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ヨメイリの朝①
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三人揃って突っ伏していた。
あかねが目を覚ますと、目の前に舞の胸が、腕の中にはあおいがいた。
あおいと、あおいを抱っこする自分をまとめて抱っこしてくれる舞に、愛されている幸せが込み上げる。
……まぐわった後の匂いが強烈だけど……。
すぅすぅと寝息を立てるあおいを見て、改めて思った。
(こんなに可愛いのに……男の子だなんて……)
今でも信じがたい。
あおいのほっぺをつんつんしてみた。
見た目通り、ぷにぷにしている。
指が幸せだったので、もう少し触っていると、「んぅ」と大きな瞳が開いた。ほどなく視線が合う。
「……おはよう♡ ……ごめんなさい、起こしちゃった?」
そう囁くと、あおいは「んーん」と小さく答えて
「ねーね♡ おはよう」
と谷間に擦り寄ってきた。
(こ、これは……♡ )
「ねーね」と改めて呼ばれると、鼻血が出そうになる。ぎゅ、と抱きしめた時に、思わず勃起してしまった。
あおいがぴく、と反応した。
谷間からそっと顔を上げるあおい。もう桃色に頬を染めている。
「ねーね……えっち♡ 」
「……あおいちゃんが……可愛いから♡ 」
あおいはますます頬が赤くなった。
「えい♡」
ヒトミ直伝……という程でもないが、あかねは互いの肉棒が触れ合うように、腰を動かした。あおいは抱っこされているので逃げ場はない。小さく喘いだ。
あおいの瞳が潤む。心臓を鷲掴みにされるような破壊力だ。
あかねが唇を奪おうとした時に、舞が割って入ってきた。
「もう仲良くなったのね♡ 」
舞はあおいの後頭部を包むように抱きしめた。
「おはよう♡ 二人とも♡ 」
あかねには頬に、あおいは頭頂部にそれぞれおはようのちゅーをした。
あおいは大きな乳肉、それも4つに包まれてもじもじ動いてる。
「おっぱいサンドイッチになっちゃったねー♡ あおい♡ 」
舞が殊更胸をなすりつけるように動かすので、あおいは蕩けたようだ。
とうとうあかねの乳首に吸い付いてくる。
「んっ♡ 」
あおいの吸い付き方は他のお嫁さん達と明らかに違う。他の皆は一様に愛撫だが、あおいは本当に母乳を求めて吸ってくるだけなのだ。背徳感が高まるが故に、気持ちいい。
あおいの肉棒が一回り大きくなる。
あかねの勃起が、ぐいと押された。思わず上唇を噛む。
それを見て、舞はあおいの頭をよしよしと撫でる。すると、あおいはほんの数秒ですやすやと眠ってしまった。
「……? あれ、あおいちゃん?」
舞はあかねに口づけた。
「魔法で眠らせたわ♡ 」
舞は微笑んだ。
「あかね……明後日の朝、結婚式するからね♡ 」
「……け、結婚式……」
夢のような言葉だった。
いや、まだ自分が夢をみているのかも……と疑ってみたが、先程の口づけは確かに舞の唇だった。
これほど嬉しい単語は他にないのだが、唐突に言われると喜びの表現に困る。
りなのような陽キャなら素直に舞に飛びつくだろう。だが、そこそこの日陰で生きてきたあかねはこういう場面に慣れていない。
じわり、と噛み締めるように喜んでしまう。
(け……結婚……式、あたしと、お姉さまの結婚式……)
舞はあおいの後ろでクスクス笑った。
あかねの性格を把握してくれているのだ。
今度は長い長い口づけをしてくれた。
「あかね……もう、私のモノだからね……」
離れる唇に未練が残ったが、あかねは素直にはい、と返事をした。
「じゃ、あかねも式までねんねして、英気を養ってね♡ 」
舞は身体を起こすと、何もない空間に向かってむむむ、と唸った。
「我が名において命ずる、出でよ! アニマル探偵熊野惣左衛門さん!」
(ええー! お姉さま急になにしてんのー?)
