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学園寮は波乱がいっぱい!

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「ねぇねぇ、恋チャン」
「「ボクたちのこと紹介してよ♪」」

おぉ、見事なハーモニー!

顔も格好も仕草もそっくり。
しかもふたりとも可愛い。

双子だよね?
ひさびさに見たよ双子。

「馴れなれしく呼ばないでください、先輩方…」
「「恋チャンこっわーい♪」」

そう言って腹黒副会長が双子くんに向かってにっこり笑いかけたんだけど…
怒りをにじませながら笑ってるから、双子くんの言うとおりたしかに怖いかも;

顔が綺麗なぶんよけいにね。
ほら、氷のほほえみ…みたいな?

あ、何人か倒れた!
今の笑顔が原因?

でも幸せそうな顔してるよ。

あ、可愛い子が倒れた子を運びはじめた。
天使だ、天使がいる。

「はぁ…もういいです」
「「恋チャンやっさし~い♪」」
「すこし黙っててください。みつ君、こちらは…みつ君?」
「あ、すみません。天使が…─」
「は? 天使?」
「いえ、なんでもありません」

ダメだね、タイプの子がいるとすぐ目移りしちゃうの。
気をつけよ。

「そう、ですか? では紹介します、生徒会書記の──「3年、南 彼方でっす!」
「同じく3年、南 遥伽でっす!」

さっきも思ったけど…

レベル高っ! 
スッゴい可愛い!

色白で顔小さいし、目もクリっと丸くて大きくて、ちょっとその目に吸いこまれそう。

てか、ゆるふわ天パの髪の毛がミルクティー色で美味しそうだなぁ…
いや、ホントには食べないよ?

「「ヨロシクね、みつクン♪」」
「俺は今日転校してきた揚羽 みつです。よろしくお願いします、先輩♪」

お近づきになれて光栄ですよぉ。
夜方面でもお近づきできたらもっと光栄です!

でも、なんか忘れてる気が…

「オレもよろしくしてほしいな、みつクン」
「え?」

おぉっ、イケメンだ!

声のほうを見たら、チャラ男系イケメンがいた。
そのイケメンがどんどん俺に近づいてくる。

銀色に染めた長めの髪に、カラコンで同色にした銀の瞳。
チラチラ見えるいくつものピアスと、開きすぎだろってくらい開いた胸元に見えるネックレス。

見ればみるほどチャラい…

そんなコト考えてるあいだに、チャラ男イケメンが目の前まで来ちゃった。

うぐ…
身長高いな、この人。

首がちょっと痛い;

あ、俺は小さくないよ? 
176.5㎝あるんだから!

この.5大切だからね? 
忘れないでね!

小さい、男のプライドなんです…

「オレは生徒会会計の2年、篠井 悦。よろしく」
「転校生の揚羽みつです…よろしくお願いします」

俺、決してチャラいワケじゃないと思うんだけど…
なんか、この人に親近感をかんじる。

いったいなんだろ?

「ねぇねぇ、みつクン!」
「ボクたちとゲームしよ?」
「ゲーム?」

どんなんだろ?
楽しいのなら大歓迎♪

「うん♪」
「「どっちがどっちゲーム!」」

ん? 
どっちがどっちゲーム?

「ボクたち回りまーす!」
「回りまーす!」

そう言うと、双子先輩は近くのチャラ男会計と腹黒副会長のまわりを回りはじめた。
たまにピョコって顔出すのが可愛い。

ヤバい、涎が…

「つぎはみつクンのばーん♪」
「いっくよぉー♪」

目の前に来た双子先輩に腕をつかまれる。

あれ? 
まさか…

「「そぉーれっ!」」
「やっぱりぃ~!!」

うわ、ヤッバい! 
けっこう早いよ?

目ぇ回る! 
完ぺき目ぇ回るってっ!

「「すとーぷっ!」」
「うぅ…」

め、目ぇ回った;

「さぁて…」
「彼方と遥伽…」
「「どっちがどぉーちだ♪」」

ま、待って…
そんな可愛い笑顔で言われても、今はムリっす;

「「はぁーやぁーくぅー!」」
「わかった。わかりました」

可愛い我儘だなって思うけど、マジで待って欲しかった;

「えーと、そうだなぁ」

右の先輩はネコよりの匂いがして…
左の先輩はタチよりの匂いがする…

細かいトコ見ると他にも色々あるな。
ソレも合わせて回る前のふたりと比べるとぉ~

「右が遥伽先輩で、左が彼方先輩! どう?」
「「……ウソ」」
「へ?」
「「もう1回!!」」
「えぇ~~っ!」

それでホントにもう1回やりました。
もちろん、結果は変わらず。

「すっごい!」
「本当に正解!」

いやぁ、それほどでもないよ。
もっと褒めて♪

「「ご褒美あげる♪」」

え、ご褒美?
ソレってなにかなぁ~。

──ちゅっ──

あ、両頬にチューされちった☆
しかも双子先輩に挟まれて。

ちょっと物足りない気もするけど、ナイスご褒美です!
でも、彼方先輩の唇が震えてた気が…

まさか、純情くんなのかな?
ヤバい、またよだれが;

「おわったんならイイ?」

お、今度はチャラ男会計か。
なんだろ?

