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しおりを挟む企画部にもどると、入り口で根本が不機嫌そうに俺を待っていた。
「どうしたんだ、根本? 不機嫌そうな顔して」
「だって先輩、俺の質問を無視するんですもん」
「あっ、悪い」
そういえばなにか聞いてきてたよな
あのときは皇貴のことでいっぱいいっぱいだったから気づけなかった。
「じゃあ、俺の質問に答えてください。……ここじゃ邪魔になるし、屋上に行きましょう?」
「あぁ、そうだな」
俺はあいつの言葉にうなづき、屋上へと向かった。
「で、さっきのつづきなんですけど……今日ぶつかったやつ、あいつ知り合いなんですか?」
屋上についたとたん根本は質問してきた。
すこしピリピリしてる気がする。
なにがそんなに気になるんだ?
「なんだ? やっぱ同じ男として、できるやつは気になるのか?」
「いや、そうじゃないですけど……」
根本はうつ向き、歯切れが悪そうにしている。
なんか珍しいな。
「あいつは……高校のとき、友達だったやつだよ」
友達という言葉に、俺は笑いたくなった。
あのときだって今だって
あいつを友達だなんておもえないのに──
「友達、ですか……?」
「あぁ、寮の部屋が一緒だったからな」
「そう、ですか……」
「だからって、弱味とか聞いても無駄だぞ?」
微妙に気まずい雰囲気を変えるためにふざけてみる。
こいつとこんな雰囲気になるなんて──
本当、珍しいな。
「そんなこと聞きませんって。てか、弱味なんか聞かなくても楽勝でしょ」
「お、言ったなぁ~」
俺はわざとカッコつけて言ったあいつの頭をグリグリと押す。
「痛い、いたい!先輩、痛いですってぇ」
「ふっ……悪い、わるい」
「いえ、元気になったみたいですね」
あいつのせいだとはバレてないとおもうけど、驚いて固まってしまった。
俺は慌ててごまかす。
「あ、あぁ。なんか、海外の企画に参加することになってさ、しばらくお前らと仕事できなくなるとおもうと寂しくてなぁ……」
「先輩、可愛いこといってくれますね♪」
「なっ、先輩に可愛いとはなんだ!? 教育しなおしてやるっ!」
「わぁ~っ! 先輩ギブ、ギブっ!!」
この日は梶本のおかげで、乱れていた心がなんとか持ちなおした。
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