あかねの心のツッコミはさておき、舞の魔法は凄まじかった。
何もなかった筈の空間にヒビが入り、音もなく割れたかと思うと毛むくじゃらで野太い腕が出てきた。
割れ目はあっという間に人間大になり、普通に気持ち悪い8頭身程のクマのぬいぐるみが現れた。首元に蝶ネクタイをしている……。
……どう見てもクマの着ぐるみである。
「……お呼びでしょうか」
……めっちゃ渋い声してる……。
あかねはツッコミが追いつかなくなる事を悟って、静観する事にした。
「ふふ♡ あかね……驚いてるみたいね……まあ無理もないわ……」
舞は得意気に髪を掻き上げた。
「……この人はあおいが大好きなアニメ、『ハードボイルドアニマルクライムサスペンス・熊野惣左衛門の冒険』の主人公、熊野惣左衛門さん……名探偵よ……」
(いや、そんなアニメ知らないんですけど、ていうか名探偵って、冒険するの……?)
あかねはやっぱりちょっとだけツッコミたくなってきた。
だが無言のあかねを見て、驚愕していると勘違いしている舞はご満悦だった。更に仰々しい声を出した。
「さあ、熊野さん、命ずるわ……あおいを抱っこして明後日の朝まで寝かせてあげて」
「御意」
(ぎょいって言った! 探偵なのに!)
熊野さんは、あおいを優しく抱きおこすと、そのままお姫様抱っこをして部屋を出ていった。
(いやー、どこいくんだろ、めっちゃ気になる……)
あおいが半分拉致のように連れ去られてから暫くして、やっとあかねは声を出した。
「……あの、お姉さま……」
舞はあかねの言葉を遮った。
「わかってるわ♡ 大丈夫よ、あかねにもちゃーんと用意してあげる♡ 」
(いや、そうじゃないんですけどー)
再び舞はむむむと唸った。
「我が名において命ずる、出でよ! 熊野・フランシスカ・昭美さん!」
今度は白いクマのぬいぐるみが現れた。
やっぱり8頭身ぐらいある。
頭には青いカチューシャ、首元には真っ赤なリボンを付けている。
「彼女は熊野さんのお嫁さん、フランシスカ昭美さんよ。……熊野のさんのお嫁さんなんだけど、最終回でライバルの『シルバーフォックス山下さん』に寝取られるのよ……」
と、少しだけ声に悔しさを滲ませた。
もはや舞が何を言っているのかわからないが、盛大なネタバレをされた事だけは理解した。
「……で、何の用なの?」
昭美さんはため息混じりにそう言った。
(めっちゃエラそうー!!)
「昭美さん、あかねを抱っこして明後日の朝まで寝かせて頂戴」
あかねがギョッとして昭美さんを振り返ると、視線が交差した。……気がする。
「はぁー、小娘は趣味じゃないんだけどねー……ま、しょーがないか……おいで」
昭美さんは渋々承諾してくれた。
「あ、あの、お姉さま、あたし……」
舞はクスリと笑った。
「大丈夫よ、ふわふわだしいい人だから♡ じゃ、おやすみ♡ ……私のお嫁さん♡ 」
舞の口づけで、あかねは急激な眠気に襲われた。
(お姉さま……ひどい……うう……)
あかねは遠のく意識の中、昭美さんの声を聞いた。
「……いい夢みなよ」
……悪い人ではないかもしれない。
「そろそろ起きな、朝だよ」
親戚の叔母さんのような声がした。
……むにゅむにゅ、んー?
あかねはふわふわに包まれていた。ハッとして顔を上げると昭美さんが全身を包み込んでくれていた。
「ふふ、いい寝相だったね……ほら、もう起きな」
と、昭美さんは言った。
「あ、昭美さん……ありがとう……ございます……」
礼を述べると、昭美さんはふふ、と笑って「礼なんかいらないわよ」と言った。
あかねが起き上がると、そこは舞といた部屋のままだった。部屋をぐるっと見渡したが、舞の姿はどこにもない。
「……あんた……今日……結婚式なんだってね……」
あかねが振り返ると、昭美さんは続けた。
「いい……お嫁さんに……なんなよ……」
と、言ったきり、動かなくなった。
「え……昭美さん? 昭美さーん!」
よくわからない衝動に駆られて昭美さんを揺すってみたが、何の反応もない。
「うわーん、昭美さーん!」
「……あかね、なにやってるの?」
後ろから舞の声がした。
「お姉さま……昭美さんが……」
よくわからない悲しさが込み上げてきた。
……泣く程ではないけど。
「ああ、電池切れたのね、オッケー」
「で……電池?」
「そうよ、単三のアルカリ電池。二本だけどね」
そう言うと、昭美さんに指を向けてくるりと輪を描いた。
昭美さんの隣に丸い穴が開いたと思うと、彼女は自分より小さな穴に無理矢理吸引されてどこかへ消えた。
(扱いが雑ぅーー!!)
