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第三章~②
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衝撃の告白に英美達は言葉を失った。そこまでの執念を持っていたことなど、初めて知った。だからこそ、ここ最近彼の行動がおかしかった意味がすとんと腑に落ちたのだ。
しかし彼は自虐的に笑った。
「だけど肝心の相手は会社を長い間休職し、復職したと思ったら大宮SC課へ転勤してしまった。だから調査らしいものなんてできなかったに等しい。まず自分がここでの仕事に慣れることで必死だったこともある。ただ部署は違うが、美島さんがいた会社がどういうところだったのかは、八年以上いてかなり理解したつもりだよ」
「最近はまだマシになったが、十年前だったら営業の支社長ともなれば相当大変だったと思うよ。上からは数字のことでぎゃんぎゃんと言われながら、勤務時間も守れ、あれもしろ、これもしろと様々なプレッシャーを受けていたはずだ」
「そうだな。そうしたストレスから、美島さんも部下を怒鳴ったりして嫌われていたのかもしれない。そんなことも知らないで、給料が良いからと好意に甘えていた自分が情けないと思ったよ。高収入もそれこそ心身を削り手に入れたものだと、痛いほど判った」
「それでどうした。途中で捜査するのを諦めていたところ、突然目の前に再び久我埼さんが現れたからまた動きだしたのか。だからやたら突っかかる真似をして、揺さぶりをかけていたってことなのか」
「半分は当たっている。時が経つにつれて得られる情報も少なくなった。それに自分の仕事で精一杯になった俺は、やがて久我埼のことを忘れようと思った。だが六年前にまた奴の上司が事故に遭ったと聞いたんだ」
彼はその頃夏風邪をひいて、二日ほど会社を休んでいた時だったという。事故の件を聞いたのは、翌々日の事でとても驚いたそうだ。そしてSC課ではゲリラ豪雨で被害を受けた現地の応援要員を募っていたらしい。
そこで彼は立候補し現地に一週間ほど滞在したという。その時仕事の合間を縫って大宮の警察署に出向いたり、病院へ運ばれた管理職の周囲の人達から、色々な事情を聞いたりしたそうだ。
「だが結局、何も得られないまま帰って来た。そして今に至っている。奴は向こうの職場でもしばらくして休職した。だが三年半の長い休職を経て再び復職し、あろうことか俺達のいるビルへとやってきた。これは何かの縁だと思ったよ。神様か美島さんが導いてくれたんだ」
だから久我埼を再び問い詰め、犯人であることを自白、または何か重要な事を喋らせようとしたのだと彼は打ち明けてくれた。そしてその反応から断言した。
「やはりあいつが無実である可能性は低い。十年ぶりに見たが、間違いなくあいつの目は、意図的に人を殺した人間のものだ。それを隠そうとする、狡猾な犯罪者の態度だと確信した」
会話が堂々巡りし始めたが、三箇が久我埼にこだわる理由が明らかになった為か、浦里は忠告した。
「最近の奇妙な行動については理解できた。だけど俺は課長に言われたからだけじゃなく、三箇さんの事が心配なんだ。とにかく気持ちを抑えて、派手な動きは控えるようにしないか。いくら挑発しても、良いように解決するとは思えない」
「そうよ。恩人が殺された可能性があって、許せない気持ちは理解できる。でも三箇さんはもう刑事じゃないし、犯人を探すことがあなたの仕事じゃない。だから会社ではできるだけ、その気持ちを抑えて。だからって美島さんの死を忘れろと言っているんじゃないよ」
英美の意見に、浦里も頷いた。
「そう。俺だってそんなことは言わない。警察を辞めてこの会社に就職までしたんだ。事件の真相をはっきりさせたいと思う気持ちまでは止められない。だから素人がどれだけ出来るかは判らないけど、その件について調べ直すことには協力するよ。その代わり廻間さんが言ったように、会社では表向き大人しくしていた方が良い」
英美もそうだが、三箇もその発言に驚いたらしい。
「お前、そんな事を考えていたのか」
浦里は、再び首を縦に振りながら言った。
「ついさっきだけどね。今までの話を聞いて、俺は真相究明に協力したいと思った。だからこそ、慎重に動かないといけない。これから単独で行動することだけは辞めてくれ」
しばらく三箇は何かを考えていたようだったが、結局頷いた。
