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第七章~③
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古瀬にも声をかけて四人が集まり話し合ったのは、やはり久我埼の事と、美島支社長の病死についてだった。まず浦里が切り出した。
「しかし無茶な事をしたな。あれだけ止めたのに。軽傷で済んだからよかったものの、下手をすれば門脇支社長のように死んでいたかもしれないんだぞ」
同意見だった英美と古瀬も、深く頷いた。それに対し、三箇は頭を下げた。
「心配をかけてすまない。しかし最初からあいつが俺を殺そうとしていたことは、彼の目を見て確信していた。だからもしもの為の準備もできたんだ。やはりあいつは、一線を超えたことのある人物だったよ。俺の見立てが間違っていなかったことも証明できた。それだけが救いだ」
「だけど肝心の美島支社長の件については、否認しているんだろ」
「ああ。三人目の時任課長については納得できる。しかし美島さんは、単なる病死でないという俺の考えは変わらない。だが今回の件で犯人は久我埼ではなかったのかもしれない、と思うようになった」
「それはどうして?」
「彼が人を殺したことのある人間の目をしていたのは、門脇を事故死に見せかけたからだと判った。だからこそ、美島支社長もそうだとは限らない。なぜならあいつは、物的証拠が何も出ていない十五年前の件は全面的に認めている。もし十年前もそうだとしたら、あいつの精神状態から考えて、否認し続けることは難しいと思う」
「それは死刑になりたくないから、じゃないのか。殺した人数が一人と二人では大きく違うだろう。しかも今回は、三箇さんに対する殺人未遂と傷害罪も加わっている。二人殺したとなれば、死刑になる確率は高い。一人ならば長くても無期懲役で済むだろう」
「それは俺も考えたさ。しかし奴は自分も死ぬ覚悟で俺を殺す計画を立てていたんだ。今更死刑を怖がるとは思えない。それに美島さんを殺したのなら、どうやってウィルスを手に入れたかが不明だ。それに廻間さんが調べてくれた情報を元に思いついた書き込みの件で、新たなことが判明した。柴山さんのご主人が十年前、死ぬかもしれない病気に罹り入院していた病院は、隔離病棟のあるところだったよ。しかも美島さんが亡くなる少し前に、彼は退院している。もし東南アジアの出張先で罹ったとされる彼の病気がウィルス性のものだったなら、美島さんを急性心不全に至らしめたものと同じ可能性はある。つまり当時婚約者だった柴山さんなら、手に入れることが出来たかもしれない」
英美が思わず口を挟んだ。
「美島支社長を殺した犯人が、柴山さんだと疑っているの?」
「そうだとは言っていない。しかし十年前の捜査では把握できなかったウィルスの出所が、もしそこからだったと判れば話は別だ。美島さんの周辺にいた人物の関係者に繋がっていたとなると、無関係だとは思えない。しかも彼女は、パワハラやセクハラの被害を受けていた節がある。つまり殺す動機はあったということだ。実を言うと十年前にも、彼女はセクハラを受けていたらしい人物の一人として名前が挙がっていた。しかし俺は久我埼犯人説に捉われていたから、そうした意見を無視していたんだ。それに彼女自身が、それを否定していた。やがて警察内部でも病死で幕を閉じた方が良いとの空気が流れ、その件についての捜査は打ち切られたんだ」
「でも彼女の婚約者が罹った病気のウィルスが、美島支社長の死因になった同じものとは限らないでしょ。それにそのウィルスって、必ず死ぬものとは限らないはずよね。現に柴山さんの旦那さんは生きている訳だから」
「ああ。デングウィルスに罹っても、必ず死に至るとは限らない。どちらかというと、感染症の中でも致死率は比較的低い方だ。高熱を出すがやがて治まる患者の方が多い。しかし重症化すれば死亡する可能性は高まるらしい。美島さんの場合、運が悪かったのだろう」
「ということは、殺そうとしたとは限らないってこと? 例えば懲らしめるつもりで婚約者が苦しんだウィルスを使ったら、重傷化して死んでしまったという可能性もあるよね」
「そうだな。柴山さんがもしウィルスを使って、美島支社長が口に入れる物の中に仕込んだとしても、本気で殺す気までは無かったのかもしれない」
「どちらにしても、まずは柴山さんのご主人が罹った病気が何かを確認しないと、疑っても仕方がないよね。もし同じだとしたら、本人に確認するしか方法は無いと思うけど」
