太助と魔王

温水康弘

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第五章 内乱のエルフ国

その二十 水晶のドラゴン

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 ちょっと冗談でしょう!
 まさか心臓部である巨大水晶そのものが最終防衛システムそのものだったなんて。
 それは巨大な水晶のドラゴンへ変貌を遂げた心臓部。
 しかも……これはヤバそうよ。
 何しろ巨神を動かすエネルギーそのものなんだから。
 あっ、早速ドラゴンが目から光線出して来たわ!

「見た……あれ」
「あれマトモに受けたら蒸発されるわよ」
「流石はエネルギーの塊だけの事はありますわ」

 続いてドラゴンの奴、その巨大な尻尾を振り回して攻撃!
 幸い尻尾の動きは思ったより遅いかあら回避できたけど……もし当たったら骨が砕けそう。

「うげ~っ!こんなんどないすんねん!!」
「見るからに堅そうだし攻撃力も半端じゃないわ」
「先程の人型みたいに中枢コアを闘気で潰す手は通じそうになさそうですし……どうしましょう」

 ファブリーズの言う通り先程の人型と同じ戦法は使えそうにないわ。
 相手は俗にいうエネルギーの塊で攻撃力は半端じゃない。
 おまけに私達は伝説の巨神の影響で魔法は一切使えない。
 せめて魔法が使えたら私のギガ・イレースで一発なのに!
 
「なら……力と力との勝負だ!ヒカル、ここは僕に任せて」
「アンナ、何をする気?」

 アンナは何を考えてるの?
 難とアンナは一人で正面から水晶のドラゴンと対峙したわ!

「なぁ……僕とサシでやらねぇか」
「…………」
「退屈はさせねぇよ……いくぜ!」




 アンナ・アーマード




 アンナは自らの甲冑を闘気を注ぎ……巨大な装甲の戦士へと変貌。
 そのまま水晶のドラゴンへ一人戦いを挑む。
 そして、その戦いを前にアンナは私にアイコンタクト。

「!?」
「ちょっとアンナ!あの化物へタイマンだなんて無茶よ」
「待って!」
「どうしたのよヒカル」
「あのドラゴンはアンナに任せましょう。そして、私達は……ヒッヒッヒッ!」
「「「うわぁ、こりゃ何か悪い事考えてる顔だ」」」

 あら、皆~っ、お察し?
 では皆様……この部屋にある機械という機会を片っ端からぶっ壊すわよ!

「うりゃああああああああああっ!」
「いやぁ、これはこれで楽しいですわぁ💛」
「――――破壊任務開始!ここの施設を全て粉砕する」
「こんな屑鉄なんか、この大斧でスクラップよ!」
 
 はい、アンナが面倒な水晶ドラゴンを足止めしている間に私達は片っ端から心臓部にある機械や計器類を破壊開始!
 上手くいけば、あの水晶ドラゴンも動きが止まる筈よ。
 そしてフェミーもナイフを握りしめ周囲の計器類を壊そうとしたわ。
 だけど、その時だった。

「お待ちください」
「どうしたのファミー」
「あれを御覧下さい。あの装置……私は覚えがあります」

 あれ?
 ファミーがフェミーを静止して……何やら心臓部のある装置の前に向かったわ。

「ファミー、その機械がどうかしたの?」
「主よ、その前に私の正体についてお話します。私は元々この巨神が作られたのと同時に作られた守護端末でございます」
「守護端末?」
「平たく言えば先程主達が戦った金色の人型と同種でございます。もっとも私はあれよりも自己判断能力が著しく高い個体ですが」
「そうか……それでファミーは私と同じ姿でいられる訳ね。あの人型の上位個体なら納得ね」
「先程あの下級の同族と対峙した事により私は封印されていた記憶を取り戻しました」

 うわぁ。
 ファミーが伝説の巨神を作った何者かにより作られた存在だったのね。
 そして……ファミーは心臓部の片隅にある大きな端末らしい計器を何やら操作を始めたわ。

「ファミー、何をしてるの?」
「この巨神は元々は昔のエルフ国の王族との盟約でその使用と運用を任されたもの。そして……私が判断する限り現在この巨神の正当な所有者は主であります」
「確かに私はエルフ国の王族だけど……それでファミーはどうするの?」
「正当なる所有者である主の望みはこの巨神の全機能を停止させる事。ならば我はその望みに従うまでです」
「えっ?その機械を操作すれば巨神は動かなくなるの」
「はい。現在我は主の姿を複写した際に主の遺伝子データが入力済みです。故にその遺伝子データをマスターコードにして巨神を停止させる事が可能です」