あかねの悲しみはそこそこ無駄だった。
「……さあ、私の愛しいお嫁さん♡」
舞が手を伸ばした。その細く、しなやかな指にあかねは手を重ねた。指が絡まる。
「……ウエディングドレスになーれっ♡」
(……えっ)
舞の言葉で、あかねは驚く間もなく純白のドレスに包まれた。
ちょっとだけ大人なラインなのに、肩口が可愛いデザインのレースになっている、素敵なドレスだった。ボリューム満点の長いフリルに、バラを模った刺繍がいつくも施してある。腰を捻ると裾がふわりふわりと幻想的に揺らめいた。
「愛」という言葉をそのまま形にしたようなドレスを身に纏う事で、ずっと遠くにあると思っていたものが今、あかねのすぐ隣にあると知った。
……愛したヒトが与えてくれた。
あかねは幸せで涙が込み上げてきた。
「おね……さま……あの、あだじ……」
舞は優しく抱きしめてくれた。
口づけもしてくれた。
(あたし、本当に……お姉さまのお嫁さんに……なれるんだ……)
どれだけ口づけをしていたのだろう。
あかねの涙は止まっていた。
舞は微笑んだ。
「……みんなを待たせちゃったね♡あかね……行きましょう」
舞はそう言うと、あかねを抱き寄せた。
腕を組むのだと思っていたら、お姫様抱っこをされてしまった。
照れるあかねに舞は笑った。
「こっちの方が私達らしくない?」
あかねは舞にしがみついた。
あかねが目を覚ますと、目の前に舞の胸が、腕の中にはあおいがいた。
あおいと、あおいを抱っこする自分をまとめて抱っこしてくれる舞に、愛されている幸せが込み上げる。
……まぐわった後の匂いが強烈だけど……。
すぅすぅと寝息を立てるあおいを見て、改めて思った。
(こんなに可愛いのに……男の子だなんて……)
今でも信じがたい。
あおいのほっぺをつんつんしてみた。
見た目通り、ぷにぷにしている。
指が幸せだったので、もう少し触っていると、「んぅ」と大きな瞳が開いた。ほどなく視線が合う。
「……おはよう♡ ……ごめんなさい、起こしちゃった?」
そう囁くと、あおいは「んーん」と小さく答えて
「ねーね♡ おはよう」
と谷間に擦り寄ってきた。
(こ、これは……♡ )
「ねーね」と改めて呼ばれると、鼻血が出そうになる。ぎゅ、と抱きしめた時に、思わず勃起してしまった。
あおいがぴく、と反応した。
谷間からそっと顔を上げるあおい。もう桃色に頬を染めている。
「ねーね……えっち♡ 」
「……あおいちゃんが……可愛いから♡ 」
あおいはますます頬が赤くなった。
「えい♡」
ヒトミ直伝……という程でもないが、あかねは互いの肉棒が触れ合うように、腰を動かした。あおいは抱っこされているので逃げ場はない。小さく喘いだ。
あおいの瞳が潤む。心臓を鷲掴みにされるような破壊力だ。
あかねが唇を奪おうとした時に、舞が割って入ってきた。
「もう仲良くなったのね♡ 」
舞はあおいの後頭部を包むように抱きしめた。
「おはよう♡ 二人とも♡ 」
あかねには頬に、あおいは頭頂部にそれぞれおはようのちゅーをした。
あおいは大きな乳肉、それも4つに包まれてもじもじ動いてる。
「おっぱいサンドイッチになっちゃったねー♡ あおい♡ 」
舞が殊更胸をなすりつけるように動かすので、あおいは蕩けたようだ。
とうとうあかねの乳首に吸い付いてくる。
「んっ♡ 」
あおいの吸い付き方は他のお嫁さん達と明らかに違う。他の皆は一様に愛撫だが、あおいは本当に母乳を求めて吸ってくるだけなのだ。背徳感が高まるが故に、気持ちいい。
あおいの肉棒が一回り大きくなる。
あかねの勃起が、ぐいと押された。思わず上唇を噛む。
それを見て、舞はあおいの頭をよしよしと撫でる。すると、あおいはほんの数秒ですやすやと眠ってしまった。