「判った。ありがとう。これから動く時は、浦里に相談するよ。確かに捜査権のない俺が、一人で動くことに限界は感じていた。でも過去に拾いきれなかった新たな情報を得るには、他の人の力が必要だ。もう一人で無茶な事はしない。その代わり協力してくれるか」
「もちろんだ」
英美は二人のやり取りを聞いて悩んだ。出来るだけ面倒な事に首を突っ込みたくはない。しかしこの場の流れから、自分だけ知らない振りをすることはできなかった。そこで止む無く言った。
「分かった。私も協力する。その代わり、無茶はしないと約束して。いいわね」
すると三箇は喜んだ。
「本当に廻間さんも協力してくれる? それはとても助かるよ。事務職からの情報も得たいと思っていたんだ」
しかし彼とは対照的に、意外そうな顔をした浦里が忠告して来た。
「おいおい。そんな事を言って大丈夫か? 無理しなくていいよ。厄介な噂話に付き合うってことなんだから」
だが今更前言撤回は出来ない。その為英美は開き直って言った。
「しょうがないじゃない。二人がやるって言っているんだから、私が協力しない訳にもいかないでしょ。それに三箇さんが言ったように、事務職の女性から情報を聞き出すには同じ女性がいた方が良いと思うから」
「じゃあ、ここにいる三人でこの件については情報を共有しよう」
浦里の提案に頷いた後はいつもの飲み会の雰囲気に戻り、雑談に花を咲かせた。しばらく飲み食いした後、明日も仕事があるからとそれぞれ解散したのだった。
次の日から月末最終日まではお互い仕事で忙殺された為、その話題を口にすることは無かった。話が出たのは月が替わってからだ。
少しずつ通常業務に戻りつつあった月初のある日、席に付いていた浦里が突然切り出した。
「あれから三箇さんと、何か話しをした?」
パソコンの画面を見ながらだったので、何気ない会話を装うためだと理解する。英美も同じく画面を見ながら答えた。
「してないよ。浦里さんは?」
「俺もしてない」
「何かあった?」
「そういう訳じゃないけど、あれから色々考えてはいたんだよ。協力するとは言ったものの、どうすればいいのかって。どう思う?」
「それは私も困っているの。話を聞くと言っても十年前のことでしょ。総合職ではまず知っている人は残っていないと思うから、後は事務職になるよね。だけど七恵さん以外だと、祥子さんとかほんの数人くらいしかいないんじゃないかな。スタッフさんとかで、当時一宮支社にいた人が今こっちにいたらいいけど、まずその可能性はないと思うから」
「そうだな。その限られた事務職やスタッフさん相手に、俺の立場でいざ聞くとなるとどうやって切り出せばいいのか分からなくてさ。向こうにとっては何で今更、それに何故あなたがそんなことを聞くのって反応されるのは、目に見えているからね」
「そうなのよ。総合職の浦里さんより、まだ私の方が聞きやすいでしょうね。でも普段から噂話を避けていた私が、急に態度を変えて根掘り葉掘り聞くのも不自然でしょ」
「それはそうだな。どうすればいいんだろ」
「どうしよう。悩ましいよね」
英美はそこで何気なく席を立ち、パーテーション越しに隣の課にいる七恵の姿を探した。やはり突破口としては、彼女から始めるしかないと思っている。
だが普段からそれほど親しい会話などしない間柄だ。それどころか正直苦手なタイプで、どちらかといえばお互い嫌っている部類に入っていると思う。だから苦慮しているのだ。
そんなことを考えながらぼんやりと眺めていたら、突然電話に出ていた二課の事務職の一人が大声を出した。
「え? またやったの? 八月になったばかりだよ?」
それを聞きつけた二課の次席の手塚課長代理が彼女に近寄り、声を出さず何事かと尋ねていた。そこで彼女は受話器の口を抑えて答えていた。
「また平畑さんが、事故を起こしたみたいです」
「またか? 怪我は?」
「単独事故で、本人に怪我はないそうです。ただ社有車が動かなくなったそうです」
「この電話は平畑からか?」
「はい」
「俺が話す」
そこで保留ボタンを押し、手塚は自分の席に戻って電話を取った。
「手塚だ。どこでやった? 今どういう状態だ? 警察には連絡したのか? 車が動かないのか? レッカーは依頼したのか?」
矢継早に質問を浴びせている。口調は徐々に厳しくなっていった。課長も含め二課の他の総合職は外出しており、手塚しかいない。しかし席に付いている事務職達は皆、口を揃えて騒いでいた。
「今度やったら、免停になるかもって言ってなかった?」
「今回は単独の物損事故だから減点にならないと思うけど、もう外へ出しては貰えないだろうね」
「先月はなんとか無事故だったんだけど、八月に入った途端いきなりでしょ」
