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第6章 魔力クリスタルの深淵
cys:126 アネーシャvs王宮魔導士達
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「覚悟なさいっ!!」
アネーシャは咆哮を上げ剣を振り下ろしたが、その直後バッ! と後に飛び退いた。
足元が凄まじい凍気でピキピキピキッ! と、凍りついていったからだ。
「誰っ?!」
アネーシャが声を上げると、レイのセクシーで美しい姿を思い浮かべる、華美な香りが漂ってきた。
「フフッ♪ 惜しかったわぁ」
その姿に、パッと顔を明るくするメティア。
「レイ!」
「メティア、よく頑張ったわね♪」
レイはメティアに微笑むと、妖しく美しい瞳でアネーシャを見つめる。
「でも、本当に惜しかったわ。アナタの素敵な醜い姿を、美しい氷の中に閉じ込めてあげれたのに♪」
「素敵な醜い姿?」
「ええ。弱ってる相手にトドメを刺そうとする、アナタの心よ♪」
レイからフフン♪ とした態度で流し目を向けられたアネーシャだが、動ずる事無く余裕の笑みで返す。
「あら、不意打ちをしてくるアナタこそ、自分で氷の棺に入ったらどうかしら♪ 素敵な心じゃない」
「フンッ、言うわね。蛮族のくせに」
レイがイラっとして片手で髪をファサッとかき上げると、アネーシャは片手で軽く握った拳を口に添えて笑う。
「アハッ、蛮族って……アナタの格好の方が、よっぽどはしたないと思うけど♪」
「なによ!」
「フッ♪ 図星ね」
「~~~!」
睨み合うレイとアネーシャ。
その中でガクッと気を失ったノーティスに、レイはハッとして駆け寄った。
「ノーティス、どうしたの! しっかりして!」
レイがノーティスの体を揺さぶると、メティアがレイにそっと触れてきた。
「レイ、落ち着いて。大丈夫って言うのも変だけど、ノーティスは気を失っただけだよ」
「気を失っただけって、どういう事よ……」
レイが不思議そうに見つめてくると、メティアは寂しげに軽くうつむく。
さっきまでの、激しく切ない戦いを思い浮かべたから。
「今さっきまで、凄く苦しそうだったんだ」
「えっ」
「ボクの魔法で傷も体力も全快したけど、原因不明の頭痛で……」
「じゃあ、今はそれが落ち着いたって事なの?」
「うん……だから寝かせといてあげて」
メティアがそう言って寂し気に微笑むと、レイはノーティスの手をキュッと優しく握り、眠っている顔を優しく見つめる。
「ノーティス、早く起きてくれなきゃイヤよ。私とデートの約束したんだから……♪」
そしてスッと立ち上がり、アネーシャをキッと睨みつけた。
「許さない! 私の愛するノーティスを、こんな風にしたアナタを!」
「あら、早とちりさんね♪ 私のせいじゃないわ。急に苦しみだしたんだもの」
「ハアッ? なんですって!」
嘘だと思いアネーシャに怒鳴りつけたレイに、横からメティアが告げる。
「レイ、本当だよ。確かにアネーシャと戦ってたけど、それとは別に、急に頭を抱えて苦しみだしたの!」
「そんな……メティア、アナタでも治せなかったの?」
「うん、ごめん。さっき言った通り、ヒールLv:4でも他の魔法でも治せなかったよ……」
メティアが悲しく零すと、アネーシャは笑う。
「フフッ、早とちりさん。いくら綺麗でも、そんなんじゃ、好きな相手にも嫌われちゃうわよ♪」
「黙りなさい! そんなの、アナタにとやかく言われる筋合いは無いわ」
レイが怒鳴ると、アネーシャはニヤッと笑みを浮べた。
まるで、今の会話でレイの本性を見抜いたかのように。
「フーン……アナタって一見気が強そうに見えるけど、ホントは凄く寂しがり屋なのね♪」
「はっ? 何言ってるの。そんな事ないわ」
「フフッ、隠したってムダよ♪ そーねぇ、アナタにはグイグイ来てくれる、一見ガサツな人が合ってるんじゃないかしら♪」
「なっ?!」
心の内を一瞬で見透かされたレイが驚いて目を大きく開くと、正にそのガサツな男がやって来た。
「おっ、レイ。お前さん、相変わらずまーーたインチキ占い師にやられてんな。ホラムの時で懲りただろーが」
「ジーク!」
「向こうがあら方片付いたんで来てみりゃ、お前さんも懲りねぇヤツだな。ガッハッハッ♪」
ジークが大声で笑うと、アネーシャは今度はジークをジッと見つめた。
「アナタ面白いわね」
「ん? 俺がかい」
「えぇ、そうよ。アナタってガサツなくせに、好きな女には尽くすタイプでしょ♪」
「バッ、バカ言え。なんで俺様が……」
顔を赤くしたジークに、アネーシャはニヤッと笑みを向ける。
