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第5章 ホラムでの決戦
cys:102 ノーティスの復活とシドの涙
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「なっ……!」
「貴様……気でも狂ったか?」
ノーティスを見て、目を大きく見開いたキースとシド。
戦場で上半身の鎧を突然脱ぎ捨てるなど、普通に考えたら狂気の沙汰でしかないからだ。
しかも、シドの流星火山をまともに喰らい重症の状態にも関わらず。
けれどそんな2人の声を無視し、ノーティスはシドの側でレイに向かって胸のネックレスを大きく上に掲げた。
「レイ、俺はこれを着けてる限り決して負けない! 必ず勝つ!」
「ノーティス……!」
レイの脳裏にあの日の事が蘇り、再び前を向き技に力を込める。
沸き立つ心と共に。
「ハァァァァッ! 私は負けない!」
レイのディケオ・フレアニクスが、キースのドラゴンフォースを押し返していく。
「ゆ、許せん! 2人の男を誑かしている女になど……!」
「フフッ♪ アナタ……分かってないわね♪」
「なんだと!」
怒りに顔をしかめたキースに、レイは力強く微笑む。
「愛は自由で無限なの♪ 私の愛と美しさは偽りなんかじゃない。これが私の力そのモノよ!」
「くっ……! そんなバカな」
「愛も輝きも、本物かどうかはアナタじゃない。私が決めるの!!」
レイはそう叫ぶと、額の魔力クリスタルを更に輝かせていく。
「ハァァァァッ! 輝きなさい! 私のクリスタル!!」
その叫びと共に、パープルブルーからさらに気高く美しい色へと変化していくレイの魔力クリスタル。
キースはそれを見て驚愕に目を見開いた。
「こ、この色は青の最上級、サンタマリア・アクアマリン!」
「私は、私の愛と美しさを貫くの!」
レイは目も眩むような眩い輝きと共に、キースのドラゴンフォースをグググッ……! と、押返していく。
「バ、バカな……俺のドラゴンフォースが、こんな女に……!」
「さよなら。愛を知らない哀しいイケメンさん♪」
そしてレイのディケオ・フレアニクスは、完全にキースのドラゴンフォースを打ち破り、気高く美しいクリスタルの不死鳥がキースを襲う。
ドガァァァン!!
「ぐわぁァァァっ!!」
大きく弾き飛ばされたキースは、一瞬で燃やしつくされた魔導服と粉々になった鎧と共に地面にドシャアッ! と、叩きつけられた。
その光景を見て、レイに微笑むノーティス。
「レイ、キミは誰よりも気高く美しい」
「フフッ♪ ノーティス。アナタのお陰よ」
レイはそう言ってノーティスに微笑むと、ジークの方にクルッと振り返った。
そして、ジークの下にタタッと駆け寄ると片膝をつき、ジークの両肩へ手を添え潤んだ瞳で見つめる。
「ジーク、しっかりして!」
「……へっ、さすがだなレイ。それに、ノーティスも無事でよかったぜ……」
「ジーク、もう喋らないで! 今メティアに診てもらうから」
「ハハッ……それまで持つか分かんねーよ。それに、これじゃ部屋の片付けも出来ねーしな……」
「バカっ! 別に散らかっててもいいわよ」
レイはそう言ってジークを抱きしめた。
「お、おいレイ」
顔を赤くしたジーク。
その瞬間レイはジークの頬にキスをすると、涙を滲ませながら微笑む。
「だから、死んだら許さないから♪」
「へっ……安心しろ。今死神が、怒って俺の部屋から出て行ったぜ。お前さんを入れる為によ」
「バカっ……♪」
レイとジークが見つめ合う中、シドはキースに駆け寄り、片膝を折ったままキースを抱きかかえていた。
悲壮な顔でキースを見つめたまま……
「キース! しっかりするんだ!」
「シド……」
キースは命が消えかける中、悲しみに満ちた瞳でシドを見つめている。
そんなキースの脳裏には、シドとの今までの事が走馬灯のように駆け巡っていく。