「もう駄目じゃない? 運転ができない営業職なんて、使えないでしょ。外に出られないなら、中で何をするの? 何もできないじゃない。事務の知識だってまだまだなんだから」
「総合職って入社する時、免許の有無を確認されるって言っていたよね。免許のない人は内定した後、入社までに取らないといけないって聞いたことがある」
「営業に向いてないのよ。人事もどうしてあんな人を採用したかな」
辛辣な言葉が飛び交う中、浦里も聞こえたのか同じく席を立ち、心配そうな顔をして二課の様子を見ていた。
昨年の七月、二課に配属された総合職の平畑は今年で入社二年目だ。彼は運転が苦手なのか、異動して来たばかりの時に事故を起こした。それも今回のような単独事故だった。
その時は気を付けろよ、相手がいなくてよかったなといった程度で済んでいたが、その後がいけなかった。彼は同月に複数回は起こさなかったけれども、隔月で事故を起こし続けてきたのだ。
しかも中には追突事故もあった。幸い相手の怪我は軽かったようだが、人身扱いとなったために免許も減点されている。これまでそうしたことを繰り返し、先々月には配属されてから六回目の事故を起こした。つまり一年で六回起こした計算になる。
その為今度人身事故を起こしたら免停になるかもしれないと、厳しく注意を受けていた。例えならなくても事故を起こせば運転禁止、と通告されていたことを英美達も知っている。
営業職で、車が運転できないとなれば致命的だ。総合職は担当代理店の元へ、車で移動して訪問するのが常だ。電車だけで行ける先などごく限られている。
特に名古屋は道路が広い分、車の数も交通量も多いだけでなく、荒い運転をすることで有名だ。県では交通事故死者数が全国で十数年連続一位という不名誉な記録も持っている。
その為、決して運転がしやすい地域で無い事は間違いなかった。だからといってほぼ二カ月に一回事故を起こす程かと言われれば、そうではない。
それに平畑が起こす事故は全て、自分の過失が百%のものばかりだ。巻き込まれた事故というものは一度もない。これまで大きな人身事故を起こしていない点だけが幸いだった。
しかしこんな事が続けば、いずれ起こるかもしれない。そうなってからでは遅いのだ。保険会社に勤める者が死亡事故を起こした場合、会社を首になることもある。第一、社会的にも示しがつかない。
ただ英美からすれば、彼に同情する点もあった。車の運転技術がないことも原因だろう。しかしそれだけではないと思っていた。
というのも彼は配属されたばかりでしかも一番下だったこともあり、毎日のように遅くまで残業をしている。かつ雑務までこなしていると聞かされていた。はっきりいってこき使われているのだ。
その為日頃の睡眠不足が祟り、運転中の集中力が欠ける一因となっているのでは、と考えていた。しかも二課の職場は雰囲気が良くない。だから彼は会社が辛い所だと感じているに違いなかった。
といって事故を起こしていいはずはない。そこで彼には酷かもしれないが、配置転換をして別の部署に異動させた方が良いのでは、と思わずにいられなかった。
配属されてまだ一年しか経っていないが、運転できない営業職がいては事務職も他の総合職も困る。外出禁止令が出たなら、彼の担当している代理店は他の総合職が代わりに受け持って回らなければならない。総合職一人当たりの負担が増えれば、ただでさえ今抱えている仕事に余裕が無いので、フォローも疎かになるはずだ。
そうなると厄介事は、事務職が受け持つことになる。しかし彼女達は基本的に電話対応が主だ。面と向かって話をしなければ解決しないものや、書類の受け渡しがスムーズに行われるか否かで、仕事の質が変わってくる。
そう考えると早期に、出来れば十月異動に間に合わせて後任の総合職を呼んだ方が良い。彼はしばらくの間、外出する機会がまずない部署に配置することもやむを得ないだろう。
そうした話は、一課の総合職の間でも出ていたようだ。逆の立場だったらそうするしかないだろう、と話している様子を耳にしたことがあった。
だがこの問題は、英美達が考えているような事態に向かなかった。平畑が会社に戻って来た時には、二課長の飯島も外から帰ってきたようだ。
手塚から報告を受けた課長は、直ぐにどこかへ内線をかけていた。後で聞いた所では、どうやら早坂名古屋支店長に連絡していたらしい。
しかしその後そこで出された結論なのかは不明だが、少なくとも二課長は平畑を異動させるのではなく、退職させようと画策しているとの噂が広がったのだ。