「そこは警察の捜査に任せるしかないな」
「え? でもどうやって?」
「久我埼と柴山さんが、共犯だったかもしれない。もしかすると、柴山さんがウィルスを手に入れ、久我埼を唆して美島さんに感染するよう仕向けた、とも考えられる」
その推理に、古瀬は首を傾げて言った。
「それは無理筋じゃないか」
しかし三箇は、意外な返答をした。
「俺もそう思う。しかし警察を動かすためには、そう言うしかない。例え無理筋だと思われようと可能性が一ミリでもあれば、調べざるをえないからな」
「もしかして、もうその話を警察に話しているってこと?」
英美の問いに、彼は認めた。
「昔の伝手を使ったよ。ただ先方は嫌がっていた。それはそうだろう。過去に病死と片付けた案件を、ひっくり返す訳だからな。しかし今回久我埼が十五年前の犯行を認めたことで、十年前や六年前の件も捜査しない訳にはいかなくなった。だからこっちは有力な情報を流してやったって訳だ」
浦里が頷いた。
「確かにそう考えれば、久我埼が嘘をついているのか、本当に無関係なのかも証明できる」
三箇はさらに話を続けた。
「六年前の件だって奴は否定しているが、聞いた所では増水した用水路の周辺の聞き込み捜査を始めているようだ。しかしそっちから証拠が出てくる確率は低いだろう」
「そういえば、三箇さんは当時現場に行って調べたんだったね」
「ああ。しかしあの豪雨により事故が起こった周辺は電線が切れて停電になったせいで、防犯カメラは軒並み機能していなかった。だから時任課長が用水路に落ちた時、誰か傍にいたことを証明できる映像が残っている可能性は、限りなくゼロに近い。それに周辺の聞き込みもしたが、時間も夜遅くだったし近所の人達はカーテンや雨戸を閉めて、誰も外へ出ていなかった。だから目撃者を見つけることも困難だったし、まずいなかったと考えて間違いないと思う」
「でも十年前の件だって、同じウィルスだと証明するのは難しいんじゃないの?」
「そうとは限らない。ああいう特殊な感染症なら、罹った時点で病院側もウィルスを調べる為に血液検査をしたはずだ。しかもそれらを保存している可能性は高い。それにウィルスも遺伝子を持っている。と言うことは人間のDNAと同じように、一つ一つ違うはずだ。もし美島さんの体から採取したウィルスがまだ残っていれば、全く同じ構造を持ったものか、異なるものかは判別できると思う」
「そんなことが出来るの?」
「普通はしない。単に感染が広まっただけなら、誰から誰に渡ったかどうかまで、調べる手間なんてかけてられないからな。だがそれが殺人事件となれば話は別だ」
「それ以前の問題だけど、どうして十年前に同じ病で入院していた人がいたのに、調べなかったんだろう」
「時期がずれていたからだろう。それに当時は二人の間に接点が見つからなかった為に、疑いもしなかったのかもしれない」
「もし同じだったとすれば、まずは柴山さんが疑われるってことか」
「ああ。そこから久我埼と共謀したのか、それとも単独犯だったのか、少なくとも任意での取り調べは行われるだろう」
「そこまでくれば、もう俺達の手からは完全に離れたと思っていいんだな」
「後は警察がどこまで調べられるか、だ」
そうして三箇の怪我の快気祝いを兼ねた飲み会兼調査チームの話し合いが終わり、四人は一旦解散した。だがその帰り道、浦里と二人になると彼は突拍子もないことを言い出した。
「実は俺、皆に黙って行動していたことがある。そこで三箇さんが、奇妙な事をしていた事に気づいたんだ。それを廻間さんだけには言っておくよ」
「え? 彼が何をしたっていうの?」
「俺達は今まで、彼に上手く乗せられていたのかもしれない」
「どういう意味?」
「久我埼さんが異動してきてから、いろんな問題が起こっただろ。それを俺達が解決していく中で、四人の絆が深まった。だから過去の事件を調べるようになったんだよな」
「そうだった。最初は二人で、三箇さんの行動を諌めていたのにね」
「それがいつの間にか手伝うようになった。それは三箇さんのおかげで面倒な問題が解決していたから、断りきれなくなっていたとは思わない?」
英美は浦里が何を言おうとしているのか理解できず、首を捻った。すると彼が言った。
「要するにいくつかの件は、三箇さんが仕組んだものと思われる。上手く俺達を巻き込んで、有力な情報を得ようとしたのかもしれない。一つはアライグマの件だ。おそらくあの事件を引き起こしたのは、彼だった可能性が高い」
