【第一章完結】D.E.R─ 最愛の彼女を取り戻す為、俺は悪魔に魂を捧げた

ジュン

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序章 天翔 零からのご挨拶

D.E.R─0 天翔 零から、お願いとお約束

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いきなりシリアスな場面からですが……



「そんなバカなっ!キミなんかに……この僕が負けるなんて!」

男は自分の敗北が信じられないという顔をしながら、膝からガクッと崩れ落ちた。
傲慢で他人を見下し利用して生きてきたこの男にとって、自分が負けるなどあり得ない事なのだ。

だからこそ、その男は膝をついたまますぐにサッと相手を見上げ、苦渋に満ちた眼差しで相手を強く睨む。

しかし、相手は動じない。
むしろ余裕の笑みを浮かべ、その男の事を上からニヤリと見下ろしている。
瞳から妖しい真紅の輝きを放ち、全てを圧倒する絶対的強者のオーラを溢れさせて。

「甘いんだよ。本気で俺に勝てると思ったのか?まったく……めでたいヤツだな♪」
「キ、キサマ……!」
「ったく、そんな目で睨んでもムダだぜ。オマエが俺に勝てる訳がねーだろ」
「な、なんだと?!僕が……この僕が、キミなんかに負けるハズがないんだ!」

自分より格下だと思っていた相手に負けた事を、男は未だ受け入れられず激昂した。

けれど、相手は顔に哀れみを湛え男を嘲笑う。

「ハッ、もう分かってんだろ?オマエが相手にしていたのは、オマエが知ってる俺じゃない……『悪魔の瞳』を持つ男、『天翔あまかける れい』なんだよ」
「くっ……!だけど、このままでは終わらせないよ……」

男はそう言うと、屈辱を押しのけるようにググッと立ち上がり、怒りと憎しみに満ちた瞳で零をキッと睨みつける。

「零、僕にここまでの屈辱を与えたキミを……僕は絶対に許さないっ!!」

煮えたぎる怒りと憎悪をぶつけてくる男に対し、零はメンドクサそうにスッと横顔を向けて吐き捨てる。

「チッ、勝手にしやがれ……!」






「はーい、カット!お疲れ様でしたー♪」
「いやーー監督、俺あんな目すんのマジで疲れましたよー」
「お疲れさん。いー演技だったじゃん♪特にあの横目のアドリブとか、マジでスゲーって。男の俺でも、惚れそうになっちゃったぜ♪」
「いや、監督のお陰です。それに、突然の無理聞いてくれてありがとうございます!」

サッと頭を下げた零に、監督はニカッと笑った。

「いいんだよ♪第一章は恋愛パート多めだから、零くんの言う通り先に見せ場の一つぐらい持ってきた方が、読者様にも安心してもらえるんだからさ」
「監督……!」

零は監督に感謝の眼差しを向けて見つめていたが、そこでハッと気付いた。

「あっ……監督すいません。そろそろ開演なんで、ちょっと読者樣に挨拶してきていいですか?」
「おー、もうそんな時間か。いいよ、行ってきな」
「ありがとうございます!」

テッテッテッテッテッ……



「えー、始めまして。この物語の主人公、天翔零です。ここに来てくれて、ありがとうございます!今から始まる前に、読者様に僕から一つお願いと、逆にお約束があります」

零は、ちょっとマイクを確かめた。

「一つ目は、この小説、流行りの作品とはちょっと系統が違うんですけど、温かく見守ってほしいって事です。今流行りの楽勝で勝ったりスローライフとかもいいんですけど、やっぱり自分は強力な敵とかいて苦戦しても、最後には圧倒的に勝つっていうストーリーが好きなんです」

そこまで言って、零はコホンと咳払い。

「で、二つ目なんですけど、これは約束です。読んで損はさせません。ただ、対象年齢はちょっと上かなーー。逆に三、四十代辺りの男性はケッコー楽しめると思います♪こんな事あったらいいなっていう物語なんで」

零がそこまで話した時だった。

「おーい、零。まだかー?」

少し離れたところから零を呼ぶ男の声がした。

「あっ、すいません。呼ばれちゃった。あー、今僕の事呼んだ彼は、もうひとりの主人公です。詳しくはまだ言えないんですけど、僕の魂の半分は、あのもうひとりの主人公『空見そらみ 翔かける』で出来てるんです。まっ、これ以上はまだ内緒で♪」

零は、しぃーっと内緒のポーズを取ってから、この話の締めに入る。

「僕が出てくるのは第二章から。いやー、かなりキツい性格を演じなきゃいけないんですけど、僕一生懸命演じるんで、宜しくお願いしますっ!」
「おい、零!もう、時間ねーって!」
「分かったよ、翔。もー行くから!」
「じゃ、すいません。ちょっと行ってきます!」
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