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第三話 課外授業ー①
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「ということで課外授業をします!」
「はーい」
「このあほ抜きにしましょう」
軽蔑しながらノレイは指をさす。
「そのあほの為にやるから無理なのよ、ごめんねノレイ」
あほな声を出す21歳児は、18歳の少女ノレイといがみ合いながらエイダの後を追いかける。
「お前18なんだってな、俺は21だぞ敬語を使え!」
「はぁ?こちとら18にして王立保護区で働く天才少女なんですけど?」
「はい、喧嘩しないの」
間に入り喧嘩を止める、ちなみにエイダお姉ちゃんはぴちぴちの26歳だ。
「後、はじめ君はもう少し大人になってね」
「はい……」
ノレイに鼻で笑われ、また喧嘩を始めそうになるがさっきの言葉を思い出して口を閉じる。
「はい、真面目な質問です!」
「どうぞ、はじめ君」
「ここは最東端と言ってましたけど近くに村などはありますか?」
「ある訳ないでしょ」
「ノレイも駄目よ」
ノレイの頭に軽い手刀をくらわす姿は、年の離れた姉妹のように見える。
「なので今回は、外で星物確保のために頑張っている内の戦闘担当、ネレちゃんの活躍を見に行きます!」
「さすがに……緊張するな……」
初めての外に対してか、ネレ対してか、胃がキリキリと痛くなるのを確かに感じる。
「まぁ、ネレはあんたと同い年とは思えないほど頼りになるけど、劣等感を抱かないでね」
貶しているのか、励ましているのか、分からないやつだなと思いつつノレイなりの気遣いを感じる。
デミウサギのいる熱帯地区を通り、一番奥を目指して歩く。
「ここら辺は本当に大丈夫なんだよな」
「しっかり管理してるから大丈夫よ」
「せいぜい、迷子にならないように付いて来なさい」
ここまでくるとツンデレにしか見えなくて可愛くなってくるなこいつ。
二人の二歩後ろを見たことのない植物を見ながら歩く。
「ガサッ」
「?」
さっき音がしたような?「おーい、誰だー?」前の二人に聞こえないように、声を殺しながら呼びかける。
「ピル―」
「お前は、もしかして……あの時の?」
「この耳触り間違いない、伊達に一時間も抱き合ってないな俺たちは」
「ピル―」
「そうかお前も来たいんだな!ばれないように着いて来いよ」
遅れを埋めるように小走りでついていく。熱帯地区の一番奥、隠されるように外につながる扉はある。
「じゃあ、開けるわね」
* * *
ギィーと外につながる音は鳴る。視界一面に広がるのは大粒の星々で、時々流れていき、月のようなものがあたり一面を薄く照らす。冷涼な風を頬に感じながら、こわばりをほぐす。
百メートルほど先にネレがいるらしい森がある。熱帯地区ほどは鬱蒼としていないが、独特の雰囲気が漂っており、一歩近づくたびに生き物の鳴き声が聞こえてくる。
「ほ、本当に大丈夫なんだよな」
恥ずかしげもなく年下の女の子の腕にしがみつく。
「大丈夫だからそんな、引っ付かないでって」
「今回は奥の方まで行ってないから等級の低い星物しかいないし、ネレもいるから大丈夫よ」
ちょっと待って怖すぎ、この人たち慣れすぎて感じてないけど普通にやばいんですけど?!でもここで取り乱せば馬鹿にされるし……
「緊張しすぎ、あんたに寄ってくるよ」
拍子抜けな言葉にキョトンとしていると手招きで呼ばれる。
悔しいが、元が美しいからか真面目な顔はより様になる。
森に一歩踏み込んだ瞬間、空気が少し重くなるのを感じつつ後をついていく。
「もうそろそろ、ネレのところに着くわよ」
「どんな美人がいるかお楽しみだな」
* * *
片手剣を持ち息を切らしているアメジストのような目、腰まで伸びた長い髪の毛、静然と立つ彼女は間違いなく、セレム・ネレだろう。ただ一つおかしい事があるとすれば、全身が血まみれであることだろう。