「だってアナタ優しそうだもん。それを隠す為に、敢えてガサツに振る舞ってるのね。フフッ、可愛いじゃない♪」
「レイ、なんだコイツは」
「あら、ジークこそやられてるじゃない。インチキ占い師さんに♪」
レイがニヤッと笑うと、アネーシャは2人に向かって微笑んだ。
「レイとジークか、アナタ達お似合いよ♪」
「はあっ?! な、何を言ってるのよ!」
そう言って顔を火照らし文句を言うレイの隣で、ジークはドキッとして顔を赤くしながら零す。
「レ、レイ。こいつは本物の占い師さんだわ……信じるしかねぇ」
「ジーク、アナタね……」
呆れた顔をして肘で小突くレイ。
「あらレイ。いらないんなら、私がもらっちゃうわよ♪ 彼可愛いし」
「渡すわけないでしょ! あっ……」
しまったという表情で顔を赤くして、両手で口を抑え目を大きく開いたレイ。
そんなレイを見て、アネーシャは楽しそうに笑う。
「アハハッ♪ レイ、貴女分かりやすいわね」
「な、なによアンターーー!」
顔を火照らせたままギーッ! と、睨むレイの横で、ジークはレイの可愛さに頭から湯気を出している。
アネーシャはそんな会話をしていると、昔の事を思い出した。
トゥーラ・レヴォルトで、好きな人や友達と仲良く遊んでた時の事を。
───楽しかったな。あの頃……あの人もまだ皆いて……
けれど、アネーシャが仲良くしていた人達はもういない。
スマート・ミレニアム軍にやられてしまったから……!
それを思い返したアネーシャは、軽く楽しく話をしてしまった自分を恥じ、剣先をレイとジーク達にスッと向ける。
「お喋りはここまでよ。勇者が倒れた今、アナタ達の負けなんだから!」
「くっ……」
「チッ……」
「それでもまだ抵抗するなら、相手してあげても構わないけど。1人に複数でかかってくるのが、スマート・ミレニアムの流儀ならね♪」
アネーシャに、一瞬で追い詰められたレイとジーク。
確かに勇者同士の一騎打ちは、その他の大勢がどうであれ、その決着によって決めるのが戦いのルール。
アネーシャがノーティスと一騎打ちに挑んだのも、それが理由だった。
無用な死者を出さない為に。
「さあ、どうするの! レイ、ジーク」
「やるわね……!」
「どーするよ……」
追い詰めるアネーシャと、それにたじろぐレイとジーク。
けどそんな中、颯爽と現れた。
アネーシャに慧眼な眼差しを向ける天才魔導軍師が。
アネーシャは咆哮を上げ剣を振り下ろしたが、その直後バッ! と後に飛び退いた。
足元が凄まじい凍気でピキピキピキッ! と、凍りついていったからだ。
「誰っ?!」
アネーシャが声を上げると、レイのセクシーで美しい姿を思い浮かべる、華美な香りが漂ってきた。
「フフッ♪ 惜しかったわぁ」
その姿に、パッと顔を明るくするメティア。
「レイ!」
「メティア、よく頑張ったわね♪」
レイはメティアに微笑むと、妖しく美しい瞳でアネーシャを見つめる。
「でも、本当に惜しかったわ。アナタの素敵な醜い姿を、美しい氷の中に閉じ込めてあげれたのに♪」
「素敵な醜い姿?」
「ええ。弱ってる相手にトドメを刺そうとする、アナタの心よ♪」
レイからフフン♪ とした態度で流し目を向けられたアネーシャだが、動ずる事無く余裕の笑みで返す。
「あら、不意打ちをしてくるアナタこそ、自分で氷の棺に入ったらどうかしら♪ 素敵な心じゃない」
「フンッ、言うわね。蛮族のくせに」
レイがイラっとして片手で髪をファサッとかき上げると、アネーシャは片手で軽く握った拳を口に添えて笑う。
「アハッ、蛮族って……アナタの格好の方が、よっぽどはしたないと思うけど♪」
「なによ!」
「フッ♪ 図星ね」
「~~~!」
睨み合うレイとアネーシャ。
その中でガクッと気を失ったノーティスに、レイはハッとして駆け寄った。
「ノーティス、どうしたの! しっかりして!」
レイがノーティスの体を揺さぶると、メティアがレイにそっと触れてきた。
「レイ、落ち着いて。大丈夫って言うのも変だけど、ノーティスは気を失っただけだよ」
「気を失っただけって、どういう事よ……」
レイが不思議そうに見つめてくると、メティアは寂しげに軽くうつむく。
さっきまでの、激しく切ない戦いを思い浮かべたから。
「今さっきまで、凄く苦しそうだったんだ」
「えっ」
「ボクの魔法で傷も体力も全快したけど、原因不明の頭痛で……」
「じゃあ、今はそれが落ち着いたって事なの?」
「うん……だから寝かせといてあげて」
メティアがそう言って寂し気に微笑むと、レイはノーティスの手をキュッと優しく握り、眠っている顔を優しく見つめる。
