太助と魔王

温水康弘

文字の大きさ
上 下
81 / 99
第五章 内乱のエルフ国

その十三 反撃の狼煙

しおりを挟む

 エルフ国の首都へ転移できずに半ば絶望していた中で太助とファブリーズとの再会という希望。
 更に行方不明だったフェミーの恋人であるブログさんとも会う事ができた。
 私は再会できた太助と濃厚なキスを交わして再び会えた事を喜ぶ。

「太助……本当に会いたかったよ。心配したんだからね」
「心配かけてごめんね。それより大切な話があるんだ。すぐに土器かの空き地へ簡易ハウスを設置してくれる」
「あ~っ!太助ちゃ~ん💛お姉ちゃん寂しかったわぁ」
「アンナ姉ちゃんも心配をかけたね。アンナ姉ちゃんに会えたら姉ちゃんの料理が食べたくなったよ……お願いできる?」
「うんうん!」

 それから私達はホビット族の集落にある空き地へ簡易ハウスを展開。
 そして簡易ハウスの中で私達は太助とブログさんから色々な衝撃的な真実を事になる。

 まず、フェミーとルシフェル王は実の親ではない事。
 あっ、宰相であるラリーさんは実の父親で血の繋がりはあるみたい。
 更にそのルシフェル王の奴、前々からダークエルフやホビットを蔑ろにした政治をしていて相当ダークエルフとホビットの不満は蓄積していた様子。
 おまけにあろう事かルシフェル王の奴、ダークエルフの集落に赴いて未了の魔法でアカウント将軍を始めとするダークエルフを洗脳。
 そして洗脳したアカウント将軍率いるダークエルフ達に反乱を起こさせた。
 その目的は赤・緑・青の刻印を収集させて伝説の巨神を復活、それを用いて魔王国やドワーフ国へ戦争を仕掛ける事だ。

「太助……もし、それが本当ならフェミーが危ないわ。フェミーは緑の刻印を持ってるのよ!」
「うん、あのルシフェル王なら力づくで緑の刻印を奪いかねないよ」
「くそっ、全てはあのクソバガァの掌で踊らされていた訳ね。私とした事がまんまとしてやられたわ」

 確かにこれはマズい。
 アカウント将軍が青の刻印、赤の刻印は元々あのルシフェル王が持っている。
 間違いなく次はフェミーが持つ緑の刻印を狙ってくるのは確実。

「ブログさん、伝説の巨神について何か伝承はありませんか?」
「確か……誰かが乗り込んで使役する巨神と伝えられています。それから起動中は巨神の周囲は一切魔法という魔法が使えなくなるとか」

 えっ?
 伝説の巨神は動き出すと、その周囲は一切の魔法が使用不能になるの?
 うげ~っ。
 それじゃあ魔王国の主力部隊は役に立たないじゃないの。
 これを聞いたミルクは。

「となると……武装による肉弾戦あるのみね。我がドワーフ国が誇る精鋭部隊が巨神など叩き潰してやるわ」
「失礼ながらドワーフ国国王様。言い伝えによると巨神の体はオリハルコンより硬い上に傷ついてもすぐに再生するとか。」
「えっ、マジ?」

 げげっ、魔法はダメ、物理攻撃も再生能力があるからダメ。
 その伝説の巨神ってなんてチートなのよ。
 はぁ、そうなると猶更復活を阻止しないと面倒ね。

「畜生~っ、一刻も早くエルフ国の首都へ行って、あのクソバガァをぶん殴らないと気が済まないわ」
「ホント、こんな自作自演の反乱に武器売買なんかやってられるか!ドワーフ国を騙すとどうなるか思い知らせてやるわ」

 もう私とミルクは怒り心頭。
 こうなったら全面戦争もやってやるわよ。
 だけど、そんな私達二人を太助が宥めてきたわ。

「落ち着いてよ。まずは首都に張り巡らされている結界をなんとかしないと」
「あのウザい結界か。本当にどうしてやろうかしら」
「――――それについては既に手は打ってあります」
「!?クロじゃないの」