「はーい」
「このあほ抜きにしましょう」
軽蔑しながらノレイは指をさす。
「そのあほの為にやるから無理なのよ、ごめんねノレイ」
あほな声を出す21歳児は、18歳の少女ノレイといがみ合いながらエイダの後を追いかける。
「お前18なんだってな、俺は21だぞ敬語を使え!」
「はぁ?こちとら18にして王立保護区で働く天才少女なんですけど?」
「はい、喧嘩しないの」
間に入り喧嘩を止める、ちなみにエイダお姉ちゃんはぴちぴちの26歳だ。
「後、はじめ君はもう少し大人になってね」
「はい……」
ノレイに鼻で笑われ、また喧嘩を始めそうになるがさっきの言葉を思い出して口を閉じる。
「はい、真面目な質問です!」
「どうぞ、はじめ君」
「ここは最東端と言ってましたけど近くに村などはありますか?」
「ある訳ないでしょ」
「ノレイも駄目よ」
ノレイの頭に軽い手刀をくらわす姿は、年の離れた姉妹のように見える。
「なので今回は、外で星物確保のために頑張っている内の戦闘担当、ネレちゃんの活躍を見に行きます!」
「さすがに……緊張するな……」
初めての外に対してか、ネレ対してか、胃がキリキリと痛くなるのを確かに感じる。
「まぁ、ネレはあんたと同い年とは思えないほど頼りになるけど、劣等感を抱かないでね」
貶しているのか、励ましているのか、分からないやつだなと思いつつノレイなりの気遣いを感じる。
デミウサギのいる熱帯地区を通り、一番奥を目指して歩く。
「ここら辺は本当に大丈夫なんだよな」
「しっかり管理してるから大丈夫よ」
「せいぜい、迷子にならないように付いて来なさい」
ここまでくるとツンデレにしか見えなくて可愛くなってくるなこいつ。
二人の二歩後ろを見たことのない植物を見ながら歩く。
「ガサッ」
「?」
さっき音がしたような?「おーい、誰だー?」前の二人に聞こえないように、声を殺しながら呼びかける。
「ピル―」
「お前は、もしかして……あの時の?」
「この耳触り間違いない、伊達に一時間も抱き合ってないな俺たちは」
「ピル―」
「そうかお前も来たいんだな!ばれないように着いて来いよ」
遅れを埋めるように小走りでついていく。熱帯地区の一番奥、隠されるように外につながる扉はある。
「じゃあ、開けるわね」
* * *
ギィーと外につながる音は鳴る。視界一面に広がるのは大粒の星々で、時々流れていき、月のようなものがあたり一面を薄く照らす。冷涼な風を頬に感じながら、こわばりをほぐす。
百メートルほど先にネレがいるらしい森がある。熱帯地区ほどは鬱蒼としていないが、独特の雰囲気が漂っており、一歩近づくたびに生き物の鳴き声が聞こえてくる。
「ほ、本当に大丈夫なんだよな」
恥ずかしげもなく年下の女の子の腕にしがみつく。
「大丈夫だからそんな、引っ付かないでって」
「今回は奥の方まで行ってないから等級の低い星物しかいないし、ネレもいるから大丈夫よ」
ちょっと待って怖すぎ、この人たち慣れすぎて感じてないけど普通にやばいんですけど?!でもここで取り乱せば馬鹿にされるし……
「緊張しすぎ、あんたに寄ってくるよ」
拍子抜けな言葉にキョトンとしていると手招きで呼ばれる。
悔しいが、元が美しいからか真面目な顔はより様になる。
森に一歩踏み込んだ瞬間、空気が少し重くなるのを感じつつ後をついていく。
「もうそろそろ、ネレのところに着くわよ」
「どんな美人がいるかお楽しみだな」
* * *
片手剣を持ち息を切らしているアメジストのような目、腰まで伸びた長い髪の毛、静然と立つ彼女は間違いなく、セレム・ネレだろう。ただ一つおかしい事があるとすれば、全身が血まみれであることだろう。
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