「……? あれ、あおいちゃん?」
舞はあかねに口づけた。
「魔法で眠らせたわ♡ 」
舞は微笑んだ。
「あかね……明後日の朝、結婚式するからね♡ 」
「……け、結婚式……」
夢のような言葉だった。
いや、まだ自分が夢をみているのかも……と疑ってみたが、先程の口づけは確かに舞の唇だった。
これほど嬉しい単語は他にないのだが、唐突に言われると喜びの表現に困る。
りなのような陽キャなら素直に舞に飛びつくだろう。だが、そこそこの日陰で生きてきたあかねはこういう場面に慣れていない。
じわり、と噛み締めるように喜んでしまう。
(け……結婚……式、あたしと、お姉さまの結婚式……)
舞はあおいの後ろでクスクス笑った。
あかねの性格を把握してくれているのだ。
今度は長い長い口づけをしてくれた。
「あかね……もう、私のモノだからね……」
離れる唇に未練が残ったが、あかねは素直にはい、と返事をした。
「じゃ、あかねも式までねんねして、英気を養ってね♡ 」
舞は身体を起こすと、何もない空間に向かってむむむ、と唸った。
「我が名において命ずる、出でよ! アニマル探偵熊野惣左衛門さん!」
(ええー! お姉さま急になにしてんのー?)
あかねの心のツッコミはさておき、舞の魔法は凄まじかった。
何もなかった筈の空間にヒビが入り、音もなく割れたかと思うと毛むくじゃらで野太い腕が出てきた。
割れ目はあっという間に人間大になり、普通に気持ち悪い8頭身程のクマのぬいぐるみが現れた。首元に蝶ネクタイをしている……。
……どう見てもクマの着ぐるみである。
「……お呼びでしょうか」
……めっちゃ渋い声してる……。
あかねはツッコミが追いつかなくなる事を悟って、静観する事にした。
「ふふ♡ あかね……驚いてるみたいね……まあ無理もないわ……」
舞は得意気に髪を掻き上げた。
「……この人はあおいが大好きなアニメ、『ハードボイルドアニマルクライムサスペンス・熊野惣左衛門の冒険』の主人公、熊野惣左衛門さん……名探偵よ……」
(いや、そんなアニメ知らないんですけど、ていうか名探偵って、冒険するの……?)
あかねはやっぱりちょっとだけツッコミたくなってきた。
だが無言のあかねを見て、驚愕していると勘違いしている舞はご満悦だった。更に仰々しい声を出した。
「さあ、熊野さん、命ずるわ……あおいを抱っこして明後日の朝まで寝かせてあげて」
「御意」
(ぎょいって言った! 探偵なのに!)
熊野さんは、あおいを優しく抱きおこすと、そのままお姫様抱っこをして部屋を出ていった。
(いやー、どこいくんだろ、めっちゃ気になる……)
あおいが半分拉致のように連れ去られてから暫くして、やっとあかねは声を出した。
「……あの、お姉さま……」
舞はあかねの言葉を遮った。
「わかってるわ♡ 大丈夫よ、あかねにもちゃーんと用意してあげる♡ 」
(いや、そうじゃないんですけどー)
再び舞はむむむと唸った。
「我が名において命ずる、出でよ! 熊野・フランシスカ・昭美さん!」
今度は白いクマのぬいぐるみが現れた。
やっぱり8頭身ぐらいある。
頭には青いカチューシャ、首元には真っ赤なリボンを付けている。
「彼女は熊野さんのお嫁さん、フランシスカ昭美さんよ。……熊野のさんのお嫁さんなんだけど、最終回でライバルの『シルバーフォックス山下さん』に寝取られるのよ……」
と、少しだけ声に悔しさを滲ませた。
もはや舞が何を言っているのかわからないが、盛大なネタバレをされた事だけは理解した。
「……で、何の用なの?」
昭美さんはため息混じりにそう言った。
(めっちゃエラそうー!!)
