九竜家の秘密
【第6回ホラー・ミステリー小説大賞・奨励賞受賞作品】資産家の九竜久宗六十歳が何者かに滅多刺しで殺された。現場はある会社の旧事務所。入室する為に必要なカードキーを持つ三人が容疑者として浮上。その内アリバイが曖昧な女性も三郷を、障害者で特殊能力を持つ強面な県警刑事課の松ヶ根とチャラキャラを演じる所轄刑事の吉良が事情聴取を行う。三郷は五十一歳だがアラサーに見紛う異形の主。さらに訳ありの才女で言葉巧みに何かを隠す彼女に吉良達は翻弄される。密室とも呼ぶべき場所で殺されたこと等から捜査は難航。多額の遺産を相続する人物達やカードキーを持つ人物による共犯が疑われる。やがて次期社長に就任した五十八歳の敏子夫人が海外から戻らないまま、久宗の葬儀が行われた。そうして徐々に九竜家における秘密が明らかになり、松ヶ根達は真実に辿り着く。だがその結末は意外なものだった。
あなたにおすすめの小説

秘められた遺志
しまおか
ミステリー
亡くなった顧客が残した謎のメモ。彼は一体何を託したかったのか!?富裕層専門の資産運用管理アドバイザーの三郷が、顧客の高岳から依頼されていた遺品整理を進める中、不審物を発見。また書斎を探ると暗号めいたメモ魔で見つかり推理していた所、不審物があると通報を受けた顔見知りであるS県警の松ケ根と吉良が訪れ、連行されてしまう。三郷は逮捕されてしまうのか?それとも松ケ根達が問題の真相を無事暴くことができるのか!?

ダブルネーム
しまおか
ミステリー
有名人となった藤子の弟が謎の死を遂げ、真相を探る内に事態が急変する!
四十五歳でうつ病により会社を退職した藤子は、五十歳で純文学の新人賞を獲得し白井真琴の筆名で芥山賞まで受賞し、人生が一気に変わる。容姿や珍しい経歴もあり、世間から注目を浴びテレビ出演した際、渡部亮と名乗る男の死についてコメント。それが後に別名義を使っていた弟の雄太と知らされ、騒動に巻き込まれる。さらに本人名義の土地建物を含めた多額の遺産は全て藤子にとの遺書も発見され、いくつもの謎を残して死んだ彼の過去を探り始めた。相続を巡り兄夫婦との確執が産まれる中、かつて雄太の同僚だったと名乗る同性愛者の女性が現れ、警察は事故と処理したが殺されたのではと言い出す。さらに刑事を紹介され裏で捜査すると告げられる。そうして真相を解明しようと動き出した藤子を待っていたのは、予想をはるかに超える事態だった。登場人物のそれぞれにおける人生や、藤子自身の過去を振り返りながら謎を解き明かす、どんでん返しありのミステリー&サスペンス&ヒューマンドラマ。
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
先生、それ、事件じゃありません
菱沼あゆ
ミステリー
女子高生の夏巳(なつみ)が道で出会ったイケメン探偵、蒲生桂(がもう かつら)。
探偵として実績を上げないとクビになるという桂は、なんでもかんでも事件にしようとするが……。
長閑な萩の町で、桂と夏巳が日常の謎(?)を解決する。
ご当地ミステリー。
Code:Mnー137(コードエムエヌ137)
🔔Bell note
ミステリー
「映像は記憶を記録する。しかし、それが“未来の記憶”だったとしたら?」
——30年前のロンドンに残された映像が告げる、運命のメッセージ。
過去か、未来か。記録か、予言か。
“Code:Mn-137”に秘められた真実——。
『Code-Mn137』は、映像編集者・古澤憲吾が過去の記録映像をきっかけに、不可解な出来事へと巻き込まれていくサスペンスミステリーです。
物語は、古澤がJHKの歴史ドキュメンタリー制作を担当することになり、アーカイブ映像を整理していた最中に一本の奇妙な映像を発見するところから始まります。映像に映っていたのは、まるで“未来の自分”のような初老の男。その男は何かを語りかけているように見えましたが、映像には音声がありません。過去の記憶にも存在しないその映像に、古澤は強い違和感と疑問を抱きます。
やがて彼は、知人である認知科学者・植木肇の協力を得て、AI技術を用いた音声復元に取りかかります。
その解析の結果、映像にはまるで未来を予言するようなメッセージが浮かび上がりました。
「君は見るべくしてこの映像を見ている。もうすぐ転機が訪れる。私の言葉を信じろ……」
そして最後に現れたのは、謎のキーワード──「Code:Mn-137」。
この映像の意味を探るうちに、古澤の身のまわりでは次々と奇妙な出来事が起こり始めます。宮城県黒川郡での大震災、台湾のホテル火災で知人が「別人」として現れる出来事、さらにはベトナムで再会したスポンサー企業の幹部が、以前会った人物とどこか違って見える……まるで中身が入れ替わったかのように。
果たして、あの映像は偶然の産物だったのか、それとも未来を変えるための明確な意図があったのか──。
古澤は、映像編集者として歩んできた人生を背負いながら、「過去」と「未来」の狭間で真実を追い求めていきます。
本作の魅力は、映像メディアという題材を巧みに取り入れたストーリーテリングにあります。AIによる音声復元やアーカイブ映像といった現代的な要素を背景に、「記録された過去」と「予測される未来」とを行き来する構成が特徴的です。
単なるサスペンスやミステリーにとどまらず、「すべてを知ることは、本当に人間にとって幸福なのか?」という哲学的な問いも作品の根底に流れています。
そして物語の終盤、古澤は「Code-Mn137」の意味を解き明かし、自らの人生に関わる重大な決断を下すことになります。
「今、見ているものをそのまま撮れ」──その言葉の真意が明かされたとき、読者のみなさんもまた、ご自身の“現実”を見つめ直すことになるかもしれません。
『Code-Mn137』は、時間と記憶、映像と真実の境界を問いながら、物語の終わりまで読者を引き込んでいく一作です。