余りにも突飛な話についていけず、英美は目を丸くしたまま浦里の顔をぼんやり見ていたが、何とか口に出して聞いた。
「アライグマの件が、どうして三箇さんと関係があるの?」
「実は気になることがあって、アライグマの飼い主である松岡さんの奥さんが、過去に追突された事故の担当者を調べてみたんだ。そうしたら人身担当は、三箇さんだった」
呆気にとられた英美だったが、言われてみれば思い当たることがあった。
「そういえば、加害者が加入していたのもツムギ損保だったと言っていたわよね。その時の担当者がとても良かったから、できれば保険会社を変えたくなかったと聞いた覚えがある」
「そう。俺はアライグマが逃げ出した時、来客中だったとの話も思い出した。そこでその時誰と会っていたのかを、お礼を兼ねて松岡さんに連絡した時に聞いたんだ。すると驚いたことに、それも三箇さんだったんだ」
「どうして? 事故があったのは数年前でしょ。とっくに示談も終わって解決しているわよね? いくら当時の担当者だったからって、今更どんな用件があったというの?」
「俺も同じ疑問を持った。そこで何の用で来ていたかを尋ねた。すると近くまで寄ったので、首の調子はどうかと聞かれたらしい。それだけじゃない。最近当社の代理店と揉めたのに、保険会社を切り替えずに続けてくれるとの話を耳にして、お礼に来たとも言ったようだ。古瀬さんと緒方さんの件で、トラブルになっていたことを知って近づいたらしい」
「そんなことだけを言いに、わざわざ尋ねたというの? それにそんなことをしていたなんて聞いてないわよね」
「彼には、別の狙いがあったんだと思う。三箇さんが以前の事故で松岡さんと会話を交わした際、アライグマを飼っていると聞いていたらしい。首が痛いので、ペットの世話が大変だという愚痴を覚えていたんだろう。だから一度見せて欲しいと言ったそうだ。その後にテコ式のゲージの鍵がしっかりと下りていなかったから、逃げられたことに気づいたと言っていた」
「彼がアライグマを、わざと逃げるよう仕向けたってこと?」
「俺はそう思っている。その後会社に置いてあるお菓子が、また無くなる事件が起こった。それを解決してアライグマを捕まえたから、古瀬さんのトラブルが解消しただろ。あれがあったから、俺達は彼の依頼を断れなくなったとはいえなくないか」
「そ、それはそうかもしれないけど、偶然じゃないの」
「偶然にしては出来過ぎじゃないか。おそらく最初に冷蔵庫から物が無くなった事件が起こったから、それを利用することにしたんだと俺は睨んでいる。GPSシールを使って、犯人が新人総合職だと突き止めただろ。あれを機に俺達は、それまでよりも繋がりができた。彼はそれを、さらに深めようとしたんだと思う。そう考えないと彼があのタイミングで、松岡さんの家を訪問した理由の説明がつかない」
「仮に三箇さんが、アライグマを逃がしたとしてもよ。どうやって名古屋ビルで、お菓子を食べさせることができたというの?」
「おそらく彼は何かを挟んでゲージの鍵が下りないよう細工した際、アライグマの餌を家の外に投げ捨てたんじゃないかな。そうして一旦松岡家を出た後、アライグマがやってくるのを待ち伏せて捕獲した。長い間飼い慣らされていたから、直ぐに遠くへは行かないと予想していたのかもしれない。そしてそのまま会社へと連れていき、夜遅くなってから八階給湯室の天井にあらかじめ空けておいた穴へと隠したのだろう。ビルの一階の外で見つかった穴も、事前に彼が細工していた可能性が高い」
「じゃあお菓子を盗んだのは? それも三箇さんの仕業?」
「そうだと思う。業務職がほとんど帰った後にこっそりと盗んで、穴の中にでも放り込んだんだろう。GPSシールを仕掛けた後も、廻間さんが帰ってから菓子を盗んでいたはずだ。九階で見つかったのも、事前にそうなることを予想していたと思う。ビルの管理会社の人に確認して分かった。あの件より少し前、三箇さんから異音がすると連絡があり、依頼されて九階の扉を開けた事があるらしい」
「そんな事までしていたの? それにしては凝り過ぎじゃない?」
