【第一章完結】D.E.R─ 最愛の彼女を取り戻す為、俺は悪魔に魂を捧げた

ジュン

文字の大きさ
上 下
1 / 35
序章 天翔 零からのご挨拶

D.E.R─0 天翔 零から、お願いとお約束

しおりを挟む
いきなりシリアスな場面からですが……



「そんなバカなっ!キミなんかに……この僕が負けるなんて!」

男は自分の敗北が信じられないという顔をしながら、膝からガクッと崩れ落ちた。
傲慢で他人を見下し利用して生きてきたこの男にとって、自分が負けるなどあり得ない事なのだ。

だからこそ、その男は膝をついたまますぐにサッと相手を見上げ、苦渋に満ちた眼差しで相手を強く睨む。

しかし、相手は動じない。
むしろ余裕の笑みを浮かべ、その男の事を上からニヤリと見下ろしている。
瞳から妖しい真紅の輝きを放ち、全てを圧倒する絶対的強者のオーラを溢れさせて。

「甘いんだよ。本気で俺に勝てると思ったのか?まったく……めでたいヤツだな♪」
「キ、キサマ……!」
「ったく、そんな目で睨んでもムダだぜ。オマエが俺に勝てる訳がねーだろ」
「な、なんだと?!僕が……この僕が、キミなんかに負けるハズがないんだ!」

自分より格下だと思っていた相手に負けた事を、男は未だ受け入れられず激昂した。

けれど、相手は顔に哀れみを湛え男を嘲笑う。

「ハッ、もう分かってんだろ?オマエが相手にしていたのは、オマエが知ってる俺じゃない……『悪魔の瞳』を持つ男、『天翔あまかける れい』なんだよ」
「くっ……!だけど、このままでは終わらせないよ……」

男はそう言うと、屈辱を押しのけるようにググッと立ち上がり、怒りと憎しみに満ちた瞳で零をキッと睨みつける。

「零、僕にここまでの屈辱を与えたキミを……僕は絶対に許さないっ!!」

煮えたぎる怒りと憎悪をぶつけてくる男に対し、零はメンドクサそうにスッと横顔を向けて吐き捨てる。

「チッ、勝手にしやがれ……!」






「はーい、カット!お疲れ様でしたー♪」
「いやーー監督、俺あんな目すんのマジで疲れましたよー」
「お疲れさん。いー演技だったじゃん♪特にあの横目のアドリブとか、マジでスゲーって。男の俺でも、惚れそうになっちゃったぜ♪」
「いや、監督のお陰です。それに、突然の無理聞いてくれてありがとうございます!」

サッと頭を下げた零に、監督はニカッと笑った。

「いいんだよ♪第一章は恋愛パート多めだから、零くんの言う通り先に見せ場の一つぐらい持ってきた方が、読者様にも安心してもらえるんだからさ」
「監督……!」

零は監督に感謝の眼差しを向けて見つめていたが、そこでハッと気付いた。

「あっ……監督すいません。そろそろ開演なんで、ちょっと読者樣に挨拶してきていいですか?」
「おー、もうそんな時間か。いいよ、行ってきな」
「ありがとうございます!」

テッテッテッテッテッ……



「えー、始めまして。この物語の主人公、天翔零です。ここに来てくれて、ありがとうございます!今から始まる前に、読者様に僕から一つお願いと、逆にお約束があります」

零は、ちょっとマイクを確かめた。

「一つ目は、この小説、流行りの作品とはちょっと系統が違うんですけど、温かく見守ってほしいって事です。今流行りの楽勝で勝ったりスローライフとかもいいんですけど、やっぱり自分は強力な敵とかいて苦戦しても、最後には圧倒的に勝つっていうストーリーが好きなんです」

そこまで言って、零はコホンと咳払い。

「で、二つ目なんですけど、これは約束です。読んで損はさせません。ただ、対象年齢はちょっと上かなーー。逆に三、四十代辺りの男性はケッコー楽しめると思います♪こんな事あったらいいなっていう物語なんで」

零がそこまで話した時だった。

「おーい、零。まだかー?」

少し離れたところから零を呼ぶ男の声がした。

「あっ、すいません。呼ばれちゃった。あー、今僕の事呼んだ彼は、もうひとりの主人公です。詳しくはまだ言えないんですけど、僕の魂の半分は、あのもうひとりの主人公『空見そらみ 翔かける』で出来てるんです。まっ、これ以上はまだ内緒で♪」

零は、しぃーっと内緒のポーズを取ってから、この話の締めに入る。

「僕が出てくるのは第二章から。いやー、かなりキツい性格を演じなきゃいけないんですけど、僕一生懸命演じるんで、宜しくお願いしますっ!」
「おい、零!もう、時間ねーって!」
「分かったよ、翔。もー行くから!」
「じゃ、すいません。ちょっと行ってきます!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

ご飯を食べて異世界に行こう

compo
ライト文芸
会社が潰れた… 僅かばかりの退職金を貰ったけど、独身寮を追い出される事になった僕は、貯金と失業手当を片手に新たな旅に出る事にしよう。 僕には生まれつき、物理的にあり得ない異能を身につけている。 異能を持って、旅する先は…。 「異世界」じゃないよ。 日本だよ。日本には変わりないよ。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...