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しおりを挟むつぎの日、残念ながら御堂の態度は変わらずで、休み時間になるたびに俺のもとへと現れた。
なぜ御堂に俺の貴重な休み時間を占領されないといけないんだ。
あぁ、本当イライラする。
さらにまたしても──
「崎先輩、やっぱり一緒に食べるご飯はおいしいですねぇー」
「……」
俺は、御堂と一緒に昼食を食うことになった。
席は当然、離してるけど。
「そうか。よかったなぁ、御堂」
それもこいつ、水野のせいだ。
こいつ、絶対沈めてやる。
「御堂、黙れ。飯がまずくなる」
「せ、せんぱ~い……」
御堂が甘ったるい顔ですがるような目を向けてきた。
すこし離れて座らせているが、こいつの存在がうっとうしくてイラつくことに変わりはない。
「はぁ……水野、つぎやったらシメる」
「なんでそんなに嫌がるかねぇ……ぶっちゃけ言って、おまえらお似合いだぞ?」
「はぁ?」
「そ、そうですよねぇ! 水野先輩っ!」
どこをどうしたら、こいつと俺がお似合いになるんだ。
しっかり見えてるのか?
「御堂うるさい。崎と話ができねぇだろうが、端行って食ってろ」
「えぇーっ!」
「先輩命令」
「ちぇー」
水野とのやり取りを終えて、御堂が教室の端に行く。
はぁ……
すこしは静かになるか。
「水野、なにも言わない。眼科へ行け」
「しっかり見えてる。見えてるから言ってんだよ」
見えててか。
「すまない、脳神経外科だな」
「違ぇよ」
じゃあ、なんだ。
本当に俺と御堂がお似合いだとおもってるのか?
やめてくれ。
「おまえなぁ、よく考えろよ」
「考えてる」
「考えてないね!」
「……」
どこがだ。
なにいってるんだ、水野。
「おまえ、自分が他のやつらからなんていわれてるか知ってんだろ? 全細胞が氷でできてるだとか、目が合ったら凍るだとか」
「まぁ、一応」
聞いた瞬間、馬鹿っぽい表現とかおもったけど。
「そう言われるほど、興味ない人間や嫌いな人間に冷たいんだ」
「それで」
「おまえ、頭イイくせにバカだな」
……水野め
「おまえこそ馬鹿だ。現国もっと勉強しろ」
「あのな! ……いや、いい。言いたいのはこれだけだ」
「なんだ」
「なんでおまえは御堂をそばにいさせる。なんでそんなにイライラしてるんだ」
「それ、は……」
「俺がいったこと、よく考えろ」
なんで考えなきゃいけない。
なんで御堂のことを──
「そばに、いさせてなんかない! 御堂がいっても聞かないんだっ! イライラするのも……甘ったるい御堂がいるからで、だから……っ!」
「はぁ……ホント、バカ」
「どこがだ!」
「崎も甘いとおもうけど?」
「……っ!」
この俺が、甘い……?
「あの……崎、先輩?」
御堂が立ちあがり、心配そうにこっちを見てる。
「御、堂……」
御堂と目が合った。
なんだ……
なんだ、これ……
「ちょっ、崎先輩!?」
俺は、気づいたときには教室から飛びだしてた。
「ほっとけ、御堂」
「水野先輩。でも──」
「アイツが自分で考えて、自分で気づかないといけないんだからな」
「……水野先輩?」
「あんなに取りみだす崎ははじめて見た」
「あの……?」
「お前のこと応援してんだよ」
「─…ありがとうございます」
教室から飛びだした俺は、ふたりがそんな会話をしていたなんて知るよしもなかった。
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