 そこへアンナの新しい甲冑を持ってきたクロが現れた。
 クロは首都に展開されている結界の事を他の諜報員から聞いており、その事で私に話しがあるらしいの。

「――――現在私の同胞が結界の外部から解除を試みております。ですが……」
「何か問題でも?」
「――――その結界は思ったよりも強力で一時的に無効かできるのが精一杯だそうです。その時間は約一分!」
「じゃあ……その一分間ならテレポートで」
「――――その無効かしている時間なら可能です」

 どうやら魔王国の諜報員達があの面倒な結界を一時的にでも無効化しようとしている。
 となると首都突入のチャンスは一度!

「なら今からテレポートの準備を始めるわ。クソバガァめ、絶対に思い知らせてやるわ」
「ヒカル、私もドワーフ国国王として同行するわ」
「となると私も行くわ!甲冑も新しくなったしね」
「(ボキッ)そうですね(ボキッ)あの最低国王に相応の落とし前をしないといけませんしね」

 はい、まず私とミルク、アンナ、ファフリーズが首都に突入決定!
 特にファフリーズったら何があったのかしら殺意満々みたいね。

「僕も行くよ。ぼく個人としてもあの国王が気に入らないからね……完全にキレた!」
「――――私も参ります。宰相様の護衛はお任せください」
「当然私も行こう!フェミーの事が心配だからな」
「ブログさん、貴方のお父さんの事を忘れずにね」
「!?すまない」

 更に太助、クロ、そしてブログさんも突入メンバーに加わる事に。
 ただ……突入するのは私達だけではないわ!
 私はリンクミラーを手にして魔王国へ緊急連絡!

(魔王様!ご無事で何よりです)
「ルル!すぐに正規軍陸戦部隊に魔法航空部隊それぞれ出撃要請よ」
(既に準備は完了しております。後は例の結界が無効化され次第突入します!)
「頼むわよ。あのクソババァに目にものを見せてやるわ!」

 ふふふ!
 あのルシフェル王……完全に我が魔王国の逆鱗に触れたみたいね。
 我が魔王国の恐ろしさを思い知らせてやるわ!

 それから事情を察したホビット族の皆様から食料や火薬の提供を受けて……いざ出陣よ!
 私達は設置した魔法陣の上で諜報員達が結界を無効化するのを待つ事に。
 そんな中で私達はそれぞれの気持ちを語る。

「クソババァ!首を洗って待ってなさい。フェミー……絶対に助けるからね」
「ドワーフ国を騙して武具を入手とはいい度胸ね。この大斧で真っ二つにしてくれる!」
「ルシフェル王め……この新しい甲冑の実験台にしてやる」
「殺す……あの国王の首絶対に切り落としてくれる」
「フェミー、ようやく会えるんだな。また互いに手を取りあおう。そして父上……」
「…………」

 あれ?
 太助だけは何やら黙っているみたいだけど。

「太助、どうしたの先程からだんまりして」
「ヒカルちゃん、この一軒が全て片付いたら大事な話があるんだ」
「それって私達にとって大事な事?」
「うん。エルフ国の事が片付いたらね」

 う~ん。
 太助の大事な話か。
 その時、クロから伝令が!

「――――魔王様、たった今エルフ国首都の結界が一部分だけですが無効化に成功しました!」
「!?」
「――――テレポートするなら今です!それと今、無効化した部分へ正規軍が突入しましたとルル様から報告が」

 よし!
 こうなれば善は急げだ。
 私は急いで魔法の詠唱を開始する。
 詠唱を鶴ける旅に魔法陣に淡い光が鼻垂れていく。
 じゃあ……皆いくわよ!




 テレポート




 こうして私達はホビット族の皆様に見送られて……」いざ、エルフ億の首都へ!
 待っててねフェミー。
 絶対に助けてあげるから。




「さぁ、ルシフェル王めっ!これで全てを終わりにしてあげるわっ」





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

処理中です...