太助と魔王

温水康弘

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第五章 内乱のエルフ国

その十九 心臓部に住まうガーディアン

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「ここが心臓部かぁ」
「さしずめ……あの大きい水晶が中枢と見たわ」

 ようやく辿り着いた伝説の巨神・心臓部。
 周囲には様々な機械とか計器類が音を鳴らしながら機能している。
 そして部屋の中央には蒼紫六輝く巨大な推奨があった。
 しかもその推奨には色々なケーブルが接続されているわ。

「とにかく、あの推奨さえ破壊すれば巨神の全機能が停止するのは間違いなさそうね」
「やゃあ……さっさと粉々に砕いてやりますか!」

 あらら、ミルクったら大斧を手にして張り切って振り回してるわ。
 危ないわね。
 貴方のその大斧って確か十トンはある筈だから当たったら私ですら危険だわ。

「ミルク!そんな物騒な斧を振り回すんじゃないわよ」
「わかったわよ!じゃあ……あの推奨をぶっ壊しちゃいましょうかねぇ」

 ミルクがその大斧を手に青白く輝く推奨を砕こうとした時であった!




 我がテリトリーを汚すのはお前達か。




 おや?
 部屋の何処かから鈍い声が聞こえてくるわねぇ。
 私達はその声の主を探したわ。

「何処にいるの?隠れてないで出てきなさい!」
(ここだ)

 私達が声が聞こえる方向へ視線を向けると……そこには宙に浮かぶ金色の球体があった。

「まさか……あれが声の主?」
(我はこの心臓部の守護者なり。ここに害を成す者より守護する者)

 金の球体は私達へ警告。
 一見するとただの球体だが……何か凄まじい力を感じずにはいられない。

「ふん!あんな玉っころ、ぶっ壊してやるわ!」
「!?ミルク、ダメ」

 ミルクが大斧を握りしめ金の球体を壊さんと全力ダッシュ!
 だが、金の球体から姜哲な衝撃破!
 その衝撃によりミルクは俊二に部屋の壁面へ叩きつけられる。

「いったぁぁぁっ!」
「ミルク!」
(愚か者め)

 うわぁ。
 やっぱり私の嫌な予感が的中したわ。
 あの金の球体……見かけによらず、とんでもない戦闘能力だわ。
 攻撃手段は衝撃波のみだけど、その威力はとんでもないわ。
 案外こうゆう単純なのが手強いのよね。

(警告する。これ以上被害を受けたくなかったらここから去れ)

 うわぁ、金の球体め生意気にも私達に命令?
 ふん!
 確かに強いのは認めるけど……たかが球体如きが天下の魔王様を見下して命令ですって?
 所詮防衛システムにこの魔王が引き下がるとでも?

「へぇ……」
(貴様、警告した筈だっ。我に近づくな!)
「♪それがど~した、私は魔王」
(来るな)

 はい、強烈な衝撃波が今度は私に!
 しかし、どうゆう訳か私はぶっ飛ばされる事はなかったわ。

(!?何故だ)
「やはりね。貴方の衝撃波は闘気と同じみたいね。だから私も闘気を使って衝撃波を中和したのよ」

 はっはっはっ!
 やっぱり所詮は防衛システムみたいね。
 想定外の事には対処できないのが機械の難点みたいね。
 はい、もう私は金の球体も眼前へ。
 後は煮るか焼くかどうしてやろうかしら?

「さて、握りつぶしてやろうかしら?それとも真っ二つにしてやろうかしら?」

 こうなると、もう一方的。
 流石にアンナやファフリーズ達も唖然茫然になって呆れているみたい。
 先程、球体にしてやられたミルクに至っては「私、自信失くしそう」とブツブツ。

(バカな)
「さぁ念仏でも唱えなさいな」

 さ~て、この生意気な浮かぶ球体なんか粉々にしてあげるわよ!
 私は指をボキボキ鳴らしながら球体へ接近中でございま~す。
 だが……私が醜態まで後少しの処で球体に何やら異変が!



