろ?! その顔は知ってたって顔だ!」
「いやっ、そんなコトないよ響介くん! だからそんな怖い顔して近づいてこないでぇっ」
「お前のせいだろ! 利王さんとの約束を忘れたのか?!」
「いやぁ~…そのぉ~…」
完璧に忘れてたけどそんなのいえない。
──仕方ない、ココは逃げるが勝ちだ!
「ごめん、響介…ちょっと忘れてたかも──っ」
「ちょっ、待てみつ! どこ行くっ」
「あっ、みつくん…! 響介くんっ!」
いいおわると同時に全力でダッシュ。
ひなたちゃんが呼んだのはわかったけど…
ごめんね、今はそれドコロじゃない。
響介が鬼の形相で追ってくるのわかるからね。
絶対、逃げきってみせる!
.
上手くできた朝食と、幸せそうに食べる不良くんを堪能してから数十分。
風紀の仕事で早めに出る不良くんを見送ってのんびりしてた俺も、そろそろ出なきゃいけない時間になった。
「さぁ~て、行きますかぁ」
鞄をつかんで玄関の扉を開ける。
そしたら…
─グイッ─
「ぅわっ!」
いきなり外から扉が開いて、体勢が崩れた。
ちょっ、朝から転ぶのとか勘弁っ!
「──あっ」
とか思ってたら、誰かに抱きとめられて助かった。
お礼をいうために顔を上げた先には──
「わんこくん!」
「…‥」
相変わらず無口なわんこくんが。
助かったけど、もしかして扉引っぱったのもわんこくんじゃ…
まぁいっか、転ばなかったし。
「おはよう、わんこくん。助けてくれてありがとね♪」
小さくうなづくわんこくんを見ながら体勢を立てなおして、すこし固めの髪を撫でる。
あぁ、今日もわんこだなぁ…
でも、なんでわんこくんが朝から部屋の前に?
あ、もしかして──
「わんこくん、俺のコト迎えに来てくれた?」
「‥ん…」
ちょっと~、なにこの可愛い生物。
ハチ公か、ハチ公なのか!?
おもわず心のなかで悶えながらわんこくんの頭をグリグリ撫でる。
あぁ…
大人しく撫でられてるのも可愛い。
「あ、そうだわんこくん。友達も一緒だけどいい?」
嬉しくてちょっと忘れてたよ;
大丈夫かな?
うかがうように見ると興味なさそうにうなづくわんこくんが。
よかった、イヤっていわれたらどうしようかと思ったよ。
響介はどうでもいいんだけど、ひなたちゃんがね。
これで丞がいたら最高なんだけどなぁ~
でも丞は低血圧らしくて、朝はどうしてもギリギリになるんだって。
残念…
「じゃあ、呼んでくるからちょっと待っててね?」
わんこくんがうなづくのを確認してから、隣の部屋のインターフォンを声に合わせて連打する。
「きょ~すっけくぅ~ん! むっかえに来ぃたよぉ~!」
──ガチャッ──
「朝っぱらからインターフォンを連打するなっ!」
扉が開いたと思ったらいきなりの怒声。
おおぅ、朝から元気だねぇ、響介くん。
「おはよう、響介。朝からそんな怒ると血管切れるよ?」
「お前のせいだろうがっ!!」
あれ?
なんかデジャブ…
まぁいっか、そんなのより重要なコトがあるもんねぇ。
「はいはい、わかったわかった。だからどいてねぇ~、お邪魔しま~す」
「あっ、おい!──って、だれだそいつ?! ちょっ、みつ!!」
驚いてる響介をムシして、わんこくんの手を引きながらなかに入る。
ひなたちゃん、ちゃんと準備できてるかなぁ。
部屋のなかをくるりと見渡すけどいない。
あれぇ?
まだ部屋にいるのかな?
「ひなたなら用意しに行ってる。すぐ来るから大人しく待ってろ」
「わかったぁ。わんこくん、座って待ってよ?」
「…‥」
無言でうなづくわんこくんをソファーまで連れてって一緒に座る。
響介はその前にあるソファーに座った。
そんで一言。
「で、どこで拾ってきた?」
「拾ってきたなんて人聞き悪いなぁ」
「犬呼ばわりしてるし、お前ならやりかねないからな」
「犬じゃなくてわんこだよ。てか拾ってないし、ちゃんと懐いてついて来てくれてるの! ねぇ~? わんこくん」
「…ん」
もぅ、失礼しちゃう!