というのも事前通告通り、本人に今後の外出禁止令を告げただけでは済まなかった。どうやらこのままこの会社にいていいのかと本人に尋ねたらしい。今回の件で二課の他の社員だけでなく、代理店にまでも迷惑をかけることになったことを滔々と説明したという。
さらにこれまで一年間働き、自分に適性があると思うかと問うたそうだ。その上彼の親も呼び、今後の事をよく考えて欲しいと通告までしたと耳にした。
英美は噂について、浦里に尋ねた。
「平畑さんが辞めさせられるかもしれないって、本当なの?」
するとはっきりとした答えが返って来た。
「辞めさせることは無理だ。人身事故を起こした訳でもない。クビに出来る程、決定的な問題もない。ただ営業社員としては、不適格だと言わざるを得ないだろう」
「だったら配置転換すればいいじゃない。それこそ同じフロアにある総務課だとか、東京本社だったら、営業企画部とか種目業務部だとか、車で外回りしない部署はいくらだってあると思うけど。外に出なければいけない場合があったとしても、東京だったら地下鉄だとか電車が何本も通っているから、なんとかなるでしょ」
「俺もそう思う。だけど二課や上の方はそう考えていないみたいだ」
「どうして? 確かに事故以外にも仕事上のミスも多いとは聞いているけど、まだ入社二年目でしょ。多少できないことがあるのは当たり前じゃない。それに彼は確か大学は良い所を出ていたよね。頭は良いんだから、内勤だったら十分やっていけると思うけど」
「理屈はそうだけど、現実問題としては難しいかもね。人事異動はそう簡単に認められ無いらしいから」
「どういうこと?」
「事故や病気で社員が亡くなったり長期休職して欠員が出たり、自己都合等で会社を辞めたりした場合の人員補充は、比較的早くしてくれる。でもそうでない場合は、なかなか難しいみたいだよ。だって本人の資質の問題もあるだろうけど、配置を決めた人事部が悪いのか、配属先の管理職が適正に指導していたのか、あるいはその上の部支店長に問題は無かったのか等、責任問題の所在がどこにあるかを問われる。だから簡単にはいかないらしい」
「それがどう関係してくるの?」
「要は明確な異動理由がないと、人は簡単に動かせないってこと。だってこいつはちょっと合わないからって、簡単に異動させられるようだったら、人事としても収集がつかない。だからそう簡単には動かせない。だったらどうすればいいか。一番簡単な事は、今回のケースだと自主退職して貰うことだ。そうすれば欠員事由となるから、次の異動がしやすくなる。管理職の責任や人事部の責任にもならない。自己都合による退職ならね」
「それって酷くない? 自分達の地位や規則を守るために、人一人会社から追い出す訳?」
「酷いと言えば酷い。だけど最終的に判断するのは平畑だ。さすがに会社も、無理やり辞めさせることはできない。組合もあるし今の時代下手な事をすれば、会社全体に影響が出てしまうから」
「そうよね。さすがに無理やり首は切らないよね」
「だけど暗示をかけるように、自主退職を促すことは出来るだろう。現に今、親を絡めてそう仕向けているらしい」
「やっぱり酷いじゃない。私から言わせれば、二課の職場環境や指導にも問題があったと思う。他の部署だったら、やっていけるんじゃないかな」
浦里だったら同意してくれると思ったが、彼は頷かなかった。
「それは分からない。二課にも問題はあったと思うよ。でも彼がこの状況で会社に残り、他の部署でやっていけるかどうかなんて、誰も保証できないんじゃないかな。今回の件で、彼がこの会社に嫌なイメージを持ったかもしれないし、自分でも向いていないと感じているかもしれない。そんな状況で他の部署に行って頑張れるかと言えば、そうならない確率は高いと思うよ」
意外な反論を受け、英美は戸惑いながらも反発した。
「それはそうだけど、まだ入社二年目じゃない。判断するのは早いと思うけど」
「もちろん部署によって良し悪しや、合う合わないなどの問題はある。でも基本的にはどこの部署も忙しいし、大変だと思う。だから安易に、他所だと大丈夫だとは言ってあげられない。営業以外の部署に異動しても、またミスを重ねて叱責されるかもしれないだろ。そんなことが続けば、下手をすると体を壊したり心を病んでしまったりする可能性だってある。冷たいように聞こえるかもしれないけど、そうなる前に辞めると言うのも一つの選択肢だと俺は思う」