「確かにそう思う。だからこそ、誰にも怪しまれず実行できたんじゃないかな。他にもある。三箇さんは松岡さんのご主人が役員をしている泊社長の会社に対し、本部長自らが足を運んでいることを知っていたようだ。というのもツムギ損保と付き合うメリットをアピールする一環で、SCの牛久課長と次席の井野口さんも同行したことがあったらしい。一年程前、事故対応についてのプレゼンをしたと聞いた。SC課でも契約者名で検索すれば、俺が調べたように松岡社長の会社でどんな契約があるか分かるだろう。帝国データバンクから提供されている企業データを見れば、泊社長との関係も役員として松岡社長の名前が掲載されていることから知ることができたはずだ。だからこそ、古瀬さんと緒方さんが揉めていることを利用し、あのような手の込んだ仕掛けをしたと思われる」
「どうして浦里さんは、そのことに気付いたの?」
「調査することを止められて落ち着き始めた時に、改めてこれまであったことを振り返ってみたんだ。そこで久我埼さんが異動して来てから、急に色んな問題が起こっただけじゃなく、それらが次々解決していったことに違和感を持った。それに三箇さんが柴山さんと十年前の話をしたのは、久我埼さんが名古屋ビルに赴任した後だと廻間さんが聞いてくれたよね。それはおかしいと思ったんだ」
「どうして?」
「だって柴山さんは五年も前から再就職して、このビルにいたじゃないか。九年前に事件の事を調べようと転職して来た三箇さんなら、柴山さんを見つけた時点で直ぐにでも話を聞き出そうとするのが普通だと思わないか」
「そう言われればそうね」
「それをしなかったのは、自分が十年前に捜査していた刑事で、事件の事を調べていることはまだ周囲に知られたくなかったんじゃないかな。俺にだって少し匂わせてはいたけど、詳しくは教えてくれなかったぐらいだ。それなのに久我埼さんが来てから、彼は急に動きだした。俺や廻間さんに、転職理由を教えたのもそうだ。恐らく最初から久我埼さんに過去の事を調べているとプレッシャーをかければ、相手は何かしら動くだろうと考えていたんじゃないかな。実際久我埼さんは三箇さんの作戦にひっかかり、事故を起こして殺そうとした」
「でも私達が三箇さんから告白を受けた時、表立って動かない様注意したでしょ。だから私達が協力せざるを得なくする為に、問題を起こして解決させたってこと?」
「そうだと思う。途中で古瀬さんを巻き込んだのも、妻の悠里さんが元一宮支社に勤めていたことを知っていたからだろう。三箇さんがこの会社に転職してSC課に配属された年に、彼女は一宮支社から二課に配属されている。だが当時は刑事として面が割れているから、余り接触できなかった。しかし何かしらの情報を得ようとしていた事は、間違いないはずだ」
「それが本当だとしたら、すごい執念よね」
「ああ。並大抵の執着心じゃない。美島支社長を殺したのは久我埼さんだとの強い思い込みが、そこまでさせたんだと思う。業務課長の件もそうだ」
「え? どういう意味?」
「もしかして廻間さんは、本気で事故が起こった際に回収した映像から、ラブホテルへ入っていく二人の姿を捉えたと思っていたの?」
「そうじゃないの?」
「それはさすがに無理だろう。俺は三箇さんが業務課長の後を尾行して、二人が会う瞬間を撮影したんだと思った。そうでないと余りにも都合が良すぎる。二人が一緒に歩いている所だけでも見つかれば御の字なのに、ホテルに入っていく瞬間まで写っていたんだ。確率からしてあり得ない。あれがきっかけで、俺は三箇さんに疑いを持つようになったんだ」
「そうか。そうよね。あの頃は余りにもとんとん拍子で問題が解決していたから、逆に気付かなかった。だから調子に乗っちゃたんだよね。刑事の真似事なんかして、昔の事件を調べる手伝いまでしていたんだから、馬鹿みたい」
「それが狙いだったんだろう。俺達は、まんまと騙された訳だ。少しおかしいと思いながらも、俺だって京都の事故の件はかなり詳しく調べていたし。まあ、廻間さんが頑張っていたから、という理由もあったと思う。古瀬さんだってそうじゃないかな。そうして三人で競争させるように仕向けたのも、彼の作戦だったんだろう」
「結果彼の思った通りになった訳ね、久我埼さんを精神的に追い込むことに成功し、逮捕させたんだから。でも十年前の事件の犯人でない可能性が高いと知って、三箇さんはこれからどうするつもりなのかな」
「それは俺にも判らない。どちらにしても彼が言った通り、今後は警察の捜査に任せるしかないだろう」
英美の胸中は複雑だった。三箇に利用されたかもしれないと考えると、やはり気分が良いものではない。だがその結果、闇に葬られていた一つの事件の真相が明らかになったことは確かだ。