「どぉぞ?」
「じゃあさ…──」

そう言いながら、チャラ男会計は俺の両側にいた双子先輩を引きはがした。

あ、くそ…
イイ触り心地だったのに。

つい心のなかで悪態をついてたら、今度はチャラ男会計自身が俺の腰に腕を回してくっついてきた。

…双子先輩のコトは、まぁいっか♪

かわりのぬくもりに機嫌をなおしてると、チャラ男会計がそっと顔をよせてくる。

なんだろ?

「──オレとも遊ばない?」
「遊び?」

いわれた言葉に、俺はコテンと首をかしげる。

えーと、ソレは純粋に遊びですか?
それとも──

「そう。キモチイイ、遊び…」
「…っ」

答えを求めるようにチャラ男会計をジッと見つめてたら、耳に息を吹きこむようにそっと囁かれた。

ちょっ、ゾクゾクする…っ!

でもそんな遊びなら大歓迎です!
うわ、テンションあがってきた♪

「篠井、公共の場でいかがわしいことをしないで頂けますか?」

ついテンションをあげてると、腹黒副会長からお叱りの声が入っちゃった;

「あいかわらずお堅いなぁ、ウチの副会長は」

あ~ぁ、チャラ男会計離れちゃった。
でも離れぎわにスラックスのポケットになんか入れられた感じがした。

あとで見てみよっと♪

「貴方が緩すぎなんです。帝、貴方もなにか言って…‥帝?」

ん? 
まだだれかいるの?

チャラ男会計たちで見えてなかったよ;

「会長?」
「「どうしたのぉ?」」

あ、見えた──
って、イケメンキングがいた…

うわ、圧巻。

なにこの人…
なにこの人!

すっごい存在感。

俺、この人のコト気づいてなかったの?
信じらんない…

意志が強そうな切れ長の目に整った目鼻立ちで、薄くて淡い唇が色っぽいし。
背が高くて、身体も適度な筋肉がしっかりついてて男らしい。

くそぅ、羨ましい。

理想が目の前にいる。
ちょっとでいい、筋肉わけてくれ、筋肉。

俺、なかなかつかないんですよ筋肉;

って、いつの間にか目の前まで来てた。
えっと、なんだっけ…

「会、長?」

うかがうみたいに首をかしげて見あげる。

あってるよね? 
チャラ男会計が会長っていってたもん。

でも…

あれ? 
反応がない;

もっかい呼んでみるか。

「会ちょ……ん?!」

ちょ! 
いきなりチューされましたけどぉっ!

『いやぁーー!!』
『久我様ぁーー!!』
『やめてぇーー!!』
『キャーー!!』

──ガッシャーン!──

キャー?

てか、スゴい音したよ? 
大丈夫?

うわ、でもヤバい。

そんなの気にならなくなるくらい気持ちイイ。
俺、流されちゃいそう…

「みつ!」
「っ!」

この声は響介!

…あっ、利王さんとの約束っ! 
ヤバい、離れなきゃっ!!

「っ、く…」

あ、おもわず鳩尾に拳入れちゃった;
みんな気づいてないと思うけど、いい角度と速さで決まっちゃったよ…

だ、大丈夫かな?

「すみませ──「っ、悪かった…」
「っ!」

あわてて俺のあやまる言葉を遮って、詰まった息の間にボソリとあやまられる。
そんで会長は早足で食堂から去ってった。

「ちょっ、帝!」
「会長?!」
「「久我会長ぉ!」」

腹黒副会長たちも会長を追って食堂を出てく。

俺はというと…
腰が抜けて床に座りこんでます。

「みつ、大丈夫か? 手ぇつかまれ」
「あ…ありがと」

差しだされた響介の手をつかんで立ちあがる。

うわっ、足がぷるぷるする;
覚えがあるぞ、この感じ。

双子先輩が『久我会長』っていってた。
ってコトは──

十中八九、利王さんの血筋だよ!!

「油断した…っ」
「みつ…;」

自分の馬鹿!

うぅ、不覚だ。
利王さんにバレたらどうしよう…怖い;

お仕置きMAXだけはイヤだよぉぉお~っ!!




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