 想定外の危険状況を確認。
 これよりセキュリティーレベルをマックスにします。




 はぁ?
 何よこのアナウンス。
 何だか浮かぶ球体が何やら膨張しながら変化しているような。

「うげ~っ!」
「ひ、人型になっちゃったわ」

 なんと球体は私達と同サイズの人型へと変貌したわ。
 そして金色の人型はこう告げたわ。

「危険レベル最大の脅威を確認。これより排除行動を開始する」

 すると金色の人型は私へ襲い掛かって来たわ!
 しかも……速い。

「ぐっ、これは思ったよりも威力が高そうね」

 これは意外と手強いわ。
 すさまじい速度に一撃辺りの威力が半端じゃない。
 私でもこの戦闘服が無かったら即死ものっだわ。
 しかも……その金色の人型は一体だけではなかったわ。

「げげっ!」
「変な人型が……また五体増えたわ」
「上等だ、こいつ等全てぶっ倒してやる」

 あ~っ!
 私が相手してる一体だけでも面倒なのに同じのが更に五体増えたわ。
 これで私達六人と敵の人型が六体。
 結局これでそれぞれ一対一の構図が出来てしまったわ。
 こうなったら私達がそれぞれ各個撃破するしかなくなったようね。

 それから数分経過したかしら。
 この金色の人型は飛び道具は一切使わない代わりに肉弾戦がめっぽう強い事!
 しかも体も随分と硬いみたいで生半端な攻撃は無意味。
 おまけに伝説の巨神内部故に私達は一切の魔法が使えないというハンディキャップがあるわ。
 あ~っ、せめて魔法が使えたらこんな奴等。




 しかし!そんなの関係ないと反撃の狼煙を上げる二人がいた!
 一人は魔法は一切使えないが元人間国勇者として闘気の達人であるアンナ!




「きぃえええええええええええええtく」

 アンナが持つ闘気が籠った剣は金色の人型の右腕を一刀両断に切り落とす! 
 更にアンナは静かに剣を構えて……静かに瞳を閉じる。

「…………あの人型から気の流れを感じる。そして、その中枢はそこだっ!」

 アンナは右腕を切られて維持家づく人型に対して……脳天から一刀両断!
 そして、脳天から真っ二つにされた人型は……木っ端微塵に大爆発を起こして消滅した。
 よし!これでまずは一体。

「皆!奴等は胴体にある中枢を壊せば倒せるぞ」

 そうか。
 先程アンナは人型の胴体にある中枢コアを破壊したんだ。
 だから倒せたのね。
 よっしゃあ!
 弱点さえ判ればこっちのものよ。

「胴体に急所ですか。それなら楽勝ですわ」

 あらら、ファブリーズったら確信したような笑い顔。
 そして襲ってくる金色の人型に対して急接近!

「いただきですわ」
 
 ファブリーズはそっと金色の人がtの胸部へ掌を触れて……すかさず気合一発! 
 すると金色の人型は断末魔を上げるまもなく崩れていく。

「流石はファフリーズ」
「ふふふ、アンナ程ではありませんが闘気を扱うのも、お手の物ですわ」

 続いてはフェミーだ。
 フェミーは懐からナイフを引き抜いて……襲い来る金色の人型が繰り出す攻撃を悉く回避!
 そしてフェミーは金色の日t型の胸部へナイフの先を突き立てる。

「はっ1]

 フェミーから放たれる魔力から変換された闘気!
 それにより急所を粉砕され崩れ去っていく人型。

「魔法を使った戦法にも魔力を流し込んで相手を無力化するのがあるけど……応用できてよかったわ」

 恐るべし闘気変換強化服。
 さて……ミルクに至っては。

「はっはっはっ!まだ先程の玉っころの方が歯ごたえがあったわよ」
「うわぁ……容赦ない真っ二つ」

 いやぁ、相変わらずあの十トンもする大斧の威力はとんでもないわね。
 それにしても急所ごと真っ二つですか。
 そして残る二体も私とクロの敵ではない訳で。

「――――目的障害排除完了」
「ワンパンよ!こんな金ピカ野郎なんかワンパンよ!」

 まぁ、私とクロに関しては話すまでもないでしょう。
 これで邪魔者は全て排除完了ね。

「これで心余儀なく心臓部をぶっ壊せるわね」
「ヒカル、早くここの機能を停止させましょう」
「そうね……それでは全員かかれ~っ!」

 もう後は徹底的にぶっ壊すだけね💛
 あのどデカい水晶を粉々に粉砕あるのみよ。

 私とアンナとミルクは巨大推奨へ直接攻撃!
 そして残るメンバーは周囲の計器類を片っ端から叩き潰す事に。

 そして、ファブリーズ達が周囲の計器類を壊してる中、私とミルクとアンナは推奨破壊を試みるが?

(最終防衛機能発動!最終防衛機能発動!)

 ありゃ~っ。
 どうやらまだ何かあるというの?

「ん?推奨が光ってるような」
「気のせいか変化してるようだわヒカル」
「ダメだ!一旦下がろう」

 心臓部の推奨が……何やら変貌を遂げていく。
 そして、推奨は……巨大なドラゴンへ!
 はぁ、世の中そんなに甘くはないか。





「我はこの巨神の魂にして最後の守護者なり。さぁ命が惜しくない者から掛かって来るがいい!」






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