しかしまだ美島さんの事件の真相が不明のままだ。今後どのようになるのだろう。もしその結果が出た場合、三箇は何を思うのか。また今後どう動くのかが気になった。
「しかし無茶な事をしたな。あれだけ止めたのに。軽傷で済んだからよかったものの、下手をすれば門脇支社長のように死んでいたかもしれないんだぞ」
同意見だった英美と古瀬も、深く頷いた。それに対し、三箇は頭を下げた。
「心配をかけてすまない。しかし最初からあいつが俺を殺そうとしていたことは、彼の目を見て確信していた。だからもしもの為の準備もできたんだ。やはりあいつは、一線を超えたことのある人物だったよ。俺の見立てが間違っていなかったことも証明できた。それだけが救いだ」
「だけど肝心の美島支社長の件については、否認しているんだろ」
「ああ。三人目の時任課長については納得できる。しかし美島さんは、単なる病死でないという俺の考えは変わらない。だが今回の件で犯人は久我埼ではなかったのかもしれない、と思うようになった」
「それはどうして?」
「彼が人を殺したことのある人間の目をしていたのは、門脇を事故死に見せかけたからだと判った。だからこそ、美島支社長もそうだとは限らない。なぜならあいつは、物的証拠が何も出ていない十五年前の件は全面的に認めている。もし十年前もそうだとしたら、あいつの精神状態から考えて、否認し続けることは難しいと思う」
「それは死刑になりたくないから、じゃないのか。殺した人数が一人と二人では大きく違うだろう。しかも今回は、三箇さんに対する殺人未遂と傷害罪も加わっている。二人殺したとなれば、死刑になる確率は高い。一人ならば長くても無期懲役で済むだろう」
「それは俺も考えたさ。しかし奴は自分も死ぬ覚悟で俺を殺す計画を立てていたんだ。今更死刑を怖がるとは思えない。それに美島さんを殺したのなら、どうやってウィルスを手に入れたかが不明だ。それに廻間さんが調べてくれた情報を元に思いついた書き込みの件で、新たなことが判明した。柴山さんのご主人が十年前、死ぬかもしれない病気に罹り入院していた病院は、隔離病棟のあるところだったよ。しかも美島さんが亡くなる少し前に、彼は退院している。もし東南アジアの出張先で罹ったとされる彼の病気がウィルス性のものだったなら、美島さんを急性心不全に至らしめたものと同じ可能性はある。つまり当時婚約者だった柴山さんなら、手に入れることが出来たかもしれない」
英美が思わず口を挟んだ。
「美島支社長を殺した犯人が、柴山さんだと疑っているの?」
「そうだとは言っていない。しかし十年前の捜査では把握できなかったウィルスの出所が、もしそこからだったと判れば話は別だ。美島さんの周辺にいた人物の関係者に繋がっていたとなると、無関係だとは思えない。しかも彼女は、パワハラやセクハラの被害を受けていた節がある。つまり殺す動機はあったということだ。実を言うと十年前にも、彼女はセクハラを受けていたらしい人物の一人として名前が挙がっていた。しかし俺は久我埼犯人説に捉われていたから、そうした意見を無視していたんだ。それに彼女自身が、それを否定していた。やがて警察内部でも病死で幕を閉じた方が良いとの空気が流れ、その件についての捜査は打ち切られたんだ」
「でも彼女の婚約者が罹った病気のウィルスが、美島支社長の死因になった同じものとは限らないでしょ。それにそのウィルスって、必ず死ぬものとは限らないはずよね。現に柴山さんの旦那さんは生きている訳だから」
「ああ。デングウィルスに罹っても、必ず死に至るとは限らない。どちらかというと、感染症の中でも致死率は比較的低い方だ。高熱を出すがやがて治まる患者の方が多い。しかし重症化すれば死亡する可能性は高まるらしい。美島さんの場合、運が悪かったのだろう」
「ということは、殺そうとしたとは限らないってこと? 例えば懲らしめるつもりで婚約者が苦しんだウィルスを使ったら、重傷化して死んでしまったという可能性もあるよね」
「そうだな。柴山さんがもしウィルスを使って、美島支社長が口に入れる物の中に仕込んだとしても、本気で殺す気までは無かったのかもしれない」
「どちらにしても、まずは柴山さんのご主人が罹った病気が何かを確認しないと、疑っても仕方がないよね。もし同じだとしたら、本人に確認するしか方法は無いと思うけど」
「そこは警察の捜査に任せるしかないな」
「え? でもどうやって?」
「久我埼と柴山さんが、共犯だったかもしれない。もしかすると、柴山さんがウィルスを手に入れ、久我埼を唆して美島さんに感染するよう仕向けた、とも考えられる」