彼女が真実を歌う時
傘福えにし
ミステリー
ーー若者に絶大な人気を誇る歌手の『ヒルイ』が失踪した。
新米刑事である若月日菜は『ヒルイ』と関わりのあった音楽療法士の九条凪とともに『ヒルイ』を見つけ出そうとする。
ヒルイの音楽に込められた謎を解き明かしていく中で日菜たちが見つけた真実とは。
愛、欲望、過去、そして真実が交差する新感覚音楽ヒューマンミステリー。
第8回ホラー・ミステリー小説大賞にエントリーしております。
憑代の柩
菱沼あゆ
ミステリー
「お前の顔は整形しておいた。今から、僕の婚約者となって、真犯人を探すんだ」
教会での爆破事件に巻き込まれ。
目が覚めたら、記憶喪失な上に、勝手に整形されていた『私』。
「何もかもお前のせいだ」
そう言う男に逆らえず、彼の婚約者となって、真犯人を探すが。
周りは怪しい人間と霊ばかり――。
ホラー&ミステリー
きっと彼女はこの星にいる
花野りら
ミステリー
行方不明になった彼女、森下真里を救うため探偵になった和泉秋斗。しかし現実は失踪してからもう十年の月日が流れていた。そんなある夏の日、事務所の二階に住む田中奈美からこんな依頼を持ちかけられる。「うちの猫を助けてください」彼女の依頼を受け見事に猫を助けた和泉だったが、突然記憶を失ってしまう。何が起こったかわからないまま、猫を送り届けようと奈美の部屋を訪れた和泉の前に、絶世の美少女田中あかねが現れ「行方不明の彼女を見つけにいくぞ」と告げられる。なぜあかねが真里失踪事件の情報を持っているのかと尋ねるが、その理由は教えてもらえない。和泉にその理由を話せば、この世界が消えてしまうらしい。そんな哀しみを持つあかねと和泉のミステリアスな調査が始まる。