彼の言い分にも一理あるとは思った。しかし平畑を辞めさせようとしている周りの人間達は、彼の事を第一に考えているかといえば疑問が残る。ただ自分達の保身の為に綺麗ごとを並べながら、彼にプレッシャーを与えて追い出すつもりだとしか感じられなかった。
しかし彼は自虐的に笑った。
「だけど肝心の相手は会社を長い間休職し、復職したと思ったら大宮SC課へ転勤してしまった。だから調査らしいものなんてできなかったに等しい。まず自分がここでの仕事に慣れることで必死だったこともある。ただ部署は違うが、美島さんがいた会社がどういうところだったのかは、八年以上いてかなり理解したつもりだよ」
「最近はまだマシになったが、十年前だったら営業の支社長ともなれば相当大変だったと思うよ。上からは数字のことでぎゃんぎゃんと言われながら、勤務時間も守れ、あれもしろ、これもしろと様々なプレッシャーを受けていたはずだ」
「そうだな。そうしたストレスから、美島さんも部下を怒鳴ったりして嫌われていたのかもしれない。そんなことも知らないで、給料が良いからと好意に甘えていた自分が情けないと思ったよ。高収入もそれこそ心身を削り手に入れたものだと、痛いほど判った」
「それでどうした。途中で捜査するのを諦めていたところ、突然目の前に再び久我埼さんが現れたからまた動きだしたのか。だからやたら突っかかる真似をして、揺さぶりをかけていたってことなのか」
「半分は当たっている。時が経つにつれて得られる情報も少なくなった。それに自分の仕事で精一杯になった俺は、やがて久我埼のことを忘れようと思った。だが六年前にまた奴の上司が事故に遭ったと聞いたんだ」
彼はその頃夏風邪をひいて、二日ほど会社を休んでいた時だったという。事故の件を聞いたのは、翌々日の事でとても驚いたそうだ。そしてSC課ではゲリラ豪雨で被害を受けた現地の応援要員を募っていたらしい。
そこで彼は立候補し現地に一週間ほど滞在したという。その時仕事の合間を縫って大宮の警察署に出向いたり、病院へ運ばれた管理職の周囲の人達から、色々な事情を聞いたりしたそうだ。
「だが結局、何も得られないまま帰って来た。そして今に至っている。奴は向こうの職場でもしばらくして休職した。だが三年半の長い休職を経て再び復職し、あろうことか俺達のいるビルへとやってきた。これは何かの縁だと思ったよ。神様か美島さんが導いてくれたんだ」
だから久我埼を再び問い詰め、犯人であることを自白、または何か重要な事を喋らせようとしたのだと彼は打ち明けてくれた。そしてその反応から断言した。
「やはりあいつが無実である可能性は低い。十年ぶりに見たが、間違いなくあいつの目は、意図的に人を殺した人間のものだ。それを隠そうとする、狡猾な犯罪者の態度だと確信した」
会話が堂々巡りし始めたが、三箇が久我埼にこだわる理由が明らかになった為か、浦里は忠告した。
「最近の奇妙な行動については理解できた。だけど俺は課長に言われたからだけじゃなく、三箇さんの事が心配なんだ。とにかく気持ちを抑えて、派手な動きは控えるようにしないか。いくら挑発しても、良いように解決するとは思えない」
「そうよ。恩人が殺された可能性があって、許せない気持ちは理解できる。でも三箇さんはもう刑事じゃないし、犯人を探すことがあなたの仕事じゃない。だから会社ではできるだけ、その気持ちを抑えて。だからって美島さんの死を忘れろと言っているんじゃないよ」
英美の意見に、浦里も頷いた。
「そう。俺だってそんなことは言わない。警察を辞めてこの会社に就職までしたんだ。事件の真相をはっきりさせたいと思う気持ちまでは止められない。だから素人がどれだけ出来るかは判らないけど、その件について調べ直すことには協力するよ。その代わり廻間さんが言ったように、会社では表向き大人しくしていた方が良い」
英美もそうだが、三箇もその発言に驚いたらしい。
「お前、そんな事を考えていたのか」
浦里は、再び首を縦に振りながら言った。
「ついさっきだけどね。今までの話を聞いて、俺は真相究明に協力したいと思った。だからこそ、慎重に動かないといけない。これから単独で行動することだけは辞めてくれ」
しばらく三箇は何かを考えていたようだったが、結局頷いた。
「判った。ありがとう。これから動く時は、浦里に相談するよ。確かに捜査権のない俺が、一人で動くことに限界は感じていた。でも過去に拾いきれなかった新たな情報を得るには、他の人の力が必要だ。もう一人で無茶な事はしない。その代わり協力してくれるか」
「もちろんだ」
英美は二人のやり取りを聞いて悩んだ。出来るだけ面倒な事に首を突っ込みたくはない。しかしこの場の流れから、自分だけ知らない振りをすることはできなかった。そこで止む無く言った。