その推理に、古瀬は首を傾げて言った。
「それは無理筋じゃないか」
しかし三箇は、意外な返答をした。
「俺もそう思う。しかし警察を動かすためには、そう言うしかない。例え無理筋だと思われようと可能性が一ミリでもあれば、調べざるをえないからな」
「もしかして、もうその話を警察に話しているってこと?」
英美の問いに、彼は認めた。
「昔の伝手を使ったよ。ただ先方は嫌がっていた。それはそうだろう。過去に病死と片付けた案件を、ひっくり返す訳だからな。しかし今回久我埼が十五年前の犯行を認めたことで、十年前や六年前の件も捜査しない訳にはいかなくなった。だからこっちは有力な情報を流してやったって訳だ」
浦里が頷いた。
「確かにそう考えれば、久我埼が嘘をついているのか、本当に無関係なのかも証明できる」
三箇はさらに話を続けた。
「六年前の件だって奴は否定しているが、聞いた所では増水した用水路の周辺の聞き込み捜査を始めているようだ。しかしそっちから証拠が出てくる確率は低いだろう」
「そういえば、三箇さんは当時現場に行って調べたんだったね」
「ああ。しかしあの豪雨により事故が起こった周辺は電線が切れて停電になったせいで、防犯カメラは軒並み機能していなかった。だから時任課長が用水路に落ちた時、誰か傍にいたことを証明できる映像が残っている可能性は、限りなくゼロに近い。それに周辺の聞き込みもしたが、時間も夜遅くだったし近所の人達はカーテンや雨戸を閉めて、誰も外へ出ていなかった。だから目撃者を見つけることも困難だったし、まずいなかったと考えて間違いないと思う」
「でも十年前の件だって、同じウィルスだと証明するのは難しいんじゃないの?」
「そうとは限らない。ああいう特殊な感染症なら、罹った時点で病院側もウィルスを調べる為に血液検査をしたはずだ。しかもそれらを保存している可能性は高い。それにウィルスも遺伝子を持っている。と言うことは人間のDNAと同じように、一つ一つ違うはずだ。もし美島さんの体から採取したウィルスがまだ残っていれば、全く同じ構造を持ったものか、異なるものかは判別できると思う」
「そんなことが出来るの?」
「普通はしない。単に感染が広まっただけなら、誰から誰に渡ったかどうかまで、調べる手間なんてかけてられないからな。だがそれが殺人事件となれば話は別だ」
「それ以前の問題だけど、どうして十年前に同じ病で入院していた人がいたのに、調べなかったんだろう」
「時期がずれていたからだろう。それに当時は二人の間に接点が見つからなかった為に、疑いもしなかったのかもしれない」
「もし同じだったとすれば、まずは柴山さんが疑われるってことか」
「ああ。そこから久我埼と共謀したのか、それとも単独犯だったのか、少なくとも任意での取り調べは行われるだろう」
「そこまでくれば、もう俺達の手からは完全に離れたと思っていいんだな」
「後は警察がどこまで調べられるか、だ」
そうして三箇の怪我の快気祝いを兼ねた飲み会兼調査チームの話し合いが終わり、四人は一旦解散した。だがその帰り道、浦里と二人になると彼は突拍子もないことを言い出した。
「実は俺、皆に黙って行動していたことがある。そこで三箇さんが、奇妙な事をしていた事に気づいたんだ。それを廻間さんだけには言っておくよ」
「え? 彼が何をしたっていうの?」
「俺達は今まで、彼に上手く乗せられていたのかもしれない」
「どういう意味?」
「久我埼さんが異動してきてから、いろんな問題が起こっただろ。それを俺達が解決していく中で、四人の絆が深まった。だから過去の事件を調べるようになったんだよな」
「そうだった。最初は二人で、三箇さんの行動を諌めていたのにね」
「それがいつの間にか手伝うようになった。それは三箇さんのおかげで面倒な問題が解決していたから、断りきれなくなっていたとは思わない?」
英美は浦里が何を言おうとしているのか理解できず、首を捻った。すると彼が言った。
「要するにいくつかの件は、三箇さんが仕組んだものと思われる。上手く俺達を巻き込んで、有力な情報を得ようとしたのかもしれない。一つはアライグマの件だ。おそらくあの事件を引き起こしたのは、彼だった可能性が高い」
余りにも突飛な話についていけず、英美は目を丸くしたまま浦里の顔をぼんやり見ていたが、何とか口に出して聞いた。
「アライグマの件が、どうして三箇さんと関係があるの?」