「昭美さん、あかねを抱っこして明後日の朝まで寝かせて頂戴」
あかねがギョッとして昭美さんを振り返ると、視線が交差した。……気がする。
「はぁー、小娘は趣味じゃないんだけどねー……ま、しょーがないか……おいで」
昭美さんは渋々承諾してくれた。
「あ、あの、お姉さま、あたし……」
舞はクスリと笑った。
「大丈夫よ、ふわふわだしいい人だから♡ じゃ、おやすみ♡ ……私のお嫁さん♡ 」
舞の口づけで、あかねは急激な眠気に襲われた。
(お姉さま……ひどい……うう……)
あかねは遠のく意識の中、昭美さんの声を聞いた。
「……いい夢みなよ」
……悪い人ではないかもしれない。
「そろそろ起きな、朝だよ」
親戚の叔母さんのような声がした。
……むにゅむにゅ、んー?
あかねはふわふわに包まれていた。ハッとして顔を上げると昭美さんが全身を包み込んでくれていた。
「ふふ、いい寝相だったね……ほら、もう起きな」
と、昭美さんは言った。
「あ、昭美さん……ありがとう……ございます……」
礼を述べると、昭美さんはふふ、と笑って「礼なんかいらないわよ」と言った。
あかねが起き上がると、そこは舞といた部屋のままだった。部屋をぐるっと見渡したが、舞の姿はどこにもない。
「……あんた……今日……結婚式なんだってね……」
あかねが振り返ると、昭美さんは続けた。
「いい……お嫁さんに……なんなよ……」
と、言ったきり、動かなくなった。
「え……昭美さん? 昭美さーん!」
よくわからない衝動に駆られて昭美さんを揺すってみたが、何の反応もない。
「うわーん、昭美さーん!」
「……あかね、なにやってるの?」
後ろから舞の声がした。
「お姉さま……昭美さんが……」
よくわからない悲しさが込み上げてきた。
……泣く程ではないけど。
「ああ、電池切れたのね、オッケー」
「で……電池?」
「そうよ、単三のアルカリ電池。二本だけどね」
そう言うと、昭美さんに指を向けてくるりと輪を描いた。
昭美さんの隣に丸い穴が開いたと思うと、彼女は自分より小さな穴に無理矢理吸引されてどこかへ消えた。
(扱いが雑ぅーー!!)
あかねの悲しみはそこそこ無駄だった。
「……さあ、私の愛しいお嫁さん♡」
舞が手を伸ばした。その細く、しなやかな指にあかねは手を重ねた。指が絡まる。
「……ウエディングドレスになーれっ♡」
(……えっ)
舞の言葉で、あかねは驚く間もなく純白のドレスに包まれた。
ちょっとだけ大人なラインなのに、肩口が可愛いデザインのレースになっている、素敵なドレスだった。ボリューム満点の長いフリルに、バラを模った刺繍がいつくも施してある。腰を捻ると裾がふわりふわりと幻想的に揺らめいた。
「愛」という言葉をそのまま形にしたようなドレスを身に纏う事で、ずっと遠くにあると思っていたものが今、あかねのすぐ隣にあると知った。
……愛したヒトが与えてくれた。
あかねは幸せで涙が込み上げてきた。
「おね……さま……あの、あだじ……」
舞は優しく抱きしめてくれた。
口づけもしてくれた。
(あたし、本当に……お姉さまのお嫁さんに……なれるんだ……)
どれだけ口づけをしていたのだろう。
あかねの涙は止まっていた。
舞は微笑んだ。
「……みんなを待たせちゃったね♡あかね……行きましょう」
舞はそう言うと、あかねを抱き寄せた。
腕を組むのだと思っていたら、お姫様抱っこをされてしまった。
照れるあかねに舞は笑った。
「こっちの方が私達らしくない?」
あかねは舞にしがみついた。
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