「すまない……お前との夢、一緒に見れなくなってしまった……」
「もう喋るなキース! 大丈夫だから。まだ、大丈夫だ!」
「……シド、あの子……大切にしろよ……」
「キース! 分かった。分かったから!」
「必ず……取り戻してくれ。俺達の桜と……」
キースはそこまで言って涙を流すと、ガクッと首を倒し瞳を閉じた。
その瞬間、とてつもない悲しみがシドを襲う。
「キーーーーーーースっ!!!」
シドはキースの亡骸を抱きしめたまま叫びを上げると、頬に涙を伝わせているキースの瞳をそっと閉じた。
そして、スッと立ち上がると顔をうつむけたまま、両拳をギュッと握りしめ体を怒りでブルブルと震わす。
「よくも……よくもキースを……俺の友を……」
シドはそう声を震わせると、レイとジークをキッと睨みつけた。
その瞳に、決して消える事の無い激しい怒りの炎を宿して。
「貴様ら……絶対に生きて帰さん!!」
そう怒声を上げ剣を振りかぶると、シドはレイに向けて剣を振り下ろした。
その剣を止める事はもう出来ない。
レイは満身創痍の上、ジークはもはや腕を上げる事も出来ないからだ。
しかし、その瞬間だった。
ガキインッ!!
と、寸での所でノーティスがその剣を受け止めた。
「シド……俺の仲間は絶対殺させない!」
「チッ……!」
シドが顔をしかめ、バッ! と後ろに飛び退くと、ノーティスは精悍な瞳でシドを見据えた。
「シド! お前の相手はこの俺だ!」
「……いいだろう。お前を殺し、その後キースを殺したその女共々始末してやる!」
そう言い放ったシドをノーティスは見据えたまま、レイに告げる。
「レイ、ジークの事を頼む」
「分かったわ……!」
レイはそう答えジークに肩を貸しその場から立ち上がると、ノーティスの方へチラッと振り返った。
「ノーティス、必ず帰ってくるのよ」
「あぁ、必ず帰る」
ノーティスがそう答えた時、白のロングジャケットからチラリと見えた胸のペンダントが、キラリと切なく煌めいた……
「貴様……気でも狂ったか?」
ノーティスを見て、目を大きく見開いたキースとシド。
戦場で上半身の鎧を突然脱ぎ捨てるなど、普通に考えたら狂気の沙汰でしかないからだ。
しかも、シドの流星火山をまともに喰らい重症の状態にも関わらず。
けれどそんな2人の声を無視し、ノーティスはシドの側でレイに向かって胸のネックレスを大きく上に掲げた。
「レイ、俺はこれを着けてる限り決して負けない! 必ず勝つ!」
「ノーティス……!」
レイの脳裏にあの日の事が蘇り、再び前を向き技に力を込める。
沸き立つ心と共に。
「ハァァァァッ! 私は負けない!」
レイのディケオ・フレアニクスが、キースのドラゴンフォースを押し返していく。
「ゆ、許せん! 2人の男を誑かしている女になど……!」
「フフッ♪ アナタ……分かってないわね♪」
「なんだと!」
怒りに顔をしかめたキースに、レイは力強く微笑む。
「愛は自由で無限なの♪ 私の愛と美しさは偽りなんかじゃない。これが私の力そのモノよ!」
「くっ……! そんなバカな」
「愛も輝きも、本物かどうかはアナタじゃない。私が決めるの!!」
レイはそう叫ぶと、額の魔力クリスタルを更に輝かせていく。
「ハァァァァッ! 輝きなさい! 私のクリスタル!!」
その叫びと共に、パープルブルーからさらに気高く美しい色へと変化していくレイの魔力クリスタル。
キースはそれを見て驚愕に目を見開いた。
「こ、この色は青の最上級、サンタマリア・アクアマリン!」
「私は、私の愛と美しさを貫くの!」
レイは目も眩むような眩い輝きと共に、キースのドラゴンフォースをグググッ……! と、押返していく。
「バ、バカな……俺のドラゴンフォースが、こんな女に……!」
「さよなら。愛を知らない哀しいイケメンさん♪」
そしてレイのディケオ・フレアニクスは、完全にキースのドラゴンフォースを打ち破り、気高く美しいクリスタルの不死鳥がキースを襲う。
ドガァァァン!!