「実は気になることがあって、アライグマの飼い主である松岡さんの奥さんが、過去に追突された事故の担当者を調べてみたんだ。そうしたら人身担当は、三箇さんだった」
呆気にとられた英美だったが、言われてみれば思い当たることがあった。
「そういえば、加害者が加入していたのもツムギ損保だったと言っていたわよね。その時の担当者がとても良かったから、できれば保険会社を変えたくなかったと聞いた覚えがある」
「そう。俺はアライグマが逃げ出した時、来客中だったとの話も思い出した。そこでその時誰と会っていたのかを、お礼を兼ねて松岡さんに連絡した時に聞いたんだ。すると驚いたことに、それも三箇さんだったんだ」
「どうして? 事故があったのは数年前でしょ。とっくに示談も終わって解決しているわよね? いくら当時の担当者だったからって、今更どんな用件があったというの?」
「俺も同じ疑問を持った。そこで何の用で来ていたかを尋ねた。すると近くまで寄ったので、首の調子はどうかと聞かれたらしい。それだけじゃない。最近当社の代理店と揉めたのに、保険会社を切り替えずに続けてくれるとの話を耳にして、お礼に来たとも言ったようだ。古瀬さんと緒方さんの件で、トラブルになっていたことを知って近づいたらしい」
「そんなことだけを言いに、わざわざ尋ねたというの? それにそんなことをしていたなんて聞いてないわよね」
「彼には、別の狙いがあったんだと思う。三箇さんが以前の事故で松岡さんと会話を交わした際、アライグマを飼っていると聞いていたらしい。首が痛いので、ペットの世話が大変だという愚痴を覚えていたんだろう。だから一度見せて欲しいと言ったそうだ。その後にテコ式のゲージの鍵がしっかりと下りていなかったから、逃げられたことに気づいたと言っていた」
「彼がアライグマを、わざと逃げるよう仕向けたってこと?」
「俺はそう思っている。その後会社に置いてあるお菓子が、また無くなる事件が起こった。それを解決してアライグマを捕まえたから、古瀬さんのトラブルが解消しただろ。あれがあったから、俺達は彼の依頼を断れなくなったとはいえなくないか」
「そ、それはそうかもしれないけど、偶然じゃないの」
「偶然にしては出来過ぎじゃないか。おそらく最初に冷蔵庫から物が無くなった事件が起こったから、それを利用することにしたんだと俺は睨んでいる。GPSシールを使って、犯人が新人総合職だと突き止めただろ。あれを機に俺達は、それまでよりも繋がりができた。彼はそれを、さらに深めようとしたんだと思う。そう考えないと彼があのタイミングで、松岡さんの家を訪問した理由の説明がつかない」
「仮に三箇さんが、アライグマを逃がしたとしてもよ。どうやって名古屋ビルで、お菓子を食べさせることができたというの?」
「おそらく彼は何かを挟んでゲージの鍵が下りないよう細工した際、アライグマの餌を家の外に投げ捨てたんじゃないかな。そうして一旦松岡家を出た後、アライグマがやってくるのを待ち伏せて捕獲した。長い間飼い慣らされていたから、直ぐに遠くへは行かないと予想していたのかもしれない。そしてそのまま会社へと連れていき、夜遅くなってから八階給湯室の天井にあらかじめ空けておいた穴へと隠したのだろう。ビルの一階の外で見つかった穴も、事前に彼が細工していた可能性が高い」
「じゃあお菓子を盗んだのは? それも三箇さんの仕業?」
「そうだと思う。業務職がほとんど帰った後にこっそりと盗んで、穴の中にでも放り込んだんだろう。GPSシールを仕掛けた後も、廻間さんが帰ってから菓子を盗んでいたはずだ。九階で見つかったのも、事前にそうなることを予想していたと思う。ビルの管理会社の人に確認して分かった。あの件より少し前、三箇さんから異音がすると連絡があり、依頼されて九階の扉を開けた事があるらしい」
「そんな事までしていたの? それにしては凝り過ぎじゃない?」
「確かにそう思う。だからこそ、誰にも怪しまれず実行できたんじゃないかな。他にもある。三箇さんは松岡さんのご主人が役員をしている泊社長の会社に対し、本部長自らが足を運んでいることを知っていたようだ。というのもツムギ損保と付き合うメリットをアピールする一環で、SCの牛久課長と次席の井野口さんも同行したことがあったらしい。一年程前、事故対応についてのプレゼンをしたと聞いた。SC課でも契約者名で検索すれば、俺が調べたように松岡社長の会社でどんな契約があるか分かるだろう。帝国データバンクから提供されている企業データを見れば、泊社長との関係も役員として松岡社長の名前が掲載されていることから知ることができたはずだ。だからこそ、古瀬さんと緒方さんが揉めていることを利用し、あのような手の込んだ仕掛けをしたと思われる」