「分かった。私も協力する。その代わり、無茶はしないと約束して。いいわね」
すると三箇は喜んだ。
「本当に廻間さんも協力してくれる? それはとても助かるよ。事務職からの情報も得たいと思っていたんだ」
しかし彼とは対照的に、意外そうな顔をした浦里が忠告して来た。
「おいおい。そんな事を言って大丈夫か? 無理しなくていいよ。厄介な噂話に付き合うってことなんだから」
だが今更前言撤回は出来ない。その為英美は開き直って言った。
「しょうがないじゃない。二人がやるって言っているんだから、私が協力しない訳にもいかないでしょ。それに三箇さんが言ったように、事務職の女性から情報を聞き出すには同じ女性がいた方が良いと思うから」
「じゃあ、ここにいる三人でこの件については情報を共有しよう」
浦里の提案に頷いた後はいつもの飲み会の雰囲気に戻り、雑談に花を咲かせた。しばらく飲み食いした後、明日も仕事があるからとそれぞれ解散したのだった。
次の日から月末最終日まではお互い仕事で忙殺された為、その話題を口にすることは無かった。話が出たのは月が替わってからだ。
少しずつ通常業務に戻りつつあった月初のある日、席に付いていた浦里が突然切り出した。
「あれから三箇さんと、何か話しをした?」
パソコンの画面を見ながらだったので、何気ない会話を装うためだと理解する。英美も同じく画面を見ながら答えた。
「してないよ。浦里さんは?」
「俺もしてない」
「何かあった?」
「そういう訳じゃないけど、あれから色々考えてはいたんだよ。協力するとは言ったものの、どうすればいいのかって。どう思う?」
「それは私も困っているの。話を聞くと言っても十年前のことでしょ。総合職ではまず知っている人は残っていないと思うから、後は事務職になるよね。だけど七恵さん以外だと、祥子さんとかほんの数人くらいしかいないんじゃないかな。スタッフさんとかで、当時一宮支社にいた人が今こっちにいたらいいけど、まずその可能性はないと思うから」
「そうだな。その限られた事務職やスタッフさん相手に、俺の立場でいざ聞くとなるとどうやって切り出せばいいのか分からなくてさ。向こうにとっては何で今更、それに何故あなたがそんなことを聞くのって反応されるのは、目に見えているからね」
「そうなのよ。総合職の浦里さんより、まだ私の方が聞きやすいでしょうね。でも普段から噂話を避けていた私が、急に態度を変えて根掘り葉掘り聞くのも不自然でしょ」
「それはそうだな。どうすればいいんだろ」
「どうしよう。悩ましいよね」
英美はそこで何気なく席を立ち、パーテーション越しに隣の課にいる七恵の姿を探した。やはり突破口としては、彼女から始めるしかないと思っている。
だが普段からそれほど親しい会話などしない間柄だ。それどころか正直苦手なタイプで、どちらかといえばお互い嫌っている部類に入っていると思う。だから苦慮しているのだ。
そんなことを考えながらぼんやりと眺めていたら、突然電話に出ていた二課の事務職の一人が大声を出した。
「え? またやったの? 八月になったばかりだよ?」
それを聞きつけた二課の次席の手塚課長代理が彼女に近寄り、声を出さず何事かと尋ねていた。そこで彼女は受話器の口を抑えて答えていた。
「また平畑さんが、事故を起こしたみたいです」
「またか? 怪我は?」
「単独事故で、本人に怪我はないそうです。ただ社有車が動かなくなったそうです」
「この電話は平畑からか?」
「はい」
「俺が話す」
そこで保留ボタンを押し、手塚は自分の席に戻って電話を取った。
「手塚だ。どこでやった? 今どういう状態だ? 警察には連絡したのか? 車が動かないのか? レッカーは依頼したのか?」
矢継早に質問を浴びせている。口調は徐々に厳しくなっていった。課長も含め二課の他の総合職は外出しており、手塚しかいない。しかし席に付いている事務職達は皆、口を揃えて騒いでいた。
「今度やったら、免停になるかもって言ってなかった?」
「今回は単独の物損事故だから減点にならないと思うけど、もう外へ出しては貰えないだろうね」
「先月はなんとか無事故だったんだけど、八月に入った途端いきなりでしょ」
「もう駄目じゃない? 運転ができない営業職なんて、使えないでしょ。外に出られないなら、中で何をするの? 何もできないじゃない。事務の知識だってまだまだなんだから」