「ノーティス、早く起きてくれなきゃイヤよ。私とデートの約束したんだから……♪」
そしてスッと立ち上がり、アネーシャをキッと睨みつけた。
「許さない! 私の愛するノーティスを、こんな風にしたアナタを!」
「あら、早とちりさんね♪ 私のせいじゃないわ。急に苦しみだしたんだもの」
「ハアッ? なんですって!」
嘘だと思いアネーシャに怒鳴りつけたレイに、横からメティアが告げる。
「レイ、本当だよ。確かにアネーシャと戦ってたけど、それとは別に、急に頭を抱えて苦しみだしたの!」
「そんな……メティア、アナタでも治せなかったの?」
「うん、ごめん。さっき言った通り、ヒールLv:4でも他の魔法でも治せなかったよ……」
メティアが悲しく零すと、アネーシャは笑う。
「フフッ、早とちりさん。いくら綺麗でも、そんなんじゃ、好きな相手にも嫌われちゃうわよ♪」
「黙りなさい! そんなの、アナタにとやかく言われる筋合いは無いわ」
レイが怒鳴ると、アネーシャはニヤッと笑みを浮べた。
まるで、今の会話でレイの本性を見抜いたかのように。
「フーン……アナタって一見気が強そうに見えるけど、ホントは凄く寂しがり屋なのね♪」
「はっ? 何言ってるの。そんな事ないわ」
「フフッ、隠したってムダよ♪ そーねぇ、アナタにはグイグイ来てくれる、一見ガサツな人が合ってるんじゃないかしら♪」
「なっ?!」
心の内を一瞬で見透かされたレイが驚いて目を大きく開くと、正にそのガサツな男がやって来た。
「おっ、レイ。お前さん、相変わらずまーーたインチキ占い師にやられてんな。ホラムの時で懲りただろーが」
「ジーク!」
「向こうがあら方片付いたんで来てみりゃ、お前さんも懲りねぇヤツだな。ガッハッハッ♪」
ジークが大声で笑うと、アネーシャは今度はジークをジッと見つめた。
「アナタ面白いわね」
「ん? 俺がかい」
「えぇ、そうよ。アナタってガサツなくせに、好きな女には尽くすタイプでしょ♪」
「バッ、バカ言え。なんで俺様が……」
顔を赤くしたジークに、アネーシャはニヤッと笑みを向ける。
「だってアナタ優しそうだもん。それを隠す為に、敢えてガサツに振る舞ってるのね。フフッ、可愛いじゃない♪」
「レイ、なんだコイツは」
「あら、ジークこそやられてるじゃない。インチキ占い師さんに♪」
レイがニヤッと笑うと、アネーシャは2人に向かって微笑んだ。
「レイとジークか、アナタ達お似合いよ♪」
「はあっ?! な、何を言ってるのよ!」
そう言って顔を火照らし文句を言うレイの隣で、ジークはドキッとして顔を赤くしながら零す。
「レ、レイ。こいつは本物の占い師さんだわ……信じるしかねぇ」
「ジーク、アナタね……」
呆れた顔をして肘で小突くレイ。
「あらレイ。いらないんなら、私がもらっちゃうわよ♪ 彼可愛いし」
「渡すわけないでしょ! あっ……」
しまったという表情で顔を赤くして、両手で口を抑え目を大きく開いたレイ。
そんなレイを見て、アネーシャは楽しそうに笑う。
「アハハッ♪ レイ、貴女分かりやすいわね」
「な、なによアンターーー!」
顔を火照らせたままギーッ! と、睨むレイの横で、ジークはレイの可愛さに頭から湯気を出している。
アネーシャはそんな会話をしていると、昔の事を思い出した。
トゥーラ・レヴォルトで、好きな人や友達と仲良く遊んでた時の事を。
───楽しかったな。あの頃……あの人もまだ皆いて……
けれど、アネーシャが仲良くしていた人達はもういない。
スマート・ミレニアム軍にやられてしまったから……!
それを思い返したアネーシャは、軽く楽しく話をしてしまった自分を恥じ、剣先をレイとジーク達にスッと向ける。
「お喋りはここまでよ。勇者が倒れた今、アナタ達の負けなんだから!」
「くっ……」
「チッ……」
「それでもまだ抵抗するなら、相手してあげても構わないけど。1人に複数でかかってくるのが、スマート・ミレニアムの流儀ならね♪」
アネーシャに、一瞬で追い詰められたレイとジーク。
確かに勇者同士の一騎打ちは、その他の大勢がどうであれ、その決着によって決めるのが戦いのルール。
アネーシャがノーティスと一騎打ちに挑んだのも、それが理由だった。
無用な死者を出さない為に。
「さあ、どうするの! レイ、ジーク」
「やるわね……!」
「どーするよ……」
追い詰めるアネーシャと、それにたじろぐレイとジーク。
けどそんな中、颯爽と現れた。
アネーシャに慧眼な眼差しを向ける天才魔導軍師が。
応援ありがとうございます!
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