「どうして浦里さんは、そのことに気付いたの?」
「調査することを止められて落ち着き始めた時に、改めてこれまであったことを振り返ってみたんだ。そこで久我埼さんが異動して来てから、急に色んな問題が起こっただけじゃなく、それらが次々解決していったことに違和感を持った。それに三箇さんが柴山さんと十年前の話をしたのは、久我埼さんが名古屋ビルに赴任した後だと廻間さんが聞いてくれたよね。それはおかしいと思ったんだ」
「どうして?」
「だって柴山さんは五年も前から再就職して、このビルにいたじゃないか。九年前に事件の事を調べようと転職して来た三箇さんなら、柴山さんを見つけた時点で直ぐにでも話を聞き出そうとするのが普通だと思わないか」
「そう言われればそうね」
「それをしなかったのは、自分が十年前に捜査していた刑事で、事件の事を調べていることはまだ周囲に知られたくなかったんじゃないかな。俺にだって少し匂わせてはいたけど、詳しくは教えてくれなかったぐらいだ。それなのに久我埼さんが来てから、彼は急に動きだした。俺や廻間さんに、転職理由を教えたのもそうだ。恐らく最初から久我埼さんに過去の事を調べているとプレッシャーをかければ、相手は何かしら動くだろうと考えていたんじゃないかな。実際久我埼さんは三箇さんの作戦にひっかかり、事故を起こして殺そうとした」
「でも私達が三箇さんから告白を受けた時、表立って動かない様注意したでしょ。だから私達が協力せざるを得なくする為に、問題を起こして解決させたってこと?」
「そうだと思う。途中で古瀬さんを巻き込んだのも、妻の悠里さんが元一宮支社に勤めていたことを知っていたからだろう。三箇さんがこの会社に転職してSC課に配属された年に、彼女は一宮支社から二課に配属されている。だが当時は刑事として面が割れているから、余り接触できなかった。しかし何かしらの情報を得ようとしていた事は、間違いないはずだ」
「それが本当だとしたら、すごい執念よね」
「ああ。並大抵の執着心じゃない。美島支社長を殺したのは久我埼さんだとの強い思い込みが、そこまでさせたんだと思う。業務課長の件もそうだ」
「え? どういう意味?」
「もしかして廻間さんは、本気で事故が起こった際に回収した映像から、ラブホテルへ入っていく二人の姿を捉えたと思っていたの?」
「そうじゃないの?」
「それはさすがに無理だろう。俺は三箇さんが業務課長の後を尾行して、二人が会う瞬間を撮影したんだと思った。そうでないと余りにも都合が良すぎる。二人が一緒に歩いている所だけでも見つかれば御の字なのに、ホテルに入っていく瞬間まで写っていたんだ。確率からしてあり得ない。あれがきっかけで、俺は三箇さんに疑いを持つようになったんだ」
「そうか。そうよね。あの頃は余りにもとんとん拍子で問題が解決していたから、逆に気付かなかった。だから調子に乗っちゃたんだよね。刑事の真似事なんかして、昔の事件を調べる手伝いまでしていたんだから、馬鹿みたい」
「それが狙いだったんだろう。俺達は、まんまと騙された訳だ。少しおかしいと思いながらも、俺だって京都の事故の件はかなり詳しく調べていたし。まあ、廻間さんが頑張っていたから、という理由もあったと思う。古瀬さんだってそうじゃないかな。そうして三人で競争させるように仕向けたのも、彼の作戦だったんだろう」
「結果彼の思った通りになった訳ね、久我埼さんを精神的に追い込むことに成功し、逮捕させたんだから。でも十年前の事件の犯人でない可能性が高いと知って、三箇さんはこれからどうするつもりなのかな」
「それは俺にも判らない。どちらにしても彼が言った通り、今後は警察の捜査に任せるしかないだろう」
英美の胸中は複雑だった。三箇に利用されたかもしれないと考えると、やはり気分が良いものではない。だがその結果、闇に葬られていた一つの事件の真相が明らかになったことは確かだ。
しかしまだ美島さんの事件の真相が不明のままだ。今後どのようになるのだろう。もしその結果が出た場合、三箇は何を思うのか。また今後どう動くのかが気になった。
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