「総合職って入社する時、免許の有無を確認されるって言っていたよね。免許のない人は内定した後、入社までに取らないといけないって聞いたことがある」
「営業に向いてないのよ。人事もどうしてあんな人を採用したかな」
辛辣な言葉が飛び交う中、浦里も聞こえたのか同じく席を立ち、心配そうな顔をして二課の様子を見ていた。
昨年の七月、二課に配属された総合職の平畑は今年で入社二年目だ。彼は運転が苦手なのか、異動して来たばかりの時に事故を起こした。それも今回のような単独事故だった。
その時は気を付けろよ、相手がいなくてよかったなといった程度で済んでいたが、その後がいけなかった。彼は同月に複数回は起こさなかったけれども、隔月で事故を起こし続けてきたのだ。
しかも中には追突事故もあった。幸い相手の怪我は軽かったようだが、人身扱いとなったために免許も減点されている。これまでそうしたことを繰り返し、先々月には配属されてから六回目の事故を起こした。つまり一年で六回起こした計算になる。
その為今度人身事故を起こしたら免停になるかもしれないと、厳しく注意を受けていた。例えならなくても事故を起こせば運転禁止、と通告されていたことを英美達も知っている。
営業職で、車が運転できないとなれば致命的だ。総合職は担当代理店の元へ、車で移動して訪問するのが常だ。電車だけで行ける先などごく限られている。
特に名古屋は道路が広い分、車の数も交通量も多いだけでなく、荒い運転をすることで有名だ。県では交通事故死者数が全国で十数年連続一位という不名誉な記録も持っている。
その為、決して運転がしやすい地域で無い事は間違いなかった。だからといってほぼ二カ月に一回事故を起こす程かと言われれば、そうではない。
それに平畑が起こす事故は全て、自分の過失が百%のものばかりだ。巻き込まれた事故というものは一度もない。これまで大きな人身事故を起こしていない点だけが幸いだった。
しかしこんな事が続けば、いずれ起こるかもしれない。そうなってからでは遅いのだ。保険会社に勤める者が死亡事故を起こした場合、会社を首になることもある。第一、社会的にも示しがつかない。
ただ英美からすれば、彼に同情する点もあった。車の運転技術がないことも原因だろう。しかしそれだけではないと思っていた。
というのも彼は配属されたばかりでしかも一番下だったこともあり、毎日のように遅くまで残業をしている。かつ雑務までこなしていると聞かされていた。はっきりいってこき使われているのだ。
その為日頃の睡眠不足が祟り、運転中の集中力が欠ける一因となっているのでは、と考えていた。しかも二課の職場は雰囲気が良くない。だから彼は会社が辛い所だと感じているに違いなかった。
といって事故を起こしていいはずはない。そこで彼には酷かもしれないが、配置転換をして別の部署に異動させた方が良いのでは、と思わずにいられなかった。
配属されてまだ一年しか経っていないが、運転できない営業職がいては事務職も他の総合職も困る。外出禁止令が出たなら、彼の担当している代理店は他の総合職が代わりに受け持って回らなければならない。総合職一人当たりの負担が増えれば、ただでさえ今抱えている仕事に余裕が無いので、フォローも疎かになるはずだ。
そうなると厄介事は、事務職が受け持つことになる。しかし彼女達は基本的に電話対応が主だ。面と向かって話をしなければ解決しないものや、書類の受け渡しがスムーズに行われるか否かで、仕事の質が変わってくる。
そう考えると早期に、出来れば十月異動に間に合わせて後任の総合職を呼んだ方が良い。彼はしばらくの間、外出する機会がまずない部署に配置することもやむを得ないだろう。
そうした話は、一課の総合職の間でも出ていたようだ。逆の立場だったらそうするしかないだろう、と話している様子を耳にしたことがあった。
だがこの問題は、英美達が考えているような事態に向かなかった。平畑が会社に戻って来た時には、二課長の飯島も外から帰ってきたようだ。
手塚から報告を受けた課長は、直ぐにどこかへ内線をかけていた。後で聞いた所では、どうやら早坂名古屋支店長に連絡していたらしい。
しかしその後そこで出された結論なのかは不明だが、少なくとも二課長は平畑を異動させるのではなく、退職させようと画策しているとの噂が広がったのだ。
というのも事前通告通り、本人に今後の外出禁止令を告げただけでは済まなかった。どうやらこのままこの会社にいていいのかと本人に尋ねたらしい。今回の件で二課の他の社員だけでなく、代理店にまでも迷惑をかけることになったことを滔々と説明したという。
