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こうはらみしろ

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親衛隊パニック!

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で、その翌日。
迷惑なものがつっこまれた下駄箱のかわりに──

『おはようございます、揚羽様っ!』

ズラリと並んだ男の子たちがいた。

「あ、はい…おはようございます…」

すっごい眺め。

わんこくんに、ネコちゃんに、小悪魔っ子まで…
朝からなんて天国!

でも、あのぉ…
ココ、玄関なんですけど;

どうしたんだろうって思ってたら、ずらりと並んだそのなかからひとり俺の前まで来た。

あれ? 
この子──

「弥尋ちゃん?!」
「はいっ、弥尋です。覚えててもらえたなんて…嬉しいです」

弥尋ちゃんはそう言って、キラキラした目で見あげてくる。

覚えてるってぇ、イイ思いさせてもらったしね♪

でも、なんで弥尋ちゃんが?
しかも、玄関にズラリと並んで…

「それで、こんなトコでどうしたの?」
「実は、揚羽様に許可してほしいことがあって待っていました」

俺に?
弥尋ちゃんだから変なコトではないと思うけど、まったくわからない;

「その許可して欲しいコトってなぁに?」
「実は…揚羽様の親衛隊を作ることを許してほしいんです」
「…へ?」

ピシリ、とかしこまって弥尋ちゃんが言う。
その目はすごく真剣。

でも…
今、なんていった?

「揚羽様には迷惑をかけないようにします…貴方の役に立ちたいんですっ。揚羽様の親衛隊を作ることを許してくださいっ!」
『お願いします!』

みんな頭を下げて、すごく一生懸命にお願いしてくる。
可愛い子たちにこんなふうにお願いされて、断れるヤツがいたら見てみたいね。

「いいよぉ」
「…えっ!?」

こんなあっさりオッケーされると思わなかったみたい。
みんな驚いてコッチを見てくる。

「これからよろしくお願いします」
「あ、揚羽様…っ」
『こちらこそ、よろしくお願いします!』

みんな目をキラキラさせてて、なかには潤んでる子もいる。

可愛いなぁ~。
なぁんて思ってたら──

「玄関で、なに固まってんだ…」

和やかな空気のなかに、冷たい声がひびき渡った。

あれ? 
この声は──

振りかえったら、やっぱりそうだった。

「不良くぅーんっ!」
「っ!」

人混みをかきわけてきた不良くんにジャンピングアタック!

そんでギューって抱きつく。
そしたら、不良くんからイイ匂いがした。

石鹸の香りだ~。

「離れろ、この馬鹿っ!」
「い~や♪」
「あ、揚羽様! その方は…?!」

俺の腕のなかで暴れる不良くんを抱きしめてると、弥尋ちゃんがかたい表情をして聞いてきた。

知らないんだったら紹介しないとね!

「あぁ、不良くんはねぇ──」

──♪~♪~♪──

でも、説明しようとした俺の声に被さるようにクラシック音楽がなった。
チャイムのかわりに流してるみたい。

ブルジョワめっ!

「あ~ぁ、残念。時間だね;」
「あの、揚羽様……」

弥尋ちゃんたちがなんかいいたそうにしてる。

あぁ、そうだよね。
話してる途中だったもん。

「お昼休みに、みんなでご飯食べながらゆっくり話そっか」
『は、はい!』

そう言ったら、みんなが嬉しそうに顔をほころばせた。

「じゃあ、僕が迎えにいきますね」
「あ、お願いします」

みんな喜んでくれてよかった。
俺もお昼休みが楽しみになったし、いいこと尽くめだね♪

「話…おわったんなら、早く教室に行け。…そんでお前は離れろっ!」

話がおわるの待っててくれるなんてなんだかんだいってやさしいなぁ~、なぁんて思ってたけど不良くん冷たい。

絶対離れてなんかあげないっ!

そう思ったんだけど──

「ほら、みつ。遅刻するだろ、水瀬から早く離れろ」
「は~い、しかたないなぁ~」

響介に言われてしぶしぶ不良くんから離れる。
早く行かないと怒られるしねぇ。

朝から怒られるのはイヤだもん。

「じゃあまたねぇ~、不良くん♪」
「さっさと行けっ!」
「みつ! 行くぞっ!」
「はいはぁ~い」

ふたりの大声にテキトーに返事をしながらついてく。

あんだけ怒ってよく血管切れないよねぇ~。
すこしは笑ったほうがいいんじゃないかなぁ?

まっ、怒らせてるのは俺なんですけどね。
俺は悪びれなく笑って、機嫌よく教室に向かった。

早くお昼休み来ないかなぁ~。




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