「そうか。まぁ、変なやつではなさそうだからいいか…ここはひなたの部屋でもあるからな、知らないやつはあんま入れんなよ?」
「はいはぁーい」
俺は響介の言葉に元気よく返事をした。
たしかにそうだよね。
知らない人が自分の部屋にいたらびっくりしちゃうもんねぇ。
うんうんって小さくうなづいて、ソコで思い出す。
「響介、ひなたちゃんちょっと遅くない?」
壁にかかってる時計を見て首をかしげる。
いつもならもう出てる時間だよ。
「そうだな…いつもなら来てもいい頃だ。ちょっと見て──「待たせてごめん! 今日提出のプリントが見つからなくて…っ」
そういって響介が立ちあがりかけたトコロに、ちょうどひなたちゃんが部屋から出てきた。
でも様子が変。
固まったまま動かない。
どうしたんだろ?
「ひなたちゃん?」
「しょ…」
「しょ?」
「書記補佐様っ!?」
あぁ、わんこくんが原因か。
ちょっとびっくりしちゃったよ。
「きょっ…みっ…し、しょ…っ!」
「あ~、ひなたちゃん落ちついてぇ」
驚いた顔をしながらわたわたするひなたちゃんの側までいって背中を撫でる。
すごいテンパりようだねぇ。
「ご、ごめん、みつくん。あまりにすごい人がいたから驚いちゃって…‥」
すこしは落ちついたのか、ひなたちゃんはぎこちないながらも微笑んでくれた。
よかった…
でも、そうだよね。
知らない人が部屋にいただけでもびっくりするのに、それが様とかで呼ばれちゃうような人だったらああなるよね。
ちょっと反省;
「ううん、俺こそごめんね? 考えなしに連れてきちゃって…」
「大丈夫だよ、気にしないで?」
そういってやさしく微笑んでくれるひなたちゃん、可愛すぎです!
もぅ、キュンとしちゃったよぉ。
「ところで、書記補佐ってなんのだ?」
「…‥」
キュンキュンしながらひなたちゃんとじゃれてると、気になったのか響介がわんこくんに質問したけど見事にムシ。
しかも顔を背けるオマケつき。
「あ~ぁ、嫌われちゃったね響介くん。朝から怒鳴るからだよ」
「俺が悪いのか?!」
「うん」
「はぁ?!」
コレを機会に怒りっぽいトコをなおすべきだね。
「き、響介くん…; あのね、生徒会の書記補佐だよ」
あ~ぁ、ひなたちゃんいっちゃった。
まったく、やさしいんだから。
「書記様と従兄弟で、入学初日に任命されて──「ちょっと待て。生徒会っていったか?」
「え? あ、うん」
あ、響介の眉間に皺がよった;
そのままコッチを睨みながら詰めよってくる。
「み~つ~!」
「いや、あの、知らなかったんだよ! 俺も今知った! いやぁ~、スゴい偶然だね♪」
ホントは薄々気づいてたけど…
そんなコトいったらどうなるかわかんないから黙っとこ。
「絶対、嘘だろ?! その顔は知ってたって顔だ!」
「いやっ、そんなコトないよ響介くん! だからそんな怖い顔して近づいてこないでぇっ」
「お前のせいだろ! 利王さんとの約束を忘れたのか?!」
「いやぁ~…そのぉ~…」
完璧に忘れてたけどそんなのいえない。
──仕方ない、ココは逃げるが勝ちだ!
「ごめん、響介…ちょっと忘れてたかも──っ」
「ちょっ、待てみつ! どこ行くっ」
「あっ、みつくん…! 響介くんっ!」
いいおわると同時に全力でダッシュ。
ひなたちゃんが呼んだのはわかったけど…
ごめんね、今はそれドコロじゃない。
響介が鬼の形相で追ってくるのわかるからね。
絶対、逃げきってみせる!
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