 やった!
 ファミーがその装置を操作すればこの伝説の巨神の全機能を停止させられる訳ね。
 それからフェミーの呼びかけで私達は破壊活動を停止。
 ファミーが停止作業をしてる事をフェミーが私達に伝えたわ。
 だけど……それを聞いた水晶ドラゴン。
 足止めしているアンナから離れてファミーの停止操作を止めようとしてるわ! 

「貴様はガーディアン002!何勝手に巨神の機能を停止さえようとしている」
「こら~っ!お前の相手は僕の筈だっ」

 必死にファミーの妨害を試みる水晶ドラゴンをアンナ・アーマードが立ちふさがる。
 そんな状況に私達も加勢!
 ファミーの邪魔は絶対にさせないわよ。

¥急いでファミー!ヒカル達が危ないわ」
「…………」
「どうしたの?」
「ダメです。完全な機能停止にはどうしても三つのキー……主達の言う三つの刻印が必要です」
「なんですって!」

 ええ~っ!
 ファミーだけでは伝説の巨神を完全に止められない訳?
 だけど……ファミーはこんな事も。

「ですが……私の権限だけでも魔法無効機能だけは解除可能です」
「本当!ならお願い。魔法が使えるならヒカルは十二分に戦えるようになるわ」
「六十秒時間を下さい。巨神の魔法無禄能力を解除します」

 えっ?
 魔法が使えるようになるの。
 ならば六十秒間何とかして時間を稼ぐわよ!

「うりゃああああああああああっ」
「アンナ・アーマード出力全開!」
「はああああああああっ」
「――――ここだ!」
「こうなったら最後までやってやるわよ!」

 それからファミーが賢明に魔法無効化を解除してる間、私達は厄介な水晶ドラゴンに戦いを挑む!
 あと少しで面倒なハンディキャップは終わりよ。

 残り時間……二十秒……十五秒……十秒。

「主、後少しで解除できます」
「ファミー急いで!ヒカル達はもう限界誓いみたい」

 確かにそうね。
 アンナのアンナ・アーマードは装甲のあちこちが損傷して限界が近い。
 それに私を含む他の皆も相当ヤバいわ。

「これで終わりだ。私としては結構あの叱ったぞ」

 この水晶ドラゴンめ、ここまで戦って余裕ぶって。
 流石はある意味エネルギーの塊だけの事はあるわ。
 だが!その時だったわ。
 心臓部の部屋中に何やら声が響き渡る。




 タイプ・マジックの防御機能を解除しました。
 タイプ・マジックの防御機能を解除しました。




 おおっ、これってまさか!
 そこへフェミーの声が。

「ヒカル~っ!魔法の無効化は解除したわ」
「フェミー……という事は?」
「もう魔法が存分に使えるわよ!」

 ふっふっふっ!
 そうかそうか。
 
「は~はっはっはっ!」
「そこの小娘、何がおかしい。気でも触れたか?」
「心臓部さ~ん、お待たせしました!これより無敵の魔王様が貴方をコテンパンのギッタギタにして差し上げま~す💛」

 私は生意気な水晶ドラゴンを指差して処刑宣告!
 そして……用済みとなったこの強化服を。




 ビリビリビリビリビリ!




 私は豪快に身に着けていた強化服を破り豪快に脱ぎ捨てた!
 そして……生まれたままの全裸である最強魔王様がいたわ。
 
「はは……そこで脱ぎ捨てますかヒカル」
「魔王様、相変わらずの脱ぎっぷりですわ」
「――――これは美しい全裸でございます魔王様」
「ヒカル、本当にアンタは真性の露出狂ね」
「…………ヒカル、もしkして強化服の説明書読んでないでしょう」

 約一名のエルフが呆れてるみたいだけど大方は私の全裸に見とれてるみたいね💛
 まっ、魔法が使えるんだったらあの強化服は邪魔なだけだし。






 さ~て、これから私のワンマンショーの開幕よ!
 あの生意気な水晶ドラゴンをどう料理してやろうかしら💛








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