さらにこれまで一年間働き、自分に適性があると思うかと問うたそうだ。その上彼の親も呼び、今後の事をよく考えて欲しいと通告までしたと耳にした。
英美は噂について、浦里に尋ねた。
「平畑さんが辞めさせられるかもしれないって、本当なの?」
するとはっきりとした答えが返って来た。
「辞めさせることは無理だ。人身事故を起こした訳でもない。クビに出来る程、決定的な問題もない。ただ営業社員としては、不適格だと言わざるを得ないだろう」
「だったら配置転換すればいいじゃない。それこそ同じフロアにある総務課だとか、東京本社だったら、営業企画部とか種目業務部だとか、車で外回りしない部署はいくらだってあると思うけど。外に出なければいけない場合があったとしても、東京だったら地下鉄だとか電車が何本も通っているから、なんとかなるでしょ」
「俺もそう思う。だけど二課や上の方はそう考えていないみたいだ」
「どうして? 確かに事故以外にも仕事上のミスも多いとは聞いているけど、まだ入社二年目でしょ。多少できないことがあるのは当たり前じゃない。それに彼は確か大学は良い所を出ていたよね。頭は良いんだから、内勤だったら十分やっていけると思うけど」
「理屈はそうだけど、現実問題としては難しいかもね。人事異動はそう簡単に認められ無いらしいから」
「どういうこと?」
「事故や病気で社員が亡くなったり長期休職して欠員が出たり、自己都合等で会社を辞めたりした場合の人員補充は、比較的早くしてくれる。でもそうでない場合は、なかなか難しいみたいだよ。だって本人の資質の問題もあるだろうけど、配置を決めた人事部が悪いのか、配属先の管理職が適正に指導していたのか、あるいはその上の部支店長に問題は無かったのか等、責任問題の所在がどこにあるかを問われる。だから簡単にはいかないらしい」
「それがどう関係してくるの?」
「要は明確な異動理由がないと、人は簡単に動かせないってこと。だってこいつはちょっと合わないからって、簡単に異動させられるようだったら、人事としても収集がつかない。だからそう簡単には動かせない。だったらどうすればいいか。一番簡単な事は、今回のケースだと自主退職して貰うことだ。そうすれば欠員事由となるから、次の異動がしやすくなる。管理職の責任や人事部の責任にもならない。自己都合による退職ならね」
「それって酷くない? 自分達の地位や規則を守るために、人一人会社から追い出す訳?」
「酷いと言えば酷い。だけど最終的に判断するのは平畑だ。さすがに会社も、無理やり辞めさせることはできない。組合もあるし今の時代下手な事をすれば、会社全体に影響が出てしまうから」
「そうよね。さすがに無理やり首は切らないよね」
「だけど暗示をかけるように、自主退職を促すことは出来るだろう。現に今、親を絡めてそう仕向けているらしい」
「やっぱり酷いじゃない。私から言わせれば、二課の職場環境や指導にも問題があったと思う。他の部署だったら、やっていけるんじゃないかな」
浦里だったら同意してくれると思ったが、彼は頷かなかった。
「それは分からない。二課にも問題はあったと思うよ。でも彼がこの状況で会社に残り、他の部署でやっていけるかどうかなんて、誰も保証できないんじゃないかな。今回の件で、彼がこの会社に嫌なイメージを持ったかもしれないし、自分でも向いていないと感じているかもしれない。そんな状況で他の部署に行って頑張れるかと言えば、そうならない確率は高いと思うよ」
意外な反論を受け、英美は戸惑いながらも反発した。
「それはそうだけど、まだ入社二年目じゃない。判断するのは早いと思うけど」
「もちろん部署によって良し悪しや、合う合わないなどの問題はある。でも基本的にはどこの部署も忙しいし、大変だと思う。だから安易に、他所だと大丈夫だとは言ってあげられない。営業以外の部署に異動しても、またミスを重ねて叱責されるかもしれないだろ。そんなことが続けば、下手をすると体を壊したり心を病んでしまったりする可能性だってある。冷たいように聞こえるかもしれないけど、そうなる前に辞めると言うのも一つの選択肢だと俺は思う」
彼の言い分にも一理あるとは思った。しかし平畑を辞めさせようとしている周りの人間達は、彼の事を第一に考えているかといえば疑問が残る。ただ自分達の保身の為に綺麗ごとを並べながら、彼にプレッシャーを与えて追い出すつもりだとしか感じられなかった。
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