「ぐわぁァァァっ!!」
大きく弾き飛ばされたキースは、一瞬で燃やしつくされた魔導服と粉々になった鎧と共に地面にドシャアッ! と、叩きつけられた。
その光景を見て、レイに微笑むノーティス。
「レイ、キミは誰よりも気高く美しい」
「フフッ♪ ノーティス。アナタのお陰よ」
レイはそう言ってノーティスに微笑むと、ジークの方にクルッと振り返った。
そして、ジークの下にタタッと駆け寄ると片膝をつき、ジークの両肩へ手を添え潤んだ瞳で見つめる。
「ジーク、しっかりして!」
「……へっ、さすがだなレイ。それに、ノーティスも無事でよかったぜ……」
「ジーク、もう喋らないで! 今メティアに診てもらうから」
「ハハッ……それまで持つか分かんねーよ。それに、これじゃ部屋の片付けも出来ねーしな……」
「バカっ! 別に散らかっててもいいわよ」
レイはそう言ってジークを抱きしめた。
「お、おいレイ」
顔を赤くしたジーク。
その瞬間レイはジークの頬にキスをすると、涙を滲ませながら微笑む。
「だから、死んだら許さないから♪」
「へっ……安心しろ。今死神が、怒って俺の部屋から出て行ったぜ。お前さんを入れる為によ」
「バカっ……♪」
レイとジークが見つめ合う中、シドはキースに駆け寄り、片膝を折ったままキースを抱きかかえていた。
悲壮な顔でキースを見つめたまま……
「キース! しっかりするんだ!」
「シド……」
キースは命が消えかける中、悲しみに満ちた瞳でシドを見つめている。
そんなキースの脳裏には、シドとの今までの事が走馬灯のように駆け巡っていく。
「すまない……お前との夢、一緒に見れなくなってしまった……」
「もう喋るなキース! 大丈夫だから。まだ、大丈夫だ!」
「……シド、あの子……大切にしろよ……」
「キース! 分かった。分かったから!」
「必ず……取り戻してくれ。俺達の桜と……」
キースはそこまで言って涙を流すと、ガクッと首を倒し瞳を閉じた。
その瞬間、とてつもない悲しみがシドを襲う。
「キーーーーーーースっ!!!」
シドはキースの亡骸を抱きしめたまま叫びを上げると、頬に涙を伝わせているキースの瞳をそっと閉じた。
そして、スッと立ち上がると顔をうつむけたまま、両拳をギュッと握りしめ体を怒りでブルブルと震わす。
「よくも……よくもキースを……俺の友を……」
シドはそう声を震わせると、レイとジークをキッと睨みつけた。
その瞳に、決して消える事の無い激しい怒りの炎を宿して。
「貴様ら……絶対に生きて帰さん!!」
そう怒声を上げ剣を振りかぶると、シドはレイに向けて剣を振り下ろした。
その剣を止める事はもう出来ない。
レイは満身創痍の上、ジークはもはや腕を上げる事も出来ないからだ。
しかし、その瞬間だった。
ガキインッ!!
と、寸での所でノーティスがその剣を受け止めた。
「シド……俺の仲間は絶対殺させない!」
「チッ……!」
シドが顔をしかめ、バッ! と後ろに飛び退くと、ノーティスは精悍な瞳でシドを見据えた。
「シド! お前の相手はこの俺だ!」
「……いいだろう。お前を殺し、その後キースを殺したその女共々始末してやる!」
そう言い放ったシドをノーティスは見据えたまま、レイに告げる。
「レイ、ジークの事を頼む」
「分かったわ……!」
レイはそう答えジークに肩を貸しその場から立ち上がると、ノーティスの方へチラッと振り返った。
「ノーティス、必ず帰ってくるのよ」
「あぁ、必ず帰る」
ノーティスがそう答えた時、白のロングジャケットからチラリと見えた胸のペンダントが、キラリと切なく煌めいた……
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